尾頭付きの虚言を包み込んで焼き固めた塩釜のなかから割って出てくるあからさまな褐色。それは嘘偽りであったとしても、その色彩の鮮やかさに於いて、その目の醒めること、目覚ましさに於いて嘘はなかった。カドミウムレッドは毒を吐き、鉱物系の色彩は混色を嫌うから必然的に孤独な太陽はひとりで燃える。明るみに出してはならない影の部分を焦がし、煙が狼煙となってあがる本末転倒を生き延びて東から西、東から西。いつでも導線を裏切ることの出来ない誠実さは時に裏目に出る。詰まらない、人ね。むしろ何かが燃えているにおいがするのは、この茶番の袖幕に火が付いたからに違いない。非常誘導灯は消灯して久しく、誰も避難経路を把握していない。端からそんなものありはしない。出口は仮にあると仮定された精神向けの通気口で、実際のところなかったとしてもあるとしておく方が衛生上よい。そうでなければ心身共に迷宮入りになる。迷宮の奥に生まれた時から幽閉されている化物の鳴き声を聞いてしまったなら、もうそれを忘れることはできない。例え行き着いた迷宮の奥の間で出くわすものが、化物らしく加工された猫の盛りの鳴き声の自動再生音源だったとしても。
尾頭付きの虚言を包み込んで焼き固めた塩釜のなかから割って出てくるあからさまな褐色。それは嘘偽りであったとしても、その色彩の鮮やかさに於いて、その目の醒めること、目覚ましさに於いて嘘はなかった。カドミウムレッドは毒を吐き、鉱物系の色彩は混色を嫌うから必然的に孤独な太陽はひとりで燃える。明るみに出してはならない影の部分を焦がし、煙が狼煙となってあがる本末転倒を生き延びて東から西、東から西。いつでも導線を裏切ることの出来ない誠実さは時に裏目に出る。詰まらない、人ね。むしろ何かが燃えているにおいがするのは、この茶番の袖幕に火が付いたからに違いない。非常誘導灯は消灯して久しく、誰も避難経路を把握していない。端からそんなものありはしない。出口は仮にあると仮定された精神向けの通気口で、実際のところなかったとしてもあるとしておく方が衛生上よい。そうでなければ心身共に迷宮入りになる。迷宮の奥に生まれた時から幽閉されている化物の鳴き声を聞いてしまったなら、もうそれを忘れることはできない。例え行き着いた迷宮の奥の間で出くわすものが、化物らしく加工された猫の盛りの鳴き声の自動再生音源だったとしても。