goo blog サービス終了のお知らせ 

にれっちのつれづれ日記

本州最北端の小児科医にれっちの独り言(^^)

八戸でインフルエンザによる学年閉鎖

2019-10-18 16:01:35 | 病気のはなし
八戸市内の小学校・中学校それぞれ1校ずつで、インフルエンザによる学年閉鎖措置が取られました。
青森県の感染症発生状況でも東青・中南・三八・上北で既に発生報告が出ているので、下北での発生も間もなくだろうと考えられます。
予防接種は今週から始まったばかりですぐに効果は期待できないため、うがい・マスク・手洗いの励行と、体調不良時は無理せず登園・登校を控えることで感染を避けることが大事です。
もし高熱が出て感染を心配する場合、迅速検査が確実に陽性になるのは半日以上経過してからなので、ぐったり感があるなど症状が重い状態でなければ、慌てずに翌日の受診を考えましょう。

今年のインフルエンザは早くから流行か?

2019-10-04 10:44:27 | 病気のはなし
今年のインフルエンザ、青森県ではまだチラホラと報告が出ている程度のようですが、全国的には既に流行が始まっているようです。
厚生労働省のデータで見ると、9月22日までの1週間で全国約5,000の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は5,716人で、昨年同時期の668人に対して8.5倍にもなっていて、流行の目安とされる一医療機関あたりの患者数1.0人以上も、東京をはじめ10の都府県で既に超えたそうです。

こうしてTVなどで流行が報じられ始めると急増するのが、「インフルエンザかどうか、病院に行って検査を受けて来てください」という学校・園や職場の「指導」です。
確かにインフルエンザは他者への感染力が非常に強く、大きな流行をすることが分かってはいますが、発症したとしても軽症に経過する人も多く、さらには20-30%は症状の出ない不顕性感染であることも事実ですし、同じような症状で別の病気であることも少なくありません。
どんな疾患を疑い、どんな治療や対応が必要になるのか、診察でそれを見極めていくために、医師が必要と思えば様々な検査も行った上で、治療方針を決めていくのであって、学校や園、場合によっては保護者が気にしている疾患だけ検査すればいいわけではないのです。

もしインフルエンザが心配な時には、「学校・職場でインフルエンザが発生していると聞いたので心配です」などと、心配な点を伝えるようにしてください。
その情報も踏まえて、症状やその経過、診察しての所見などから最も疑わしい疾患を見立て、その際に鑑別をすべき疾患も考えたうえで、検査を行う必要性を検討します。

ちなみにインフルエンザ=重病でもありませんし、インフルエンザ罹患=抗インフルエンザ薬使用でもありませんから、病名に振り回されて慌てることなく、お子さんの状態をよく観察し、ぐったり感などあれば急いで、無ければ半日から1日おいて(鼻からの検査はこのくらいの時間がたった方が感度が良い)の受診をお勧めします。

インフルエンザ予防接種は10/15(火)から開始します。
予約は接種希望日の2週間前から受け付けていますので、今年は早めの接種を考えてくださいね。

一転しての猛暑!熱中症にご注意を!!

2019-07-29 07:47:03 | 病気のはなし
冷夏かと思いきや、ここにきて突然の猛暑、30度越え予報の連発です。
こういうパターンで心配されるのが熱中症です。
身体が十分に暑さになれていない状態なので、発汗を含めて体温調整(冷却)が上手くいかないことが予想されます。
こまめな水分・塩分補給はもちろんのこと、炎天下や高温下での長時間の運動や作業は避ける、室内でも積極的にエアコンを利用するなど、対策を講じましょう。
もしも熱中症が疑われるときは、涼しいところに移動させ、塩分・水分を十分に与え(意識がはっきりしないときはダメ)、全身の冷却(体に水をかけて扇風機などで風を当てるなど)をして、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
身体の冷却について、以前は首や脇の下・脚の付け根などを冷やすとよいとされていましたが、この部分だけが低温になるとかえって全身の発汗等が抑制されてしまうため、局所を冷却する場合には手のひらや足の裏の方が効果的というデータもあります。
楽しい夏休み、しっかり熱中症対策をして、元気に楽しんでくださいね。^-^

冷夏ですが、夏風邪にはご注意を

2019-07-22 17:15:56 | 病気のはなし
今年は冷夏、毎日肌寒くてまったく夏らしくありませんが、そんな中でも夏風邪、全国的に流行が言われていた手足口病が出始めました。
典型的(教科書的)には、手のひら・足の裏に水疱、膝・お尻に丘疹、口の中に口内炎ができ、発熱を伴うことやウイルス性髄膜炎になることもある病気なのですが、ここ数年はヘルパンギーナのように高熱が続いたり、水痘と間違うような全身の発疹(水疱を含む)が出たり、爪などの変形をきたしたり、脳炎・脳症や心筋炎、まひなどを伴ったりするが全国的に多発しているようです。
ウイルス性疾患なので特別な治療はなく、水分(口内炎があるので、本人が嫌がらないものを選んで)をこまめに与え、ゆっくりと休むのという対症療法が基本です。(水分も摂れない状態になったり、合併症が出たりした場合は、入院も必要になることがあります)
ウイルスは、見た目の症状が落ち着いた後も、口からは1-2週間、便からは3-4週間にわたって排出されるので、症状のある間だけ登園・登校を中止しても感染拡大を防ぐことはできないため、発熱がなく、水分や固形物を普段と同じように摂れる状態になれば登園・登校は可能です。
とは言っても、無理をして病気が良くなることは絶対にありませんから、まずは自宅でゆっくりさせて様子を見てあげましょうね。

いろいろな感染症が出てきています

2019-06-26 15:20:07 | 病気のはなし
東北地方も梅雨入りとなり、雨の日が増えて、ちょっと鬱陶しいですね。
こういう時期は体調管理がなかなか難しく、いろいろな感染症が広がりやすいので注意が必要です。
今流行しているのは、マイコプラズマ(気管支炎や肺炎)、アデノウイルス(扁桃炎や結膜炎)、胃腸炎などですが、全国的には手足口病も大流行の兆しのようです。
いずれの疾患も、軽症ならば特段の治療をしなくても(症状を和らげる薬程度で)数日で症状が落ち着いて行きますが、朝熱や咳が無くても、午後になって発熱したり、夕方から咳が増えてきたりと、昼間に頑張った分のしわ寄せが行くこともめずらしくありませんから、十分回復してきていないのに無理に登園登校をさせたりせずに、まずは自宅でゆっくり回復を待ってあげてくださいね。

夏の海外旅行、ポリオの感染にご注意を

2019-06-05 09:01:32 | 病気のはなし
この夏、海外旅行を計画している人もいることでしょう。
楽しい旅行が悲しい結果とならないように、海外での感染症等の流行にも気を付ける必要がありますね。
外務省の海外安全ホームページには、下記の情報が掲示されています。
是非ご一読ください。
  <<< 詳しくはここをクリック

**********************************************************************
世界保健機関(WHO)は,ポリオウイルスについて「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態」を宣言しています。
ポリオ発生国(インドネシア,パキスタン*,パプアニューギニア,アフガニスタン*,コンゴ民主共和国*,ソマリア*,ナイジェリア*,ニジェール*,モザンビーク)に渡航する人は,追加の予防接種を検討してください。

インフルエンザが再び増加傾向です

2019-03-11 12:45:02 | 病気のはなし
一旦終息に向かう気配があったインフルエンザですが、ここにきて再び増加傾向です。
検査では全てA型なのですが、今期は2009pdmと香港の2系統が共に出ているので、2回罹患する可能性も十分にありそうです。
それ以外でも、溶連菌、胃腸炎、その他の発熱疾患が散見されています。
これから卒園・卒業関連の行事等もあって多数が集まる機会が増えるため、一気に拡大することも懸念されます。
体調管理に注意し、体調不良時には無理な登園・登校は避けるようにしましょう。

胃腸炎が目立ってきました

2019-02-25 17:13:45 | 病気のはなし
インフルエンザがやや下火になったかなと思ったら、今度は胃腸炎が流行の様子です。
他院でノロの診断を受けたお子さんもいるようで、保育園や幼稚園を中心に広がりを見せ、小学生もチラホラという感じです。
大切なのは、まずは嘔気が落ち着くまでゆっくり胃腸を休ませてあげることです。
脱水を心配したり、本人が欲しがるからと言って、無理に水分を摂らせて嘔吐を繰り返しているケースが少なくありませんが、数時間も経てば嘔吐は落ち着くので、そこまで待ってあげましょう。
嘔吐が止まったようならば水分摂取開始になるのですが、「ペットボトルのキャップやティースプーン1杯」くらいから徐々に増やすようにしましょう。
ある程度の水分が摂れるようになったら食事もOKですが、赤ちゃんのお腹に戻ったと思って、消化に良いものをごく少量から始めてください。
ウイルスの排泄は、口からは1-2週間、便からは3-4週間続くとされているので、症状が落ち着いても、食器等の消毒、おむつ処理などに注意が必要です。
ウイルスの種類によって治療や家庭での対処法に違いが生ずるわけではないので、基本的にウイルス検査は不要ですが、ノロの場合はアルコール消毒は無効なので、ノロでも対処できるように、汚物は熱湯や塩素による消毒で対処してくださいね。

二度目のインフルエンザA型罹患に注意

2019-01-24 16:50:34 | 病気のはなし
インフルエンザが大ブレークし、下北地区も警報発令となりました。
現状では下北地区はすべてA型の報告(県内では一部でB型の報告もあり)ですが、県が行っているウイルス診断では、これまで圧倒的だったAH1pdm09に加えて、AH3(香港)が出てきているようです。
  >>> 青森県感染症発生状況はここをクリック
全国的には3種類の混合流行となっていて、ワンシーズンに2回のA型に罹患する人も増えているようです。
県内でも同じように複数流行となることが予想されるので、すでに1回(AH1pdm09)おそらく罹った人でも、再度A型やB型に罹ることもありますので、注意が必要です。
ワクチン接種をしないうちに罹ってしまった人であっても、ワクチンはA・Bの両型各2種の混合になっているので、未罹患のタイプへの対策として接種を検討してくださいね。

また、インフルエンザ様の経過でありながら、約1日が経過した時点での検査が陰性の人も散見されています。
インフルエンザが流行しているからと言って他の感染症が発生しないわけではないので、インフルエンザだけに注目し過ぎないことにも(患者さんだけではなく、我々医療者も)注意が必要ですね。
いずれにしろ、最も大切なのは病名ではなく病状ですから、症状・経過・所見をしっかり診て、適切な判断を心がけたいと思います。

診察前の「○○の検査希望」は医療保険のルール違反です

2019-01-16 18:30:27 | 病気のはなし
インフルエンザA型がとうとうブレークです。
年末からは大人中心の発生でしたが、ここにきて、保育園、学校を問わずに流行し始めました。
今流行中なのは2009年に大流行したH1N1pdm09ですが、発熱は比較的軽め(最高温度、持続日数とも)のようです。
ただ、熱が下がったころから咳が強くなる様子がありますから、しっかり加湿をして、水分を十分にとって、ゆっくり休むことが大切です。

こうした流行期に入ると、診察前に記入してもらう問診票に「インフルエンザ検査希望」とか、「学校(職場)でインフルエンザ検査を受けるよう言われた」などと書かれていることがあります。
家族がインフルエンザに罹っていないかと心配する気持ちや、学校や職場が流行を懸念していることは理解できますが、これは医療保険制度上はルール違反になります。
診察を受ける前に特定の検査することを強く希望される場合には、健康診断と同様の扱いとなり、診療に関わる全ての費用(診察料や処方箋料なども)が自己負担となってしまうのです。

インフルエンザ流行期に発熱があったとしても、他の疾患によるものかもしれませんから、医療機関としては、インフルエンザのみをチェックすればいいわけではありません。
実際に、溶連菌やマイコプラズマ、アデノウイルス、RSウイルスなどによる発熱や咳であることも少なくはありません。
そのため、症状やその経過、診察しての所見などから、最も疑わしい疾患を見立てて、その際に鑑別をすべき疾患を考えたうえで、検査を行う必要性を検討しています。
ケースによっては、検査なしで診断がつく場合もあれば、いくつかの検査を組み合わせて行うことが必要な場合もあります。
こうして作り上げた見立てに従って、さらには薬物治療の必要性を検討して、ようやく診察が成り立つのです。

もし何か特定の疾患が心配な時には、「○○ではないかと心配です」とか「学校・職場で○○が発生していると聞きました」などと、心配な点を伝えるようにしてください。
それを受けて診察をした結果必要性があると判断すれば、当然のことながら医療保険で検査を行うことができます。

これは、インフルエンザのみならず、胃腸炎の時のノロウイルス検査や、蕁麻疹や湿疹などの時のアレルギー検査でも同じことです。
知る必要があるのは単なる病名や原因ではありません。
それがどういう疾患で、これからどう経過していくのか、どんな治療が必要で、家庭では何をすればよいのか、ということです。

患者さんやその家族と医療者とが手を携えて病気に対峙していけるよう、よい関係を作る努力をお互いに心がけたいですね。