にれっちのつれづれ日記

本州最北端の小児科医にれっちの独り言(^^)

「アレルギーがあるか検査したい」は全額自費になる可能性があります

2016-12-14 10:37:56 | 病気のはなし
年度末が近づいてくると「アレルギー検査希望」という問い合わせや受診が増えてきます。
保育園や学校などが、不正確な知識から「検査を受けてください」と指示している場合もあるようですが、厚労省や文科省が出しているマニュアルには「アレルギー疾患と診断された児に特別な配慮や管理が必要であると、保護者から申し出があった場合に生活管理指導表を医師に作成してもらう」となっていますので、単にアレルギーがあるというだけで生活管理指導表が必要になるわけではありません。
また除去の根拠についても「食物アレルギーを血液検査だけで診断することはできない。実際に起きた症状と食物負荷試験などの専門的な検査結果を組み合わせて医師が総合的に判断する。生活管理指導表にはアレルギー検査のデータ等は記載する必要はない」と明記されています。
食後に全身に蕁麻疹が出た、特定の食品・食物を摂取すると不快な症状が出るなど、食物アレルギーを疑わせる経過や症状がある場合には、診察の上で必要と判断すればアレルギー検査(血液によるRAST検査など)を行う場合がありますが、検査の陽性・陰性で病名や治療法が決まるわけではありません。
RAST検査は血中に特定の食物に対するIgE抗体があるかどうかを調べるものですが、IgE抗体の数値だけでアレルギー症状が出るかどうか、また出るとしてどの程度かが判断できるわけではなく、陽性でも全く症状がなかったり、陰性でも摂取ができない場合もあります。
また過去にはRAST検査で陽性になっただけで摂取禁止(除去食)という安易な対応がなされていた時代がありましたが、現在では食物アレルギーがあっても可能な限り摂取させる方向で治療するのが主流になってきています。
食物アレルギーの心配がある場合には、まずは主治医とよく相談をするようにしてください。
ちなみに、食物アレルギーが疑われる経過や症状がないのに検査を希望する場合には、健康診断と同様に健康保険がきかない自費診療となりますので、その点にもご注意ください。

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