英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『相棒 eleven』 第18話「BIRTHDAY」

2013-03-14 20:34:52 | ドラマ・映画
 少年の行方不明、謎の家出少女、強盗殺人容疑者の逃走、不審な放置状態の不在住宅、ひき逃げされた奇妙な遺体、やたら豪華な誕生パーティー………と、無関係な謎が徐々につながっていくという、『相棒』の一つのパターンで、観ていて面白かった。
 場面や時間がバラバラに見せられるので、マルチサイトのアドベンチャーゲームのようなワクワク感、ジグゾーパズルのピースが嵌められていって全貌が見えてくる緩やかな爽快感があった。

 しかし、全貌がわかり、順序立てて事象を視ると、少年の病気以外は平易なストーリーだったように思えてくる。
 さらに、謎解きパズル性を高めたため、細かな点で不自然さが生じていた。
 特に、右京を事件に絡めるための無理が目立った


 謎の家出少女は少年の姉で、すでに病気で亡くなっていたようだ。その姉が少年の危機を右京に救ってもらうため、右京の前に現れたのだった。
 脚本家の立場としては、それによって右京をさり気なく事件に絡ませたかったのだろうが、霊という考えようによってはオールマイティな存在を登場させるのはどうなのだろう。
 現実的で論理的な右京、しかし、それ故、その逆の存在を求めたいのであろうか、右京は日ごろから霊魂や幽霊などの存在を信じたいと思っており、切望してやまないという態度を見せているので、幽霊が登場するのもありなのかもしれない。
 しかし、今回、あれだけ幽霊と接近遭遇したが、当の右京は全くそれを認知しなかった。となると、この脚本家は右京の幽霊切望という設定に関しては深く考えず、右京を事件に絡ませるため幽霊少女を登場させただけなのであろう。
 そもそも、弟の危機を救うために出現したのなら、直接はっきりと助けを求める方がはるかに確実である。


 強盗殺人容疑者はどうしようもない奴という設定。嘘をつかれたということに激情し、少年の前で老女(と呼ぶには若々しいが)を絞殺そうとする。また、少年に老女と少年の死体を埋める穴を掘らせる。また、裕福で幸せそうな少年を妬み、そのプレゼントを無茶苦茶に踏みつけるなど、非道ぶりを発揮させる。そのとんでもない奴が、少年の背負っていた病気や健気さを知り改心し、少年を救おうとするというしみじみストーリーというのも、今回の根ありだったと考えられる。
 しかし、老女の首を絞めたのは分かるとして、発覚を恐れ、死体(死んでいなかったが)を山中に埋めようとするのは不自然。すでに、ノーマーク状態ならこの行動も意味があるが、追跡の網の目を絞られている状況では無意味のように思える。却って足がつくと言える。
 少年に靴を履かせず連れ出すというのは、逃亡させにくいという面もあるが、これも右京の推理を導くためなのだろうか。それに、小学生に穴を掘らせるのは効率が悪すぎだろう。

 ひき逃げ事件の遺留品の手製のクリームを、米沢さんが享に舐めさせたのは、後にバラバラの事象をその味によって、享が結びつけるためのものだが、やはり不自然。

 最後の心肺停止も盛り上げ過ぎ。どのくらい停止していたのだろう?それによる後遺症が心配。盛り上げるためと、少年の誕生日としての重みをつけるためなのかもしれないが、都合がよすぎる展開で、現実味が薄れた。

 面白ければいいという考え方もあるが、そういう粗さが許されないのが、『相棒』のつらいところである。

 今回一番面白かったのが、誕生日をひとりで過ごすのが寂しい甲斐峯秋(石坂浩二)警察庁次長と、そういう心情に疎い右京、それをズバズバ指摘する少女らの会話だったかもしれない。

 

【ストーリー】番組サイトより
 右京(水谷豊)が「花の里」へと向かうと、店の前で自らを「家出少女」と名乗る小学校低学年くらいの女の子と出会う。右京は享を呼び出し少女を自宅まで送ることに。少女は自宅マンション近くで降りると、いつの間にかオートロックで施錠されているマンションのエントランスの中へ。

 苦笑しながらマンションを出てふと見ると、右京はマンションの目の前にある不審な一軒家を見つける。近隣の聞き込みで江美子(左時枝)という卓球のコーチをしているしっかり者の老婆が一人で住んでいることがわかるが、しっかり者の老婆が鍵もかけずに外出するだろうか。

 そのころ、ある夫婦から12歳の誕生日を迎える息子の隼人(加藤清史郎)が家に戻らない、と交番に通報が入る。夫は財務省に勤務する官僚・鷲尾武弘(古川悦史)。12歳の誕生日にしては、派手なパーティーの準備がされていた。武弘・美鈴(古村比呂)夫妻から話を聞いた巡査たちは、12歳にもなってこんなに派手な誕生祝いをしてもらうような家庭なのだから、過保護が災いしたのでは、と陰口をたたく。

 一方、伊丹(川原和久)ら捜査一課は、強盗殺人容疑で指名手配されている大場(榊英雄)をかくまっていた恋人・咲子(中村真知子)の自宅へ。が、大場は咲子に追い出され、すでにどこかへと逃げた後だった。やけになって他人を巻き込むのではないか、と心配する咲子だったが…。

 老婆・江美子の失踪と、少年・隼人の行方不明、そして強盗殺人容疑者の逃走…。一見、無関係な3つの事件の関連とは? その不可思議な結末とは!?

ゲスト:加藤清史郎 左時枝 榊英雄

脚本:古沢良太
監督:橋本一
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする