にれっちのつれづれ日記

本州最北端の小児科医にれっちの独り言(^^)

絵に描いた餅の「世界一厳しい安全基準」なんていらない

2016-12-14 16:39:50 | つれづれ
東奥日報WEB版に出た記事です。

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「規制委、原燃に安全管理是正命令」
日本原燃による青森県の六ケ所ウラン濃縮工場の安全管理に組織的な問題が発覚したことに関し、原子力規制庁は14日午前、保安検査の結果を原子力規制委員会に報告した。石原準一副社長をトップとする全社組織「安全・品質本部」が9月、対応が終わっていない項目があるにもかかわらず、組織改正などで対応済みとする事実と異なる評価書を作成し、工藤健二社長や社内の監査室も見過ごしていたことが判明したとした。
規制委は「自ら定めた業務プロセスに沿わず、是正を妨げた極めて重大な問題」とし、原燃に原因究明と是正措置の報告を求める命令を出すことを決めた。
ウラン濃縮工場をめぐっては、2015年度の保安検査で放射性廃棄物の不適切な管理が発覚。さらに改善の主体となる社内組織が十分に機能していないことも分かり、規制委側が再三にわたって原燃に早期改善を求めていた。
規制庁による本年度第3回保安検査(11月21日~12月9日実施)では、安全・品質本部が事実と異なる評価書を作成し、意思決定過程の記録もないことを確認。14日の定例会合で規制委の田中俊一委員長は「(原燃の)組織全体に相当問題がある」とし、改善の必要性を強調した。
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机上の安全対策だけ積み重ねて避難計画の実施が現実的にできるかどうかも問わないような原子力規制委員会の「安全基準」も不十分だとは思いますが、嘘や出鱈目な管理を行ったのでは全く箸にも棒にも掛かりません。
やはり今の日本では原子力は持ってはいけない力のようですね。

「アレルギーがあるか検査したい」は全額自費になる可能性があります

2016-12-14 10:37:56 | 病気のはなし
年度末が近づいてくると「アレルギー検査希望」という問い合わせや受診が増えてきます。
保育園や学校などが、不正確な知識から「検査を受けてください」と指示している場合もあるようですが、厚労省や文科省が出しているマニュアルには「アレルギー疾患と診断された児に特別な配慮や管理が必要であると、保護者から申し出があった場合に生活管理指導表を医師に作成してもらう」となっていますので、単にアレルギーがあるというだけで生活管理指導表が必要になるわけではありません。
また除去の根拠についても「食物アレルギーを血液検査だけで診断することはできない。実際に起きた症状と食物負荷試験などの専門的な検査結果を組み合わせて医師が総合的に判断する。生活管理指導表にはアレルギー検査のデータ等は記載する必要はない」と明記されています。
食後に全身に蕁麻疹が出た、特定の食品・食物を摂取すると不快な症状が出るなど、食物アレルギーを疑わせる経過や症状がある場合には、診察の上で必要と判断すればアレルギー検査(血液によるRAST検査など)を行う場合がありますが、検査の陽性・陰性で病名や治療法が決まるわけではありません。
RAST検査は血中に特定の食物に対するIgE抗体があるかどうかを調べるものですが、IgE抗体の数値だけでアレルギー症状が出るかどうか、また出るとしてどの程度かが判断できるわけではなく、陽性でも全く症状がなかったり、陰性でも摂取ができない場合もあります。
また過去にはRAST検査で陽性になっただけで摂取禁止(除去食)という安易な対応がなされていた時代がありましたが、現在では食物アレルギーがあっても可能な限り摂取させる方向で治療するのが主流になってきています。
食物アレルギーの心配がある場合には、まずは主治医とよく相談をするようにしてください。
ちなみに、食物アレルギーが疑われる経過や症状がないのに検査を希望する場合には、健康診断と同様に健康保険がきかない自費診療となりますので、その点にもご注意ください。