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英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

「選挙無効」の判決

2013-03-27 23:24:37 | 時事
 先日(3月22日)に「1票の格差」という記事をアップしましたが、25日、ついに「選挙無効」の判決が下されました(詳しくは文末)。1票の重みの公平・不公平については、22日の記事で述べたので、ここでは申しません。
 しかし、その判決の根拠が、私には納得いかないので、再び取り上げます。
(ここでの私の主張は、「立法権と司法権の独立性」や「最高裁の違憲審査権」などをよく理解しておらず、私の主観によるところが多く、論理の中立性を書いたものと思います。かみしろさん、ご容赦ください)

 広島高裁・筏津順子裁判長は
「11年判決により国会は格差是正のための区割り改正を優先的に実行する国民への義務を負ったのに、昨年12月の衆院選までの期間内に是正しなかった」とし、選挙は違憲と判断している。
 まず、11年の最高裁大法廷では、09年衆院選を「違憲状態」としている。「違憲」と言わず、「違憲状態」とぼやかしたのは、「事情判決の法理」により選挙の無効を回避しするための表現であると考えられる。
 しかし、最近の広島高裁の判決以前の高裁の判決では、「違憲」とされる判決が相次いだ(しかし、それでも、「選挙無効」とはしなかった)。
 この広島高裁の判決を含めて、「違憲」と裁定されたその根拠に、11年の最高裁判決で「違憲状態」とされ、国会が区割り是正の義務を負ったにも拘らずそれを実行しなかったという実情を挙げているが、先日の記事でも述べたように、1票の格差が何倍以下なら合憲なのかを示していない

 それなのに、「選挙無効」とまで判決を下している。
 その判決の根拠は、「1票の格差は09年衆院選時の最大2・30倍から同2・43倍に拡大しており、最高裁の違憲審査権が軽視されていると言わざるを得ず、もはや憲法上許されない事態だ」
 格差が拡大している実情を指して、「最高裁の違憲審査権が軽視されている」とし、「選挙無効」と断じた。
 しかし、この論理はおかしい。
 「1票の格差が違憲」→「選挙無効」という論理なら正当だと思うが、これでは、司法権が軽視されたので、それは許されないから「無効」にしたという報復措置ではないのだろうか?

 前回記事のコメントレスでも述べたが、広島選挙区の選挙を無効にしても全国的には、1票の格差が是正されたことにならず、1票が重い福井や島根、高知、徳島などについても言及しないといけないのではないか?
 広島の候補者は、福井などより厳しい条件(本来なら現状より多い当選者がいなければならない)をクリアして当選した。なのに、福井がそのままで広島が選挙やり直しの方向(実際は上告されて判決は確定しない)というのは、不合理である。
 この判決に対する街の有権者の声
「選挙の前に、(見直しを)すればいいこと」
「他の選挙区と比べるのはナンセンス。選挙をやり直しても、結果が変わるとは思えないので、そのままでもいいんじゃないか」

 裁判所や弁護士は懸命になっているが、一般的な認識は重大にとらえていないのではないか?

 「何千万の票を無効」と言い切る裁判官様、その覚悟と根拠を示していただきたい。
 氏の裁断によって、区割り見直しの動きが早まったのは確かである。ただ、それが氏の功績と認識されてしまうことに、非常に抵抗を感じる。
 


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昨年の衆院選 初の無効判決…広島高裁 (2013年3月26日 読売新聞)
(リンク先が消滅していたり、アドレスが変更されていることが考えられるので、全文、ペーストしておきます)
 「1票の格差」が最大2・43倍だった昨年12月の衆院選について弁護士グループが広島1区、2区の選挙無効(やり直し)を求めた訴訟で、広島高裁(筏津いかだつ順子裁判長)は25日、「違憲、無効」とする判決を言い渡した。ただし、無効の効力は一定期間後に生じる将来効の考えを適用し、衆院選挙制度改革関連法の施行1年を経過した今年11月27日以降とした。現憲法下で国政選挙を無効とする司法判断は初めて。被告の広島県選管は上告する見通し。

 過去の同種訴訟では、選挙を「違憲」とした場合でも、公益に与える影響を考慮して原告の請求を棄却できるとした「事情判決の法理」により無効を回避してきた。しかし、筏津裁判長は「1票の格差は広がっており、最高裁の違憲審査権が軽視されている」と指摘、事情判決は相当ではないと結論づけた。

 政府は小選挙区の「0増5減」に伴う区割りの見直し案を28日に公表する予定だが、是正措置が取られても、この判決が確定すれば両区の選挙は11月27日に無効となる。

 1票の格差を巡っては、最高裁大法廷が2011年3月、09年衆院選を「違憲状態」とし、各都道府県に1議席ずつ配分して残りを人口比で割り振る「1人別枠方式」の廃止を求めた。国会は昨年11月、同方式を廃止し、小選挙区を「0増5減」する改革関連法を成立させたが、区割りを見直さずに選挙が行われた。

 これを踏まえ、今回の訴訟では、〈1〉11年判決から選挙までの国会の対応をどう評価するか〈2〉選挙が違憲である場合、無効とすべきか――が主な争点だった。

 筏津裁判長はまず、11年判決により国会は格差是正のための区割り改正を優先的に実行する国民への義務を負ったのに、昨年12月の衆院選までの期間内に是正しなかったとし、選挙は違憲と判断。被告側は、区割りには一定の時間が必要だと主張したが、「政党間で意見の対立が激しかった定数削減も同時に議論したためだ」と切り捨てた。

 続いて、選挙を無効とすべきかどうかを検討。

 筏津裁判長は、1票の格差は09年衆院選時の最大2・30倍から同2・43倍に拡大しており、「最高裁の違憲審査権が軽視されていると言わざるを得ず、もはや憲法上許されない事態だ」として選挙は無効とした。

 その上で、「選挙を直ちに無効とすると、当該選挙区の議員がいない状態で区割り規定の是正をしなければならず、相当ではない」と判断。改革関連法に基づいて区割りの改定作業が始まっていることから、施行1年の経過後、初めて無効の効力が生じるとした。

 広島県選管の橋本宗利委員長の話「国とも協議のうえ今後の方針を決定したい」
(2013年3月26日 読売新聞)
コメント (44)
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