『将棋界(順位戦)の歪み その7 「試案Ⅰとその検証」 +「その6」の補足』
『将棋界(順位戦)の歪み その6「棋界全体の実力分布(年度成績~分析~)」』
『将棋界(順位戦)の歪み その5「棋界全体の実力分布(年度成績~概況~)」』
『将棋界(順位戦)の歪み その4「棋界全体の実力分布(通算成績~下位棋士~)」』
『将棋界(順位戦)の歪み その3「棋界全体の実力分布(通算成績~上位棋士~)」』
『将棋界(順位戦)の歪み その2「昇級争いにおける対戦相手の分析とC級2組の実力分布の偏り」』
『将棋界(順位戦)の歪み その1「菅井悲劇をもたらした棋界の現状」』の続きです。
試案Ⅱ 年度勝率4割未満が5年で3回以上
今までも述べてきたが、私は「10局指したら4勝6敗(負けた1局を勝っていたら5割)がボーダーライン」と考えている。だから、それをボーダーラインとしたのだが……
実際に、その線に沿って過去5年間を検証してみた。
昨年度に引退した6棋士(昨年度対局数は2以下)も含め166棋士を対象にしたところ、該当棋士は46棋士と全体の27.7%であった。内訳は5年連続勝率4割未満が11人、4回が20人(うち4人は対象期間4年の引退棋士)、3回が15人(引退棋士1人)。
昨年度引退棋士6人のうち4人が4年連続、1人が3回、1人が2回記録しているので、引退もやむなしであろう。今年度引退した石田九段も4回4割未満だった。
年度別の4割未満の人数は、2007年度が52人、2008年度が49人、2009年度が49人、2010年度が53人、2011年度(昨年度)は50人(他に引退棋士6名のうち5名が0勝2敗か0勝1敗)。
実際に検証してみて、該当者の多さに驚く。通算勝率だと昨年度末時点で4割を切るのは3人のみ。ギャップがありすぎる。
ちなみに、5年連続勝ち越しているのは、渡辺竜王、羽生三冠、飯塚七段、山崎七段、阿久津七段、飯島七段、広瀬七段、佐藤天七段、豊島七段、糸谷六段、戸辺六段、横山六段、村山六段、高崎六段、金井五段、村田顕五段の16名。上位棋士は渡辺竜王と羽生三冠のみ、中堅棋士の飯塚七段が光っている。
指し分け以上とすると、木村八段、長沼七段、小林裕七段、松尾七段、矢倉六段、佐藤紳六段、西尾六段、中村太六段、佐藤和五段、中村亮五段、瀬川五段が加わる。
また、四段になって5年未満の棋士では、稲葉六段が4年連続勝ち越し、指し分け以上が吉田五段が4年連続、阿部健五段、澤田五段が3年連続、菅井五段、船江五段が2年連続。
試案Ⅰ「通算負け越し50」が該当者が28人、「負け越し80」とすると該当者は17人に比べて、該当者が46人で3割近いというのは厳しすぎるかもしれない。
そこで、ボーダーラインを.333(1勝2敗)未満に下げてみる。……≪試案Ⅱ-2≫
該当者が27人(うち5名は昨年度引退棋士)。5年連続.333未満が2人、4回が10人、3回が15人(対象期間4年の引退棋士5人を含む)。
わたし的にはボーダーが.333は甘いような気がするし、3割台が5年連続でもセーフというのは許せない。3割台が5年続くような棋士だと、5年中3回.333未満の成績になるように思えるが、5年連続3割台であったにもかかわらず、.333未満は1度だけという棋士もいる。試案Ⅱ-2に加えて、「5年連続4割未満」という条件も加えておきたい。
次回がおそらく最終回になります。
総括的な内容になると思いますが、低勝率の棋士について少し触れたいと思っています。ただ、相当不名誉な数字なので、わざわざここで取り上げて貶めるようなことをする必要があるかと迷っています。
ここまで読んで下さった方はとても奇特な方だと思いますが、奇特ついでに、ご意見をお聞かせ下さるとうれしいです。
『将棋界(順位戦)の歪み その6「棋界全体の実力分布(年度成績~分析~)」』
『将棋界(順位戦)の歪み その5「棋界全体の実力分布(年度成績~概況~)」』
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『将棋界(順位戦)の歪み その1「菅井悲劇をもたらした棋界の現状」』の続きです。
試案Ⅱ 年度勝率4割未満が5年で3回以上
今までも述べてきたが、私は「10局指したら4勝6敗(負けた1局を勝っていたら5割)がボーダーライン」と考えている。だから、それをボーダーラインとしたのだが……
実際に、その線に沿って過去5年間を検証してみた。
昨年度に引退した6棋士(昨年度対局数は2以下)も含め166棋士を対象にしたところ、該当棋士は46棋士と全体の27.7%であった。内訳は5年連続勝率4割未満が11人、4回が20人(うち4人は対象期間4年の引退棋士)、3回が15人(引退棋士1人)。
昨年度引退棋士6人のうち4人が4年連続、1人が3回、1人が2回記録しているので、引退もやむなしであろう。今年度引退した石田九段も4回4割未満だった。
年度別の4割未満の人数は、2007年度が52人、2008年度が49人、2009年度が49人、2010年度が53人、2011年度(昨年度)は50人(他に引退棋士6名のうち5名が0勝2敗か0勝1敗)。
実際に検証してみて、該当者の多さに驚く。通算勝率だと昨年度末時点で4割を切るのは3人のみ。ギャップがありすぎる。
ちなみに、5年連続勝ち越しているのは、渡辺竜王、羽生三冠、飯塚七段、山崎七段、阿久津七段、飯島七段、広瀬七段、佐藤天七段、豊島七段、糸谷六段、戸辺六段、横山六段、村山六段、高崎六段、金井五段、村田顕五段の16名。上位棋士は渡辺竜王と羽生三冠のみ、中堅棋士の飯塚七段が光っている。
指し分け以上とすると、木村八段、長沼七段、小林裕七段、松尾七段、矢倉六段、佐藤紳六段、西尾六段、中村太六段、佐藤和五段、中村亮五段、瀬川五段が加わる。
また、四段になって5年未満の棋士では、稲葉六段が4年連続勝ち越し、指し分け以上が吉田五段が4年連続、阿部健五段、澤田五段が3年連続、菅井五段、船江五段が2年連続。
試案Ⅰ「通算負け越し50」が該当者が28人、「負け越し80」とすると該当者は17人に比べて、該当者が46人で3割近いというのは厳しすぎるかもしれない。
そこで、ボーダーラインを.333(1勝2敗)未満に下げてみる。……≪試案Ⅱ-2≫
該当者が27人(うち5名は昨年度引退棋士)。5年連続.333未満が2人、4回が10人、3回が15人(対象期間4年の引退棋士5人を含む)。
わたし的にはボーダーが.333は甘いような気がするし、3割台が5年連続でもセーフというのは許せない。3割台が5年続くような棋士だと、5年中3回.333未満の成績になるように思えるが、5年連続3割台であったにもかかわらず、.333未満は1度だけという棋士もいる。試案Ⅱ-2に加えて、「5年連続4割未満」という条件も加えておきたい。
次回がおそらく最終回になります。
総括的な内容になると思いますが、低勝率の棋士について少し触れたいと思っています。ただ、相当不名誉な数字なので、わざわざここで取り上げて貶めるようなことをする必要があるかと迷っています。
ここまで読んで下さった方はとても奇特な方だと思いますが、奇特ついでに、ご意見をお聞かせ下さるとうれしいです。
棋士として生きるのにそれさえ覚悟できてないなら、それこそさっさと辞めるべきでしょう。
低勝率棋士の数字と実名を定期的に発表するブログが存在するというだけで、長期的には影響がありそうです。
あとは、記事内容(と言うか書き方)次第ではないでしょうか?
英さんが将棋界のためを思って書いていらっしゃることは自明なので、信念を持って、ただし多少柔らかめに書かれてはいかがかかと。
ちょい上から目線で、失礼しました。
さっそくのアドバイス、ありがとうございます。
>棋士として生きるのにそれさえ覚悟できてないなら、それこそさっさと辞めるべきでしょう。
そうですよね。もともと、「「弱い者は去る」という勝負の大原則が有耶無耶にされている」という現状に強い疑問を持って書き始めた記事ですから、やはり書かないと腰砕けですね。
>ただし多少柔らかめに書かれてはいかがかかと
そう思いますが、内容が内容なので、つい語調が強くなってしまいそうです。なるべく抑えて書くつもりですが……目に余るようでしたら、たしなめてください。
記事の内容については、個人の情報はもちろん、実害を及ぼすことは駄目とは思いますが、
どこのそこの店がまずい
あの映画は面白くない、あの音楽は良くない
といったことは、書いても結構でしょうし、書けなければ何のためのサイトなの?とよく思います。
今回の記事は、棋士の成績に直結したこととは思いますが、現行制度への提唱として、そのあり方の案を示すことですから、書いても大丈夫かなと思います。
色々厳しいプロの世界の中、将棋界がどこまで保護されているか平たい意見は持ち合わせていませんが、データで示すことでしょうし、そこに主観を少々交えても、いやむしろそのためのサイト運営だと思います。
だた、大きいサイトは注目されやすいのでお気を付け願います。
>色々厳しいプロの世界の中、将棋界がどこまで保護されているか平たい意見は持ち合わせていませんが、データで示すことでしょうし、そこに主観を少々交えても、いやむしろそのためのサイト運営だと思います。
同感です。意思を持って主張を語らなければ、面白くないですよね。
そもそも、今回「将棋界の歪み」と言ってしまっているのに、今更何をひるんでいるのでしょう。
がんばって書きます。アドバイス、ありがとうございました。