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英文讀解自修室

  - in the historical Japanese kana/kanji orthography

・用例研究 301 <-ing形 14 文を修飾(分詞構文)>

2025-05-19 | 用例研究

[用例研究 301] 〈-ing形 14  文を修飾(分詞構文)〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1999 King Features Syndicate Inc.)

 

1  Your mother’s amazing, taking care of her family and running a business, too!

2  I’ll bet after we’re married you’ll be able to do all that too!

3  Yes, but first I’d like to try playing tennis and hanging out at the club.

 

[解説]

・Your mother’s: Your mother is

・taking~ and running~,: -ing形の句がふたつ置かれ、前の文Your mother’s amazingを修飾してゐます。ここは驚嘆のことばに續けて、その理由を説明してゐるやうに見えます。このやうに-ing形の句が文を修飾するかたちについては、文法書では「分詞構文」の項で解説されます。

  このかたちは主には書き言葉で使はれるとされます(chiefly used in written English)。文の前、中、文尾、いづれにも置かれます。主文と-ing形の句との關係には曖昧なところがあるため、讀者は前後關係から筆者の意圖を酌みとる必要があります。關係をさぐる手がかりとしては、「時」「原因・理由」「付帶状況」「條件」「讓歩」などがありますが、はつきりしないこともあります。(※ Michael Swanはadverbial clausesの項で、その表はすところについて、... expressing condition, reason, time relations, result etc.

と記してゐます。(Michael Swan, Practical English Usage. 3rd ed. [Oxford: Oxford University Press, 2005], p. 383.)

 (※ 過去分詞で始まるかたちについては後日「用例研究313 過去分詞8」の囘で紹介する豫定です。)

 

□參考例文: 「付帶状況」を表はす例です。

  The spectators leapt to their feet, roaring approval.

  觀客は、よくやつたと叫びつつ總立ちになつた。

□參考例文: -ing形の否定語句は直前に置かれます。

  Not knowing what to say, he kept silent.

  何を言ふべきかわからず、彼は默つたままでした。

□參考例文: 「時」を表はす例です。

  Reading a book, he found a misprint.

  彼は本を讀んでゐる時ミスプリントをみつけました。

□參考例文: 「時」を表はす例です。。意味をはつきりさせるために接續詞を前に置くことがあります。

  While skiing in Hokkaido, he twisted his ankle.

  北海道でスキーをしてゐる時に、彼は足首を捻挫しました。

□參考例文: 主文の動詞より前のことを明示するため<having+過去分詞>のかたちをとることがあります。「理由」を表はす例です。

  The garden, having been neglected by the former tenants, was overgrown with weeds.

  庭は、以前の住人に手入れを怠つてゐたため、雜草が生ひ茂つてゐました。

□參考例文: 「條件」を表はす例です。(※ 用例は少ないやうに思ひます。)

  Turning left after the bank, you will see our house on the right..

  銀行の先を左折すると右手に私たちの家が見えますよ。

□參考例文: 「讓歩」を表はす例です。(※用例は少ないやうに思ひます。)

  Admitting what you say, I still doubt his sincerity.

  あなたの言ふことは認めるとしても、彼の誠實さはまだ疑ひますね。

□參考例文: 主文の主語と異なる場合に-ing形の前に主語が置かれる例です(「獨立分詞構文」として解説されます)。「理由」を表はす例です。

  More vaccine had to be sent for, the epidemic having spread at an alarming rate.

  傳染病が驚くべき速さで蔓延したので更に多くのワクチンを取り寄せなければなりませんでした。

□參考例文: 主語が違ひますが、慣用的な用法で省略される例です。(「獨立分詞構文」として解説されます)。

  Judging from his expression, he’s in a bad mood.

  (彼の)表情から(判斷)すると、彼はご機嫌斜めです。

□参考記事: 「英文讀解のヒント(19)」(2015年2月11日付)

 

・take care of~: 「~の世話をする」

・run a business: 「事業を營む」。ここではBlondieが配食事業を經營することを指してゐます。

 

・I’ll bet that節(~): 「きつと~だと思ふ」「~だと確信してゐる」

 

・hang out: spend a lot of time at a particular place or with particular people

 

[意味把握チェック]

1 「あなたのお母さんには驚嘆するわね、家族のお世話をして事業もやつてて」

2 「ぼくらが結婚したあと、きつと君もあんなことすべてができるさ」

3 「ええ、でも先づはテニスをやつてみたいし、クラブ(ハウス)に入り浸つてみたいのよ」

 

[笑ひのポイント]

・ガールフレンドの憧れと現實的な願望の落差が笑ひを誘ひます。


・用例研究 300 <-ing形 13 知覺動詞とともに>

2025-05-12 | 用例研究

[用例研究 300] 〈-ing形 13  知覺動詞とともに〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1996 King Features Syndicate Inc.)

 

1  Remember when we used to see people standing on soapboxes?

1  Yes, being loud and obnoxious ... and saying ridiculous things.

2  And now they’ve disappeared.

2  But they haven’t disappeared, Honey ...

3  They’re all on talk shows!

3  Oh yeah, I never thought about that.

 

[解説]

・Remember~?: = Do you remember~?

・whenを關係副詞とみて、先行詞the timeが省略されてゐると解するとスムーズに讀めると思ひます。

・standing on soapboxes: 昔街角などで、政治や宗教等の主題で有志が即席の演説をすることがあつたやうです。この演説時に、石鹸をつめてゐた木箱をひつくりかへして、立ち台に使つてゐたことから、この表現が出て來たものでせう。英語にはsoapboxと演説に關はる表現がいくつかあります。

・see people standing: 「人々が立つてゐるのを見る」。第五文型(SVOC)の補語に-ing形が置かれてゐる場合は、「動作の途中の一部」を示します。-ing形を置くことにより動きや生き生きとした樣子が表現されますから、話者の腦裏には、木箱の上に立つて演説をしてゐる樣子が浮んでゐるのでせう。

 

□參考例文: Jimmy Boyd(當時13歳)が歌つた1952年のヒット曲 I saw Mommy kissing Santa Clausの歌ひ出しの部分です。

  I saw Mommy kissing Santa Claus underneath the mistletoe last night.

  昨夜ヤドリギの下でママがサンタ・クロースにキスしてゐるところをぼくは見たんだ。

 

  なほ、知覺動詞の目的格補語に(-ing形ではなく)原形不定詞が置かれる場合は、「動作が完結してゐる」ことを意味するので、始めから終りまでを示すことになります。

□參考例文:

  I heard a dolphin speak.  The word it said was like a squeak.

  私は海豚が話すのを聞きました。その發した言葉は物がきしるやうな音でした。

・obnoxious [ɑbnάkʃǝs]: very offensive or rude

 

・on talk shows: 「トーク・ショーに」。talk showは、娯樂的要素をもつた座談や議論などを行ふテレビ・ラジオも放送で、彼らは皆それに出演してゐると言つてゐます。

 

 [意味把握チェック]

1 「人々が石鹸箱の上で立つてゐるのを見たころを覺えてるかい?」

1 「ええ、うるさくつて不快で…馬鹿げたことを言つてて」

2 「で、今はゐなくなつてるよな」

2 「でもね、あなた、ゐなくなつてはないのよ…」

3 「彼らはみんなトーク・ショーに出てるのよ」

3 「ああ、さうか。それは考へなかつたな」

 

[笑ひのポイント]

・トーク・ショーや出演者に對する諷刺でせうか。


・用例研究 299 <-ing形 12 使役動詞とともに>

2025-05-05 | 用例研究

[用例研究 299] 〈-ing形 12  使役動詞とともに〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1996 King Features Syndicate Inc.)

 

1  How’s the catering business, Blondie?1 

1  Great, thank you!  I’ve shown a profit every year.

2  And I’m sure I know the reason for that ...

2  It’s because she’s bright, ambitious, and hard-working!

3  Yes, and also because she doesn’t have him working for her!

 

[解説]

・show a profit: 「利益を示す」「儲かつてゐる」

 

・I’m sure~: 「~だと私は確信してゐる」

 

・have him working for her: 「彼女のために彼に働いてもらふ(/彼を働かせる)」。下線を施してゐるのは強調のためでせう。發聲も強くはつきりしてゐることと思ひます。

 〈SVOC〉の第五文型に使はれる動詞のうち、人に何かをさせる、何かをしてもらふ、といふ意味を表はす動詞 make / have / get / let などは「使役動詞」と呼ばれます。

 

(a) make+O+C   「(強ひて)~させる」(make は「作る」の意味ですから、何らかの力が加へられてゐることが感じられます)

  ・C: 原形不定詞(受動態のときは to-不定詞)、過去分詞

 

(b) let+O+C     「(相手がしたがつてゐることを許して或は自由に)~させる / ~することを許す」(Oへの働きかけは感じられず、はふつておく印象を與へます)

  ・C: 原形不定詞

 

(c) have+O+C   「(當然してもらへることを)~させる / してもらふ」( have は「持つてゐる」の意味ですから、靜的な印象があります。意味の幅が廣いため文脈に注意することが大切です)

  ・C: 原形不定詞、過去分詞、-ing形

 

(d) get+O+C     「(頼んだり説得するなどして何とか)~させる/ してもらふ」(他の人への働きかけが感じられます)

 ・C: to-不定詞、過去分詞、-ing形

 

 ここは (c) であり、C(目的格補語)に-ing形が置かれてゐます。

□參考例文:

  I won’t have you telling me what to do.

  あなたにあれこれ指圖はさせませんよ(/何をすべきか私に言はせませんよ)。

  She had me waiting in the rain for thirty minutes.

  彼女は雨の中で30分の間私を待たせたままにしました。

 

□参考記事: 使役動詞の例文については「英文讀解のヒント(4)」(2014年5月28日掲載)で紹介してゐます。

 

[意味把握チェック]

1 「配食事業はどうだい、Blondie?」

1 「うまくいつてますよ、おかげさまで。毎年黒字で來てます」

2 「そのわけはワシには確かにわかるな」

2 「彼女が利口で意欲的で勤勉だからだわ!」

3 「ああ、そしてさらにな、彼女は彼に働いてもらつてないからだよ(/彼を働かせてないからだよ)!」

 

[笑ひのポイント]

・Dagwoodに對する強烈なあてつけでした。


・用例研究 298 <-ing形 11 目的格補語として>

2025-04-28 | 用例研究

[用例研究 298] 〈-ing形 11  目的格補語として〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1981 King Features Syndicate Inc.)

 

1  Sir, I’m a wandering minstrel.

2  For a nominal fee I’ll serenade you with my lute.

3  A WANDERING MINSTREL I ...

4  It’s people like him that keep me wandering!

 

[解説]

・wandering minstrel [wάndǝriŋ mínstrǝl]: 「放浪の音樂家」

 

・for a nominal fee: 「わづかな謝禮で」

・serenade [sèrǝnéid]: [發音注意] 「(人)にセレナーデを演奏する」(ドイツ語由來)

・lute [lu:t]: 「リュート」

 

・It’s people like him that keep me wandering: <it is~that…>のかたちで文の一部(~)を強調する文體です。~には動詞以外の語句が置かれます。people like him keep me wanderingの下線部を強調します。

・keep me wandering: 「私を放浪してゐるままにしておく」。第五文型(SVOC)で、-ing形がC(目的格補語)としてO(目的語)の説明をしてゐます。-ing形を用ゐることによつて、今まさに放浪してゐる最中であるといふ印象が傳はります。

  -ing形が目的格補語になるかたちは前に紹介したことがあります。

  I’m not used to being the one kept waiting. (「ぼくは待たされ(續けてゐる人であ)ることに馴れてないんだ」)→□参考記事: 用例研究238(Dec. 7, 2020)

□參考例文:

  I’m sorry I’ve kept you waiting.

  お待たせして(しまつて)すみません。

□參考例文:

  The singer’s superb performance left the audience begging for encores.

  その歌手がみごとな歌唱を終へると、聽衆はアンコールを求めた。

□參考例文:

  The police caught the young boy stealing a car.

  警察はその少年が車を盜むところを(現行犯で)捕へた。

□參考例文:

  When he awoke, he found himself being looked after by a pretty young nurse.

  彼は氣がつくと、綺麗で若い看護師の手當を受けてゐた。

 

[意味把握チェック]

1 「旦那、私は放浪音樂家なんです」

2 「わづかな謝金で、あなたのためにセレナーデをリュートで演奏しますよ」

4 「彼みたいな人たちなんだ、ぼくを放浪させ(續け)ておくのは!」


・用例研究 297 <-ing形 10 be busy -ing>

2025-04-21 | 用例研究

[用例研究 297] 〈-ing形 10  be busy –ing〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1996 King Features Syndicate Inc.)

 

1  Honey, your boss wants you on the phone.

1  Tell him I’m busy!  I’ll call him later.

2  For heaven’s sake!  What do you mean telling him you’re busy?

3  Well I am ... I’m busy taking a nap.

 

[解説]

・for heaven’s sake: ① used when you are annoyed or angry(不愉快だつたり怒つてゐるときに使はれる)② used to emphasize a question, request, order, or opinion(質問、依頼、命令或は意見を強調するために使はれる)。ここでは②の意味でせう。下の[意味把握チェック]では、この作品に即した譯語をあててゐます。

・What do you mean telling him you’re busy?: 「どういふ意味か」と疑問を發し、疑問を抱く理由となつた事柄を-ing形の句によつて表現してゐます。つまりDagwoodは「忙しいと社長に言つた」わけですが、それはどういふことかとBlondieが説明を求めてゐます。

  もともとは-ing形の句の前に何らかの前置詞が置かれてゐたのではないかと推測されます。下の例文のやうに前置詞by+名詞(句・節)などとしたり、コンマを打つて疑問を抱いた相手のことばや内容を置いて訊ねることもあります。

□參考例文: 相手のことばの意味や意圖を訊ねる例です。

  What do you mean by that?

  それはどういふ意味ですか?

  What do you mean by what you just said?

  あなたが言つたこと(つて)、どういふ意味ですか?

□參考例文: コンマを用ゐた例です。

  What do you mean, you sold the car?

  車を賣つたつて、どういふこと?

 

・I’m busy taking a nap: もともとは-ing形の前に前置詞inが置かれた言ひ囘しとされます。前置詞が省略されると、かたちの上では、前の文について-ing形の句が説明を補つてゐるやうに見えます。

□參考例文: inが使はれない例と使はれた例です。

  My mother is busy cooking in the kitchen.

  母は臺所で調理に忙しいです。

  We are very busy in preparing for the party.

  私たちはパーティの準備でとつても忙しいんです。

  go -ing形(「~しに行く」)も、もともとは go on -ing形であつたとされます。

□參考例文:

  We went shopping in Ginza.

  私たちは銀座に買物に行きました。

□參考例文: spend~(on / in)-ing形で前置詞が省略される例です。

  I spent a lot of time (in) watching TV last night.

  昨夜はテレビを見て長時間を過ごしてしまひました。

 

[意味把握チェック]

1 「あなた、社長が電話に出てほしいつて」

1 「忙しいつて社長に言つてくれ!後で電話するよ」

2 「ねえ、訊きたいんだけど、社長に忙しいつて言へつて、どういふことなのよ?」

3 「ええと、さうね…ぼくはうたた寢するのに忙しいんだ」


・用例研究 296 <-ing形 9 名詞の修飾>

2025-04-14 | 用例研究

[用例研究 296] 〈-ing形 9  名詞の修飾〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1996 King Features Syndicate Inc.)

 

1  Honey, I heard a noise downstairs!

1  Yeah, I heard it, too.

2  Hi, Dad.

3  What was that sound I heard?

3  A chip falling off the old block.

 

[解説]

・yeah [jɛə, jæ, jɑ:, jǝ:] : = yes

 

・A chip falling off the old block: 「古い木塊(/角材)から剥がれ落ち(てゐ)る小片」。

  a chip of(/off) the old blockといふ表現があり、「(性格、行動、外見などが)(父)親にそつくりな(男の)子」を意味します。3コマめのせりふはこれをもとにしてゐるのかと思ひます。ここではfalling~が直前の名詞chipを修飾してゐますから、文字通りには上掲の意味となり、音の原因を妻に傳へてゐるわけですが、眞相としては、夜半にキッチンで空腹を滿すといふ、自分と似た振舞をしてゐる息子のたててゐる音であつた、といふことになります。

□參考例文: 單獨の-ing形は名詞の前に置くことが可能です。

  Barking dogs seldom bite.

  吠える犬は滅多に噛まない。(ことわざ)

□參考例文: 二語以上から成る-ing形の句は後ろに置かれると、-ing形が修飾對象の名詞に隣接してわかりやすくなります。名詞の説明が後置されるかたちになり、日本語と異なります。

  I got a telegram saying that my father was very ill.

  父が重病だといふ電報が屆きました。

 

[意味把握チェック]

1 「あなた、階下で物音が聞こえたわ」

1 「ああ、ぼくも聞いたよ」

2 「やあ、父さん」

3 「私が聞いたあの物音は何だつたの」

3 「古い木塊(/角材)から剥がれ落ち(てゐ)る小片(の音)だつたよ」


・用例研究 295 <-ing形 8 進行形>

2025-04-07 | 用例研究

[用例研究 295] 〈-ing形 8  進行形〉

-ing形の動詞的用法: 進行形

  -ing形は動詞に由來し、何らかの「動き」を感じさせます。be動詞に續く補語の位置に置かれると、主語の説明として、「~してゐる」といつた進行中の樣子を傳へることがあります。用例研究294で紹介したMy daughter was crying all morning~がその例になります。これは進行形と呼ばれ、文法書では「時制」或は「動詞」の項に説明があります。

  例文で主だつたかたちと表はす意味を紹介します。

① 現在進行形<am / is / are+-ing形>

  Look out!  The milk is boiling over.

  氣をつけなさい。ミルクが煮こぼれてゐますよ。(「今進行中の動作」を表はす)

  He is always grumbling about his boss.

  彼はいつも上司についてぶつぶつ文句を言つてゐます。(「反復的動作」を表はす)

  She is expecting a baby in January.

  彼女は1月に赤ちやんが生まれます。(「確定的な豫定」を表はす)

② 過去進行形<was / were+-ing形>

  The wind was rising.

  風が出てきてゐました。(「過去のある時の進行中の動作」を表はす)

  He was always foreseeing difficulties that never arose.

  彼はいつも取り越し苦勞をしてゐました。(「過去の反復的動作」を表はす)

  He was busy packing, for he was leaving that night.

  彼は荷造りで忙しかつたのです、その晩出發の豫定でしたから。(「過去の豫定」を表はす)

③ 未來進行形<will be+-ing形>

  I’ll be waiting for you at 3 o’clock.

  3時にお待ちしてをります。(「未來のある時の進行中の動作」を表はす)

  Will you be using this computer this afternoon?

  今日の午後このコンピューターをお使ひになりますか。(「豫定・計畫」を表はす)

 

  また、完了時制と組み合さつたかたちもあります。

  I have been thinking about changing my major.

  私はこのところずつと專攻を變へようと思つてるんです。(「現在も繼續中」)

 

  「動作」を表はす動詞の進行形は以上のやうなものです。「状態」を表はす動詞は普通は進行形にはなりませんが、「ずつと~である」といふ状態を意味するのではなく、「一時的なやつてる感」を表はしたい場合に進行形にすることがあります。下の漫畫では、「一時的に謙遜してゐる」ことになります。

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1993 King Features Syndicate Inc.)

 

1  Bumstead has been with you for some time, hasn’t he, J.C.?

2  Yes, it seems like forever.

2  How did you happen to hire him?

3  During his job interview I asked him what he could do and he said nothing.

4  I thought he was just being modest.

 

[解説]

・for some time: 「かなり長い間」。このsomeは「相當な」「かなりの」の意味で使はれてゐます。

 

・it seems like~: 「~のやうに思はれる」。~に節が置かれることもあります。

・happen to hire(~): 「たまたま~する」

□参考記事: 用例研究 285 (2025年1月27日掲載)

 

・I asked him what he could do:  “What can you do?”を間接話法で傳へてゐます。

 

・I thought he was just being modest: 「彼は(一時的に)謙遜してるだけだと思つたんだよ」。上記解説參照。

□參考例文:

  You’re being very clever today.

  あなたは今日はすごく冴えてますね

 

[意味把握チェック]

1 「Bumsteadはかなり長いこと君のところにゐるよな、J.C.?」

2 「ああ、永遠みたいに思へるな」

2 「彼を偶々雇ふことになつたのはどんな風だつたのかい?」

3 「雇傭面接で彼に何ができるかつて訊ねたら、何も(できない)つて言つたんだ」

4 「(面接時に)謙遜してるだけだと思つたんだよ」

 

[笑ひのポイント]

・友人の會社經營者との對話でせうか。


・用例研究 294 <-ing形 7 補語として>

2025-03-31 | 用例研究

[用例研究 294] 〈-ing形 7  補語として〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1991 King Features Syndicate Inc.)

 

1  My daughter was crying all morning because she doesn’t have a date for Saturday.

2  Remember when we were young...

3  And our only problem in the world was getting a date?

3  Yes!

 

[解説]

・My daughter was crying: このcryingは形容詞的なはたらきをして進行形を形成してゐます。進行形は次囘「用例研究295」で扱ひます。

・a date: いはゆる「デート」(an arrangement to meet someone, especially someone you like in a romntic way)の意味だと解しました。

□參考例文:

  I have a date with Andrea tomorrow night.

  明日の晩はAndreaとデート(の豫定)なんです。

 

・our only problem in the world was getting a date: getting~は補語として名詞的な意味合ひで使はれてゐます。「デートの相手を得ること」といつたほどの意味で、our only problem in the worldを説明してゐます。be動詞に續きますから、かたちは進行形と同じですが、文脈でいづれか判斷することになります。

□參考例文: -ing形が主語と補語の位置に置かれてゐる例です。

 Seeing the problem is not solving it.

 問題を眺めてゐても解決(すること)にはなりません。

□參考例文: -ing形を否定する語は直前に置かれます。上記の例文とかたちは同じですが、文脈で文意を解することになります。

 What I enjoy most on holiday is not working.

 私にとつて休日の一番の樂しみは、仕事をしないことなんです。

□參考例文: -ing形が主語と補語の位置に置かれてゐる例です。

 Seeing is believing.

 (ことわざ)實際に目にすると信じることになる /「百聞は一見にしかず」

※Seeing is believing はことわざとして扱はれることが多いやうですが、Longman Dictionary of Contemporary EnglishのSeeing is believingの項にはinformalな用法として二通りの意味・使ひ方が紹介されてゐます。

a  I’ll believe it when I see it, and not before(拙譯: それを目にしたら信じるよ、それまでは信じないね)

b  Now I’ve seen it, so I believe it (拙譯: 今それを目にしたところだ、だから信じるよ)

 

・a date: ここでのa dateはデートの相手(someone you go on a date with)を指してゐると解しました。

□參考例文: 現在進行形が確定的な豫定を表はす例です。

  My date’s taking me out to dinner.

  私のデート相手は私をディナーに連れて行つてくれるんです。

 

[意味把握チェック]

1 「うちの娘は、土曜日のデート(の約束)がないので、朝ずつと泣いてたんだ」

2 「ぼくたちが若かつたころを思ひ出してみろよ…」

3 「世界で唯一の問題はデートの相手をみつけることぢやなかつたかい?」

3 「その通り!」


・用例研究 293 <-ing形 6 慣用表現>

2025-03-24 | 用例研究

[用例研究 293] 〈-ing形 6  慣用表現〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1996 King Features Syndicate Inc.)

 

1  I can’t help feeling there’s something I forgot this morning.

2  Uh-oh!  Why does that policeman want me to pull over?

3  Hey, you’re not supposed to be driving alone in the carpool lane!

3  So that’s what it was.

 

[解説]

・can’t help -ing: ここでのhelpは、can / cannot と共に用ゐて「~をやめる」「~を避ける」といふ意味で使はれてゐます。目的語に-ing形が置かれます。

□參考例文: <cannot / can’t help ~ing>は「~せざるを得ない」。

I can’t help sneezing; I caught a cold yesterday.

くしやみがとまりません、昨日風邪をひいたんです。

 

  -ing形を用ゐた慣用表現をいくつか紹介します。

□參考例文: <It is no use(/good)~ing>は「~しても無駄である」。

  It is no use(/good)worrying about the past.

  過ぎたことをくよくよしたつて何にもなりません。

□參考例文: <There is no ~ing>は「~することは不可能である」。

  There is no solving this problem by political means.

  = It is impossible to solve this problem by political means.

  この問題を政治的手段で解決するのは不可能です。

□參考例文: <on / upon+-ing形>「~するとすぐに」「~と同時に」

  On my entering the room, they stopped talking.

  私が部屋に入つたとたんに彼らは話をやめました。

□參考例文: <feel like –ing形>「~したい氣がする」

  I don’t feel like having breakfast.

  私は朝食を食べようといふ氣がしないのです。

□參考例文: <have difficulty in –ing形>「~するのに苦勞する」。inは省略されることがあります。

  We had a lot of difficulty in finding a parking place.

  私たちは駐車場をみつけるのに隨分苦勞しました。

 

・Uh-oh [ʌ́ òu]: (間投詞)自分が間違へたときや何か良くないことが生じたと氣づいたときに發せられます。

・pull over: 「(車を道路の片側に)寄せる」

 

・you’re not supposed to be~: <be supposed to-不定詞(…)>は「…することになつてゐる」。習慣、義務、約束、決まりなど、それにもとづいて行動することが期待されてゐる或は當然だといふ意味合ひで使はれます。ここではnotがありますから「…してはいけません」と禁止してゐるやうに見えます。supposed toは [sǝpóus(t)tǝ] といつた發音になります。

・the carpool lane: 混雜緩和のためにカープール專用のレーンを設定してゐるのでせう。

・that’s what it was: 「それだつたんだな」。that’s(「それが~なんだ」)と切出し、朝方の「何か忘れたと感じる」状況をitとして、その正體に言及してゐるのかと思ひます。つまり、carpoolのメンバー3人を乘せるのを忘れてゐたわけです。

 

[意味把握チェック]

1 「今朝は何か忘れたことがあるやうな氣がしてならないんだ」

2 「あらら!どうしてあの警官はぼくに車を寄せることを求めてゐる(/寄せてほしい)のかな?」

3 「なあ、ひとりきりで(/同乘者なしで)カープール・レーンを走つてはいけないんだよ!」

3 「さうか、それだつたんだな」

 

[笑ひのポイント]

・停車を求められるまで氣づかなかつたDagwoodのうつかりぶりが笑ひを誘ひます。置いていかれた三人にしてみると、迂闊にもほどがある、といふことになりませう。


・用例研究 292 <-ing形 5 前置詞の目的語として>

2025-03-17 | 用例研究

[用例研究 292] 〈-ing形 5  前置詞の目的語として〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1996 King Features Syndicate Inc.)

 

1  I ought to take him to the office with me.

2  He’d feel right at home.

3  Why do you say that?

4  Because he’s already used to working for peanuts.

 

[解説]

・ought to~:「(諸事情からみて)当然~すべきだ」「~するのが筋だ」「~するのが道理だ」。mustやhad betterよりは弱いものの、理屈のこもつた義務、責任、望ましさを表はします(weak obligation / recommendation)。

□參考例文:

  People ought not to drive like that.

  あのやうに車を運轉すべきではありません。

 

  また、ought to~は「~のはずだ」といつた確信を表はすこともあります(deduction)。

□參考例文:

  The weather ought to improve after the weekend.

  週末後天氣は良くなるはずです。

 

・He’d~: He wouldの縮約形で、「(もし會社に連れて行つたら)~だらう」と推定を述べてゐます。

・feel at home: 「氣樂にする」「くつろぐ」

・right: 副詞で at home を強調してゐるやうに見えます。

 

・he’s already used to~: used [ju:st]は形容詞で「慣れて(ゐる)」の意味です。be動詞に續けてusedを置き、前置詞to~と續けると「~に慣れてゐる」、get used to~とするなら「~に慣れる」といふ意味を傳へます。

・used to working for peanuts: 「ピーナッツを報酬として働くことに馴れてゐる」と「低賃金で働くことに馴れてゐる」の意味を傳へてゐます。

・peanuts: (複數形で)a very small amount of money(極く小額のお金)

□參考例文:

  I’m tired of working for peanuts.

  わづかな賃金で働くのはもううんざりです。

  さまざまな前置詞に-ing形が續きますが、一部を紹介します。

□參考例文: <It goes without saying that~>「言ふまでもなく~」

  It goes without saying that you’re expected to preview and review every subject.

  言ふまでもなく、どの教科も豫習復習をすることが求められます。

□参考記事: 前置詞on / uponに續く例です。

「英文讀解のヒント(16)」(2014年11月26日付)

□参考記事: <prevent / stop / keep~from -ing形>のkeepの例です。

・52上智大學2014(2015年3月27日)

 

・working for:  ここでのforは「報酬・交換」を表はしてゐます。

 

[意味把握チェック]

1 「あいつをぼくと一緒に會社に連れて行くベキだな」

2 「あいつはすごくくつろげるだらうな」

3 「どうしてさう言ふの?」

4 「あいつはpeanuts(わづかなお金)で働くことに馴れてるからだよ」

 

[笑ひのポイント]

・double meaningと自嘲が笑ひを誘ひます。


・用例研究 291 <-ing形 4 動詞の目的語として>

2025-03-10 | 用例研究

[用例研究 291] 〈-ing形 4  動詞の目的語として〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1993 King Features Syndicate Inc.)

 

1  My boy, I’ve made a brilliant observation.

1  What’s that, Boss?

2  I’ve stopped complaining about Cora’s spending sprees.

3  And as a result, she’ll stop buying so much.

3  Boss, you’re a genius.

4  Since he stopped complaining, I’ll take them all.

 

[解説]

・my boy: 部下の社員に親しみをこめて呼びかけてゐます。

・make an observation: 「(觀察に基づいた)所見を述べる」と辭書にはありますが、この場面ではしつくりきません。observationの説明としては ① the action or process of carefully watching someone or something  ② something that you have learned by seeing or watching something and thinking about itなどとあります。觀察と熟慮を通して何らかの成果を得ようとしてゐるのか、と推測するのですが、確信には到りません。御教示をいただければありがたいです。

・brilliant: ①brilliant light or color is very bright and strong  ② extremely intelligent

 

・stop complaining about Cora’s spending: 「Cora の金遣ひについて不平を言ふのをやめる」

  stopの目的語として-ing形のcomplainingが置かれてゐます。-ing形には動詞の名殘が殘つてゐて「動きが感じられる」のでした。ここでは「~してゐる」といふ形容詞的な意味合ひから、(動詞の目的語の位置に置かれて)さらに名詞化してゐますが、依然「ぶつぶつ不平をいつてゐるやうな具體的な動きが感じられ」ます。それを「やめる」ことにしたわけです。

  -ing形のみを目的語にとる動詞には、stopのほか、mind / enjoy / give up / finish / practice / put off などがあります。いづれの場合も、話者の腦裏には、-ing形によつて何かをしてゐる具體的な状況が浮んでゐます。

□參考例文:

  At the end of every month he had to put off paying his rent.

  毎月末に彼は家賃支拂を延期しなければなりませんでした。

□參考例文:

  Would you mind doing a little favor for me?

  ちよつとお願ひがあるのですが。

・spending sprees: (金錢費消の盛んなること)→「大散財」「豪勢な散財」

 

・as a result: 「その結果」

 

[意味把握チェック]

1 「なア、ワシは(Coraについて)すごく知能的な觀察を實施してるところなんだ」(※この部分は初稿を改めてゐます)

1 「それどんなものなんですか、社長?」

2 「Coraの大散財に文句を言ふのをやめたんだよ(/やめてるんだ)」

3 「で、その結果(として)、彼女はものすごい量の買物をやめるだらう(、といふわけなんだ)」

3 「あなたは天才ですよ、社長」

4 「彼が文句を言ふのをやめたんだから、それ(ら)全部買ふわ

 

[笑ひのポイント]

・妻の觀察に於いて、買物癖は、夫の不平への反撥によるものと觀じたのでせうか。夫の目論見や想像の上を行くCora(社長の奧さん)でした。


・用例研究 290 <-ing形 3 preparatory it に續けて>

2025-03-03 | 用例研究

 

[用例研究 290] 〈-ing形 3  preparatory it に續けて〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1999 King Features Syndicate Inc.)

 

1  It was nice meeting you.

2  Why does he wear sunglasses at night?

2  He thinks it makes him look cool.

3  Uh-oh, he just walked into a bush!

 

[解説]

・It was nice meeting you.: -ing形に代はつてpreparatory itを主語に置いてゐる文です。初對面の人に對する別れ際の挨拶でせう。It was niceと切出して「うれしかつた(/樂しかつた)」と述べ、續けて「君に會つて」と、何がniceであつたのかを説明してゐます。-ing形だと、すでに「會つてゐる」といふ印象が生じます。

  似た表現Nice(/ It’s nice)to meet you.(「はじめまして(/お會ひできてうれしいです)」)は、初めて會つた人への挨拶のことばです。不定詞を用ゐると、to-不定詞の「指し示す」はたらきにより、これから先のことを示唆してゐるやうな印象を與へます。

□參考例文: ことわざです。

  It's no use crying over spilt milk.

  こぼれたミルクを嘆いても無益です。(※「覆水盆に返らず」「後悔先にたたず」に近い意味になります。)

□參考例文:

  It surprised me your not remembering my name.

  あなたが私の名前を覺えてゐないのには驚きました。

 

 

 

・it makes him look~: <make+(代)名詞+原形不定詞>のかたちで、使役表現です。「サングラスをかけてゐることが、彼を~に見えるやうにする」→「サングラスをかけてゐると彼は~に見える」

□参考記事: 使役のmakeの例文が掲載されてゐます。

・用例研究 268 (2024年9月30日付)

 

・cool: fashionable / attractive / interesting

 

・uh-oh [ʌ́ òu]: (間投詞: 自分が間違へたときや何か良くないことが生じたと氣づいたときに發せられます)

 

・just : 副詞で、強調したり口調を整へるはたらきをしてゐます。「丁度」「まさに」「きつかり」。

 

[意味把握チェック]

1 「君に會へてうれしかつたよ」

2 「どうして彼は夜にサングラスをかけてるんだい?」

2 「サングラスをかけてるとカッコよく見えると思つてるんだよ」

3 「あらら、彼は(歩いて)植込(の中)に突つ込んでいつたわよ

 

[笑ひのポイント]

・風刺で生ずる笑ひでせうか。


・用例研究 289 <-ing形 2 主語として>

2025-02-24 | 用例研究

[用例研究 289] 〈-ing形 2  主語として〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 1997 King Features Syndicate Inc.)

 

1  Looking good, Elmo!  But where’s the rest of the team?

2  They’ll be here soon ...That’s when I quit and go home.

2  Quit and go home?  Why?

3  Running with a football is cool ... but getting tackled hurts.

 

[解説]

・looking good: 「良い姿に見えてゐる」→「カッコイイ」

 

・the rest of the team: 「(Elmo以外の)チームのメンバーたち」を指します。rest は「殘り」で、ここでは集合的に用ゐて、單數としてゐますが、Elmoは2コマめで、個々のメンバーを念頭においてtheyで受けてゐます。

 

・That’s when~: whenは關係副詞で、That’sのあとに先行詞the timeが省略されてゐます。「それが~の時である」「その時~」。

□參考例文: whenが先行詞 the time なしで用ゐられてゐる例です。

  Late spring is when the rainy season begins here.

  晩春は、この地域では雨季が始まる時です。

□参考記事:

・關係副詞whenの文構造(2012年7月18日付)

 

・running with a football: -ing形の句が主語の位置に置かれ、主語のはたらきをしてゐます。動作動詞の-ing形の主語には「動き」が感じられ、「フットボールを抱へて走つてゐる」姿が生き生きと浮かび上がってくるやうです。

・cool: fashionable / attractive / interesting

・getting tackled: 同樣に-ing形の句が主語の位置に置かれてゐます。「タックルされる」様子がうかがへます。

  getはここでは「(~の状態に)なる」ほどの意味で、あとに過去分詞takledが續いてゐますから「タックルされる状態になる」→「タックルされる」。受動態の變形とも考へられます。このかたちについては後日「用例研究」の過去分詞編で解説する豫定です。

 

[意味把握チェック]

1 「Elmo、カッコイイな!でもチーム(メンバー)の殘りはどこだい?」

2 「もうすぐここに來るよ...それがぼくが(練習を)やめて家に歸る時なんだ(/その時ぼくは(練習を)やめて家に歸るんだ)」

2 「やめて家に歸るつて?なぜ?」

3 「フットボールを抱へて走るのはカッコイイよ...でもタックルされると痛いんだ」


・用例研究 288 <-ing形 1 -ing形とは>

2025-02-17 | 用例研究

[用例研究 288] 〈-ing形 1  -ing形とは〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 2004 King Features Syndicate Inc.)

 

1  I’m feeling guilty about being so late to my car pool so often!

2  And I need to do something about it soon.

3  I just can’t keep blaming it on you much longer!

 

1コマめのfeelingとbeing、3コマめのblamingはどれも語尾が-ingのかたちで、文法書では「現在分詞」や「動名詞」として解説されます。前者は、動詞のはたらきを殘しつつ、形容詞や副詞のやうに、文中で語や文を修飾する(/語や文に説明を補足する)はたらきをします。後者は、動詞のはたらきを殘しつつ、文中で名詞のやうな使はれ方をします。いづれの場合も動詞の名殘をのこしてゐて、動きが感じられることが多く、目的語や他の語句を伴ふこともあります。(※他にinterestingやexcitingのやうに、元の動詞的性質がうすれ、形容詞として扱はれるものがあります。)

 

また、文法書によつては「現在分詞」「動名詞」ではなく、-ing forms(-ing形)といふ用語を使つて解説するものもあります。Michael Swanは次のやうに記してゐます。

The distinction between ‘participles’ and ‘gerunds’ is not always clear-cut, and it can sometimes be difficult to decide which term to use.  For this reason, some grammarians prefer to avoid the terms ‘participle’ and ‘gerund’. (Michael Swan, Practical English Usage. 3rd ed. [Oxford: Oxford University Press, 2005], p. 270.) (※拙譯: 「分詞」と「動名詞」の識別は必ずしも明確ではなく、時にどちらの用語を使ふべきか決め難いことがある。このため、「分詞」「動名詞」といふ用語を避けたがる文法學者もゐる。)

 

讀解・聽解の立場では、「分詞」「動名詞」の識別よりも、筆者・話者の傳へんとするメッセーヂをなるべく正確に把握することが重要でせう。そこで、不定詞につづく準動詞の解説として、文中でのかたちをもとにした「-ing形」の用語で「動名詞」と「現在分詞」をまとめて扱はうと想を練つてみました。主語の位置、前置詞の後など、文中で置かれる位置に着目して、出現パターンを眺めてゆきたいと考へてゐます。出現パターンがわかると、-ing形のはたらきや意味が把握しやすくなり、發信も容易になるのではないかと想定し、これから20囘内外でそのパターンを紹介して參ります。(※これは上記の想定に基づく便宜的な試みであり、從來の「現在分詞」「動名詞」といふ概念を否定するものではありません。)

 

 [上掲の漫畫解説]

・feel guilty about~: 「~について氣がとがめる」。ここではI’m feeling と現在進行形となつてゐます。being は前置詞の目的語として名詞のやうなはたらきをしてゐます。

・car pool: ここでは「交通混雜の輕減、大氣汚染の改善、エネルギー資源の節約などを目的として、複數の通勤・通學者が車に相乘りして交代で運轉手を務める方式」を指します。居住地や目的地が近いことがグループ成立の要件となります。

 

・just: 強調と口調を整へるはたらきをしてゐるやうに感じます。

・keep ―ing: 「―し續ける」。SVに-ing形が添へられ、どういふ行爲をkeepしてゐるのかが、説明として補足されてゐます。

 

・blame~on…: 「~を…の所爲にする」

・much: 比較級longerを強調してゐます。

 

[意味把握チェック]

1 「カー・プールにこんなにしょつちうひどく遲れることについては罪惡感を覺えてるんだ」

2 「で、そのことについてすぐに何かする必要があるよな」

3 「もうこれ以上君のせゐにし續けることはできないし」

 

[笑ひのポイント]

・Dagwoodが日頃の遲刻癖を反省するのかと思ひきや、自分の所爲にされてゐたことにBlondieは吃驚し呆れてゐるやうです。


・用例研究 287<不定詞 31  manage to-不定詞・參考例文補遺

2025-02-10 | 用例研究

[用例研究 287] 〈不定詞 31  manage to-不定詞・參考例文補遺〉

  (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake  © 2000 King Features Syndicate Inc.)

 

1  Boss, have you ever considered taking an “Anger Management” course?

2  What for?!

3  I already manage to work up all the anger I need to run this business!!

 

[解説]

・considered ―ing: 「―することを檢討する」

・an “Anger Management” course: 「怒り制御」のための講座

 

・What for?: 「何のために?」

 

・manage to-不定詞(~): 「首尾よく~し遂げる」「どうにかして~する」。

  不定詞句が動詞の目的語になるケースは「用例研究259」(2024年7月29日)で紹介してゐますが、他にも次のやうな例があります。

□參考例文: 「~する餘裕がある」

  I can’t afford to hire a lawyer.

  私は辯護士を雇ふ餘裕がありません。

□參考例文: 「~しそこねる」

  The swimmer failed to reach the shore.

  泳いでゐた人は岸まで泳ぎつくことができませんでした。

・work up~: ここでは「~(感情)をかきたてる」の意味です。

 

[意味把握チェック]

1 「社長、『怒り制禦』講座の受講を檢討したことがありますか?」

2 「何のためにだ?!」

3 「この仕事をまはしてゆくために必要とするあらゆる怒りをワシはもう何とか(して)かきたててるんだぞ!!」

 

[笑ひのポイント]

・いつもこつぴどく怒られてゐるDagwoodの思惑に對する返答の意外性が笑ひを誘ひます。

 

[參考例文補遺]

□參考例文: <so~as to-不定詞>

  You’re not so foolish as to believe all you read in the newspapers, I hope.

  君は、新聞で讀むすべてを信じてしまふほど愚かではないと思ひますが。

□參考例文: 通例否定文脈で「わざわざ~する」

  Please don’t bother to wait up for me.

  わざわざ起きて待つてなくていいですよ。

□參考例文: come to think of it(成句)「考へてみると」「さう言へば」

  Come to think of it, I haven’t eaten lunch yet.

  考へてみると、私はまだ晝ごはんを食べてゐません。

□參考例文: <help~to-不定詞(…)>「~が…するのを手傳ふ」。toは省略されることが多いやうです。

  I helped her (to) get on the bus.

  私は彼女を助けてバスに乘せてあげました。

□參考例文: whyに原形不定詞が續く例です。

  Why not make it yourself?

  ご自分で作つてみてはいかが?

□參考例文: <be yet to-不定詞(~)>「(すでに實行・實現されてゐて當然の  行爲・できごとについて)まだ~してゐない」ことを意味します。

  The full story was yet to be told.

  話はまだこれで全部ではありませんでした。

□參考例文: <前置詞+關係代名詞+to-不定詞>。このかたちについての説明は「英文讀解のヒント(12)」(2014年9月24日付)にあります。

   He has a lot of friends with whom to consult.

  = He has a lot of friends to consult with. (口語)

  彼には相談できる友人がたくさんゐます。