英文讀解自修室

  - in the historical Japanese kana/kanji orthography

・英文讀解のヒント (19) 《分詞構文; 現在分詞(-ing)》

2015-02-11 | 英文讀解のヒント

・英文讀解のヒント (19) 《分詞構文; 現在分詞(-ing)》

1  次の英文を音讀または默讀しながら意味をとらへ、下線部については意味を日本語で言つて、または書いてみませう。(※讀み方がわからない語はあとで辭書で調べておきませう)

   As with the negative emotions, one important question is what evolutionary value positive emotions have.  According to one of the founders of positive psychology, Barbara Fredrickson, positive emotions broaden the range of our thoughts and actions.  This results in better personal adaptation to surroundings as well as better problem-solving skills.  Joy, interest, curiosity, and love lead to creativity and innovation, and they also provide a strong basis for community.  All of these confer an indisputable evolutionary advantage, not only helping us to live better but longer.

(15 國際基督教大學 2010 5パラ; 2012年4月13日掲載)

 

2  下線部の解説

2.1  主文の後ろに分詞構文が添へられ、「付帶状況」の説明をつけ加へてゐます。分詞構文に<not only ~ but (also) …>の構文が組み合されてゐますが、longer の前には helping us to live が省略されてゐると考へられます。

2.2  分詞の句が、文の前後または文中に置かれ、文に説明や情報を補足する場合、分詞の句は分詞構文(Participial Construction)と呼ばれます。主には書き言葉で使はれ、簡潔な文體を構成します。文に對しては副詞的なはたらきをし、たいていはコンマを置いてつけられますが、コンマがないものもあります。

  分詞構文と文の關係は概ね曖昧ですから、讀解に際しては、文脈を酌みつつ兩者の關係を推測して讀むことになります。關係をはつきり示すために分詞構文に接續詞がつけられることもあります。

  文法書に掲げられる分詞構文の意味は「付帶状況」「時」「理由(・原因)」「條件」「讓歩」などですが、はつきりしないもの、兩方にまたがつてゐる印象のものもあります。これらの項目は、關係をさぐる手がかりとして利用することができます(※各項目の頭をとつて「太り上々」と暗記しておくと便利です)。以下に項目別に現在分詞を用ゐる分詞構文の例文を掲げますが、項目は參考程度に考へてください。なほ、過去分詞を用ゐる分詞構文は「英文讀解のヒント (20)」で扱ひます(2015年2月25日掲載豫定)。

 

□參考例文: 「付帶状況」の例で、「その時してゐること」や「續いて起こること」を説明します。(※ 20.2は「同時生起」、20.3 は「繼起」と言はれることもあります)

20.2       I drive to the office every morning listening to the radio.

                 私は毎朝ラジオを聞きながら車で會社に行く。

20.3       Our train starts at six, arriving in London at ten.

                 私たちの列車は6時に出て、ロンドンに10時に着きます。

 

□參考例文: 「時」の例です。「何をしてゐる時のことなのか」を説明します。20.5 では接續詞が使はれてゐます。

20.4       Their teacher, leaving the classroom last, turned off the lights.

                 先生は最後に教室を出る時に燈りを消した。

20.5       While skiing in Hokkaido, he twisted his ankle.

                 北海道でスキーをしてゐるときに、彼は足首をねんざした。

 

□參考例文: 「原因・理由」の説明を添へる例です。文の前に置かれることが多いやうに思はれます。20.6 のやうに分詞を否定する not / never などは分詞の直前に置かれます。また主文の時より前の時を示すには、20.7 のやうに完了形の分詞構文〈having+過去分詞~〉が使はれます。being が省略され、20.8 や 20.9 のやうに形容詞、名詞で始まることもあります。20.10 のやうに主文と分詞構文の主語が異なる場合は、分詞の前に主語が置かれ、「獨立分詞構文」と呼ばれます。

20.6       Not knowing what to say, he kept silent.

                 何を言へばよいのかわからず、彼は默つてゐた。

20.7       Having read the novel, I already knew the ending of the movie.

                 原作を讀んでゐたので、私はすでにその映畫の結末を知つてゐた。

20.8       Unable(/Being unable) to help in any other way, I gave her some money.

                 他に援助のしやうがなかつたので、私は彼女にお金をあげた。

20.9       An orphan at six, he was brought up by a distant relative.

                 彼は6歳で孤兒になつたので、遠縁の人に育てられた。

20.10     It being Monday, the barber shop was closed.

                 月曜日だつたので、その理髮店は閉つてゐた。

 

□參考例文: 「條件」の例です。頻度は高くないと思はれます。

20.11     At intersections, when(/if) going straight, cyclists should use a through lane.

                 交叉點では、まつすぐ進むのであれば、自轉車は直進車線を進むべきです。

 

□參考例文: 「讓歩」の例です。頻度は高くないと思はれます。

20.12     While admitting that he had "acquaintances" in the party, he stressed he was not a member of the party.

                 彼はその政黨に「知人」がゐることは認めたものの、自分は黨員ではないと強調した。

 

■諳誦例文: 20.10 のやうな「獨立分詞構文」のうちでも、主語が一般の人々や話者の場合に主語を氣にせず慣用的に使はれるものがあります。generally speaking (一般的に言ふと)、speaking of ~(~と言へば)、 judging from ~(~から判斷すると)、  considering ~(~を考へると)など。

20          Strictly speaking, Great Britain consists of Scotland, Wales and England.

                 嚴密に言ふと、大ブリテン島はスコットランド、ウェールズとイングランドから成つてゐる。

 

3  意味把握チェック

  否定的感情(について)と同樣(に)、ひとつの重要な疑問點は、肯定的感情には進化面でどんな價値があるのか、といふことである。ポジティブ心理學の創始者のひとり、Barbara Fredrickson の言ふところによれば、肯定的感情は私たちの思考や行動の幅を擴げる。このことは、問題解決の技倆を上げるばかりでなく、個人が環境に一層うまく適應するといふ結果を生む。悦び、興味關心、好奇心や愛情は、創造性や革新性につながり、それら(の感情)は共同體のしつかりした土臺をもたらしてもくれる。これらのすべてが、私たちがより良く生きるのを助けるばかりでなく、さらに生き長らへる助けとなり、進化面で、(私たちを)議論の餘地のない優位な立場に立たせてくれるのである。

 

4  意味把握チェックの下線部を參考にして、元の英文に戻してみませう。

 

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