英文讀解自修室

  - in the historical Japanese kana/kanji orthography

・英文讀解のヒント (20) 《分詞構文; 過去分詞》

2015-02-25 | 英文讀解のヒント

英文讀解のヒント (20) 《分詞構文; 過去分詞》

1  次の英文を音讀または默讀しながら意味をとらへ、下線部については意味を日本語で言つて、または書いてみませう。(※讀み方がわからない語はあとで辭書で調べておきませう)

     Of course, there are individual differences in learning style - some learn more through the ear, others through the eye.  And there are differences in teaching style; a teacher may be more at home in one or the other medium.  But above and beyond these differences are the different world views that are embodied in speech and writing.  Put from the learner’s point of view: reading / writing and listening / speaking are different ways of learning because they are different ways of knowing.

44 群馬大學 2014 4パラ; 2014年7月25日掲載)

 

2  下線部の解説

2.1  put は「ある状態に位置させる」の意味から轉じて、to put it in other words (「他の言葉に言ひ換へれば」)に於けるやうに、「表現する」「述べる」「説明する」といつた意味合ひで使はれてゐます。ここは過去分詞で始まる分詞構文で、「條件」のやうな意味合ひで用ゐてゐるのかと思はれます。

  受身の動作や状態を表はす分詞構文は受動態の分詞〈being+過去分詞〉を用ゐますが、being が省略されると過去分詞で始まる分詞構文となるわけです。設問では下線部の和譯を求めてゐました。過去分詞が過去形や原形と區別がつきにくい場合に注意を要します。

■諳誦例文

21          Simply put, it means that Buddhism is not a religion, but a kind of philosophy.

                 簡單に言ふと、佛教は宗教ではなく、一種の哲學だといふことです。

2.2  過去分詞で始まる分詞構文は、「出題英文讀解」記事の【讀解のポイント】で15囘とりあげてゐます。因みに現在分詞で始まる分詞構文は24囘、名詞の後置修飾だと、現在分詞によるものが14囘、過去分詞は24囘です。相當な頻度ですから、かうしたかたちに馴れておくと讀解がスムーズになると思ひます。

  過去分詞で始まる分詞構文は他動詞のケースがほとんどです。他動詞の過去分詞は「受動」「受身」の意味をもちますので、「~されて」「~された」などと解します。主文との關はりが曖昧で、主には書き言葉である點は現在分詞の場合と同樣です。

  過去分詞で始まる分詞構文の例文を擧げます。意味は「英文讀解のヒント (19)」の2.2項に記したことが概ねあてはまりますので、今囘は位置やかたちに着目して參考例文を擧げてみました。

□參考例文: 過去分詞の前の being はふつう省略されます。having been が省略されることもあります。

21.2       (Being) Written in a clear hand, this report is easy to read.

                 はつきりした字で書かれてゐるので、このレポートは讀みやすい。

21.3       (Having been) Born in America, he is proficient in English.

                 アメリカで生れたので、彼は英語が上手だ。

□參考例文: 分詞構文は文頭、文中、文尾に置かれます。

21.4       Persuaded by my advisor, I attended the conference.

                 指導教官に説得されて、私ほその會議に出席した。

21.5       Left to herself, she began to weep.

                 ひとりになると彼女は泣き出した。

21.6       These dogs, trained properly, will be able to do a lot of tricks.

                 これらの犬は適當に訓練されると、いろんな藝ができるだらう。

21.7       I wandered through the old gardens, lost in thought.

                 私は深くもの思ひに耽りながら、古い公園を歩き囘つた。

□參考例文: 意味を明確にするため接續詞が置かれることがあります。

21.8       Her mother, though often discouraged, still had hope for success.

                 彼女の母はしばしば氣を落したが、まだ成功の望みを持つてゐた。

21.9       Once deprived of oxygen, the brain dies.

                 いつたん酸素の供給が停ると、腦は死んでしまふ。

□參考例文: 獨立分詞構文の例です。主文と異なる主語を分詞の前に置いてゐます。

21.10     They will send you the book for $5.00, postage included.

                 送料を含めて5ドルでその本を送つてくれます。

□參考例文: 慣用的に使はれる獨立分詞構文です。

21.11     All things considered, I am glad we lost.

                 あれこれ考へてみて、やはり負けてよかつたと思ふ。

□參考例文: 自動詞の過去分詞で始まる分詞構文は「運動」や「變化」を表はします。自動詞の分詞構文はあまり見かけません。

21.12     Arrived at the cottage, he knocked loudly on the door.

                 その小屋に着くと、彼はドアをはげしくたたいた。

□參考例文: provided / providing は辭書では接續詞として扱はれてゐます。假定法には用ゐません。

21.13     I will go, provided (that) the weather is clear.

                 天氣さへよければ行きます。

 

3  意味把握チェック

  もちろん、學習法は人により違ひ(/個人差)がある-耳を通して(聽くことにより)一層多くを學ぶ人もゐるし、目を通して(讀むことにより)一層多くを學ぶ人もゐる。そして教へ方に(人により)違ひがある。(例へば/つまり)ある教師は(音聲か、文字かの)いづれかひとつの意志傳達媒體(で指導すること)に一層熟達してゐるかもしれない。しかし、かうした相違に加へて、話すことに於いてまた記すことに於いて具現化される、世界についての異なつた觀方(/異なる世界觀)がある。學習者の見地(/觀點)から言ふと(/表現されるなら)、「讀み書き」と「聽き話す」とは異なる學び方である、兩者は異なる知り方だ(/知識の得る方法がちがつてゐる)から

 

4  意味把握チェックの下線部を參考にして、元の英文に戻してみませう。

 

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