世界一周タビスト、かじえいせいの『旅が人生の大切なことを教えてくれた』 

世界一周、2度の離婚、事業の失敗、大地震を乗り越え、コロナ禍でもしぶとく生き抜く『老春時代』の処世術

酒と女とギターと  ある起業家ミュージシャンの生き様

2012年01月15日 | 人生
33年来の友人である。




彼は福岡に住んでいる。



33年前、


ボクが阿蘇でペンションを始めた時、




かれは


フラ~ッとやってきた。





片手にはギターケース、



もう一方の手には


飲みかけのウィスキーのボトルが。





そして


後ろには



若い女性が恥ずかしそうに



うつむき加減で立っていた。







それ以来


ボクの知るところでは



かれは




4つの会社を興し、



4人の女性と結婚した。





そして







4つの会社と、



4人の女性を手放し





酒も断った。






ただ、



ギターと歌だけは




いつも


彼のもとにあった。







そして今、



かれは


過去を想う。








生まれ故郷



佐世保を訪ね、





前妻(たぶん最初の)との間に生まれた


息子と娘の二人の子供の所在を知る。




ともに美容師として働いていた。





何を今更と


拒まれることを承知で




勇気を絞って


会いに行った。






快く迎えてくれた息子から



娘が半年前に渡米したと聞く。






彼は


息子から教えてもらった住所を頼りに




娘のいるロスへ飛んだ。




















話を33年前に戻そう。





当時彼は


某大手住宅会社に勤めていた。





優秀な営業マンだった。



当時


数年付き合った若い女性とは



結局結ばれることはなかった。




彼には

すでに妻子がいたのだ。









その後



しばらく




音信が途絶えた。








アル中で


療養施設に入っていた。






しばらくして


かれは



立派に更生して



不動産業を始める。




そのころ


3度目の結婚。






同時に


司法書士の資格も取る。





そして



会社を興し


事務所を開設する。





一流ホテルで派手なパーティを開き


自ら企画したコンサートで歌いまくった。




飛ぶ鳥を落とす勢いだった。








ところが


ある日出社すると





取締役会で


社長を解任される羽目に。






だが

かれは




挫けなかった。




若い女性社員を引き連れ





再び


会社を興す。





その女性と結婚。





東京にも進出、





全国を飛び回り、



同時に


ライブハウスを中心に歌手活動を続ける。











そして



去年、




サラ金法の改正と



3・11の震災で





再び、



会社を追われ




4度目の離婚。







彼はひとり


故郷を訪ねたのだ。











いま、



子供を想う。






ロスに渡った娘と16年ぶりに再会する。






渡米の折


頼んだ業者に騙され、





つたない英語で


苦労をしているという。







娘を何とか助けたいと



かれは


言う。





今までの付けを払うつもりだと



漏らした。







だが


彼も海外経験は少ない。





ボクは


危うさを感じた。









無職、



一人身、




忍び寄る歳、




郷愁に浸る気持ちは


嫌というほど分かる。









「もう一花咲かせろよ」


と彼に言った。






あとは




「ボクでよかったら


力になるよ」



って答えるのが精いっぱいだった。







そう言いながら


返す刀で





自分に



その余力があるのかと



問いかけてみた。








明日は



わが身



を想いつつ。

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