カンボジア経済

カンボジアの経済について、お堅い数字の話から、グルメ情報といったやわらかい話まで、ビジネス関係の方にお役に立つブログです

ご質問への回答

2008年07月16日 | 経済
カンボジアラブさんから、以下のご質問を頂きました。自分なりに精一杯ご回答したいと思います。長くなって恐縮です。

質問1:カンボジア国民に対する世論調査で、クメールルージュ政権に対する裁判に賛成しない人が30%もいるようです。外部にいる日本人からみても、クメールルージュは陰惨な出来事なのに、なぜ、当事者の彼らの中に「当然裁判にかけるべき」だという意見の人がいるのでしょう?

答1:最新の世論調査(詳細はこのブログの7月2日版をご覧ください)によりますと、クメールルージュ裁判については、すごく同意できない3%。どちらかと言うと同意できない2%の合計5%が、賛成できない人の比率かと思います。賛成できない人がいる理由としては、クメールルージュは、一時期カンボジアの政権を握っていたこともあり、この政権の下で働いていた人、協力していた人もまだ数多くいる現状に思いをはせる必要があるかと思います。
最新の世論調査結果(英文):44ページをご覧ください。
http://cambodia.usembassy.gov/uploads/images/1BGqKjUNhu_pPXKM0hFeTA/PublicPoll2008.pdf

質問2:カンボジア国民はGDPの10%に及ぶ海外からの資金流入に支えられて1990年代復興してきたそうですが、資金が減って、復興のスピードが失速したそうですね。何が原因で、いまだに繊維以上の産業が成長していないのでしょうか? 明らかに中国や韓国に競争力で負けている産業なので、今後の交易戦略はどうなっていくのか心配です。

答2:IMF発表の成長率を見ると、2000年代に入り、ASEAN諸国の中で、カンボジアは最も高いレベルの成長率を続けています。カンボジア経済は、マクロ的に見ると「絶好調」を続けてきたと言えます。ちなみにGDP成長率は、2003年8.5%、2004年10.3%、2005年13.3%、2006年10.8%、2007年9.6%です。
繊維・縫製産業については、中国や韓国が人件費の高騰で高付加価値製品にシフトする中で、カンボジアは今のところ低価格品を中心に、バングラデシュと競いながら、世界でも最も高い競争力を維持しています。これは、先進各国による特恵関税制度(GSP)によるところも大きいかと思います。
今後は、日本企業に代表される機械・電気等の製造業の直接投資を契機として、産業の多角化が必要かと思いますが、カンボジア政府も支援各国もこの方向で努力しています。このブログでも、いろいろと書いていますので、バックナンバーをご参照ください。

質問3:汚職もひどいといううわさを聞きます。海外からの支援の1/3しか国民に回らず、残りは汚職政治家や官僚がポケットにいれてしまうというのは、今でもかわらないんですか?もし、本当なら ひどい話です。

答3:汚職の問題は、一朝一夕には解決しないので、地道な改革努力を継続する必要がありますが、カンボジア政府は「四辺形戦略」で、この問題を最も重要なコア課題として、取り組むとしています。また、各国・国際機関も、この問題への対応を強力に支援しています。
ところで、「海外からの支援の1/3しか国民に回らず」という数字は、本当かな?と思います。この数字の根拠はどこなのでしょうか。

質問4:Jackおじちゃんサンのblogの情報や写真からは、カンボジアの都心は発展していて、NPOの人から聞かされている「一本道を入ると格差が歴然としているのがわかる(発展しているのは都市の一部だけで、それ以外は、発展が遅れている)」という自分のイメージと全く違って驚きました。
もっと 詳しく、現地の状況を知りたいです。

答4:何はともかく、是非、ご自身でカンボジアを見ていただけばと思います。
ただ、私が見てきたところでは、カンボジアはごく普通のアジアの国です。プノンペン等の都市にはお金持ちもいますし、農村部には貧乏だけれど明るく生きる人々もいます。なお、カンボジアのジニ係数(2004年)は、41.7で、タイ(42.0)と同程度、米国(45.0)よりは相当良いというところです。
 なお、カンボジアについての日本語ブログはたくさんあるようです。
 ブログ村(カンボジア情報):カンボジアについてのブログのランキングです。
http://overseas.blogmura.com/cambodia/

質問5:以上のような素朴な疑問に対する回答について、信憑性の高い情報をえようとすると、どういう調べ方をしたらいいのでしょうか?

答5:NHK大河ドラマの篤姫のお母さんも「一方聞いて沙汰するな」と言われています。
http://www.nhk.or.jp/taiga/topics/word05/index.html
 少女マンガ雑誌のりぼんに連載していた「空くんの手紙」のなかには、「それは事実だけれど、真実ではない。」という私の好きな台詞もあります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A9%BA%E3%81%8F%E3%82%93%E3%81%AE%E6%89%8B%E7%B4%99
是非、ご自身でいろいろなところから情報を得て、総合的に「真実」を判断して頂ければと思います。
コメント (1)
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