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DAISPO WORLD BOXING EXPRESS

今年もやってるやってる~

この階級、この選手(長谷川 穂積:番外編①)

2017年02月09日 23時09分32秒 | ボクシングネタ、その他雑談
1990年代初頭からの約四半世紀、それぞれの階級で印象に残った選手を挙げていっております。記載上のルールは各選手、登場するのは1階級のみ。また、選んだ選手がその階級の実力№1とは限りません。まあ早い話、個人的に好きな選手ということになります。

今回登場するのはこれまでの記載上のルールを破る第一号生、昨年末に世界王者のままで引退した元WBCバンタム級、スーパーバンタム級、フェザー級の3階級制覇王者の長谷川 穂積(千里馬神戸>>>真正)になります。


(世界王者としては初期の写真。なんか懐かしい)

これまでに何人かの選手が世界王者のままで現役を退いたケース(リカルド ロペス、ジョー カルザゲ、徳山 昌守、レノックス ルイスなど)を見てきました。それらの多く(すべてかな?)が現役続行か、引退かの選択にかなりの時間を費やしての末の決断。今回の長谷川ほど見事にスッパリと引退するケースは記憶にありません。引退発表後、それを撤回して現役復帰という場合もよく見られますが、長谷川の場合はないでしょうね。

師走の9日に現役からの引退を発表た長谷川。これまでに、プロデビュー時から、もしくはそのキャリアの前半期からの実戦を見てきた選手は何人もいます。しかしなぜでしょうか、ここまで長谷川が印象に残っているのは。ただ単に、実力があった選手、だけではないですね。長谷川のような高レベルの選手は他にもいます。だからと言って、そのすべての選手に興味があるというわけではありません。いくら世界的に実力が認められ、加えてその試合も面白いと評判の選手。そして人間的にも悪くはない。しかしなぜだかその選手の試合は見る気がしない。いませんか、そういう選手って?自分にとって長谷川はただ単に試合を見るのが楽しみだった、勝敗がどうであれ。それに尽きるのではないでしょうか。

長谷川の終身戦績は41戦36勝(16KO)5敗(3KO負け)。獲得した王座はOPBF(東洋太平洋)バンタム級(防衛回数3)、WBCバンタム級(10)、WBCフェザー級(0)、そして最後にWBCスーパーバンタム級(0)。長谷川の試合は世界戦すべてに加え、OPBF王者時代からかなり見てきました。KO率は僅かに39%ですが、世界王座を獲得した後にその数字がグッと伸びた選手でしたね。2008年から2009年にかけて5連続KO(TKO)防衛をしていた頃の長谷川は本当に強かったです。

また長谷川は、長い期間世界のトップクラスで戦い続けてきました。世界戦初登場が2005年の4月で、引退試合となったウーゴ ルイス戦は昨年2016年9月。10年強ですか。日本では珍しいケースですよね。

長谷川の活躍期間をいくつかに分けてみましょう。

プロデビューからOPBF(東洋太平洋)バンタム級王座獲得まで(1999年11月から2003年5月):
長谷川はその全キャリアで5つの敗戦を喫しています。その内の2つはデビュー3戦目と5戦目に判定負け。その後14戦目でジェス マーカ(比)に2対1の判定勝利を収め、日本王座を通り越してOPBF王座を獲得。「2対1の判定なら地元判定かな?」と頭を過りましたがどうしてどうして。判定は割れるも明白な勝利を収めることに成功しました。マーカといえば長谷川に敗れるまでの日本のリングでの戦績が10勝1敗全判定勝負という、正真正銘の日本人キラー。この試合での長谷川の勝利というのは、世界戦ではありませんでしたが、日本ボクシング界を驚かせたニュースだったといって過言ではありません。そしてこの勝利により、長谷川が世界を狙えるホープの一人として注目を集め始めました。

OPBF王座の防衛戦から世界王座奪取まで(2005年4月まで):

OPBF王座獲得後から、世界王座を奪取するまでに長谷川が行った試合は6試合。それまでの関西のリングでのみ実戦を行っていましたが、この期間に岐阜で宇野 スナオ (岐阜ヨコゼキ)を相手にOPBF王座の防衛戦、東京で当時苦手としていたサウスポーの世界ランカー、鳥海 純 (ワタナベ)との世界挑戦権を賭けた一戦で勝利。両試合とも決して安易な試合ではありませんでしたが、確実に白星を重ねながら、その名前を徐々に全国区のものへとしていきました。こうして振り返ってみると、長谷川は一歩一歩しっかりとした足取りで階段を昇って行ってことが確認できますね。しかしウィラポン ナコンルアンプロモーション(タイ)に勝利した事には驚かされました。決して当時の長谷川を過小評価していたわけではありませんが、まだまだタイの英雄には及ばないだろう、と思っていました。しかしスター誕生時というのは、多くの場合驚きが伴う、という事ですよね。


(タイの英雄ウィラポンに2連勝)


WBC王座、10連続防衛に成功(2009年師走まで):

長谷川がWBCバンタム級王者だった5年間、まさしく彼は日本が世界に誇れる世界王者でした。10度の防衛戦でのKO/TKO勝利は何と7。まさしく無敵王者だったという感でした。特に6度目の防衛戦からは5連続KO/TKO防衛に成功。その内4試合を6分以内で終わらせています。この時点で長谷川が目指したものは、具志堅 用高(協栄)が築いた13連続防衛記録の打破、海外への進出、そして他団体王座との統一戦とまさに輝きまくっていました。しかしそれと同時に減量苦というマイナス面も徐々に表面化していきました。


バンタム級王座との決別から3階級制覇失敗(2014年4月まで):


(モンティエルの左に沈む)

低迷期というのは多くのボクサーにあることですが、長谷川のこの時期がまさにその低迷期だったといっていいでしょうね。当時WBO王座が日本で公認されていませんでしたが、事実上の王座統一戦でフェルナンド モンティエル(メキシコ)に一瞬をつかれTKO負け。虎の子のタイトルを手放してしまいました。7ヶ月後に一気に2階級を上げて世界王座を獲得しますが、その初防衛戦でジョニー ゴンザレス(メキシコ)にいいところなく敗れ再び無冠に。その後4連勝し、今度はスーパーバンタム級で世界戦に臨みますが、キコ マルティネス(スペイン)に根負け。肝心の世界戦では敗戦続き。無冠戦で勝ち続けてはいましたが、いつ負けてもいいような不安定な状態が続きました。それに伴い、「長谷川=引退?」という声もチラホラ聞こえ始めました。振り返ればあっという間の出来事のようですが、長谷川の低迷期は4年にも及んだんですね。

  
(あっけなく敗れたジョニゴン戦。そしてマルティネスには根負け


ついに王座返り咲き、そして勇退へ!:

9月に行われたウーゴ ルイス(メキシコ)戦で、長谷川は見事の勝利を収め、スーパーバンタム級王座獲得に成功。同時に世界3階級制覇を果たしています。この勝利により、長谷川の日本ボクシング界での地位は確定した、と言っていいでしょうね。史上ナンバー・ワンはファイティング 原田が不動。その次を争う最有力選手の一人ではないでしょうか。素晴らしい試合での勝利後引退を発表した長谷川ですが、勝てて本当によかったです。


(見事な最終戦)


長谷川が獲得した王座(獲得した順):
OPBF(東洋太平洋)バンタム級:2003年5月18日(防衛回数3)
WBCバンタム級:2005年4月16日(10)
WBCフェザー級:2010年11月26日(0)
WBCスーパーバンタム級:2016年9月16日(0=王者のまま引退)


(実子たちに囲まれるお父ちゃん、長谷川。いい写真です)

最高の形で現役から退いた長谷川。サーシャ バクティン(協栄/元日本バンタム級王者)や徳山 昌守(金沢/元WBCスーパーフライ級王者)との対戦が実現していたらどのような結果が待っていたのでしょうか。今後、どのような方針かは未定のようですが、30代半ばと男としてはまだまだこれから。ボクサー後の長谷川の健闘を祈りましょう。

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5 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
私の中では日本人初の三階級制覇です!! (中野吉郎)
2017-02-11 21:08:29
WBCで!!ってのが凄いですし!! WBC,Sバンタム級王者って私の時代はWゴメス~ほぼ気品の有る王者!! ウーゴ・ルイスは微妙ですが(笑)?! 長谷川選手が持っていた!?って事ですよね!? 素晴らしい試合の数々を,ありがとうです!!
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Unknown (Corleone)
2017-02-24 00:22:03
中野吉郎さん、
コメントをいただき、恐れ入ります。

WBCのミニマム級というのが、気品というか思い入れのあるタイトルですね。それは当然の如く、リカルド ロペス(メキシコ)が獲得し、長らく防衛を重ねたからです!

ただ残念なのは、ロペス以後、というか以外のWBCミニマム級王者たちは揃いも揃って小粒ですよね。

ロペスはIBFでライトフライ級王座を獲得しましたが、う~ん、WBCで2階級制覇し、二桁ぐらい防衛して引退してほしかったです。

今後もコメント、お待ちしております!
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返答ありがとうございます!! (中野吉郎)
2017-02-24 15:13:13
やっぱしWBCちょいステイタス高いんですね!!
昔ジュニア!!今スーパーなウェイトも気品の有る王者が多し!! 特にSバンタム何てゴメス~ほぼな気が!! Sフェザーもアルゲリョ~多々な!!
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ロペスがミニマム返上した頃 (中野吉郎)
2017-02-24 15:21:07
ペリスタインさんがWBCと何故か仲が悪かった様な?! 選手に関係無いのに迷惑な話でしたね!? バレラもマルドナドさんがWBCと折り合い悪くナカナカWBCで出来ませんでしたがSフェザーでモラレスと決着を付けた時に田中繊大さんがマルコが緑のベルト巻けて良かった!! 染々と言ってました!! WBCのステイタス高いんですね!!
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Unknown (Corleone)
2017-02-25 01:25:30
ここ数年(10年ぐらいかな)、WBCとWBAは腐敗しきっていますが、自分の中では「鯛は腐っても鯛」というものがあります。

ロペスの2階級制覇の頃、ドンキングとWBCの中が怪しくなってきたような。ただ、これはあやふやな記憶です。

ロペス対サマンの再戦をライトフライ級で見たかったです。もちろんロペスが勝利で!そうすればその後、ロペスが八尋史郎や細野雄一の挑戦を受けるため、来日していたかもしれません!
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