英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

相棒 season13 第9話「サイドストーリー」【補足あり】

2014-12-18 21:30:29 | ドラマ・映画
 タイトルは“サイドストーリー”(この言葉は右京も口にしていた)。
 確かに、殺人事件と直接かかわっていない佳枝・茂樹親子であったが、
 サイドストーリーと言うよりも“裏ストーリー”、しかも、核心に触れるものであった。
 しかし、この親子にスポットを当てたため、「被害者・奈々が命を奪われた」という事実が軽いものになってしまった


まず、
相反する被害者の人物像が一つの焦点
【A面】
・介護士として真面目に務めていた
・気難しい佳枝ともうまくやっていた
・介護福祉士になるため勉強をしていた
【B面】
・客の家に泊まり渡る淫らなキャバクラ嬢
・食事などの世話もいい加減で、佳枝に暴行をしていた

 そんな二面性を感じさせる被害者なので、いくつかの疑問が生じた。
・SNSでの書き込みはデタラメ(居場所に関して)……鑑識・米沢が疑問を提起
・被介護者にあるべき介護ノートを奈々がなぜ持ち出していたのか?……右京の疑問

 それらを出発点に調べていくと……更なる疑問
・“いい加減な介護士”なのに、気難しい佳枝の担当を長く続けていた
・レシピの食事量が多く、味も介護用ではなく普通の濃さ
・いとこを名乗り、奈々の居所を探ろうとした男の存在

結局
 奈々の居所を探していたのがドメスティックバイオレンスで別れた夫で、ストーカー行為をしていた。
 茂樹から奈々の居所を聞き、復縁を迫ったあげく死に至らしめてしまった。奈々が住居に戻らず、お客の所を転々としていたのは、元夫から逃げていたのだ。
 茂樹は佳枝の介護を放棄しており、それに疑いを持った奈々を遠ざけようとして元夫の浪岡に居場所を知らせた

というのが真相だった。


右京の捜査手法
 「非日常(殺人)の周辺には、非日常(いつもと違う行動や遺留品)がある」という法則から
 「ないはずの物(非日常)」=「介護ノート」に目を付けた
 介護ノートの持ち出しが、殺人を誘発したのではないか?
 そこで、そのノートについて調べていった……
    ……そして、茂樹の佳枝への介護放棄にたどり着いた。

 『相棒』としての享について考察すると、
 介護ノートを奈々が持っていたことを右京に気にならないかと尋ねられ、≪気になりますねぇ≫と米沢とハモるだけで、右京がなぜそこまでノートにこだわるのか疑問を持たず、何となく判ったふりして右京の捜査に追従するだけ。
 「師匠と弟子」の関係ですらなく、単なる「従者」に留まっている。


 しかし、これは右京も言っていたが「サイドストリート」
 正攻法は、二面性を持つ被害者・奈々の真実を追うべく、キャバクラの客や介護会社の同僚などに奈々の仕事ぶりや人柄を聞き込む。もちろん、ほぼ現行犯として取り調べられている被疑者の社会労務士との関係も調べ、殺人の動機があったかも調べるべきで、右京の捜査は、側面攻撃である。

 この側面攻撃のため、「佳枝・茂樹の親子関係」が主となり、親子を追求する時も
「このサイドストーリーが明らかにならない限り、あらぬ疑いを掛けられ、世間のバッシングを受けたままになります。奈々さんの御両親にも二重の苦しみを与え続けることになります。
 あなたにそのことを見過ごすことができるとは、僕には到底思えません」
と、説得。
 しかし、
「介護福祉士を目指し、昼夜の仕事を掛け持ちしながら必死に頑張ってきた奈々さん。
 そんな奈々さんを、ストーキングの末に殺害した犯人に、怒りを禁じえません」

 これは、これまでは奈々を糾弾していたワイドショーのレポーターの空々しい言葉であるが、本来はこの感情を右京たちが持たなければならないが、≪奈々の本当の姿が報道されて良かった≫で済ませてしまっている。
 まじめに一生懸命生きてきた奈々の生命があまりにも軽すぎる!


 享に関する考察、その2
「でも分からないなあ……
 ネグレクトまでされていたのに、どうして佳枝さんは息子さんのことをかばい続けたのか?」
「カイトくん、それが分かれば、君も苦労しないはずですよ」
「はいぃぃ?」


 かなりストレートに指摘されているのに、「はいぃぃ?」って………
 いやあ、ほんと、お子様ですね。
 これでは、いつまでたっても弟子以下だし、今回の事件、享の独力だと一生解明できないなあ



【些細な突っ込み】
・奈々が介護しない日の佳枝の食生活が異常、また、ノートのレシピの分量が多すぎることに、奈々が気がつくのが遅すぎる
・奈々がキャバクラの客のところを転々とするのは無理があり過ぎるし、昼夜働いて、夜間もその状態なら、いつ介護福祉士の勉強をするのだろうか?
・佳枝が茂樹を思うのなら、介護士に気難しい態度を取るのはおかしい(自分の首を絞めるようなもの)。
・二日に一日しか働かずに生活できるのか?


正月スペシャルの脚本家は真野勝成氏。
season12 第13話「右京さんの友達」はともかく、season13 第7話「死命」の出来を考えると、不安である。


【補足】
タイトルが「サイドストーリー」というだけあって、いろいろな揶揄が盛り込んであった。
①佳枝を通して、刑事ドラマの刑事(警察)の馬鹿さを指摘
 馬鹿な刑事がいないと、ストーリーが平坦になる
②マスコミや大衆を批判
 事件関係者の過去や私生活を取り上げ、大衆の興味を煽る。
 今回の事件で言えば、奈々がキャバクラに勤めていて、客の家を渡り歩いていようと、世間には迷惑をかけていない。
 大衆も残された家族を誹謗中傷するのはおかしい。(暇人としか言いようがない)
 真相が明らかになったら、手のひらを返したように奈々に同情する。「~に怒りを禁じえません」というレポーターに、≪それはお前(レポーター)に対してだ≫と思った視聴者は多かったはずである。
③介護家族の辛さ
 今回の真のテーマでもあったが、そこを正面から描くと、ストーリーが重くなるし、ネタバレにもなってしまうので、少し軽く流した感がある。
④峯秋と享の擦れ違い
 息子からネグレクトを受けていながら庇った佳枝の気持ちを享は理解できなかった。
 親の無償の愛を受けてこなかったからなのか?シャイな峯秋ゆえ享にうまく伝わらなかったのか?享が鈍いのか、お子様なのか?
 ただ、佳枝の場合、息子から見放されると今後の生活が成り立たなくなるという理由も考えられる。


【ストーリー】番組サイトより
 三塚奈々(まつながひろこ)という若い女性介護士が殺害される事件が発生。彼女はキャバクラ嬢という“別の一面”も持っていたため、ワイドショーなどでも大々的に取り上げられ、いわれのない中傷を受けていた。犯人は現行犯に近いかたちで逮捕されていたが、「真犯人は別にいる」という匿名の通報があり、特命係はその捜査を申しつけられる。早速、行動を開始した右京(水谷豊)と享(成宮寛貴)は、奈々が担当していた寝た切りの老婦人・佳枝(丘みつ子)のもとを訪れる。佳枝はかなり気難しいタイプで、面倒を見ている一人息子の茂樹(吉満寛人)も、仕事との板挟みで手を焼いている様子だった。そんな中、右京は奈々が殺された時に所持していた介護の記録ノートに引っ掛かりを覚える。その疑問を解き明かすため、右京は自ら佳枝の身の回りの世話を買って出るが…!?

美人介護士はなぜ殺されなければならなかったのか?
匿名の通報が示唆した“真犯人”とは?
特命係が、事件の陰に隠された意外な真実を解き明かす!

ゲスト:丘みつ子 吉満寛人

脚本:池上純哉
監督:池澤辰也

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