英の放電日記

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女流棋士考 その18「2024年4月 女流棋士独断ランキング」

2024-04-17 14:34:51 | 将棋
昨年(2023年4月)に「改・女流棋士独断ランキング」を考えた。
Aランク           B1ランク
 里見女流五冠         清水女流七段
 西山女流二冠         塚田女流初段
 加藤桃女流三段        中井女流六段
 伊藤女流四段         石本女流二段
 甲斐女流五段         室谷女流三段
 上田女流四段         中村真女流三段
 山根女流二段         千葉女流四段
 香川女流四段         野原女流初段
 渡部愛女流三段        山口恵女流二段
 鈴木女流三段         岩根女流三段
                加藤圭女流二段

 ここ1年で、福間女流五冠、西山女流三冠のツートップは揺るぎないが
・甲斐女流五段、引退
・大島女流二段、内山女流初段の台頭

など、動きが大きく、改定しなければならないと思っていた。
里見姓が福間姓に変化したのも、大きな動きだった。

 せっかくなので、少し深く考えてみたい。
まず、レーティング
 レーティングについては、過去にも使用させていただいた『将棋連盟 棋士別成績一覧』さんのデータを利用させていただくことにしました(前回「将棋情勢 2023年12月1日現在のレーティングランキング」の際、アポイントと承諾を試みたのですが、返答がありませんでした。「黙認」していただけたのかと、勝手に判断しています。ご容赦ください)

【女流棋士レーティング 2024年4月14日現在)】
1 福間香奈五冠   2011   22     16 山口恵梨子三段 1624  21
2 西山朋佳三冠   1999   28     17 加藤結李愛初段 1609  -8
3 加藤桃子四段   1890  -12     18 千葉涼子四段  1602   0   
4 伊藤沙恵四段   1838  -47     19 和田あき二段  1602  63
5 山根ことみ三段  1758  -39     20 今井絢初段   1599  90
6 上田初美四段   1729  -38     21 小髙佐季子初段 1597  45
7 鈴木環那三段   1720   -2      22 北村桂香二段  1592  20
8 大島綾華二段   1704  133     23 室谷由紀三段  1591  -17
9 野原未蘭初段   1701  104     24 清水市代七段  1588  -18
10 渡部愛三段   1699  -29     25 岩根忍三段   1587  34
11 石本さくら二段 1685   2     26 木村朱里初段  1586  -1
12 香川愛生四段  1676  -32     27 松下舞琳初段  1585  13
13 内山あや初段  1659   75     28 加藤圭二段   1582  -8
14 塚田恵梨花二段 1652   -4     29 中村真梨花四段 1580  -63
15 磯谷祐維初段  1648   44     30 中井広恵六段  1578  -62
(レーティング値の右の数字は、1年前からの増減)

 レーティングは直近の実力や成績をかなり正確に反映するが、
・若手は初期レートの低さに影響される
・ノーシード者は、勝ち星を稼ぎやすい
 上記の2点は、時の経過とともに解消されるが、上位棋士からの勝ち星が少なくても15位前後までは進出できる。
 なので、各棋戦で上位の成績を上げているかどうかも考慮する必要がある。

 これまで2回のランキングも、各棋戦での成績を考慮したが、けっこう大雑把だったような気がする。
 今回は、割と真面目に?調べたが、直近の白玲戦、名人リーグ、清麗戦、マイナビ(女王)、女流王座戦に限らせていただいた。女流王位戦、女流王将戦、倉敷藤花戦は省かせてください。手抜きです。ごめんなさい。

福間香奈女流五冠  
 レーティング2011(+22) 2023年度成績 34勝12敗 .7391
 白玲A級リーグ…5勝0敗(現時点)
 女流名人…奪取(リーグ戦7勝2敗)
 清麗…防衛
 マイナビ…ベスト8
 女流王座…防衛

西山朋佳女流三冠
 レーティング1999(+28) 2023年度成績 38勝13敗 .7450
 白玲…保持者
 女流名人戦…失冠
 清麗(進行中)…予選1位通過(ベスト4確定)
 マイナビ…女王保持者
 女流王座…挑決敗退

加藤桃子女流四段
 レーティング1890(-12) 2023年度成績 36勝16敗 .6923
 白玲A級リーグ…3勝2敗(現時点)
 女流名人…昨季リーグ戦4勝5敗陥落、今期予選勝ち上がりリーグ入り
 清麗(進行中)…ベスト7以上(予選通過決定戦進出)
 マイナビ…ベスト4
 女流王座…挑戦権獲得

伊藤沙恵女流四段
 レーティング1838(-47) 2023年度成績 30勝21敗 .5882
 白玲A級リーグ…4勝1敗(現時点)
 女流名人…昨季リーグ戦3勝6敗陥落、今期はリーグ入りの一戦で野原に敗退
 清麗(進行中)…ベスト7以上(予選通過決定戦進出)
 マイナビ…ベスト4
 女流王座…ベスト8

 福間、西山のツートップが抜きん出た存在。
 加藤桃、伊藤も昨期の名人リーグでは不覚を取ったが、他棋戦では挑戦権獲得など上位進出者に名を連ね、一段上の実力。


山根ことみ女流三段
 レーティング1758(-39) 2023年度成績 19勝17敗 .5277
 白玲A級リーグ…2勝3敗(現時点)
 女流名人…昨季リーグ戦5勝4敗(4位)でリーグ残留
 清麗(進行中)…ベスト7以上(予選通過決定戦進出) 
 マイナビ…ベスト32
 女流王座…一次予選敗退

上田女流四段
 レーティング1729(-38) 2023年度成績 19勝19敗 .5000
 白玲A級リーグ…2勝4敗(現時点)
 女流名人…昨季リーグ戦3勝6敗でリーグ陥落、今期は予選初戦敗退
 清麗(進行中)…予選本戦ベスト32、敗者戦は2勝後、伊藤に敗れる 
 マイナビ…ベスト8
 女流王座…ベスト4

鈴木環那女流三段
 レーティング1720(-2) 2023年度成績 21勝15敗 .5833
 白玲B級リーグ…4勝2敗(現時点)
 女流名人…昨季リーグ戦4勝5敗(6位)でリーグ残留
 清麗(進行中)…ベスト7以上(予選通過決定戦進出) 
 マイナビ…予選敗退
 女流王座…二次予選敗退

山根と上田は勝率は良くないが、ここまでは、この記述順でランク付けしていいように思う。


大島綾華女流二段
 レーティング1704(+133) 2023年度成績 32勝9敗 .7804
 白玲C級リーグ…1勝3敗(現時点)
 女流名人…予選勝ち上がりリーグ入り
 清麗(進行中)…予選本戦ベスト16、敗者戦は2勝後、鈴木に敗れる 
 マイナビ…挑戦権獲得
 女流王座…予選通過、本戦1回戦敗退

 マイナビでは福間、加藤桃を撃破し挑戦権獲得。これだけで、Aグループを確定しても良いが、白玲戦C級で1勝3敗はマイナス材料。
 白玲戦発足後に女流棋士になり、D級から参加なので、低いクラスに在籍しているのは仕方がないが、1勝3敗というのは不振と言って良い。
 そこで、もう少し吟味……女流王位戦ではライバルの内山を破ってリーグ入り、更にリーグ戦でも中井、伊藤、千葉、山根を連破。最終戦で西山に敗れ、4勝1敗となり、伊藤、西山と同成績の4勝1敗で並んだが、規定によりプレーオフなしで伊藤が紅組優勝(変な規定だ)。
 女流名人戦予選でも、室谷、岩根を破ってのリーグ入り。昨年度の成績も32勝9敗 .7804。やはり、Aグループ入りは異論が出ないであろう。


野原未蘭女流初段
 レーティング1701(+104) 2023年度成績 30勝12敗 .7142
 白玲B級リーグ…4勝2敗(現時点)
 女流名人…予選勝ち上がりリーグ入り
 清麗(進行中)…予選本戦ベスト32、敗者戦は3勝(渡部に勝利を含む)後、伊藤に敗れる 
 マイナビ…予選敗退
 女流王座…ベスト8

 女流棋士になった当初から、腕力(悪力?)はあったが、出来不出来の差が大きく星を取りこぼすことも多かった。2021年度は倉敷藤花戦の挑戦者決定戦まで進出したが、その年度成績は15勝14敗 .5172。翌2022年度も16勝12敗 .5714でややアップしたものの、物足りない成績であった。
 しかし、昨年度(2023年度)は30勝12敗と躍進。上位者相手にも、2023年4月~2024年4月14日の期間で、対加藤桃1勝1敗、対伊藤1勝1敗、対山根1勝0敗、対鈴木1勝1敗、対大島1勝0敗、対渡部1勝2敗、対香川1勝1敗、対石本0勝1敗、計7勝7敗と互角に戦っている。実績(タイトル挑戦など)はまだないが、Aクラスの力はあるのではないだろうか?これを書いている段階で、《Aクラスは10人》と考えており、《他の棋士と比較してどうなのか?》というところだ。
 いずれにしても、これから始まる名人戦リーグが彼女の試金石となる(初戦は4月22日、対大島戦)


渡部愛女流三段
 レーティング1699(-29) 2023年度成績 22勝18敗 .5500
 白玲A級リーグ…1勝5敗(現時点)
 女流名人…昨季リーグ戦5勝4敗(4位)でリーグ残留
 清麗(進行中)…予選本戦ベスト32、敗者戦は2勝後、野原に敗れる 
 マイナビ…予選敗退
 女流王座…ベスト4

 昨年度の成績は、 22勝18敗 .5500と物足りないが、その中身は濃い。
 2023年4月~2024年4月14日の期間で、対福間0勝2敗、対西山0勝1敗、対加藤桃1勝2敗(不戦勝1は除く)、対伊藤1勝1敗、対山根2勝1敗、対上田1勝1敗、対鈴木1勝1敗、対野原2勝1敗、対香川3勝1敗、対石本0勝2敗、対甲斐(引退)2勝0敗、計13勝13敗と互角。2トップ(福間、西山)戦を除くと13勝10敗(引退した甲斐戦を除外すると11勝10敗)、白玲戦では苦戦しているが、白玲A級、女流名人戦リーグに入っていることも合わせると、Aクラスであることに疑念の余地はない。


石本さくら女流二段
 レーティング1685(+2) 2023年度成績 17勝18敗 .4857
 白玲A級リーグ…4勝2敗(現時点)
 女流名人…昨季リーグ戦5勝4敗(3位)でリーグ残留
 清麗(進行中)…予選本戦ベスト8(西山に敗れる)、敗者戦はベスト7入り目前で磯谷に敗れる
 マイナビ…予選敗退
 女流王座…二次予選敗退

 昨年度の成績は17勝18敗の負け越しだが、白玲戦A級で現在4勝2敗、昨年度女流名人リーグで5勝4敗の3位で残留は軽視できない。
 2023年4月~2024年4月14日の期間で、対福間0勝2敗、対西山0勝1敗、対加藤桃2勝2敗、対伊藤1勝0敗、対山根0勝1敗、対上田0勝3敗、対鈴木1勝2敗、対野原1勝0敗、対渡部2勝0敗、対香川1勝0敗、対甲斐0勝1敗、計8勝12敗……苦戦していると言って良いだろう。ただし、対ツートップと対甲斐戦を除くと8勝8敗と互角の成績。対加藤桃、伊藤戦に限ると3勝2敗と健闘しており、対上田戦の3戦全敗が響いているとも考えられる。
 白玲、女流名人リーグも考慮すると……う~ん、《Aクラス・ボーダーライン》ということで保留。


香川愛生女流四段
 レーティング1676(-32) 2023年度成績 20勝24敗 .4545
 白玲B級リーグ…4勝2敗(現時点)
 女流名人…昨季リーグ戦2勝7敗でリーグ陥落
 清麗(進行中)…予選本戦初戦敗退(磯谷に敗れる)、敗者戦は1勝後、敗れる
 マイナビ…本戦1回戦敗退
 女流王座…二次予選敗退(渡部に敗れる)

 パッとしない……
 女流王位戦には予選決勝で鈴木を破って挑戦リーグ入りしたものの、1勝4敗で陥落。
 女流王将戦は挑戦権を獲得したが、0勝2敗で西山女流王将に敗れた。挑戦トーナメントでは、福間は準々決勝で小高初段に敗れ、加藤桃と伊藤が準々決勝でつぶし合い、それに勝った加藤桃も準決勝で渡部に敗れるという展開。香川の挑戦権獲得は評価できるが、決勝までに破った相手が木村1級、中井六段、小高初段と微妙(ごめんなさい)。
 昨年度の倉敷藤花でも初戦敗退(今井1級に敗れる)。
 2023年4月~2024年4月14日の期間での上位棋士との対戦は、対福間0勝1敗、対西山0勝3敗、対加藤桃0勝2敗、対伊藤1勝1敗、対山根0勝1敗、対上田0勝1敗、対鈴木2勝1敗、対野原1勝1敗、対渡部1勝3敗、対石本0勝1敗、計5勝15敗(四強との対戦を除いても4勝8敗)……本人が一番痛感していると思うが、残念というしかない。
 Aクラス(←私の独断クラス)陥落もやむを得ない。


 ……ここまでがAクラス候補だが、内山女流初段についても考慮する必要がありそうだ。
内山あや女流初段
 レーティング1659(+75) 2023年度成績 25勝14敗 .6410
 白玲C級リーグ…3勝2敗(現時点)
 女流名人…7勝2敗で福間とのプレーオフで挑戦権を争う
 清麗(進行中)…予選本戦初戦敗退(岩根に敗れる)、敗者戦は2勝後、敗れる
 マイナビ…予選敗退(上田に敗れる)
 女流王座…一次予選敗退(香川に敗れる)

 女流名人リーグで福間、伊藤、上田、鈴木、香川、渡部、石本に勝利したのは強烈な印象。
 白玲戦は第2期からの参戦なので、まだC級。やや伸び悩んでいる印象があり、今期も現在9番手で、昇級は少し難しそうだ。ただ、上位にいる清水(4勝1敗・現4位)、本田戦(4勝1敗・現3位)、田中(3勝2敗・現8位)を残しており、現在1位の千葉は小高(4勝1敗・現2位)、山口恵(3勝2敗・現7位)、加藤結(2勝2敗・5戦目に勝つと7位浮上)戦を残している。さらに、現2位の小高も千葉、清水、大島戦を残している。かなり、上位陣の星のつぶし合いが見込まれ、予断を許さない。
 他の棋戦では……女流王位戦はリーグ入りの一戦で大島に敗れている。
 女流王将戦は昨期は予選初戦敗退だったが、今期は本戦入りを果たしている(本戦はこれから)
 昨期倉敷藤花は準々決勝に進出したが、そこで西山に敗れている。(今期はこれから)
 2023年4月~2024年4月14日の期間での上位棋士との対戦は、対福間1勝1敗、対西山0勝1敗、対加藤桃0勝1敗、対伊藤1勝0敗、対山根0勝2敗、対上田1勝1敗、対鈴木1勝0敗、対渡部1勝0敗、対大島1勝1敗、対石本1勝0敗、対香川1勝1敗、計8勝8敗と互角に戦っている。

 上述した野原、渡部、石本、香川の項の段階では、内山女流二段が比較対象にはなっておらず、内山女流との対戦成績を記載しませんでした。
 本来なら、上記の項でも対内山戦の成績を加えるべきですが、省略させてください。「内山女流初段」の項で、各女流棋士との成績を記しているので、それをご参照ください。


 ここまで、レーティング上位13棋士について分析したが……
1位福間女流五冠、2位西山女流三冠、3位加藤桃女流四段、4位伊藤女流四段、5位山根女流三段、6位上田女流四段、7位鈴木女流三段、8位大島女流二段、9位渡部女流三段まではあまり悩まず決まった。大島、渡部の順位は少し悩んだが、大島のマイナビ女王挑戦、女流王位リーグ4勝1敗、女流名人リーグ入りを重視した。
 残る1枠……野原女流初段、石本女流二段、内山女流初段の比較で悩む……
 内山の女流名人リーグでの活躍、野原の強さの最大値の大きさ、石本の白玲、女流名人戦での着実な実績……甲乙つけ難い。
 無理に順位をつけるなら、10位内山女流初段、11位石本女流二段、12位野原女流初段の順か……と言っても、微差……無理にクラスを分けなくても………というわけで、12位までAクラス!


 13位以下のB1クラスのランキングは以下の通り。
13位…香川愛生女流四段、14位…磯谷祐維女流初段、15位…塚田恵梨花女流二段、16位…加藤結季愛女流初段、17位…千葉涼子四段、18位…山口恵梨子女流三段、19位…小高佐季子女流初段、20位…北村桂香女流二段、21位…今井絢女流初段、22位…和田あき女流二段。
この辺りまでがB1クラスだろうか……

 清水女流七段、中井女流六段、室谷女流三段、中村真女流四段、岩根女流三段、加藤圭女流二段は残念ながらランク落ち。ただし、岩根女流三段は復活の気配を感じる。
 松下舞琳女流初段は昨年度後半に調子を崩したのが残念。

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