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流出雑記 

天使論のちの日

2012年02月20日 | Weblog

起きて横浜から持って帰って来た洗い物、洗濯機2回転。

2階ベランダの物干し。物干しの上の半透明のトタン、隣の家の屋根瓦が白い。陽が白に反射して外はまぶしく感じる。雪、雪というより重い水というほうがしっくりくるような水っほいかたまり。トタンの溝を伝い雫になって落ち、その下のトタンを叩く音がずっとしている。快晴。濡れた洗濯物に触る手たびにの温度が奪われる。指先が鈍くなって靴下をすぐ落とす。

身支度、午後から仕事で大阪。自転車で下り途中、1ヶ月以上延滞していた5冊の本を大学の図書館に返す。数日前電話まで掛かってきていたので、これはもう怒られると丁寧に謝って渡したら、窓口の女性はすべてご返却いただきました、ありがとうございましたとだけ、しばらく貸出禁止のペナルティ云々も言われず。礼をして出る。

出町柳に自転車を停めて京阪のホームに降りる。10枚分の値段で11枚付いてくる回数切符で改札を通り、特急淀屋橋行き。昼時で反対側の席の男性はパンを食べている。

先週横浜で公演した『天使論』という作品のなかに私のある一日の流れが出てくるが、公演が終わって日常復帰初日、今日の仕事は作品の中で扱われている一日とたまたま同じだった。1月から4月までの毎月曜2時~5時バレエの衣装固定ポーズ。

作品の中で抽出したこと以外は普段どんなだったかと観察している。

京橋で降りて3本並んだ長いエスカレーターで降りていく。だいたいいつも真ん中に乗る。JR環状線、icocaで改札を通り、構内のパン屋でプチくるみパン86円を買う。出町柳の柳月堂でくるみパンを買っておけばよかったと後悔している。ほんとうに食べたかったのはあれでこれじゃないというのははっきりしているがお腹がすいていた。長いエスカレーターでのぼり、天王寺行き人身事故で5分遅れ。電車を待ちながらパンかじっている。京橋から2駅森ノ宮で降りる。

歩いてアトリエへ、いつもサビ柄の猫がいるところを探したが今日はいない。去年死んだ小豆に似ているので森ノ宮のあーちゃんと呼んでいる。いつも舌がちょっと出ている。サビというのは黒と茶がごちゃっと混ざった柄で、これぞ雑種という雰囲気だが、このあーちゃんはスコティッシュフォールドの血が入っているのか耳が垂れている。野良らしさの中に血統書付きの名残がある。

アトリエの階段を上がる。今日はいつもより早いねと言われ、時計を見ると10分ほど早く着いていた。図書館に寄るために家を早めに出たからだ。

つい立で出来た更衣室で着替える。冬場は厚着で脱いだり着たりが煩わしい。白いタイツ、ピンクのチュチュは模様のないただただピンクなので、色味がほしいとその上から紫のひらひらしたキャミソールを着せられている。そんな妙な重ね着をしているので、本来体の線に沿うものがどうしてもだぶつき、着ている方としては見栄えがこれでいいのか、と思っている。描いている人たちはその紫を脱いだ状態で写真をとってそれを参考に形を修正したり各々画布の上に人物を仕立てている。1ミリも踊れないのにバレエの格好でそれらしいポーズをとっていると若干詐欺を働いている心地になり可笑しい。トウシューズを履いていると足の裏が疲労する。

20分6ポーズ、間に10分ずつの休憩。休憩中は本を読む。野口三千三「原初生命体としての人間」

1ポーズ目が終わった後描いている人のひとりが、違うポーズで写真を少し撮らせてほしいと言ってきた。そういうことを言われたときは応じることにしているし、大体の人は本当に参考程度に2、3枚なのだが、この人は数ポーズ、結構細かい注文をする。それなら別の仕事として頼んでほしい。休憩時間がなくなっていく。ちょっとなと思っていたが、帰り際に交通費にと1000円差し出され遠慮したが、結局いただいて帰った。

森ノ宮の駅前の証明写真機から中学生の男の子の制服の足下が出ている。受験シーズンていつ頃だったか。ブーツの縁の色が剥げているので帰りに茶色の靴クリームを買おうと思って寄った京橋の靴屋は改装中だった。

帰りの京阪、ダブルデッカーの2階に座り、携帯で窓からの夕焼けを撮った。いつもあまりしないことをしている。

出町柳に着いて、自転車、スーパーに寄る。冷蔵庫にはほぼ味噌しかない。鶏むね2枚入り。タイ産玉ねぎを初めて見た。キムチ、人参、ハム、ほうれん草、しめじ、卵、納豆など買って帰宅。鶏を切ってキムチ、味噌、にんにく等を揉み込みタジン鍋に玉ねぎを敷いて鶏をのせしめじを散らして蒸す。ほうれん草は茹で、みそ汁は油揚げとネギにした。