英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『絶対零度~未解決事件特命捜査~』第6話

2010-05-20 20:46:58 | ドラマ・映画
 今回のポイント
①≪主題≫事件に関わった者のそれぞれの痛み
見るべきポイントは
②学校の飼育小屋に行ったはずのユキが、なぜ千山こども交流会殺傷事件の現場にいたのか
③沢井春菜(福田麻由子)の「(千山事件の)犯人はまだ捕まっていない」という言葉の意味
④千山事件と学校飼育動物連続殺傷事件の関連は?
⑤真犯人は誰か?(刑事ドラマとしては当たり前ですね)

そして、全体に横たわる裏のテーマ
引き延ばし感・間延び感・じれったさ


①事件に関わった者のそれぞれの痛み
 まず、千山事件での遺族の悲しみ(痛み)ですが、ユキの母親の悲しみと事件現場に娘が行ったことへの疑問と千山事件で春菜が受けた心の傷の深さが主に取り上げられているだけで、その他の遺族や関係者(交流会の世話役)についてはほとんど触れられなかった。
 塚本刑事は千山事件に携わっていたが、当時の関係者の悲しみは知っていたが、彼自身は痛みを感じるほどのものではなかったように思う(事件が発生し、すぐ犯人が取り押さえられた)。
 飼育動物殺傷事件の関係者の悲しみ(痛み)ですが、可愛がっていた動物が殺された悲しみや、飼育当番に遅刻しなければ動物が殺されることはなかったという自責の涙が痛々しかった。
 捜査刑事の痛みとしては、桜木の元上司で退官間際の村山刑事(モロ師岡)が、きちんと捜査できなかった後悔の念が描かれて?いた。

 と、主題として「事件にかかわったものの痛み」と挙げたわけですが、これは、どんな事件についてもいえるわけで、「今さら」という感がした。
 長島室長(北大路欣也)に言わせ、2週間引っ張った割には、「根こそぎ」
拾い切れていない気がした。まあ、事件の関係者の悲しみや痛みを真正面から受け止めると、重くなりすぎる可能性が大。

②学校の飼育小屋に行ったはずのユキが、なぜ千山こども交流会殺傷事件の現場にいたのか
 そう、これこそ、この事件のキモ。当日、ユキは飼育当番で学校に行く予定だったということが判明してから、ずっと謎だった。そして、その理由を仲の良かった春菜は知っているはず。というより、その原因は春菜にあることは、ほぼ間違いない。
 しかし、春菜は「千山事件の犯人は捕まっていない」と言うだけで、語ろうとはしない。また、桜木も事情聴取の際、そのことを追究しない。まあ、動物殺傷事件の事情聴取だから、それは聞けなかったかもしれないが、取調室とは別の場所で聞く機会はたくさんあったはず。
 じれったい。答えないだろうが、さっさと聞いてくれぇ!

 真相は…………………春菜のラブレターを、想い人のバッグに本人に代わってユキが忍ばせるため!?
 いままで、そんな彼の存在って出てきたの?
 仲良し二人の髪飾りの回想シーンはしつこく出てきたけれど、誰なんだよ、そいつは。
 春菜とユキの友情に直接関係することだと思ったぞ。髪飾りなどのプレゼントか何かの。

③沢井春菜(福田麻由子)の「(千山事件の)犯人はまだ捕まっていない」という言葉の意味
 まあ、これは「ユキが死んだのは春菜のせい。ユキが事件当日事件現場にいたのは春菜に原因がある」ということは、視聴者なら容易に想像できる。
 もしかしたら、犯人は複数いて、捕まっていないもう一人が、動物を殺傷している可能性もある。私は、そちらの方に期待したが。

 春菜の言葉は、「早く真相を暴いてほしい」という心の叫びだと解釈できるが、それなら、まず、ユキの母親に告白するべきだろう。

④千山事件と学校飼育動物連続殺傷事件の関連は?
 春菜が深くかかわっていたが、その他は、真犯人の犯行動機と最初の動物殺傷事件が関連しているだけだった。
 どうせなら…⑤につづく

⑤真犯人は誰か?
 真犯人としては、どうせなら、ユキの母親の方がつながりが強く、納得できる。
 なぜ、ユキがあの事件の現場にいたのか、警察に調べ直してほしかった。あるいは、ユキが死んだ原因は春菜にあると知って、あるいは疑って、春菜を悲しませるため、窮地に陥れるため、春菜の飼育当番の日に事件を起こした。
 これだと、その後の動物殺傷事件は不合理になりますが、精神に異常をきたしたと理由づけできないこともない。

 真犯人は飼育動物委員会の男。そして、その動機が

「きみ(春菜)が亡くなった友だちを思い出して泣いているのを見て
うさぎが死ねばもっと泣いている姿が見れると思った。
その姿を見るのが面白いから」

 最低。

 もともと、殺人はしてはならないことで、正当な理由はないが、千山事件といい、こいつといい最低最悪。

その他の今週の突っ込み
・村山刑事は、桜木にハッパをかけるだけ。もう少し、捜査に絡ませてほしかった。存在意義、薄し!

・塚本刑事も、千山事件に関わっていただけで、被害者を痛む気持ちはあったが、心に特別引っかかっていたことや後悔はなく、千山事件は動物殺傷事件に深入りするきっかけのエピソードに過ぎなかった

・それに対して、深沢刑事(丸山智己)の、赤い髪飾りの少女の目撃証言に関する推理の方が、光っていた

・毎回、科捜研の方が事件解決に貢献している

・わざとらしい徹夜など、桜木には無駄な行為が多い


 とにかく、回想や同じようなシーンが多く、<b>間延び感が強かった。
 その、じれったさに加え、前回のひどい女に続き、最低の犯人と、視聴後の気分は最悪だった。
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名人戦第3局雑感 その7(変化2図が抜けていました)

2010-05-18 00:31:02 | 将棋

 第17図以下、▲7三桂△7一玉▲6五馬と進むが、1枚の桂を外すに留まっては、先手の負け筋のようだ。
 ▲6五馬に△6九銀(第18図)が鮮烈!

▲同玉は△4九飛▲5九合駒△6八銀▲同金△7九飛以下詰みなので、▲5七玉と逃げるが△5六銀と打たれ▲同馬と馬を呼び込まされ△5八飛▲4六玉△5六飛成と馬を取られては勝敗は決したかに見えた。4四の桂が残っているのが大きかった。
 以下▲3五玉△5五龍に▲4五金と金を合駒するのは△同龍▲同玉△2三角▲3四金△5五飛▲4四玉△3五銀▲同金△5四飛▲3三玉△3二金(変化2図)で詰将棋みたいに詰む。

 なので▲4五桂と桂を合駒。控室の検討では、これには△7八とが詰めろで後手の勝ちという結論が出ていた。次に変化2図までと同様の手順(△4五龍▲同玉△2三角▲3四金△5五飛▲4四玉△3五銀▲同金△5四飛▲4三玉△3二金)で詰む。

 ところが、羽生名人は△3三銀。これももちろん詰めろ。こちらの方が自然で分かりやすい。この手に三浦八段は59秒まで考えて投了。
 これは勝ちがないと読んでの投了ではなく、ぎりぎりまで指し手を考えていて、指し手を決め切れず、着手が間に合わず投了を告げたような感じだった。


 実際、投了図では▲8一金と打てばまだまだ難しかったようだ。
「以下△7二玉▲8二金打に(1)△6二玉は▲6一桂成△同玉▲7一金寄△5一玉▲7三角が王手龍取り。(2)△7三玉は▲5一角(王手銀取り)△7四玉▲3三角成△7八銀不成▲6六銀△同龍▲同歩△7五玉で、羽生の方が少し良さそうだが、相入玉の可能性があり、勝負はまだまだ続いていた」
 とのこと。

 羽生名人は「勝ちだと思ったのは最後の最後。銀を打ったところです」という感想を述べていたが、もし、三浦八段に上記のように指されていたら、危なかったかもしれない。
 一方、三浦八段は最後の最後まで「なにかあるはず」と読み続けていた。

 この一局に関しては、羽生名人が時々露呈する終盤のぐらつきが見られた。ここ数年、優勢な将棋を2日目の夕方に変調になり、形勢不明になり、夕食休憩後持ち直すが、再びよろけるパターン。
 この将棋でも2日目の午後4時にBS中継が始まったころは、「羽生優勢で勝利が固い」という評判だった。この将棋の場合は足取りが乱れたのは、少し遅くて夕食休憩後の△6三角辺りで、その後はなんとなくあっさりした手順になった。三浦八段の▲5七銀~▲4五角成までの好手順もあり、形勢は急接近。ここでガタガタッと崩れず△2七歩や△65桂打などギリギリで踏ん張り勝ち切った…かに思えたが、3三への合い駒の選択を誤り、逆転。
 三浦八段もチャンスをつかみ切れず、再び勝勢になったものの、最後も最善手を逃がす。

 最後に勝利をつかんだのは強さではあるが、最後の最後の両者の気持ちの差は、少し、ほんの少し気になる。
 ただ、この将棋、控室の研究では三枚換えになってからはずっと「羽生良し」という評判だったが、羽生名人本人は駒損で大変という感覚だった。「局勢が悪い時間が長いほうが勝ちにくい」という法則が正しいのなら、羽生名人の感覚としては勝ちにくい将棋だったということなのかもしれない。
 羽生ファンとしては、この難解な終盤のぎりぎりの局面を観ることができ、羽生名人の強さも観ることができたし、終盤ぐらついたものの、勝利できたのは大きい。

 最後に、「投了図では▲8一金と打てばまだまだ難しかった」では悔しいので、少し調べてみた。
 「△7二玉▲8二金打に(1)△6二玉は▲6一桂成△同玉▲7一金寄△5一玉▲7三角(参考1図)が王手龍取り」と記されているが、この局面、実際どうなのだろうか。

 この王手龍取り、実際は香車の紐がついていて、純粋な王手龍取りではない(香車で取り返せば飛角交換に過ぎない)。
 さて、参考1図以下、△4二玉▲5五角成で参考2図。

 図では、3三の銀や4四の桂が先手玉を包囲していて、△2四角や△4三桂や△3四飛など有効な手が多い。それに、5二の香も5五の馬取りになっている。先手の7一と8二の2枚の金も相当な無駄使いだ。
 一見、どう指しても後手が勝ちそうに思える。ところが、実際調べてみると、これが難しい。先手から▲3三桂成と銀を取られる手が想像以上に厳しい。1一のと金も微妙に利いている(▲2二銀捨てから▲2一飛の筋がある)。
 いろいろ調べるが、なかなか後手勝ちにならない。

 と、もたもたしている間に18日になってしまいました。いよいよ、第4局です。
 気力も棋力も尽きて、期限も切れてしまったようです。スッキリ決めたかったのですが、これにて『第3局雑感』終了ということで、お許しください。

 渡辺竜王、しつこいトラックバックを了承してくださり、ありがとうございました。
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『チェイス~国税査察官』

2010-05-17 16:57:42 | ドラマ・映画
 今クール、ベストドラマと思っていた『チェイス~国税査察官』。
 第1話では「まあ、おもしろいかなあ」ぐらいの感想でした。

 相変わらず木村多江さんは不幸な役どころだなあ。

 第2話は、プロ野球中継が延長されたため、前半20分しか見ることができませんでした。ほとんど勝負がついていたのに延長ですよ。そんなわけで、普通ならそこで観るのをやめようと思ったのですが、念のため見てみた第3話で、評価が激変しました。
 特に印象に残ったのが、裏の主人公村雲(ARATA演じる「カリブ海の手品師」の異名を持つ脱税のコンサルタント)と資産6000億円の流通業界のドンの檜山正道(中村嘉葎雄)との会話。

 正道「僕の資産はお国に差し上げます。ドブに捨てるんや思て、税金払いますわ」
 村雲「払わずにすむ方法があるとしてでもですか」
 正道「うまい方法があるんか」
 村雲「例えば、例えば海外に退避させます。ご協力いただければ、いくつかの租税回避スキームを組み合わせることで」
 後の言葉を濁し、正道を見つめその反応を見極めようとする。

 しばらくまじまじと村雲の顔を観ておもむろに
 正道「あんさん、お金好きですか?」
と村雲に問いかける。
 無言の村雲に
 正道「ほなぁ、こう聞きましょうか。お金は綺麗なもんでっか?汚いもんでっか?」
 村雲「触ると手が汚れるものだと思います」
 正道「そやぁ、お金が入って汚れはる人もおるし、手を汚してお金入る人もいたはる」
 (即座に)村雲「息子さんの手は汚しません。私が汚します」
その答えに、感心したような馬鹿にしたような表情で
 正道「ほおぅ、おもろいコト言いはるなぁ、村雲はん……あぁ、それは蛇の道や。人にあらずの蛇が通る道や。何を好んで、そないな道を通らはる?」
正道を刺すな視線で見つめ、
 村雲「はじめから、この道しかありませんでした」
視線を落とし
 正道「怖い人やなぁ」
と呟く。


 いやあ、見ごたえのあるシーンでした。
 (実はこの二人にはもっと深い因縁があって、第4話、第5話で明らかになります)

 とにかく、この会話で私は一気に引き込まれました。

 第2話は後半見ていないので、なんとも言えませんが、第3話、第4話、第5話と、主人公の査察官・春馬(江口洋介)、その娘(水野絵梨奈)、村雲、桧山親子、村雲の彼女?(麻生久美子)、春馬の上司(益岡徹)などの人生が絡みあっていきます。


 会話と言えば、第5話の春馬親子。

【それまでの背景】~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 仕事に追われ、家庭を顧みない、いえ、顧みるが家庭まで手が回らない春馬。そんな状況に、娘は父に「さびしい思いをしている母(木村多江)に優しくしてあげて」と訴える。
 その思いに応えようと、春馬は夫婦で海外旅行を計画する。ところが、突発的な事態が発生し、春馬は行けず、妻だけが出発する。
 妻が乗った旅客機が墜落、帰らぬ人となってしまう。娘は父を憎しみを抱くようになる。
 その後、村雲が春馬親子に接近し、春馬からは査察の情報を得るのと同時に春馬の生き方を破壊しようとし、娘にはマネーゲームに誘い込む。娘は高校を退学し、母の保険金に手を出し、株式に投入。一瞬で大金を儲ける魅力に取り込まれ、家を出て行く。
 そんな中、偶然か故意か、村雨の檜山相続税脱税スキームに巻き込まれ、一夜にして3000万の損を被ってしまう。
 春馬は、悲しみ・後悔に打ちひしがれる娘を旅に連れ出す。

(視聴できなかった第2話の後半で、父娘の関係がこじれていくさまが描かれていたと思います)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
 旅の宿で床に付いた春馬と娘。

 春馬「お前と話したいことがあるんだ………また今度にしよ」
 娘 「私もあるよ。父さんと話したいことが……多分、お父さんと同じな気がする」
 春馬「お母さんの話か」
 娘 「うん。……お父さんと、お母さんの話がしたい」
 春馬「そうだな。お父さんも鈴子と、お母さんの話がしたい」
 娘 「お母さん、飛行機落ちる時、何考えてたかなぁ……怖かったかなぁ。淋しかったかなぁ。…………家に帰りたかったかなぁ……。あれ以来、毎日ずっとそのことばかり…そのことばかり…………」
 涙にくれる娘。
 春馬がゆっくり手を伸ばし、娘の手を握ると、娘も両手で握り返す。


 翌日、観光地で

 春馬「たぶん、たぶん、お母さん。飛行機の中でこう思ってたんだと思う。鈴子が一緒でなくてよかったって」
 娘 「お父さんが一緒じゃなくってよかった」
 春馬「たぶんな」


 個人的には、木村多江さんの優しい顔が浮かび、「ああ、きっとそういうだろうな」としみじみしました。仲直りできてよかったです。


 しかし、話全体を通して見ると、母の不遇な死に娘が心を失い父を憎むのは分かりますが、父への心の修復が、マネーゲームの失敗だけというのが、短絡的過ぎます。
 父の母へのやさしさや思いを知るエピソード(父が涙を流すシーンを偶然見てしまうとか、生前の母の日記を見て、母は幸せだったと知るなど)が欲しかったです。
 そうでないと、この娘、単なる自己中心女としか見えません。

 春馬父娘に限らず、第5話はなんとなくご都合主義や独りよがりな展開が多かったです。
 次回はいよいよ終結するのですが、第5話の脚本のよろめき具合を考えると、ちゃんと収束するか、少し不安になってきました。
 それとも、さらにもう一段深い真相が明かされるのかもしれません。
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名人戦第3局雑感 その6

2010-05-16 19:31:21 | 将棋
 まず、前記事の復習から

 この14図よりBSの速報生中継が始まり、▲5三歩成△同玉▲6五銀△同桂▲5四銀△同飛▲同馬△同玉と進んだところで放送時間が終了。
 たった10分間だったが、勝負のもっとも濃密な10分間だった。(詳しくはその5をご参照ください)

 その後、▲5五歩△5三玉▲5四飛△4二玉と進む。
 ▲5五歩に△同玉や△6四玉は詰む。また▲5四飛に4二ではなく6二に逃げると▲9五角以下詰んでしまう(5四の飛車筋が左翼に通っているので)。

 △4二玉に▲1五角(第15図)。


 これに対し△3三銀と銀を合駒すれば詰まない。
「△3三香などは▲3四桂△3二玉▲2二金△4一玉▲3一金で詰む。2二に利かすために△3三銀が正解となる」(中継サイト解説)
 △3三銀以下、▲3四桂△3二玉▲2二金に△同銀と取れ、▲同桂成△同玉▲3三銀△2三玉▲2四銀成△3二玉▲3三成銀△4一玉できわどく詰まない。
 そして、この△3三銀の局面で、もし4四の桂がなかったら飛車筋が通っているため、▲3三角成△同玉▲2四銀以下詰んでしまう。

 ともかく第15図の▲1五角に△3三銀で羽生名人の勝ちになりそうとネット中継を見ていると△3三角。
 「えっ!」(たぶん、声を発した)
 銀ではなく角?……確かに2二に利いている。頭の丸い角の方が渡したとき安全なのかな?…
 でも角はやはり強力だから…


 羽生名人は△3三銀合は詰みだと錯覚していた。最後の△4一玉が見えなかったらしい。
 負けを覚悟して△3三角と打ったとのこと。


 確かに銀合の変化のように進めば問題はない。しかし、△3三角に▲5一飛成△同玉▲3三角成とされたとき、盤上の3三の馬プラス角金金桂歩の豊富な持ち駒。危険だ。
 実際、▲3三角成まで進み、この手に△4二香だと▲同馬△同玉▲5四桂△3三玉▲4二角で詰む。やはり角を渡したのは大きい。また▲3三角成に△6二玉も詰んでしまう。
 よって△6一玉と逃げる(第16図)。



(この辺りの変化は中継サイトの受け売りなので、変化を詳細に書くのは気が引けるので簡単に)
 ……第16図、後手玉に詰みはない。

 ここで▲8三角△7二歩▲4三馬△5二香▲7三桂△6二玉▲4四馬以下手順に後手の拠り所である2枚の桂を排除しながら迫れるので先手の勝ちだそうです。
 最初の▲8三角に△7二銀は▲6二金!△同玉▲5四桂△7三玉以下詰む。本譜は▲4三馬△5二香(第17図)を入れたため、

▲8三角に△7二銀▲6二金△同玉と同様に進めると▲5四桂に△同香と取られてしまうそうです。
 しかし、△7二銀に▲7三桂△7一玉▲8一金△6二玉▲4四馬△5三銀▲5四桂△5一玉▲6一桂成△4一玉▲6五角成と、2枚の桂を外しておけば先手勝ちだそうです。

 と、これを読むと三浦八段が勝ちを逃がしていると感じるはずだ。実際そうだが、2日間頭脳をフル稼働し続けた上、1分将棋。しかも、勝ちがチラつき、詰みもありそう。
 上記の変化にしても「!」をつけた▲6二金などなかなか見えないし、▲4三馬や▲8三角の順番、また▲7三桂も見える。

 そういった状況で三浦八段が袋小路に入ってしまったのは仕方がないことなのだろう。
 ただ、渡辺竜王や深浦王位が同じ状況下で第16図を迎えたとしたら、チャンスを逃がさなかったのではないか、詰みよりも勝ち(2枚の桂を外す)を優先させたのではないだろうか。三浦八段は純粋すぎたのだ。
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名人戦第3局雑感 その5

2010-05-15 23:18:14 | 将棋

 馬を4五の急所に引き付けた第13図では、逆転の気配が漂っている。

 ただ、▲4五馬は詰めろではないので、△7八とと詰めろ(△5九飛▲同玉△5七香▲5八合駒△6八金以下)も考えられるが、一旦、▲6三銀を決め△4二玉に▲5七玉と手を戻されると先手良し。▲6三銀で▲6三角だと△4二玉▲5七玉に△6四飛で△6八角を含みに角を質駒にされると難しい。
 まあ、6三に駒を打たせるのは損なので受けるのが普通。羽生名人は△6三歩。△6三香(△6二香)と攻防に利かせたいところだが、じっと歩で受ける。受け一方の手に見えるが、△5九飛~△5七香の詰み筋を残している。
 三浦八段の▲5四銀と打ち込み、△同銀▲同歩と迫る。後手玉頭に歩が迫った。後手も手駒に銀が1枚増えたので先手玉の危険度も増した。お互い何かの拍子(手駒が増えたり、大駒の危機が変わったり)で、詰んでしまいそう。

 ここでの△6五桂打(第14図)が、度胸の良い手。

この手は銀で取られ(銀桂交換)、先手の手駒を増やす余地を与える手なので、後手玉の安全を考えるのなら、△5六桂と銀を取りながら先手玉に△5九飛以下の詰めろをかけたくなる。しかし、▲5七玉とされると先手玉が寄りにくくなってしまう。
 玉を5七に逃がさない△6五桂打しか後手に勝ちはない。問題は後手玉に詰みがあるかどうか。『囲碁将棋ジャーナル』解説の佐藤九段は、その時の第一感は「詰みあり」。

 ちょうどこの△6五桂打の後、BS中継が始まった。
 双方残り5分で、三浦八段は盤上を食い入るように見つめている。そして首をひねりながら▲5三歩成。△同玉に手が止まり、目玉が盤面に突き刺さるかのように凝視している。
 解説の渡辺竜王は
「単に▲5四銀では詰みがなさそう。一度▲6五銀と持ち駒に桂を加えて詰みがあるかどうか。ただ、▲6五桂に△同桂の一手ではなく、ここで△5七歩と打たれたら…(▲同玉なら△6五桂と王手で銀をはずせる)…▲4八玉ぅぅ…っぅ…ん~いやちょっとこれは分からなぃ…」

 残り2分まで考えて、三浦八段は▲6五銀。
「△5七歩と叩くと、たぶん▲4八玉ぅぅ…………………ええと………▲4八ぎょくぅ………△5八飛▲4九玉なんですけれども…いゃこの▲6五銀を素直に△同桂と取った時、まずぅ…本当に詰むのかという問題があるのですが、相当危ないと思うんですよね、今度▲5四銀から入っていって」

「△5七歩に代えて△5七香だと▲同玉の一手になるが、△6五桂に▲4六玉と上に行って、△5四銀と守った手に対して、先手の持ち駒に香が増えているので、▲5五香とその香車を使われてしまうんですよね。香車がなければ後手は有望かなという局面なんですが……」

 1分50秒考えて△6五同桂(消費時間としては1分、残り4分)。
「さあちょっと指が震えました後手の羽生名人」とアナウンサー。実際はほんのわずか震えたか震えないかという感じ。
「いや~でも、今、羽生名人の手つき力強かったですからね」(渡辺竜王)

 私にも不詰め(勝ち)を確信した手つきに見えた。はたして、不詰めなのか、羽生名人は不詰めと読み切っていたのか、先手玉を5七に逃がしては勝ちはないと判断しての着手だったのか?
 羽生マニアとしては、羽生名人はこういう最終盤のぎりぎりの局面では、「こうしないと勝ちはない」というような信念的着手はしない。不詰めと読み切っているのではないだろうかと観測。この観測は半分当たっていた……

 三浦八段、▲5四銀。
「△同飛▲同馬△同玉で、そこで飛角金桂ですか…」(渡辺竜王)
「三浦八段の今の▲5四銀、結構早かったですね、決断が」(鈴木女流)
「そうですね、しょうがないんで。……いやぁ分かんないです。詰みそうなような気もするんですが、これだけ持っていると」(渡辺竜王)

 『詰みそうなような気もするんですが』……この言葉に局面の難解さが表れている。

 羽生名人、△5四同玉と指したところで、放送時間があと40秒。う~ん、本当にいいところなのに……。
 惜しくもいいところで切れてしまったが、一番いいところが放送されたと思う。
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谷亮子、参議院選挙出馬表明と過去の五輪代表選考 考

2010-05-13 17:05:52 | スポーツ
 5月10日(月)柔道女子のオリンピック金メダリストの谷亮子さん(34)が、夏の参院選比例代表の民主党公認候補として出馬することを表明しました。

 スポーツ選手や人気タレントを候補者に擁立するのは、自民党の常套手段ですが、民主党も同じ穴の狢(むじな)でした。
 すべてがそうだとは言えませんが、その競技の頂点に立つことに人生のほとんどを注いできたスポーツ選手が政治活動が出来るとは思えません。そんな彼らに日本の政治を任せて大丈夫なのでしょうか。
 谷亮子氏はその上ロンドン五輪を目指すと公言しています。舐めているとしか思えません。毎回、選挙結果が出るたび、がっかりし続けています。(「郵政民営化」にだけ焦点が当てられた小泉自民党の圧勝、政権交代・八方美人マニフェストの民主党の勝ち過ぎなど)
 今夏の谷亮子氏の選挙結果は日本国民のレベルが問われていると言っても良いのではないでしょうか。

 と言っても、比例区なので当選するんでしょうね。比例区は党の名前でも個人名でもOKで、「谷亮子」と書けば民主党に票が入ることになります。同じ党内では個人名の得票数が多いほど、同党内での当選優先順位が上になります。
 谷亮子氏は日本柔道連盟が後押しするでしょうし、彼女の知名度や人気はトップクラスなので、当選は固いと思います。谷亮子氏の政治家としての資質に疑問を持っても、氏が当選すれば柔道甲斐にとってはプラスになるという思考が働きそうです。(たぶん、氏もそのように説得されたのでしょう)


 と、それはともかく、以前から私の谷亮子氏に関するイメージは良くないです。
 というのは、過去2回、疑問の代表(世界選手権、五輪)から来ています。

===【ウィキペディア 「谷亮子」の項より引用】=======

2007年の選抜体重別で復帰を果たしたが、決勝の福見友子戦で日本人選手相手の試合では1992年の体重別決勝での長井淳子戦以来の有効ポイントを取られて敗れるが、過去の実績が考慮されて世界選手権代表に選ばれる。その後、同年9月のブラジル、リオデジャネイロ世界選手権に出場し、7回目の優勝を果たした(男女通じて世界最多記録)。

2008年には北京オリンピックへの出場の意欲を見せ、選抜体重別に出場。決勝戦で山岸絵美に、昨年の福見友子戦に続いての有効ポイント(今回は2つ)を奪われて敗れたが、これまでの実績から代表に選ばれた

================================

 世界選手代表選考大会のうち、もっとも権威のあるのは、全日本選抜体重別選手権大会です。(最重量級は全日本選手権(体重無差別制)も重要)
 その大会に敗れた谷選手が、国際大会(世界選手権・五輪)の実績が重視され代表に選ばれました。そのときまでも谷選手がずっと代表になっていたので、他の選手が国際大会での実績があるはずない。ということは、どうあがいても代表になれない(実際に谷選手を破っても)。
 その谷選手が、世界選手権では優勝した。

 そして次の年、北京五輪の代表選考の全日本選抜体重別選手権大会で再び谷選手は敗れた。しかし、国際大会での実績を重視し谷選手が選ばれた。これでは、他の選手にはチャンスがない。
 1度ではなく2度も疑問の代表を果たしている。もちろん、選んだ側に責任があるのだが、悪びれることない(私にはそのように感じた)、悪びれても意味がないと思ったのかもしれないが、私には彼女が柔道家・武道家には見えなかった。

 と、かなり過激な内容になってしまいました。



 谷選手のケースが最も顕著だったのですが、他の階級の選考もかなり疑問がありました。谷選手が代表選考に関して口を閉ざしたのは、他の階級選考にも影響が及ぶからかもしれません。
 この件に関して、私は『将棋SNS』(2008年4月6日)で取り上げています。参考までに、ここに挙げておきます。

================================
「【オリンピック代表選考方法】
 オリンピックの代表選考については、原則として過去1年間の国内外の大会の結果および内容を勘案の上、金メダルに一番近い選手を選考している。具体的には、前年秋の講道館杯全日本体重別選手権大会から当該年の春の全日本選抜体重別選手権大会および全日本選手権大会(男子)、皇后盃(女子)までを選考期間と位置づけている。選考の内容としては、講道館杯、選抜体重別選手権の成績だけではなく、過去1年間の各種大会(国内大会、国際大会等)の他、直近のオリンピックや世界選手権大会の成績や内容、そして現状として誰が金メダルを獲得できるかなど、数々の要素を分析、検討し、選考している。

 重量級の代表は、全日本柔道選手権大会(男子)、皇后盃全日本女子選手権大会(女子)終了後にそれぞれ決定し、その他の階級は全日本選抜体重別選手権大会後に決定する」

 だそうです。
 (「全日本」は体重無差別なので)最重量級を除くと「体重別選手権」は最も権威のある大会ですが、五輪選考に関しては、単なる1大会に過ぎないようです。代表選手に敗退した選手が5人も含まれていました。
 選考基準にあるように金メダルを取れるかどうかが最重要なようで、選考会の勝ち負けより優先させることもあるようです。

 分かりやすく言えば、五輪に出場させたい選手を、ほぼ自由に選べるということです。谷選手が世界選手権で優勝した時点で、他の選手がいかに頑張っても良い成績を上げても、例え谷選手を破っても、代表は(谷選手が怪我しない限り)谷選手に決まっていたということです。ちなみに、世界選手権の代表選考でも敗れた谷選手が選ばれています。
 連盟が、自ら、その大会の権威を落とし、選手のやる気をそいでいるのです。確かに、日本の大会で優勝しても、その選手が世界で最も通用する選手とは限りません。しかし、代表決定に関して重要と思われている(思われていたと言ったほうが適切かも)体重別選手権、」その重圧の中で勝利を得た選手こそ、精神的にたくましい選手であり、代表に選ばれるべき選手だと思います。
 谷選手を槍玉に挙げるのは申し訳ないのですが、世界選手権の代表選考会で敗れた谷選手を選び、その谷選手が世界選手権で優勝。五輪選考会で敗れた谷選手が代表に選ばれる。
 この流れですと、谷選手以外の選手にとっては、代表に選ばれるチャンスほとんどありません。谷選手に勝っても、世界選手権に出られない。→世界で通用することを証明できない。→五輪選考会で勝っても、谷選手のほうが世界で通用すると判断される。(谷選手が世界選手権で惨敗すれば、可能性が出てきますが)
 もちろん、講道館杯やドイツ国際などの国際大会の評価もあるので、単純な話ではないのですが、あまりにも、やるせない代表選考でした。
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今週の『絶対零度~未解決事件特命捜査~』の記事はお休みです

2010-05-12 23:37:26 | ドラマ・映画
 今回は前後編?(続きもの)でした。
 なので丁寧な作りですが、1回で完結しないので、やや欲求不満ですね。

 分からない部分が多くて描きにくいので、今週の記事はお休みです(単なるサボリ)。犯人はたぶんあの人です。それが誰かはネタばれになるので書きません(本当は自信がない)。

 今クールは面白いサスペンスもの推理モノが多いです。『チェイス~国税査察官』が一押し。『新参者』は突っ込みどころは多いけれど楽しめます。『名探偵モンク』もありますし。あっ!昨日、見逃した!
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名人戦第3局雑感 その4

2010-05-11 11:23:32 | 将棋
 まず、前日(その3)のおさらいから。
 三浦八段の▲4六香から5四の角の頭を攻める構想が功を奏し、9六の僻地にいた飛車が中央で力を発揮しだした。
 後手の羽生名人は中央のゴタゴタを解消すべく、先手の桂香と自角を交換し駒損ながら飛車取りを残し、先手陣に迫ろうとした。
 しかし、ここで三浦八段の一着▲5七銀が好手で、後手の狙いである△7六歩を甘くしている。

 第10図では、後手の玉飛の位置が悪く、▲8三角と打たれるのが相当の嫌味。先手と後手の飛車の価値は逆転した感がある。後手としては△7六歩と突いて飛車の価値を高めたいところだが、△7六歩に▲8三角と打たれて△8四飛とかわせられない(手順に▲7六飛と歩を払われてしまう。第10図周辺の詳しい変化は昨日の記事で名人戦第3局雑感 その3)。
 というわけで、あっさり飛車を取らざるを得なかったのかもしれない。
 △5六角▲同銀と進み、昨日も述べたが、▲6五桂が可能になり、玉の脱出路がひらけ、さらに△7六歩が甘くなった。形勢は相当難しくなっている。

 ここで△4四桂と打つ。(第11図)

 △4四桂は△5六角▲同銀の継続手で、先手の要所にある銀に働きかけるので、自然な手に見える。対する▲1二角はその銀に紐をつけた手。同じ角を打つのなら▲8三角と攻めたり、同じ銀に紐をつけるなら▲2三角の方が働きがありそう。実際は▲8三角は△8四飛▲6五桂△8三飛▲7四角に△6三香以下後手よし、▲2三角は△2二香がある。なので、銀に紐をつけただけの▲1二角は辛抱の一着と見られた。
 しかし、この2手の交換は、後の進行を見ると後手の損のように思えた。
 これについては、後述するとして、後手は△7六歩と突いて飛車を働かして先手に迫るしかないが、その前に△2七歩▲3九銀を利かせたのは流石で、金気1枚分の価値がある。
 △7六歩に▲6五桂(第12図)。

 「バシッ」。三浦の駒音が鳴り響いた(中継サイトより)。それはそうだろう、取られそうな桂馬が5三の銀取りになる跳躍だ。先の飛車に続いて、桂馬も捌けたのだ。
 もう行くしかない△7七歩成(空成り、2手すき)に、▲5三桂成(王手、銀を取る)△同銀。そして、▲4五角成(第13図)。

 銀に紐をつけただけの▲1二角だったが、4五に成り返ると玉の上部を制圧する圧倒的な存在になった。▲6三角の厳しい狙いもある。これに対して銀取りに打った△4四桂は銀を取れずにいる。
 こうなってくると先の2手(△4四桂▲1二角)の交換は、先手の得だったのではないか。
 まず、この2手の交換を入れないで、単純に実戦と同様に進んだとすると変化図になる。
(もちろん、△4四桂と打っていないと銀を取られる制約が先手にはないし、先手の持ち駒も角が2枚あるので、同じ手順で進むとは限らない。最後の▲4五角も未確定)

 第13図と変化図の違いは、馬と角の違いと4四の桂の有無で、これがどのように影響するかというと、
①先手玉の広さはあまり変わらない
②6三と5四への角(馬)の利きは変わらない
③5四に駒を打った際の響きが違う(後手玉を5三に呼んでも、▲5四同角は王手に成らない)
④△5六桂と銀を取る手がある
⑤後手の持ち駒にあと銀がもう一枚あれば、△5六桂と銀を取る手が詰めろになる
と、④⑤まで考えると、後手にとっては第13図の方が良いような気がする。

 さらに、
⑥先手が後手玉を攻めて4五の角(馬)が消えた時、後手の4四の桂が先手玉の動きを制する可能性が強い。
⑦4五が角だと、本譜のように5四でバラして▲5四飛と迫る順にはならないが、もしそうなったとすると、4四の桂がいないと4二に逃げても即詰みがある

 リアルタイムで見ていた時、△4四桂▲1二角の2手の交換は、後手がかなり損をしたのではないかと思ったが、改めて考えると、名人ならでの深い読みがあったのだ!(たぶん)


 おかしい……
 簡単に『雑感』として感想を述べるつもりだったのに、どんどん、深みに嵌っているような気がする。
コメント (6)
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名人戦第3局雑感 その3

2010-05-10 17:26:04 | 将棋
(細切れの記事で申し訳ありません)

 第8図は▲5五歩に角を6三に引いたところ。先手の三浦八段が駒得にもかかわらず、攻めが薄い状況に陥っている。自陣右翼の金銀桂が働かず、飛車が閑地に追いやられているためで、三浦八段は5筋角頭を攻め、何とか飛車を働かせようとしたのだ。
 羽生名人は5筋で無理に対抗しようとせず、7筋の系統を攻める方針だ。それで、角を引いたわけだが、同じ引くなら7二のほうが優った。6三に引いたため、▲8三金(次に▲7三金△同飛(銀)▲6五桂の狙い)や、▲5四金(角が6三のため当たりがきつい)などのアヤが生じている。
 本譜の▲5六飛に対しても当たりが強くなっている。実際、羽生名人の予定は▲5六飛に△7六歩だったが、▲7五歩△同飛▲5四金と食いつかれ、以下△6一玉▲6三金△同銀▲8四角△7七歩成(△7四飛は▲7三角成△同飛▲6五桂がある)▲7五角△7八とが詰めろではないため、▲5三角成と取られて後手がいけない。(中継サイトの解説)

 そこで羽生名人は△3四角と予定変更し、▲4五桂と応じて第9図。

 予定変更したといっても、少し損をした程度で、依然後手優勢。
 さて、この▲4五桂に対して、私の第一感は△4四銀。これで先手の桂香を軽くかわせる気がする。控え室もこの△4四銀が有力と見て、この後の変化をいろいろ検討していた。けっこうゴタゴタした変化があるが、たぶん後手が指せるのだろう。
 羽生名人は△4四銀は深く考えなかったようで(ゴタゴタの変化の中である勘違いがあったらしいが、深く考えなかったから生じた勘違いなのだろう)、局後の△4四銀の指摘を意外そうに聞いていたらしい。

 ともあれ、羽生名人は▲4五桂に対し、△同角右▲同香△同角とあっさり清算する。こうすれば6三角型の7二角型に比べ当たりが強いマイナス面も解消され、玉頭付近もすっきりし、飛車当たりの先手にもなっている。ただ、この折衝で先手の金得となった。
 飛車取りに▲4六飛と逃げると△6六桂がある(以下▲4八玉△7八桂成▲4五飛△6八成桂▲2七銀△2八歩が想定手順でそれほど簡単ではないが後手が勝ちそう)。
 それでは勝てないとみて、三浦八段が指した手は


 ▲5七銀!(第10図)。
 三浦八段、本領発揮の一着。
 これに対し、羽生名人は素直に△5六角▲同銀と飛車角交換を果たしたが、ここまで進むと後手の狙いの△7六歩がかなり甘くなっている。銀が5六に移動し7七への利きが減ったが、5六の銀によって▲6五桂の跳ね出しが可能になっている。さらに、6八の銀がいなくなったのと5七→4六への玉の脱出路が出来たことにより、△7七歩成に対して手抜きしやすくなっている。

 ここしばらくの流れは
①先手の駒得がはっきりした
②取られる可能性のあった先手の飛車が角と交換になった
③後手の狙いの△7六歩が甘くなった
という3点で先手がポイントを稼いでいる。評判の良くなかった三浦八段の▲4六香~▲5六歩の勝負手が功を奏した感じだ。

 第10図で後手があっさり指しすぎたのではないだろうか。いや、問題は10図以前かもしれない。というのは、10図での後手の指し手が難しいからだ。
 飛車を取る前に△7六歩と突いておきたいところだが、▲8三角と打たれると悩ましい。 ▲8三角に△8四飛とかわすのは、手順に▲7六飛と飛車を逃げつつ歩を払われてしまう。△7五飛と逃げるのは▲7四金で自信がない。
 では、▲8三角に手抜きで△7七歩成としても、▲7四角成と飛車を取る手が王手なので負け。玉と飛車の位置関係が悪く、威張っていたはずの後手の飛車がお荷物になりつつある。
 では、第10図ですぐに△7六歩と打つのがうまくいかない(▲8三角と打たれたとき飛車が横に逃げると先手の飛車に7六の歩を払われてしまう)ので、一旦、玉の退路を狭めながら力をためる△4四香も、やはり▲8三角と打たれると飛車が取られてしまう(飛角交換にはなる)。さらに、△4四香に代えて△4四桂とすると▲4六飛と逃げられてわけが分からない。

 というわけで、あっさり飛車を取らざる(飛車角交換せざる)を得なかったのかもしれない。
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小さな春と小さなチューリップフェア

2010-05-10 00:09:11 | 歳時
 連休も終わってしまいました。
 連休中は天気が良かったですね。寒くて冬のような日々から一気に初夏の陽気になりました。昨日今日も天気が良かったですが、暖気は抜けていたので爽やかでした。
 若葉が一気に茂り、つつじや藤の花が盛りです。山藤も急に目立ち始めました。また、ヒメジオンも咲きはじめました。花水木は葉が出始めそろそろ終わりの気配です。
         ↑
(説明的な文章でごめんなさい。今後(来年)のために記録として残しておきたいので)


 たんぽぽもあちこちに咲いていますが、綿帽子も見かけるようになりました。


 玄関の前に咲いています。
 アスファルトの隙間に咲いています。カメラを引くと…

こんな状態です。そう、とっても小さいんです。


 ↑朝8時前

 ↑10時ごろ(花の開き具合が違います)

 狭いし、土が少なくて乾燥しやすいし養分も少ないだろうし、何もこんなところに咲かなくてもと思うのですが…。毎年咲きます。気に入っているんでしょうか?

 たくましいですね。


 家のプランタにもたくさんチューリップが咲いています。

こちらは、まだ咲き始めのモノですが、多くは散り始めています。


黒いチューリップは、これ1本残して散ってしまいました。これも散る寸前です。


 これが八重咲きのモノです。
 砺波では「八重咲きのチューリップもあるんだなあ」と感心していましたが、家でも咲いていたんですね。(チューリップだとは思っていなかった)
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