[用例研究 245] 〈It is ~ who …〉
(BLONDIE By Dean Young & Stan Drake © 1992 King Features Syndicate Inc.)
1 Did you go out for football this year, Elmo?
1 No, I’m afraid not.
2 They said no football for me...period!
3 I thought your parents wanted you to play.
3 They do.
4 It was the coaching staff who said that.
[解説]
1
・go out for football: go out for~には「~に出かける」「~を得ようと努める」「(チームなど)に入ることを目指す」などの意味があります。ここでは子どもが放課後の活動でフットボールを練習してゐるやうですから、「今年はフットボール(の選手目指して)頑張つたのかい」といつた聲かけと解してみました。go for~にも通じるニュアンスを感じるのですが…。
・I’m afraid not: ここでの I’m afraid ~は 「用例研究 241」で述べたやうに、「(口語で I’m afraid として) used in order to politely tell someone something that may annoy, upset, or disappoint him/her(何かしら自分に迷惑な、狽へさせるやうな、期待外れのやうなことについて、誰かに鄭重に傳へるために用ゐられる)」と考へられます。
□參考例文: 禁煙の場所で喫煙してゐる人に鄭重に注意を促す例です。
241.5 I'm afraid (that) this is a "no smoking" area.
ここは「禁煙」ではないかと思ひますが。
ここでの not は否定の文や語句の代用として置かれてゐます。I’m afraid that I didn’t go out for football this year. を簡單に言つたものでせう。be afraid は好ましくないことについて「~と思ふ」「~のやうだ」の意味を傳へます。
□參考例文: 否定であつて、好ましくないことの例です。
245.1 "Will he come?" "I am afraid not." (= I am afraid he will not come.)
「彼は來るかな」 「どうも來ないんぢやないか」
□參考例文
241.7 "Are there any tickets left?" "I'm afraid not (=no)."
「切符が殘つてますか」 「(生憎殘りは)ございませんが」
hope は望ましいことについて「~と思ふ」などの意味を傳へます。
□參考例文:否定であつて、望ましいことの例です。
245.2 "Will it rain tomorrow?" "I hope not."
「明日は雨が降るだらうか」 「降らないといいね」
否定でなく肯定の場合には so が使はれます。
□參考例文: 肯定の that節を簡略に言ふ例です。
241.6 "Are we late?" "I'm afraid so (=yes / I’m afraid we are late)."
「私たちは間に合ひませんか」 「どうもそのやうですね」
□參考例文: 肯定で、好ましくない事態について「殘念ながらそのやうです」「どうもさうらしいんです」と傳へる例です。
245.3 "Do I have to do it again?" "I'm afraid so."
「またそれをやらなくてはいけないんですか」 「殘念ながらそのやうです」
□參考例文: 肯定で、望ましい内容の場合です。
245.4 "Will he win?" "I hope so."
「彼は勝つでせうか」 「さう願ひたいね」
このかたちで使はれる動詞には be afraid / hope のほか believe / expect / imagine / suppose / think などがあります。
2
・period: 「以上」「終り」など、文を言ひ切り、これ以上の附け足しは無いことを傳へます。ここでは、問答無用とつきはなした言ひ方のやうに感じられます。
3
・do: 代動詞で、want me to play を簡潔に表現してゐます。現在時制ですから、今さう望んでゐることになります。
4
・It was the coaching staff who said that.: 強調構文です。〈It is/was ~ that/who/which他 …〉のかたちで、~部分に主語・目的語・補語になつてゐる名詞や代名詞、副詞語句、節などを置いて強調し、文ののこりを…部に置く文體です。~で強調されるのが人であれば who、物であれば which が that の代はりに置かれることがあります。〈It is/was ~ that …〉の強調構文については、拙ブログ 「英文讀解のヒント(7)」(2014年7月9日付) で解説や例文を掲載してゐます。下線部をクリックして御參照ください。
[意味把握チェック]
1 「今年はフットボールを頑張つたのかい、Elmo」
1 「いえ、それがさうでもなかつたんです」
2 「君にはフットボールは無しだ...以上!つて言はれたんです」
3 「君の兩親は、君にフットボールをやつて欲しがつてると思つてたなあ」
3 「さうですよ(/その通りですよ)」
4 「それを言つたのはコーチ陣だつたんです」
[笑ひのポイント]
・代名詞 they や me の使用で生ずる誤解を利用して笑ひを生み出してゐます。they は兩親か指導者かがわかりませんし、2コマめのせりふは兩親か指導者のいづれが言つたのかが讀者にはわかりません。