英文讀解自修室

  - in the historical Japanese kana/kanji orthography

・英文讀解のヒント (5) 《It ~ (for …) to-不定詞》

2014-06-11 | 英文讀解のヒント

・英文讀解のヒント (5) 《It ~ (for ) to-不定詞》

1  次の英文を音讀または默讀しながら意味をとらへ、下線部については意味を日本語で言つて、または書いてみませう。(※讀み方がわからない語はあとで辭書で調べておきませう)

Listening Convenience and Sound Quality: Is There Another Priority?

(1)     In 1877, Thomas Edison invented the phonograph, a new device that could record and play back sound.  For the first time, people could enjoy the musical performance of a full orchestra in the convenience of their own homes.  A few years later, Bell Laboratories developed a new phonograph that offered better sound quality; voices and instruments sounded clearer and more true-to-life.  These early products represent two major focuses in the development of audio technology ― making listening easier and improving the sound quality of the music we hear.  The advances over the years have been significant in both areas, but it is important not to let the music itself get lost in all the technology.

( センター試験 2014 1パラ; 2014年1月24日掲載)

 

2  下線部の解説

2.1  下線部の it はpreparatory it と呼ばれてゐます(introductory it とか anticipatory it と呼ばれることもあります)。このうち主語となるものが formal subject (形式主語/假主語)、目的語となるものが formal object (形式目的語/假目的語)と呼ばれます。これらは英語にはよく見られるもので、本ブログでも何度も扱つてゐます。この段落のやうに it が形式主語で眞主語が不定詞句のケースは30囘あまり扱ひました。他に眞主語に that節が置かれる場合も多くあり、動名詞の句やthat 以外の接續詞や疑問詞が使はれる場合もあります。

  ここでは眞主語として not to let ~が置かれてゐます。

  不定詞の主語を示す必要がある場合に、前に〈for+不定詞の意味上の主語〉を置くことがあります(※福井大學 2011 パート5; 2012年7月13日掲載)。また、下の參考例文5.3のやうに形容詞(下線部)が意味上の主語の性質を表してゐる場合は、〈of+不定詞の意味上の主語〉を置くことがあります。

 

■諳誦例文 

  5         It will suit me best for you to arrive at about ten o'clock. 

             10時頃來ていただけると私には最も好都合です。 

□參考例文 

  5.2     It is necessary for the developed countries to help the developing countries. 

             先進國は發展途上國を援助する必要がある。 

  5.3      It's nice of you to come.

            來てくれてありがたう(/ようこそいらつしやいました)。

 

2.2  not が直前に置かれて、不定詞を否定してゐます。(「~しないことが重要である」)

2.3  使役表現:〈let ~ 原形不定詞()〉のかたちで「~に(~がしたがつてゐることを許して)させる」「~がすることを許す」などの意味を表はします。(※英文讀解のヒント (4); 2014年5月28日付拙稿

2.4  再歸代名詞(-self/selves): ここでは、名詞や代名詞の直後に置かれ、それを強調するはたらきをしてゐます。強く發聲されます。

 

3  意味把握チェック

聽く便利さと音質: また別に重要なことがある?

  1877年に Thomas Edison は蓄音機、(つまり)音を記録し再生できる新しい(機械)裝置を發明した。初めて(人々は)勢揃の樂團の音樂演奏を自宅で便利に(/自分の家といふ便利さで)樂しむことができた。數年後、ベル研究所が一層良い音質を提供する新しい蓄音機を開發した、つまり(良い音質といふのは)音聲や樂器が一層鮮明で一層本物らしく(/迫眞的に)聞えるのである。これらの初期の製品にはオーディオ技術の開發(/發達)における二つの主眼點(/主要な焦點)が表現され(/示され)てゐる - (つまり)聽くことを一層容易にし、私たちが耳にする音樂の音質を改善してゐることである。何年にもわたつての進歩(/前進)は兩方の領域において顯著であつたが、あらゆるオーディオ技術のなかに音樂自體を埋もれさせない(/音樂自體の良さが見失はれるままにしておかない)ことが大事である。

 

4  意味把握チェックの下線部を參考にして、元の英文に戻してみませう。

 

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