goo blog サービス終了のお知らせ 

英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

第72期名人戦 第4局 その2「勝利の端歩突き」

2014-05-24 20:01:17 | 将棋
勝利の端歩突き
 右辺での戦いの最中の△9五歩だった。


 美濃囲いに対する端歩突きならともかく、玉が7九に居る局面では、次に△9六歩と取り込まなければ脅威とならない。もっと言うならば、玉が8八に追われない限り、もう1手△9七歩成として、さらにもう1手指さないと直接先手玉に手が掛からない。
 戦局は右辺での戦いをしっかり受け止めてはいるが、先手陣は手つかずである。緩手になりかねない端歩突きである。

 しかし、森内名人は「端歩の取り込みより厳しい攻めが先手にはない」と見切っていた。こういう見切っての端歩突きは、森内名人、渡辺二冠によく見られる。………『勝利の端歩突き』である。
 まあ、本局の場合、余裕で端歩突きが入りそうだ。1歩得が先手の拠り所の主因だったはずだが、桂銀交換の駒損(後手は歩損と歩切れではある)になってしまっている。その分、攻め込んでいれば帳尻は合うが、端歩を突く前の局面で言うと、手番が相手のうえ、2六に垂れ歩まである。第1図から第2図、先手の攻めが後退している印象だ。


堂々と先を走る森内
 端歩突きを入れた後の△6五歩も堂々としている。2六歩の拠点を利して、△2七銀や△3五銀、あるいは△3五銀打などに食指が動くところだ。
 △6五歩と後手の攻撃陣に活が入ったので、羽生三冠もピッチを上げる。▲2三歩△同金を入れたのは、▲5六角と出た時に金当たりになるのと、▲2六飛に対する△2三歩も消している。
 しかし、△6五銀(第3図)に一旦▲4五角と途中下車しなければならない先手は辛い。


 ▲4五角に△3五銀も“本筋の手”と評された。

 ▲3六桂による銀取りをかわしつつ(先手が投じた3六の桂を無用にさせるのも大きい)、飛車取りの逆先。
 先手の飛角が2三に直通状態になり、▲2三角成△同歩▲2三飛成と強引に成り込む手を誘発するが、第3図の△6五銀を入れずに単に△3五銀と指した時より、▲4五角と途中下車させた(△6五銀の1手得)ことになり、気分の良い手順だ。


 森内名人の思惑通りに進んだが第5図………(続く


【関連記事】
第72期名人戦 第4局 1日目
第72期名人戦 第4局 その1「羽生の後悔、急かされた攻め」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする