今から30年前の今日にあたる1994年7月31日、愛知県体育館で行われた試合結果です。
WBCバンタム級戦:
王者薬師寺 保栄(松田)TKO11回52秒 挑戦者/前王者辺 丁一(韓国)
*この試合が行われる前年の師走23日に拳を交えている両雄。その時は僅差の判定で薬師寺が勝利を収め、辺からタイトルを奪っています。しかしどちらの手が挙がってもおかしくない接戦で、辺の勝利を支持する声が根強くありました。
7ヵ月の期間を経て、再び相まみえる事となった薬師寺と辺。この短期間の間に、両者の間には「勢い」というのでしょうか、大きな隔たりが存在するようになりました。
初戦から4ヶ月後に、中堅選手ホセフィーノ スアレス(メキシコ)をボディーで沈め初防衛に成功した薬師寺。世界王者としての成長を見せた一戦でもありました。対する辺は3月から兵役を科せられ、一時ボクシング活動から離れる事になりました。6月に、ボクシングのトレーニングを再開した辺ですが、ボクシングのみに専念できた薬師寺とは違い、スタート以前から大きなハンディを背負わされることになってしまいました。
実際の試合内容も、その数ヵ月に薬師寺と辺のおかれた状況がもろに反映されるものとなりました。この試合に限り、薬師寺のパンチの当て感が凄かったのか。それとも辺が異常のぐらいに打たれ脆かったのか。その辺りは両者に聞いてみない事にはわからないことです。しかしこの試合では、初回、3回、10回、そして最終回となった11回には2度と、薬師寺が何と5度ものダウンを奪ってしまいます。
ただ、この試合が薬師寺のワンサイドのものに終始したわけではありません。辺も前王者の意地を見せ、5回から9回までポイントを奪取しました。「辺の逆転勝利もあり得るのでは?」と思われた矢先、薬師寺がダウンを追加。辺の勢いを止めると同時に、TKO勝利への起点としました。
(前王者辺(左)から5度ものダウンを奪った薬師寺)/ Photo: Youtube
中盤戦に苦しい場面もありましたが、前王者から5度ものダウンを奪い王座の防衛記録を伸ばした薬師寺。この勝利後、この年の終わりに予定されていた日本ボクシング史上最大級の試合に駒を進める事になりました。
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