今から30年前の1993年10月9日、英国で行われた試合結果です。
2団体スーパーミドル級戦(王座統一戦):
WBC王者ナイジェル ベン(英)引き分け(1対1:114-113、114-114、113-115)WBO王者クリス ユーバンク(英)
*この試合が行われる約一週間前、英国では英国人同士の世界ヘビー級戦、WBC王者レノックス ルイス対超人気者フランク ブルーノの一戦が行われました。両者が譲らない素晴らしい打ち合いの末、ルイスが7回TKO勝利を収めています。最重量級戦に続いて行われたのが、こちらもまた英国が誇る人気者同士による世界スーパーミドル級王座統一戦。ボクシングファンにとり、待望のカードが短期間の内に実現したことになりました。
(大英帝国を代表するベンとユーバンクによる再戦が実現)/ Photo: World Boxing News
この試合の主人公であるベンとユーバンクは1990年11月に拳を交えており、その時は大激戦の末にユーバンクが逆転TKO勝利。ベンが保持していたWBOミドル級王座を奪取しています。第一戦目から3年経って行われたリマッチ。その間両者は一階級上のスーパーミドル級に転向し、それぞれ世界のベルトを腰に巻くことに成功しています。
世界王座の統一戦とはいえ、当時はWBOはまだまだマイナー団体として扱われていたいました。そしてスーパーミドル級もミドル級とライトヘビー級に位置するおまけのような階級として見られていた時代。しかし実績、実力が伴い、しかも打ち合い好きな選手同士のライバル対決なだけに、会場は試合開始のゴング前から大興奮状態に陥っていました。
ファンの期待を裏切ることなく、初回から激しい打ち合いを再開したベンとユーバンク。キビキビとした動作でファンを魅了していきます。前回、試合を若干有利に進めながらも逆転負けを喫しているベンは、敗戦からの失敗を踏まえてこの再戦に臨みました。常に前進を止めず、ユーバンクに有効打を放つ距離を与えません。また、ディフェンス力でもライバルの上を行き、ポイントで優位な状態を保ち続けます。
(初戦に続いて大激闘を演じるユーバンク(左)とベン)/ Photo: Boxing News
普段以上に好戦的だったベンに対し、後手に回る場面が多く見られたユーバンクですが、そこは歴戦の雄。ライバルに完全にペースを与えることはありません。そして試合は「ベンが上回ったのでは?」という印象を残し、試合終了のゴングが鳴らされました。WBC王者がWBOタイトルを吸収すると同時に、3年前の借りを返すと思われましたが結果は1対1の引き分け。ベンは不満顔でリングを去りましたが、中盤戦にローブロー(低打)による減点1を課された事が大きかったようです。
結果は両者痛み分けという消化不良のものでしたが、興行自体は大成功。「ルイス対ブルーノ」戦同様に、その後の大英帝国の復興と大繁栄の先駆けてとなると同時に、「スーパーミドル級も面白い」という印象を大きく残す結果となりました。そしてベン、ユーバンクに続くように、ジョー カルザゲ(ウェールズ)をはじめ、ミッケル ケスラー(デンマーク)やアンドレ ワード(米)、サウル アルバレス(メキシコ)など多くの名ボクサーが同級を主戦場にしていくことになりました。
(二度の激闘を演じた両雄は、かっこいいミドルエイジに)/ Photo: Daily Mail
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