英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

もはや格闘技……白鵬の立ち合い

2016-05-16 19:28:30 | スポーツ
1「相撲はスポーツである」
2「相撲は武道である」
3「相撲は格闘技(武術)である」
 これらのどれが正しいか……「どれも正しい」というのが正解であろう。

 スポーツ、武道、格闘技は「背反な事象」(「独立した集合」と言った方が良いのかなぁ…正確な用語の定義は忘れてしまいました)ではない。
 つまり、格闘技、武道、スポーツの複数に属する競技が存在する。もともと、共通する要素が多いので、交わり部分は大きく、一つにしか属さない競技の方が少ないのかもしれない。
 “球技は格闘技ではないだろう”と思うかもしれないが、バスケットボールのように接触プレーが多いものは格闘要素が多い。ネットで区切られているバレーボールでさえ、格闘要素がないとは言えない。
 陸上競技の中距離走なども格闘要素が強い。完全にセパレートコースになっているか、タイムトライアル形式だと格闘要素は少ないが。
 ちなみに、背反な事象の例として、学校のクラスがある。よほど特殊な場合でなければ、1組に在籍していれば、2組や3組に在籍できない。

 そんなわけで、「相撲はスポーツでもあり、武道でもあり、格闘技でもある」と言えるが、個人的には武道>スポーツ>格闘技であって欲しい。
 しかし、勝利によって報酬を得るプロスポーツは、勝利がより重要になる。根本的な理由は異なるが、相手を倒し生き残るのが目的の格闘技(武術)と同じように「勝つことが第一」という傾向が強くなる。
 大相撲においては、ここ十数年富みに、上位者が変化技や張り手を駆使することが増えてきた。勝利や優勝という結果を最優先しているからである。
 この考えの言い訳として、「強さ」=「勝利」、「横綱は強くなければならない」=「横綱は勝たなければならない」がある。
 しかし、これは少し違う。ファンは横綱の相撲を見たいのであって、横綱の勝利を求めているわけではない。(私は「羽生名人の勝利を強く望んでいる」ので、“仰向いて唾”状態かもしれないが)
 横綱は“大相撲界の顔”としての責任がある。横綱が、魅力のない相撲、品位に欠ける所作を取れば、大相撲の人気は低落する(私は、最近の大相撲人気が不思議で仕方がない)。優勝賞金とは別に高い給料も貰っているはずだ。

 「大相撲は格闘技だから、張り手は当然だ」という考えもある。
 しかし、冒頭とは矛盾するが、「相撲は格闘技ではない」この場合の「格闘技」は「狭義での格闘技」である。
 相撲の勝利条件は「相手を土俵の外へ出す」か「相手の足の裏以外の体の部位を土俵につけるか」で「相手を倒す」ではない。相手にダメージを与えるのではなく、“力比べ”と言って良いだろう。
 「張り手」は「相手の機先を制して優位に立つ」手段であって、「ダメージを与えて倒したり、優位に立つ」ものではない。 

 張り手も変化技も「反則を犯さなければ、堂々の勝利である」という考えもある。
 これは「スポーツ」としての観点からでは、なかなか反論は難しい。しかし、武道という観点では、「精神に反する」ということができる。それと、先述した“大相撲界の顔”としての「魅力」の観点から反論できる。


 さて、今日の記事の動機は
「白鵬の立ち合いが、あまりにも危険」
ということ。

今日の勢(いきおい)戦
 立ち合い後、左手で張り手(強いものではない)で機先を制した直後、右腕で「かち上げ」。
 「かち上げ」とは、「前腕を胸に構えた体勢から相手の胸にめがけてぶちかましを行うなどの形を取る。相手の体を起こすことや相手をぐらつかせること、相手を後退させることや相手の肩に当たることで差し手を取る隙を作るなどの目的で使用され、本質的に突き押しの技術である」(ウィキペディアより)
 白鵬のかち上げは、右腕の肘に近い部分(一番硬く鋭い肘ではないが)をフック気味に相手の顎を目がけてぶちかます。“肘打ち”に近い 
 この「肘打ちに近いかち上げ」が、最初の張り手で訳の分からなくなった勢関の顎に炸裂!
 脳震盪を起こした勢は、土俵に崩れ落ちた。

 この「張り手&かち上げ」の立ち合いは、対琴勇輝戦でも見られた、幸い、琴勇輝がもろ手突きをしたので、かち上げは直撃しなかったが。


 大相撲の人気が下降するのは構わない(低落すべきだと思っている)が、この白鵬の立ち合いの複合技や、日馬富士、鶴竜、豪栄道の張り手を規制しないと、土俵上で悲しい事故が起きてしまう可能性大である。
 今場所、やたら「“立ち合い”時に両手をしっかりつけること」の指導が厳しいが、指導の方向がおかしい。
 張り手やかち上げの本来の使用法とは逸脱しているので、「張り手やかち上げはルール内」という考えは誤りである。

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