心情的な判断と法的な判断
~『相棒』の一つのテーマともいえる右京の「法の精神」~
・右京と享の合致点
かつての相棒であった亀山薫、神部尊と意見の衝突が見られたが、今回は右京と享は一致していた。自 殺(即身仏成就)を止めるという切羽詰まった状況だったので事情が違うとも言える。
それはさておき、享の言葉をもとにした推理を間違いないと断言する右京、享への信頼度が高い。
・法的罪
「自 殺ほう助」(即身仏成就=自 殺の手助け)と「墳墓発掘の禁」(即身仏となった遺体を掘り起こす)に当たるとのこと。(年金などの手当ての不法取得の可能性もある)
「あたしたちは、誰かに迷惑をかけていますか?」……心情的には、庵主・伏木田の崇高な志は尊敬の念を抱く。が、警察官として法律に触れる行為は見過ごせない。
運悪く?享に即身仏の行を知られてしまった。
即身仏になるのを止めようとした享に暴行してしまったのが大きな過ちで、伏木田によって悔い改めた者たちの行為とは思えない。「断食の行」とか言ってごまかすのは無理かなあ。
それと、「墳墓発掘の禁」であるが、墓の定義が難しいような気がする。
さて、上記の法的罪にまつわる右京と享の判断と真相に至る右京の推理が表のテーマであったが、享のキャラの掘り下げと、享の緊急事態による周囲の反応が裏のテーマであるように思う。
捜一トリオや暇か課長と大小コンビも享の身を案じたり、いつも以上に力の入った捜査をしていた。
「こるぁ!カイト!、てめえ、二度とキノコ狩りなんか行くじゃねえぞ、わかったか!」と伊丹は凄んでいたが、享には「愉快な人」と認定されてしまった。
享の父も享のことを気にかけていた様子。享には刑事を辞めてほしいようだが、職務を全うするための自分の非道な行為を知られたくないのかもしれない。
享の彼女・悦子にはやられた!
あれって、嘘だったの!(夜行バスでの出会い)
とっさによく嘘がつけるものだ。やはり、女性は恐ろしい……
刑事部長の報復
「部長!少々困った事態になりました。実は、甲斐享が先に女性を襲っていたようです」
「なんだと?」
「相手は強姦目的で襲われたと言っています。しかも、本人も襲ったことをおおむね認めており、それを裏付ける証拠も挙がっているようです」
「うむ…」
「蓋を開けてみれば、被害者が、実は加害者でもあったわけで…部長」
「任せる」
「は?」
「あとは君の一存で進めなさい。当然、責任もキミが取るんだ」
「それは…」
「僕は聞かなかったことにしよう」
「そんな…」
「うん。キミが報告を怠ったことにしよう」
「通るわけないですよ。そんなことは…」
「通るんだよ!……縦社会では、十分通ります」
わははは!見事な反撃。最後の「縦社会では、十分通ります」が最高!……「ます」ですかぁ(笑)
これで、先週分はチャラにした?
最後の幽霊騒動は微妙かなあ。いや、伏木田(幽霊)が現れ、謝罪し記憶を戻させる(記憶を奪ったのも伏木田)のは整合性が高い。ただ、右京が悔しがるのは面白いとして、ここまではっきり幽霊の存在を証明してしまうのはどうかなあと思う。
心霊現象など不合理な事象を認めてしまうと、論理的な推理を進める『相棒』の世界を崩してしまう気がする。
法医学のピノコ姫さん、お見事でした。
【ストーリー】番組サイトより
何者かに暴行を受け、記憶喪失になってしまった享(成宮寛貴)。やはり「まろく庵」の人間たちが享と関わりがあったことは間違いなさそうだ。
伊丹(川原和久)らは入院中の享に「まろく庵」の生方(山本學)、坂口(ウダタカキ)、榊(相葉弘樹)らの写真を見せ、彼らが全員過去に犯罪での逮捕歴があることを説明する。そんな人間たちと享の間に何があったのか改めて質問するが、享はやはり「鈴の音」以外は思い出せないという。
一方、右京(水谷豊)は「まろく庵」周辺で聞き込みをする。近くの商店の女店主の話では、生方と行動をともにする真智子(柴本幸)の父・伏木田はガンを患っていたが入院もせず、医師に往診してもらっていると聞いていたという。その女店主がやせ細った伏木田を最後に見たのは、半年ほど前だったとか。
伊丹らが家宅捜索令状をとり、「まろく庵」へ乗り込んだ。右京も伊丹らに合流したそのとき、生方が「享を半殺しの目にあわせたのは私です」と自供するのだが…。
生方の不可思議な自供の裏に隠された驚くべき真実とは? 窮地に陥った享を右京は鋭い推理で救えるのか!?
ゲスト:柴本幸 山本學 ウダタカキ 梶原ひかり 相葉裕樹 末広透 尾高杏奈
脚本:輿水泰弘
監督:安養寺工
~『相棒』の一つのテーマともいえる右京の「法の精神」~
・右京と享の合致点
かつての相棒であった亀山薫、神部尊と意見の衝突が見られたが、今回は右京と享は一致していた。自 殺(即身仏成就)を止めるという切羽詰まった状況だったので事情が違うとも言える。
それはさておき、享の言葉をもとにした推理を間違いないと断言する右京、享への信頼度が高い。
・法的罪
「自 殺ほう助」(即身仏成就=自 殺の手助け)と「墳墓発掘の禁」(即身仏となった遺体を掘り起こす)に当たるとのこと。(年金などの手当ての不法取得の可能性もある)
「あたしたちは、誰かに迷惑をかけていますか?」……心情的には、庵主・伏木田の崇高な志は尊敬の念を抱く。が、警察官として法律に触れる行為は見過ごせない。
運悪く?享に即身仏の行を知られてしまった。
即身仏になるのを止めようとした享に暴行してしまったのが大きな過ちで、伏木田によって悔い改めた者たちの行為とは思えない。「断食の行」とか言ってごまかすのは無理かなあ。
それと、「墳墓発掘の禁」であるが、墓の定義が難しいような気がする。
さて、上記の法的罪にまつわる右京と享の判断と真相に至る右京の推理が表のテーマであったが、享のキャラの掘り下げと、享の緊急事態による周囲の反応が裏のテーマであるように思う。
捜一トリオや暇か課長と大小コンビも享の身を案じたり、いつも以上に力の入った捜査をしていた。
「こるぁ!カイト!、てめえ、二度とキノコ狩りなんか行くじゃねえぞ、わかったか!」と伊丹は凄んでいたが、享には「愉快な人」と認定されてしまった。
享の父も享のことを気にかけていた様子。享には刑事を辞めてほしいようだが、職務を全うするための自分の非道な行為を知られたくないのかもしれない。
享の彼女・悦子にはやられた!
あれって、嘘だったの!(夜行バスでの出会い)
とっさによく嘘がつけるものだ。やはり、女性は恐ろしい……
刑事部長の報復
「部長!少々困った事態になりました。実は、甲斐享が先に女性を襲っていたようです」
「なんだと?」
「相手は強姦目的で襲われたと言っています。しかも、本人も襲ったことをおおむね認めており、それを裏付ける証拠も挙がっているようです」
「うむ…」
「蓋を開けてみれば、被害者が、実は加害者でもあったわけで…部長」
「任せる」
「は?」
「あとは君の一存で進めなさい。当然、責任もキミが取るんだ」
「それは…」
「僕は聞かなかったことにしよう」
「そんな…」
「うん。キミが報告を怠ったことにしよう」
「通るわけないですよ。そんなことは…」
「通るんだよ!……縦社会では、十分通ります」
わははは!見事な反撃。最後の「縦社会では、十分通ります」が最高!……「ます」ですかぁ(笑)
これで、先週分はチャラにした?
最後の幽霊騒動は微妙かなあ。いや、伏木田(幽霊)が現れ、謝罪し記憶を戻させる(記憶を奪ったのも伏木田)のは整合性が高い。ただ、右京が悔しがるのは面白いとして、ここまではっきり幽霊の存在を証明してしまうのはどうかなあと思う。
心霊現象など不合理な事象を認めてしまうと、論理的な推理を進める『相棒』の世界を崩してしまう気がする。
法医学のピノコ姫さん、お見事でした。
【ストーリー】番組サイトより
何者かに暴行を受け、記憶喪失になってしまった享(成宮寛貴)。やはり「まろく庵」の人間たちが享と関わりがあったことは間違いなさそうだ。
伊丹(川原和久)らは入院中の享に「まろく庵」の生方(山本學)、坂口(ウダタカキ)、榊(相葉弘樹)らの写真を見せ、彼らが全員過去に犯罪での逮捕歴があることを説明する。そんな人間たちと享の間に何があったのか改めて質問するが、享はやはり「鈴の音」以外は思い出せないという。
一方、右京(水谷豊)は「まろく庵」周辺で聞き込みをする。近くの商店の女店主の話では、生方と行動をともにする真智子(柴本幸)の父・伏木田はガンを患っていたが入院もせず、医師に往診してもらっていると聞いていたという。その女店主がやせ細った伏木田を最後に見たのは、半年ほど前だったとか。
伊丹らが家宅捜索令状をとり、「まろく庵」へ乗り込んだ。右京も伊丹らに合流したそのとき、生方が「享を半殺しの目にあわせたのは私です」と自供するのだが…。
生方の不可思議な自供の裏に隠された驚くべき真実とは? 窮地に陥った享を右京は鋭い推理で救えるのか!?
ゲスト:柴本幸 山本學 ウダタカキ 梶原ひかり 相葉裕樹 末広透 尾高杏奈
脚本:輿水泰弘
監督:安養寺工
事件のからくりや推理の内容は、二回分の話には不足を感じました。違法だが心情的には同意できるところが多いというネタを扱う場合、事件の概容は中盤までにほぼ提示し、その違法行為をする人間の心情を描かないと、なんともすっきりしない中途半端な話になってしまう。相棒の場合右京のキャラと謎を最後まで引っ張る形式のため、そうなることが多いと感じる。
心情を殆ど描写しない分間延びしていたと思います。
さて、ドラマとしてではない問題点として。
即身仏と自殺をいっしょくたにしてよいのか?
自殺は全て自分の意志でするもの
これは嘘ではないが本当でもない。明確にいえば間違いです。
即身仏は自己の生への執着を乗り越えて行うことです。
大半の自殺は、少なくとも本人にとっては、他にどうしようもなくなって、追い込まれること、意味はまったく異なります。
昨今職業選択の自由なども矮小化されますが、(無職、ブラック企業の正社員、切り捨てごめんの派遣)というような選択肢しかない場合を「選択の自由がある」とは言わない。
墳墓発掘はちょいと無理筋でしょう。
出会いの嘘には参りました。普段ならそういう女性は結構いそうですが、あの状況で嘘をつくとはなかなか思い至らない。
おっしゃる通り、2回にまたがった割には、推理や事件の真相が物足りなかったです。
また、心情的には理解できるが、法に触れるという事件の割には、当事者やその周囲の心象描写が雑だったと思います。
本文でも少し書きましたが、表のテーマよりも裏のテーマの方に力を入れていたように感じました。享の周囲の人々を描きたかったのだと思います。
「出会いの話の嘘」…やはり女性は油断できない(笑)。もしかすると、この嘘のオチを描きたかったのかもしれません。
女の嘘が取りざたされておりますがw
オチを書きたかった説に賛成です!記憶を取り戻したカイトにからかわれる場面、素敵でした。
あの嘘、「違うだろ」って言って欲しかったのに素直にうなづかれて本当に記憶がなくて、辛かったんだと思います。
ていうか、いい年して合コンでお持ち帰りって恥ずかしいですからねー(披露宴で言えないw)2人の間では出会いを色々変えて言ってみるの、鉄板ジョークだったりしたのかも、なんて。
>あの嘘、「違うだろ」って言って欲しかったのに素直にうなづかれて本当に記憶がなくて、辛かったんだと思います。
なるほどぉ、「出会いを美しい思い出に」という思いだったけれど、否定して欲しかった。そして、否定されなくて、悲しかったのですね。
基本的に私は空気は読めないのですが、女性の心が一番読めません。さすが、じゃすみんさんです。女性のことで悩むことが合った時、相談に乗ってください。
>オチを書きたかった説に賛成です!記憶を取り戻したカイトにからかわれる場面、素敵でした。
今回は、事件よりオチを含めて、カイトの周辺を描きたかったのでしょう。ただ、カイトが特命に来てからまだ日が浅いので、もっと周囲とかかわりを持ってからの方が、このエピソードはしっくりくると思います。