今から30年前の一昨日となる1995年4月22日、米国ネバダ州で行われた試合結果です。
IBFフライ級戦:
挑戦者ダニー ロメロ(米)判定3対0(116-111、116-112、115-112)王者フランシスコ テヘドール(コロンビア)
*当時の世界王者最候補生で、将来的にはスーパースターになるであろうと大きな期待を寄せられていたロメロ。同じトップランク社所属の軽量級のドル箱スターだったマイケル カルバハル(米)のピークが過ぎ、「小さな石の拳」(カルバハルのニックネーム)と入れ替わるようにして登場した若干20歳です。23戦全勝(21KO)という素晴らしい戦績を引っさげて、ついに初の世界挑戦に臨む事になりました。
(世界初挑戦が決まったロメロ)/ Photo: Youtube
超新星ロメロの挑戦を受けたのは、僅か2ヶ月前に世界王座に就いたばかりのテヘドール。3度目の挑戦で世界のベルトを腰に巻いたコロンビア人は、42勝(30KO)2敗というこちらも挑戦者に負けない素晴らしい戦績を持っていました。2つの敗北は母国コロンビアの外で喫したものとなります。
初回、遠距離からシャープで的確なジャブと、スムーズなフットワークで挑戦者を翻弄したテヘドール。2回にはロメロがその強打で王者をバタつかせますが、クリーンヒットはその一発のみ。軽いパンチながらもテヘドールが機動力を活かし試合をコントロールしていきます。
中盤戦も王者のペースが続きます。5回、接近戦でもテヘドールがロメロが得意とする接近戦でも上回ってしまいます。続く6回、ペースを変えるためか、ロメロが丁寧に左ジャブを付き始めます。それが功を沿うしてか、ロメロのパンチの的中率が上昇。それに比例するかのようにテヘドールの動きが鈍り始めます。前半戦と異なり足が動かなくなったコロンビア人。リング中央での打ち合う場面が増え、試合のペースもロメロに流れていきます。二十歳になったばかりの若者が、このように試合中に自分のボクシングを修正するとはいやはや凄いものです。
回を追う毎にロメロのペースになっていったこの試合。11回終盤にはその右強打で王者の足をふらつかせました。そしてこの試合も終わりに近づいた最終12回2分50秒過ぎ、連打からテヘドールをロープからはじき出す形でダメ押しの形でダウンを奪ったロメロ。序盤はテヘドールの上手さ、経験に苦戦を強いられたものの、戦い方を変え、その強打に加え学習能力の高さを誇示。内容の濃い試合を制し、世界のベルトを腰に巻くことに成功しました。
ロメロの故郷であるニューメキシコ州アルバカーキには、ジョニー タピア(米)という実力と人気が備わった選手がいます。タピアがWBOスーパーフライ級/ジュニアバンタム級王座を獲得してから半年。ロメロもようやく同胞のライバルに追いついたことになりました。そして当然の如く「タピア対ロメロ」戦実現への期待が高まっていきました。
この試合が終わった時点(1995年4月22日)での、フライ級の世界王者たちを確認しておきましょう。
WBA:セーン ソー プルンチット(タイ/防衛回数4)
WBC:勇利 アルバチャコフ(協栄/露/6)
IBF:ダニー ロメロ(米/0)
WBO:アルベルト ヒメネス(メキシコ/0)
*今振り返ってみると、見事なぐらいに実力のある選手たちが顔を並べていたんですね。
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