にれっちのつれづれ日記

本州最北端の小児科医にれっちの独り言(^^)

「インフルエンザの検査を受けて来てください」は間違った指導です

2018-02-06 13:06:38 | 病気のはなし
「インフルエンザの検査を受けて来てください」という受診が未だに後を絶ちません。
毎年のように教育委員会に「受診を勧めることは大切だが、検査を求めることは間違っている」という申し入れをするのですが、なかなか改善がありません。
学校の先生達は、なぜ検査を求めるのでしょうか?
子ども達が罹っている疾患は、決してインフルエンザだけではありません。
溶連菌やマイコプラズマ、RS、ヒトメタニューモ、アデノ・・・様々な感染症が出ているのですから、インフルエンザさえ検査すればいいわけではないのです。
まるで子どもの状態より、報告書に数値を入れるために受診を促しているかの様態です。

ところで皆さんは、文部科学省が「学校において予防すべき感染症の解説」という冊子を出しているのをご存知でしょうか?
  >>> 詳しくはこちら(文部科学省HP)をご覧ください

この中には、
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4 学校保健安全法関係条文
○学校保健安全法(昭和三十三年法律第五十六号)
○学校保健安全法施行令(昭和三十三年政令第百七十四号)
○学校保健安全法施行規則(昭和三十三年文部省令第十八号)

○学校保健安全法  (出席停止)
第十九条 校長は、感染症にかかつており、かかつている疑いがあり、又はかかるおそれのある児童生徒等があるときは、政令で定めるところにより、出席を停止させることができる。
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2 学校における感染症への対応
(1)学校において予防すべき感染症の考え方   (第一種、第二種、第三種の感染症)
各感染症の出席停止の期間は、感染様式と疾患の特性を考慮して、人から人への感染力を 有する程度に病原体が排出されている期間を基準としている。
感染症の拡大を防ぐためには、患者は、
・他人に容易に感染させる状態の期間は集団の場を避けるようにすること
・健康が回復するまで治療や休養の時間を確保すること
が必要である。
なお、診断は、診察に当たった医師が身体症状及びその他の検査結果等を総合して、医学的知見に基づいて行われるものであり、学校から特定の検査等の実施(例えば、インフルエ ンザ迅速診断検査やノロウイルス検査)を全てに一律に求める必要はない。  
また、全員の皆勤をクラス目標に掲げている等の理由で、体調が優れず、本来であれば休養をとるべき児童生徒が出席するといったことがないよう、適切な指導が求められる。
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と、感染者のみならず、感染の疑いがあったり、感染の恐れある者であっても出席停止の措置ができること、検査の必要性は医師が判断するものである旨が明記されています。

診断・治療に寄与しない無駄な受診を勧めたり、検査陽性者が何%になったかを錦の御旗に措置を考えたりすることの無いように、今一度学校も保護者も医療従事者も、正しい知識を共有したいものですね。