前回は、ルール範囲内、あるいは、ハッキリ禁止されていない範囲(いわゆる“マナー”問題)での勝利優先と考えられる行為について考察しました。
今回は、若干横道に逸れる気がしますが、“反則周辺のテクニック”について考察します。
(申し訳ありません。将棋とは全く重ならない話になってしまいました)
Ⅱ.反則周辺のテクニック
前回は『「ルール内」ということ』だったので、今回は「ルール外」=「反則」ということになるが、反則にもいろいろ種類がある。
①バイオレーション
「バイオレーション」はバスケットボールの用語で、トラベリングやダブルドリブルやオーバータイムなど技術的ミスによる反則ですがが、概念を表す言葉として都合がいいので、代表して使用します。
バレーボールならダブルコンタクト(ドリブル)、ロングコンタクト(ホールディング)、タッチネットなど、サッカーならオフサイド、ラグビーならノックオン、スローフォワードがこれに当たる。
これらは、意図的ではなく、技術的やうっかりミスに起因するもので、戦術や戦略にはほぼ無関係なので、今回の議論とはほぼ無関係なのだが、“反則周辺のテクニック”に若干関係がある。
②ファウル
バスケットボールでは、相手のプレーを阻害する肉体的接触行為を言う(バスケットボールは基本的に体の接触は禁じられているが、過度にならないポジションの取り合いや壁のように移動しないで相手の進路を妨害すること(スクリーン)などは認められている)プッシング、ホールディング(相手の体をつかむ)などがこれに当たる。
バレーボールはネットで区切られているので接触プレーはなく、ここで定義しているファウルはないと思われる。
サッカーにおいては、過度なスライディングタックルや、ボールではなく相手選手に働きかける阻害行為(トリッピング、キッキング、プッシング、ホールディング)が該当する。
このファールは偶発的に起こる場合もあるが、意図したより程度が強くなってしまう場合や故意の場合など、総じて意図的にアクションを起こすモノが多い。
どのケースでも、多発するとゲームが成り立たないし、重篤な怪我にもつながることもあり、ファウルはない方が良い。
ただ、戦術的なファウルも存在する。例えば、バスケットボールでは終盤にファウルして相手のフリースローのミスを期待することがある。相手のオフェンスで残り時間が減るのを避ける意味もある。強力な攻撃力を持つがフリースローが苦手なシャキール・オニールに意図的にファウルをした『ハック・ア・シャック 』が有名(もともと、マーベリックスのドン・ネルソンHCがシカゴ・ブルズに用いた戦術)。
また、ダンクシュートを決められて相手チームの士気が上がるのを避けるために、強引に相手選手を抱えて制止させる場合もある。(アマチュアの試合では、露骨にこのプレーを行うとアン・スポーツマン・ライク・ファウルを取られる)
同じ戦術的ファウルでも、ダーティーなファウルも存在する。
相手の主力プレイヤーにわざとファウルをして精神的な乱れを誘う。さらに、多少痛める(負傷させる)ことが目的でファウルを犯す悪質な場合もある。
これで思い出すのは、昨年のワールドカップサッカーで、ブラジルのエース・ネイマールが相手チームから過度なタックル(膝蹴り)を受け、第3脊椎を骨折したこと。
選手生命を脅かすほど、あるいは、試合続行不能の負傷を追わせる意図はなかったと思いたいが、とにかく、痛めつけるのが目的としか思えないプレーであった。
③審判を欺くテクニック
これには、審判の死角を利用するなどの「反則を犯しているのにそう思わせないテクニック」とオーバーアクションなどで「相手が反則を犯したと思わせるテクニック」がある。
前者はNBAのジョンストックトンが定評があった(Wリーグの矢野良子選手も上手いと私は思っている)。
後者もバスケットボールでよく使用される。ただ、この場合はダーティーと言うより、オフェンスとディフェンスとではオフェンス寄りのジャッジがされるバスケットボールにおいては、ディフェンス側の正当なテクニックのように思える。それに、バスケットの場合、そのほとんどがディフェンス側はある程度押されており、それをアピールしているだけで、審判を欺いているわけではない。
サッカーの場合はバスケットと異なり、オフェンス側が倒れた場合、それが完全にジェスチャーだと判断されれば、「シミュレーション」(反則)を取られ、イエローカードを出される(レッドカードだったかも)。
バレーボールや野球においても、反則には拘わらないが、これに類する行為はある。
「ボールに触れているのに素知らぬ顔をする」(バレーボール)、「タッチしていないのにタッチした振りをする」(野球)などがそうである。
④不正行為
・ドーピング
薬物による肉体改造(興奮剤などで精神に作用する行為も含む)
・不正投球
ボールに傷をつけたり、唾液をつけたりして、変化球を投げること
・規制外の道具の使用
卓球のラケットの規定外のラバー、スキーのジャンプで過剰浮力を受けるスーツ、身長によって規定された長さを超えるスキー板
もっと大規模な不正行為もある。地元選手が有利になるような室内の空気調整が最近では有名。メジャーリーグのビジターのブルペンのマウンドの高さが、実際のマウンドの高さと微妙に異なるという噂もある。
バスケットボールの戦術的ファウルを除いて、ファウルや不正行為はない方がよい。また、審判を欺くテクニックも頻発すると、競技(ゲーム)の面白さを損なってしまう。
【続く】
今回は、若干横道に逸れる気がしますが、“反則周辺のテクニック”について考察します。
(申し訳ありません。将棋とは全く重ならない話になってしまいました)
Ⅱ.反則周辺のテクニック
前回は『「ルール内」ということ』だったので、今回は「ルール外」=「反則」ということになるが、反則にもいろいろ種類がある。
①バイオレーション
「バイオレーション」はバスケットボールの用語で、トラベリングやダブルドリブルやオーバータイムなど技術的ミスによる反則ですがが、概念を表す言葉として都合がいいので、代表して使用します。
バレーボールならダブルコンタクト(ドリブル)、ロングコンタクト(ホールディング)、タッチネットなど、サッカーならオフサイド、ラグビーならノックオン、スローフォワードがこれに当たる。
これらは、意図的ではなく、技術的やうっかりミスに起因するもので、戦術や戦略にはほぼ無関係なので、今回の議論とはほぼ無関係なのだが、“反則周辺のテクニック”に若干関係がある。
②ファウル
バスケットボールでは、相手のプレーを阻害する肉体的接触行為を言う(バスケットボールは基本的に体の接触は禁じられているが、過度にならないポジションの取り合いや壁のように移動しないで相手の進路を妨害すること(スクリーン)などは認められている)プッシング、ホールディング(相手の体をつかむ)などがこれに当たる。
バレーボールはネットで区切られているので接触プレーはなく、ここで定義しているファウルはないと思われる。
サッカーにおいては、過度なスライディングタックルや、ボールではなく相手選手に働きかける阻害行為(トリッピング、キッキング、プッシング、ホールディング)が該当する。
このファールは偶発的に起こる場合もあるが、意図したより程度が強くなってしまう場合や故意の場合など、総じて意図的にアクションを起こすモノが多い。
どのケースでも、多発するとゲームが成り立たないし、重篤な怪我にもつながることもあり、ファウルはない方が良い。
ただ、戦術的なファウルも存在する。例えば、バスケットボールでは終盤にファウルして相手のフリースローのミスを期待することがある。相手のオフェンスで残り時間が減るのを避ける意味もある。強力な攻撃力を持つがフリースローが苦手なシャキール・オニールに意図的にファウルをした『ハック・ア・シャック 』が有名(もともと、マーベリックスのドン・ネルソンHCがシカゴ・ブルズに用いた戦術)。
また、ダンクシュートを決められて相手チームの士気が上がるのを避けるために、強引に相手選手を抱えて制止させる場合もある。(アマチュアの試合では、露骨にこのプレーを行うとアン・スポーツマン・ライク・ファウルを取られる)
同じ戦術的ファウルでも、ダーティーなファウルも存在する。
相手の主力プレイヤーにわざとファウルをして精神的な乱れを誘う。さらに、多少痛める(負傷させる)ことが目的でファウルを犯す悪質な場合もある。
これで思い出すのは、昨年のワールドカップサッカーで、ブラジルのエース・ネイマールが相手チームから過度なタックル(膝蹴り)を受け、第3脊椎を骨折したこと。
選手生命を脅かすほど、あるいは、試合続行不能の負傷を追わせる意図はなかったと思いたいが、とにかく、痛めつけるのが目的としか思えないプレーであった。
③審判を欺くテクニック
これには、審判の死角を利用するなどの「反則を犯しているのにそう思わせないテクニック」とオーバーアクションなどで「相手が反則を犯したと思わせるテクニック」がある。
前者はNBAのジョンストックトンが定評があった(Wリーグの矢野良子選手も上手いと私は思っている)。
後者もバスケットボールでよく使用される。ただ、この場合はダーティーと言うより、オフェンスとディフェンスとではオフェンス寄りのジャッジがされるバスケットボールにおいては、ディフェンス側の正当なテクニックのように思える。それに、バスケットの場合、そのほとんどがディフェンス側はある程度押されており、それをアピールしているだけで、審判を欺いているわけではない。
サッカーの場合はバスケットと異なり、オフェンス側が倒れた場合、それが完全にジェスチャーだと判断されれば、「シミュレーション」(反則)を取られ、イエローカードを出される(レッドカードだったかも)。
バレーボールや野球においても、反則には拘わらないが、これに類する行為はある。
「ボールに触れているのに素知らぬ顔をする」(バレーボール)、「タッチしていないのにタッチした振りをする」(野球)などがそうである。
④不正行為
・ドーピング
薬物による肉体改造(興奮剤などで精神に作用する行為も含む)
・不正投球
ボールに傷をつけたり、唾液をつけたりして、変化球を投げること
・規制外の道具の使用
卓球のラケットの規定外のラバー、スキーのジャンプで過剰浮力を受けるスーツ、身長によって規定された長さを超えるスキー板
もっと大規模な不正行為もある。地元選手が有利になるような室内の空気調整が最近では有名。メジャーリーグのビジターのブルペンのマウンドの高さが、実際のマウンドの高さと微妙に異なるという噂もある。
バスケットボールの戦術的ファウルを除いて、ファウルや不正行為はない方がよい。また、審判を欺くテクニックも頻発すると、競技(ゲーム)の面白さを損なってしまう。
【続く】