今から30年前となる1994年10月15日、米国テキサス州で行われた試合結果です。
IBFバンタム級戦:
王者オーランド カニザレス(米)判定3対0(116-111、115-112、114-113)挑戦者セルジオ レイヤ(米)
*「黄金のバンタム」の常勝将軍カニザレスが、同級の連続防衛記録の更新を賭け地元テキサス州ラレドのリングにその雄姿を披露しました。
歴史的一戦の挑戦者に選ばれたレイヤは、10勝(3KO)というレコードだけを見ると明らかに格下の選手。このカニザレスへの挑戦以前は、10回戦を2試合しか経験していない、いわばこの試合に出場するには不適切な選手と言われてもしょうがないでしょう。しかしレイヤのキャリアの紐を解いてみると、中々の選手であることがわかります。この試合が行われる2年前の1992年には、米国チームの一員としてバルセロナ五輪に出場。その能力は伊達ではなく、短いプロキャリアながらも歴戦の雄を相手に堂々と打ち合いを展開していきます。
屋外で日中に行われた一戦。屋根があるとはいえ、試合の大半でリング上に対応の光が差し込んでいました。10月とはいえテキサス州の日差しはさぞ強かったでしょう。
(屋外で行われた記念すべき一戦。青のトランクスがカニザレス)/ Photo: Youtube
カニザレスにとり16度という記録のかかった試合。気合い十分で終始試合に臨みましたが、レイヤも王者に飲み込まれることはありませんでした。一進一退の攻防が続く中6回、右の相打ちでカニザレスが勝りレイヤが前のめりにダウン。並の選手ならそこで試合が終わっていたと言えるほどかなり効いていました。
試合再開後も大崩れすることなくカニザレスに食らいついたレイヤ。試合終了のゴングを聞くに至りましたが、結局は6回のダウンが物を言うことに。新鋭に大善戦を許す形となってしまいましたが、カニザレスがまた一つ防衛記録を伸ばすことに成功。マヌエル オルティス(米)が1942年から1947年にかけ築いた15連続防衛記録を破り、その名を同級史上に残すこととなりました。
(バンタム級史にその名を残すことになったカニザレス)/ Photo: Laredo Morning Times
ラレドがカニザレスの地元とはいえ、テキサス州内でも地方都市の域を出ない街です。カニザレスは当時からその実力を、専門家や選手たちから非常に高く評価されていました。しかし一般的な知名度となると、それに伴わないものでした。バンタム級史上に残る試合がラレドという小規模な街で行われたこと自体が、カニザレスの存在を物語っているような気がします。