カンボジア経済

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カンボジア経済2013年10大ニュース

2013年12月30日 | 経済
 2013年も押し詰まりました。カンボジア総合研究所チーフエコノミスト鈴木博の選ぶ「カンボジア経済2013年10大ニュース」です。

第1位 国民議会総選挙 与党人民党が辛勝
 7月28日にカンボジア国民議会総選挙が実施されました。今回の選挙では、第1野党の救国党がどこまで議席を伸ばすかが焦点となりました。与党人民党が68議席、野党が55議席となり、人民党が大きく議席を減らしたものの単独過半数を維持しました。

第2位 野党救国党が躍進 再選挙を求めて抗議行動続く
 野党の救国党は、選挙には不正があったと批判しており、再選挙、フン・セン首相の辞任等を求めて、大規模な抗議行動を続けています。9月7日にはプノンペン市内で1万人規模の抗議集会を実施しました。また、9月23日に召集された国会への出席をボイコットしています。12月には、プノンペンで連日デモを行っています。デモは平穏に行われ、大きな混乱は起きていませんが、プノンペン市内の交通が麻痺状況となる等の影響が出ています。また、ベトナム国境近くの経済特区では、最低賃金の即時倍増等を求めるストライキも起きています。

第3位 故シアヌーク前国王 厳粛な葬儀
 カンボジアの建国の父とも言われる故シアヌーク前国王陛下のご遺体は、2月1日に王宮を出発し、プノンペン市内を回られた後、今回の葬儀のために新設された斎場に移されました。沿道には、100万人とも言われる国民が出迎え、涙を流すご婦人方も多数いらっしゃいました。葬列には、3軍に加え、様々な部族や関係者が加わり、1万人以上が並びました。2月4日にご遺体は荼毘に付され、遺骨はメコン河に散骨されました。

第4位 安倍首相、フン・セン首相相互訪問 過去最大の円借款を供与
 11月16日、安倍総理大臣はカンボジアを訪問しました。まず、1993年に国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)の文民警察官として活動中、武装集団に殺害された高田晴行警視の慰霊碑とUNTACの選挙監視要員として活動中に殺害された中田厚仁さんの慰霊碑を訪れ献花を行いました。また、フン・セン首相と会談しました。この中で安倍総理大臣は、日本の安全保障政策や、カンボジアの経済発展に向け、ODA等を通じて、日本が引き続きインフラ整備や教育支援などを行うこと、日本企業の進出を後押しするため、官民合同で投資環境の整備を進めること、それに日本の先進的な医療技術や制度を生かし、カンボジアの医療の向上に協力していくこと等を確認しました。
 12月15日には、東京を訪れたフン・セン首相と首脳会談が行われました。両首脳は、両国関係を従来の「新たなパートナーシップ」から「戦略的パートナーシップ」へと格上げし、今後地域・国際場裡の課題に関しても一層緊密に連携・協力していくことで一致しました。更に、南部経済回廊の整備等の連結性強化に向けた道路整備支援、投資促進に資する首都圏送配電網整備支援、及び貧困削減対策として灌漑排水施設改修・改良支援の分野で新たに3件138億円の円借款供与を決定したと安倍首相より表明されました。金額的にも過去最大規模の円借款供与であり、また、まとめて3件という件数も初めてのことです。

第5位 銃撃等で邦人被害
 プノンペン、バンケンコン地区288通りで3月3日午前1時10分ごろ、日本人男性が2人組の強盗に銃撃されて死亡しました。殺害されたのは、広島市西区の会社経営、北倉幸生さん(44)で、ダンスクラブからトゥクトゥクに乗って滞在先のアパート前に戻ったところを、バイクに乗った2人組に襲われた模様です。抵抗するうちに撃たれ、病院に運ばれる途中に死亡しました。
 また、プノンペンで9月28日、夜8時ごろ日本人姉妹がナイトマーケットを観光した後、2人組の犯人に鞄を盗まれそうになり、抵抗したところ、左足の太ももを銃撃され負傷しました。
 この他、バイクによる死亡事故やアンコール遺跡からの転落事故等も起きています。お気を付け下さい。

第6位 プレアビヒア寺院周辺領有権 国際司法裁判所でカンボジア勝訴判決
 オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)は11月11日、世界遺跡「プレアビヒア寺院」遺跡周辺のカンボジアとタイの国境紛争に関する裁判で、遺跡がカンボジア主権下の領土に位置することを認めた1962年の判決を保持するとした上で、遺跡が立つ高台一帯を カンボジア領であると認めました。国際司法裁判所の判決は、国際的にも重要であり、その遵守を求める圧力は高まるものと見られ、プレアビヒア周辺の安定化が期待されます。

第7位 カンボジアで世界遺産会議 富士山が世界遺産に決定
 第37回世界遺産委員会は、2013年6月17日から27日まで、プノンペンの首相府で開催されました。6月22日、委員会は、富士山(山梨、静岡両県)を世界文化遺産に登録することを正式決定しました。名称は「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」で、日本で17件目の世界遺産となりました。大変喜ばしいニュースです。

第8位 プノンペンに日本人学校設立へ 準備委員会始動
 6月1日、プノンペン日本人学校設立準備委員会が発足し、第一回会合がプノンペン補習授業校で行われました。プノンペン日本人学校は、2015年4月の開校をめざしています。
 昨年「プノンペン日本人学校設立準備委員会のための発起人会」が発足し、様々な準備を進めてこられました。タイの前例を調査するために在タイ日本大使館とバンコク日本人学校へシラチャ日本人学校設を訪問したり、文部科学省の日本人学校認可担当部署とカンボジアで面談する等して、様々な情報を収集し、日本人学校設立のために尽力されています。

第9位 日本のソフトパワー コスプレも大人気
 10月20日にプノンペンのカンボジア人材開発センター(CNJJ)で、「コミックパーティ60 イン プノンペン」が開催されました。タイ等からプロのコスプレイヤーも招いて、コスプレショー等が行われました。会場は、カンボジアの若い方々で一杯で大変盛り上がっていました。CJCCでは今年2月・7月にも同様のイベントを行っています。韓国のK-POPが人気を集めるカンボジアですが、こうした日本のソフトパワーが存在感を示すのは、両国の関係強化だけでなく、経済面からも大変重要であると見られます。

第10位 株価低迷 選挙の影響か
 カンボジア証券取引所に唯一上場しているプノンペン上水道公社の株価は引き続き低迷しており、9月23日についに5000リエルの大台を割り、26日には4800リエル(約1.2ドル)まで低下しました。IPO価格は6300リエル、最高値(2012年4月)は10300リエルでした。最近の出来高も1000ドル(約10万円)を下回るような少額の日が多く、9月は出来高がゼロの日も2日間ありました。
 プノンペン上水道公社の業績は引き続き順調であるため、今回の下落の要因は7月28日の国民議会選挙後の与野党対立の影響とみられます。この状況は、民間企業のIPO(新規株式公開)にも影響しており、今年IPOを予定している縫製企業2社は、IPOの時期を慎重に検討しているものと見られます。




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