唇が乾燥し、夕飯の献立を考えるのにまず土鍋の図が浮かび、猫が布団に乗ってくるようになった。
一昨日キムチ鍋。韓国に行ったときに土産物屋で、日本人の作るキムチ鍋は水っぽい、このごま油でこの唐辛子粉とこのキムチを最初に炒めるのだ、とセールスされながら教わった。それを参考にショウガとニンニクも擦って最初に炒め、後は母がお気に入りでよく食べている叙々苑のキムチ鍋スープを思い出して味噌などを足す。しめは中華そばを入れる。昨日鶏団子鍋。鶏団子には花椒を効かせ、野菜はキャベツ、ネギ、春菊、ポイントはごぼう。しめはうどん。今日は味噌バター鍋で鮭なんてどうだろう。その場合しめは雑炊。
最近の悩みは夜になると台所になめくじが出ること。どこから侵入してくるのか、何をしているのか壁や床にひっついているのを一晩に一匹は見つけてしまう。最初はティッシュごしに触るのもイヤだったが、もう最近は見慣れてしまった。最初は窓から捨てていたが、あまりに毎晩あらわれるので同じやつなのかも知れないし、違ったとしてもこの方法では増える可能性を残す、と気付いて、キッチンペーパーに包んでその上から輪ゴムで巻き、燃えるゴミに捨てている。もう何匹そうやって葬ったことか。そんな業を増やしているので極楽へは行けないかも知れない。なめくじのせいで。薬を使った方がいいだろうか、効果的な撃退法があるだろうかと検索する。夜行性、雄雌同体、家族で行動するので一匹見つけると数匹いる。飲み残しのビールを張って置いておくと朝には団体様で溺死する。その方法は後が恐ろしい。
そうやってなめくじの履歴を増やす途中、ふとあれは食べられるのだろうか、と思ってしまった。カタツムリの殻が退化したものらしいのでひょっとしてと調べてみた。生ではだめだが、火を通せばどうも食べられるらしい。見慣れるまでどうやったって、なめくじ と 食べ方 という言葉がつながるはずなかったのに慣性とはおそろしいもので、拒絶を通過しの対象への解釈、視野が広がると、新たな角度から対象を見る事が出来てしまう。 やっぱりエスカルゴバターで調味するのがいいのだろうか。
もちろん食べません。
と明言しておくことで、夫が「なめくじ 食べ方」という検索ワードを履歴のなかで発見してしまって、鍋に浮いている椎茸の細切りに箸がのびない、なんていう事にならないだろう。