英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『相棒season12』 第13話「右京さんの友達」

2014-01-23 21:26:36 | ドラマ・映画
毒島(尾美としのり)の変わり者振りや、彼と右京のやり取りなどは面白かった。
しかし、事件の真相や、毒島、静、烏森の心理や行動がグダグダで、残念であった。
……

 ……まあ、毒島の変人の味やその描写の面白さが、その残念さを補って余りが少しあるので、事件について突っ込むのは留めておこう。

★毒島という男
 紅茶とミステリー小説に関しては、右京と互角、特にミステリー小説の批評に懸けてはネット界では随一と言われている。ただ、“孤高”の右京に対して、排他的な毒島は“孤独”を味わっていた。
 例えば、紅茶の知識をひけらかした上っ面だけの紅茶通に対し、右京は心の中でどう思っているかは不明だが、にこやかに聴き流していたのに対し、毒島は誤りを指摘し、その知ったかぶりの態度を攻撃していた。
 それに、右京には相棒がいた亀山薫、神部尊、そして、甲斐享?。
 毒島に言わせると、「右京は“和製ホームズ”で、享は“助手”のワトソン」(享の存在意義については、後述)

 毒島のお茶会の誘い(冤罪事件への招待)を受けた右京は、毒島を主人公にした自作の小説を携えお茶会に参加した。右京自身が楽しむ為でもあるが、毒島を楽しませるサービス、さらに、“最も信頼されている批評家”に自作小説を読んでもらいたくなったのかもしれない。
 そういう経緯で…

“孤独とは何処に?”と問われても、孤独など好んで探すものではなし、私とて探偵稼業などをしていなければ、このたびの『孤独の研究』に足を踏み入れることはなかったであろう。
 “孤独は山の中ではなく、街の中にある”と言った哲学者がいたが、私もまた、街中である孤独な男に出会った。
 10人目の助手であるK君は、“あの人、なんで僕らを呼んだんですかね”と、今日既に二度も呟いた。そろそろ、三度目を言う頃だろうという頃だろうと思っていると……
K「あの人、なんで僕らを呼んだんですかねぇ」
探偵「それは今日のお茶会で明らかになるでしょう」
 “あの人”とは、依頼人の彼のことである。そもそも、彼と私との関係を、どう呼べばいいのか……


 という右京の語り(小説)で始まった今回の『相棒』であった。
 そして、毒島、右京、享のお茶会での会話で毒島の性格、そして、毒島の人生を右京の文体(語り)と、映画風映像で再現させている。右京の文体がとても味のある深いもので、これが普通に捜査の中での、あるいは、毒島の告白での回想シーンだと味気ないモノになっていただろう。巧みな描写法であった。

 さて、この毒島を演じた尾美の味のせいもあるかもしれないが、もう一度登場してほしいキャラであった。ただ、ウブで“良い人”であった点が残念だった。
 わざわざ右京に冤罪事件の真相を究明させたのは、享が指摘した「自分が意図した完全犯罪ではなかったということ。それに、愛する女性を殺したという良心の呵責に耐えられなかったからで、犬が死んで世話をする必要がなくなったから」も的を射ていたように思うし、毒島自身が言ったように「自分を分かってくれる相手に、本当のことを話したかった」のも本心であろう。
 ただ、私的には、「毒島が批評家で留まっていることに耐えられず、実際に完全犯罪を犯していて、強敵・右京に挑戦したくなった。そして、スペシャルで2時間かけなければ解明できないほどの手強い犯罪だった」であってほしかった。
 あるいは、「烏森の事件が冤罪事件と思わせたフェイクで、右京たちをからかっただけであった」というものでもよかった。

 それはともかく、毒島の白状?の動機を受けて、捜一コンビに毒島を「右京さんの“友達”です」と紹介したのも良かった。 (次回から、享も「右京さん」と呼ぶのかな?)

★助手の“ワトソン”・享
 毒島が享のことを“ワトソン君(助手)”と呼んだ時、若干不満そうな享であった。私は≪君は助手でしかないだろう。決して“相棒”じゃない≫と拍手した。
 しかし、最後に、
「“助手”と言うと聞こえは悪いかもしれないが、ワトソン君は頼れる“相棒”なんだ。ワトソンなしじゃ、ホームズは立ち行かない」と享を認める(ちっ、余計なことを)。
 確かに、ホームズにとってワトソンは“なくてはならない存在”である。理解者でもあり、友人でもあり、助手でもあり、世間とホームズの緩衝剤であったりもする。
 しかし、右京は享がいなくても事件を解明できるし、享に心の拠り所を求めてもいない。単なる助手だよね。


【ストーリー】番組サイトより
 右京(水谷豊)は、なじみの紅茶店で紅茶に詳しい毒島(尾美としのり)と知り合った。 毒島から自宅アパートでの“お茶会”に誘われた右京は、享(成宮寛貴)を連れて出かけると、毒島は2人の目の前で右京のようにポットを高く上げて紅茶を注ぐのだ。驚く享…。毒島には紅茶と犬しか楽しみがなく、ほかは信用できないという。右京同様、少々変わり者のようだ。

 どうやらそんな毒島に気に入られてしまった右京。「警察はバカばっかりだと思っていました」という毒島。なにかそう思わざるをえない出来事があったのかと右京が訊くとある事件の話をはじめた。隣室に住んでいた静香(佐藤寛子)がナイフで殺害された事件だが、すでに恋人でミステリー作家の烏森(加藤厚成)が逮捕されていた。冤罪の可能性をにおわせる毒島に、右京は思わず「調べてみましょう」と約束する。

 そして、右京と享は再び毒島から“お茶会”の誘いを受ける。招きに応じた右京は、ある男を主人公にして自らが書いた小説を手に毒島の自宅を訪ねるが…。そこで明らかになる右京の推理をもとにした意外な真相とは?

ゲスト:尾美としのり

脚本:真野勝成
監督:橋本一

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4 コメント

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事件の方を突っ込んでおく (かみしろ)
2014-01-23 22:14:37
ドラマとしては非常に面白く、英さんの感想と殆ど同じでした。今回の相棒では特に目立つのですが、私は他シリーズでも「相棒」ってタイトルがどうにも看板倒れだなあ、と感じていました。大体右京一人でどうにかなってしまう。右京のキャラが基本オールマイティで、補完すべき弱点が極めて少ないのが一番の理由で、推理自体は凄いが捜査は極めて下手等にしておけば容易なのだが、そこを極めて難しいキャラクターにした意図は今のところ伺えません。

で事件なんですが、今回のような事件そのものは話にとって重要でない場合、説明を端折っても違和感のない典型的なものにするべきでした。動機の点で。
ホステスがあそこまであの小説家に惚れた理由がよくわからん・・・・。
「女を殴らない男は初めて」
ん~・・・・
毒島が彼女を殴ったシーンは、推理の材料とともに或いは毒島では恋人にはなりえなかった事の理由として用意したのかとも思うのですが、肝心の小説家が殴らないけど刺し殺しにきてるしなあ。あの小説家が魅力的な人物に描かれていれば、ひっかかりはしないのだけど。
返信する
今回のは秀作。 (koumama)
2014-01-23 22:49:34
相棒らしさのあるセリフ劇だったなって思います。おもしろかったなぁ。久しぶり一生懸命見た感じです(笑)
確かに
あのホステスさんがあんなにあの小説家に夢中になるのが不可解だけど。。。
たった3人だけの 喫茶室のような部屋だけが用意されてて ちょっとした舞台を見る感じ。。面白かったです。

~ワトソン君は頼れる“相棒”なんだ。ワトソンなしじゃ、ホームズは立ち行かない」と享を認める(ちっ、余計なことを)。~
ここんところ。。笑った。確かに余計だぁ。。(笑)
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もともと『相棒』は ()
2014-01-24 16:36:01
かみしろさん、こんにちは。

>「相棒」ってタイトルがどうにも看板倒れだなあ

 もともと相棒は、土曜ワイドで単発ものでした。正義感はあるのだが何かと迂闊な亀山が、異常に優秀な右京に鍛えられて、「相棒」として認められるというのがコンセプトでした。

 事件については、変わりに突っ込んでいただき、ありがとうございました。
 おっしゃる通りで、静香が烏森に惚れた理由も、烏森が殺しに行く行為も納得できません。
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いい雰囲気でした ()
2014-01-24 16:51:04
koumamaさん、こんにちは。

>相棒らしさのあるセリフ劇だったなって思います

 ええ、長期シリーズだからできる遊びですね。今回の脚本家の真野勝成さんは、『相棒』の脚本は初めてみたいですね。

>あのホステスさんがあんなにあの小説家に夢中になるのが不可解だけど。。。

 ええ、事件周辺が残念です。

>~ワトソン君は頼れる“相棒”なんだ。ワトソンなしじゃ、ホームズは立ち行かない」と享を認める(ちっ、余計なことを)。~
>ここんところ。。笑った。確かに余計だぁ。。(笑)

 ≪しつこいなぁ≫と自分自身も思いますが、享が変に老成していて、「単なる助手」という私の見方は変わらないのです。もっと、無茶して欲しいです
返信する

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