figromage

流出雑記 

2015/12/31

2015年12月31日 | Weblog
迷宮

尾頭付きの虚言を包み込んで焼き固めた塩釜のなかから割って出てくるあからさまな褐色。それは嘘偽りであったとしても、その色彩の鮮やかさに於いて、その目の醒めること、目覚ましさに於いて嘘はなかった。カドミウムレッドは毒を吐き、鉱物系の色彩は混色を嫌うから必然的に孤独な太陽はひとりで燃える。明るみに出してはならない影の部分を焦がし、煙が狼煙となってあがる本末転倒を生き延びて東から西、東から西。いつでも導線を裏切ることの出来ない誠実さは時に裏目に出る。詰まらない、人ね。むしろ何かが燃えているにおいがするのは、この茶番の袖幕に火が付いたからに違いない。非常誘導灯は消灯して久しく、誰も避難経路を把握していない。端からそんなものありはしない。出口は仮にあると仮定された精神向けの通気口で、実際のところなかったとしてもあるとしておく方が衛生上よい。そうでなければ心身共に迷宮入りになる。迷宮の奥に生まれた時から幽閉されている化物の鳴き声を聞いてしまったなら、もうそれを忘れることはできない。例え行き着いた迷宮の奥の間で出くわすものが、化物らしく加工された猫の盛りの鳴き声の自動再生音源だったとしても。

2015/12/28

2015年12月28日 | Weblog

寝たのは4時を過ぎていたのに8時前に目が覚めた。洗濯槽クリーナーの粉末を入れて洗濯機を作動させ一時停止。5時間くらいそのまま放置。

近くの赤山禅院のミッションをやりに行く。境内の中に中立化したポータルがふたつあるのも見えていた。午前中、赤山禅院の背後は山なので夜の間に冷えきった山の空気がまだ境内を冷やしつくしていて、スクロールするために手袋を諦めている手がきんきん痛くなってくる。

在宅ハック出来るポータルにヒートシンクとマルチハックを装備してウイルスで転化させてグリフハックしてAPを稼ぐというコタツでやれる内職を思いつき、グリフハックの腕があがった。もうひとついいのはグリフハックを仕掛けているポータルがレベル4なのでレベル4のレゾネーターがよく出る。レベル6以降レベル4のレゾネーター不足になるらしいからちょうどいい。

そんなことばかりしてただ遊んでいるのではなく、年明け稽古が再開するまでのあいだにクリエイションから離れたくないような心境もあって、作品のテーマのである地図のこと、イングレスをする感覚を自分と同期させたい。実際無理なく没入できるくらいおもしろい。12月の稽古中に思いついたアイデアをメールで送る。年末の用事も粛々と終わらせていく。ばらの剪定と追肥をして、玄関先の草を引いたり掃除。来年は今年新苗だったディスタントドラムスが咲くのを見たい。花びらの淡いグラデーションがとてもきれいな品種。枝だけになって寂しいので何か新春の彩りをひとつ買って来ようと思った。ついでに支払い関係のことを片付ける。家賃と家の更新料。更新料と変換する前に家の香辛料と出たけれどカレーじゃないんだから。クミンとかで誤摩化せるものならそうしたい。

光熱費をコンビニで支払い、年賀状を出し、4つくらい衰弱したポータルを破壊し緑に染め、出町柳で年明けから大阪に通うための定期を買っておく。余った京阪回数券を駅の傍の金券ショップで売り、鴨川沿いのホームセンターに寄って園芸コーナーを覗く。何か赤い実のついたものとか、正月らしさのある小さい植物を探していた。売り場にはハボタンが幅をきかせている。今はとてもきれいだけれど、春先にのびて黄色い花を咲かせるのがきらいなのだ。でもやはり濃い緑と白と赤紫の重なりは群を抜いてきれいだった。植木コーナーの方を覗いてみるとイングリッシュローズがたくさん入荷されていた。常にあるわけではない。しかもほしかったジュードジオブスキュアがある。ブラザーカドフィールも。1本3000円。この値段はイングリッシュローズにしては安い。が、そのとき財布に3000円はなかった。でも花を見たい嗅ぎたい。ああ。このばら憑きは一生続くのだろうか。

300円のハボタン買って帰る。帰る途中にやっぱり携帯の充電は切れた。自転車だといよいよ寒くなってきた。

明日忘年会に持ち寄るためのアラビアータのソースとキッシュの具と生地を下準備。


2015/12/27

2015年12月27日 | Weblog
新しい青

長きに渡っての
詩的流用が過ぎて
紺碧も暁も色あせた空と
水気が飛んで干からびた
塩田と化した海
尽きた青を補うときは
誰にも気付かれないように
あせた空に色を口移す
果てしない塩の平原を歩いて
誰にも悟られないように
青い鳥の地上絵を描く

2015/12/26

2015年12月26日 | Weblog

朝。昨夜のケーキの気配がまだ胃にあってもやもやするので、うちよりさらに坂を上がった先、普段行かない上高野あたりに点々とあるポータルをハックしがてら外に出る。晴れているけれど空気はきりっとしている。うちに近いポータルとリンクさせていくとけっこうおおきな三角が描けた。

戻ってきて玄関先のクリスマスの飾りを片付けて掃除。お昼の用意。冷蔵庫に今月最初に買って15日くらい賞味期限が切れている蒸し大豆があってどうしようかととりあえず開けみたら全然食べられそうだったのでフムスを作る。たしかイスラエルの料理で、ほんとうはひよこ豆で作るけれど、ひよこ豆の風味があまり好きでないのと大豆の方が口に合うので勝手に大豆で作るようになった。何年か前にダンサーの健大郎さんが作ってくれた。健大郎さんはドイツだったかどこかのダンサーから作り方を教わったそう。ペーストにした豆にレモン汁、にんにく、オリーブオイル、練り胡麻、塩、クミン等を加えたもの。私は勝手に醤油やきなこも入れている。パンにつけて食べるとおいしい。ちょうど昨日の残りのバゲットがある。

半分残ったトマト、レッドオニオン、きゅうり1本。これもまた昨日の残りであるヤムカイダーオのドレッシング、つまり、ナンプラーとレモン汁、にんにく、砂糖、チリ、パクチーの根を混ぜたものがあるので、残り野菜のすべてを粗微塵にしてそのドレッシングでマリネにする。ブラジルのヴィナグレッジみたいな感じ。ヴィナグレッジはトマト、玉ねぎピーマン等をワインビネガーでマリネした肉料理に合わせるソース的なもの。そんなふうにいろんな冷蔵庫の残り物を越境させていた。この前得意な料理は何かと聞かれて、何かあったかなと考えたけれど、得意というならこういう残ったもので作る思いつきの適当な料理だと思う。


2015/12/25

2015年12月25日 | Weblog
昨日で稽古納め。25日が過ぎたらあとは一気に大晦日という感じ、いつも。
久々に夜の時間家にいる。家の中の家にいる。つまりコタツに。

鶏の足でも焼こうと近隣スーパーを数件探したけれど、そういうクリスマスならではのものは24日に売り切るものなのか普通の手羽元とかもも肉しかなかった。半額になっていた丸ごとの鶏が一羽あったけれど、さすがにそれはどうしたらいいかわからない。
もも肉を買って根菜とオーブンで焼くことにする。
パクチーが目について、久々にヤムカイダーオを作ることにする。目玉焼き入りタイ風のサラダ。あと食べごろのアボカドを見つけた。
クリスマスだけケーキを作る。誕生日にしないのは暑い時期なのでクリームがだれるから。スポンジを焼くのも、クリームを泡立てるのも塗るのも寒い時期にやりたい作業だし、それでケーキを食べるタイミングのクリスマスだけケーキを作る。そのためのいちごも買う。この時期に合わせてハウス栽培された季節外れのいちごたち。生クリームは18センチだと2パックいる。スポンジは前日に焼き、ラムシロップも作ってある。

グランディールでバゲット。まだあたたかい。

空が重い。雪が降りそうな表情だけれど気温はまだそこまで低くない。時々時雨。

道中のハックとリンクは忘れずやりつつ。

ほしいものはあるかと聞かれて何も答えられない。そう聞いてくる方にはほしいものがあるのだろう。
12月は家の更新料、年明けから3月まで稽古と公演であまり働けないし、毎日大阪に通う交通費もばかにならないといった事情が先走る。経済的に厳しくなることは目に見えているので出費する気にならない。それにほしいものと言われて浮かぶのは自室と持ち運べる重量のノートパソコンだしそんなの言ったところでどうしようもない。
けれどささやかにでも時候を祝うことくらいしようと朝から買い物に馳走した。なんだか疲れている。18センチホールケーキを焼くのも今年で最後にする。そこまで甘いもの、いいかなと思うようになってきた。

2015/12/24

2015年12月24日 | Weblog
人口呼吸

あなたが酸素を必要とするときに
わたしはあなたの傍にはいない
どこかで蕎麦を啜ってる

あなたが恋に落ちるとき
わたしは財布を落としてなくす

わたしが美酒に酔いしれるとき
あなたは通勤電車に酔っている

あなたが断末魔の叫びを上げるとき
わたしはソプラノパートの練習してる

わたしがバラの花束をもらうとき
あなたは不渡手形をつかまされる

あなたが蜂の巣にされるとき
わたしははちみつ金柑のど飴を舐めている

わたしが自爆で飛び散るとき
あなたは自慰で射精する

あなたが母の乳を飲むとき
わたしは寝たきりの母の首を絞めにかかる

わたしが初めて呼吸をやめるとき
あなたは初めて空気を吸いこんだ

だからあなたたちとわたしたちは永遠に会えない
けれど会えない無数のへだたりに触れていることを知っている

2015/12/23

2015年12月23日 | Weblog
さかしまを倒錯させて一周のち訪れる
落ち着き払った人工的なしじまのなか
湿度を完全に失った数々
フリーズドライのオブジェクトたち
老化も腐敗もないものは
しょせん偽ものだと
片っ端から割って歩く粉骨砕身
粉々になって砂漠化を促進させ
世界は砂に覆われた
地図は意味を見失ない
息のあるものは
ただ砂地に足をめり込ませ
地表と砂の奥の温度差を知覚したりしてやり過ごした
たまに走るエリマキトカゲのようなものが
心の慰安
砂の尽きるところを夢みて
時折あり地獄に身を投げる者もあったが
落ちた先がどうなっているのかは
誰にもわからなかった
なす術なく点々と
やや斜めに立ち尽くしている
乾いた人々の背後に
LED太陽が鋭い影を引く
これ見よがしに青い空に
剥製の雲が配置されて

2015/12/22

2015年12月22日 | Weblog
今年も終わりつつある。

このところ。毎日稽古で大阪に通っている。道中イングレスと詩を作ることが日課になった。アカウントは10月頃に作ったけれど放置したまま、先週本腰を入れて初めてしまったら洒落にならないくらいやってしまう。昨日やっとレベル4になって攻撃することが有効になってきた。

始めた頃、うちの近辺は緑の瘴気に包まれる程エンライテンド優勢だったのに、先週、つまり私がイングレスをやり始めた最初の日曜に、おそらく休日を利用してその周囲一帯をひとりで真っ青に塗り替えにやってきたレジスタンスがいたらしい。
午前中に家を出、夜帰ってきて地図を開いたら風景が一変しているのにちょっと驚いた。それに照応するかのように冷たい雨が降っていた。

そうやって架空の地図上の有り様が現実の風景や気象に重なって見えてくる。昨日は最寄駅にやや霧が出ていて、それもエキゾチックマターが漂っているわと思っていた。このゲームはまずい。

携帯は電話というよりポータルのスキャナーと化し、ものすごく充電を消費する。
イングレスをはじめたのは、稽古中の作品の要素のひとつだったからで、だからこれは甲斐ある心身の創造なのだという言い訳がある。それで本番が終わったらやめることを決め、それまではクリエーションの一環と称して没入を許すことにした。制御しないと仮想現実で充実しきって時間を捧げて生きる質であることはもうわかっている。夏休みをFFに捧げた10代の感覚がよみがえる。

稽古場では苦手分野の拍に合わせてステップ、右、左、という動きをやっている。これはやれないと現実問題困るのでもう必死。

10時に稽古を終えて帰るとどうがんばっても12時半くらいになる。夕方稽古前に何かちゃんと食べないと夜も深まった変な時間に飢餓状態になる。おにぎりを持参し、稽古場近くのSEIYUでおかずを調達する作戦にしたが、結局いろいろ食べたくなるからおかずを単品で2つとか買うより、お弁当を1個買ってしまう方が安いことに気付く。

帰ってからお風呂に入って寝るのは2時くらいになるけれど、それはいつもと変わらない。
だったら普段晩御飯を食べてちょっと休んで片付けたりしてから、9時~2時頃の5時間ほどをもっと有効に使えるんじゃないかと思う。

2015/12/21

2015年12月21日 | Weblog
勝算のない勝星が
白であろうが
黒であろうが
支障はない
シロノワールの
陰陽の調和は
賞賛に値する
参照すべきは
熱くも冷たくもなく
そのどちらでもあって
ぬるくもない点
なまじ生暖かな恩寵
昼下がりの喫茶店チェーン
サンドイッチの三彩
アメリカンの薄まった黒
ソフトクリームの乳白色
ケチャップは
カゴメであれハインツであれ
血糊ではないのだから
こんな生暖かな暖房効いた
昼下がりの喫茶店では
せいぜいフライドポテトの先端が
鋭利であったくらいで
流血沙汰には至らない
塩気で補えるミネラルもあるし
芋だって野菜でしょ
指に残った油気を
傷んだ毛先に吸収させて
光沢を帯びた金髪

2015/12/20

2015年12月20日 | Weblog
陰影の具合を微妙に
調光できる術を身につけた根暗の
身を引いた露出の匙加減
暗礁に乗り上げたふりをして
桧舞台に上がる節操のなさ
身をもって身勝手に
勝手口から押し掛けてくる
顔に隈なく塗を泥って
それはおそらく化粧らしいが
手に余る手土産を牛車で引いてきた
そんな心尽しの蕩尽を
無碍にできず笑顔を見せたら最後
根暗はひげ根を足に食い込ませてきて
ひたすら隠語を耳もとで囁き
同じ仄暗さのなかに
引きずり込もうとするのだった