ルジマトフのすべて

  忘れないうちに簡単な感想を書いておきます。

  第1部。「ドン・キホーテ」よりグラン・パ・ド・ドゥ、エレーナ・エフセーエワ、ミハイル・シヴァコフ(レニングラード国立バレエ)。

  エフセーエワがすばらしかったです。光り輝くように美しくて、踊りもポーズもなめらか且つしっかりしており、また優雅で華やかな雰囲気に満ちていました。ロシアのバレリーナはかくも優れている、とあらためて実感しました。
  シヴァコフはソロの踊りは少し不安定でしたが、エフセーエワとのパートナーシップは完璧で、観ているほうが嬉しくてたまらなくなってしまうほどでした。ふたりが組んで踊るときのタイミングはばっちり合っていて、踊りの流れがとてもスムーズで、しかも録音テープにも関わらず(つまり指揮者が合わせてくれない)、踊りが音楽から外れることは決してないのです。
  木曜日に観たスヴェトラーナ・ザハロワとアンドレイ・ウヴァーロフより、エフセーエワとシヴァコフの踊りのほうがよっぽど自然でした。

  「シェヘラザード」よりアダージョ、ユリア・マハリナ、ファルフ・ルジマトフ(マリインスキー劇場バレエ)。

  今日上演されたのはほんの一部なのに、去年に観た舞台よりもセクシー(エロティックとさえいってもいいほど)な雰囲気に満ち溢れていて、よくいきなりこれほど濃密な世界を作り上げられるもんだな、と感心しました。
  ルジマトフの着地音がまったくしないジャンプに、あ、そうそう、この人(ルジマトフ)はこういうダンサーだった、と思い出しました。

  「マラキ」(D.ピモノフ振付)、イーゴリ・コルプ(マリインスキー劇場バレエ)。

  音楽は西アジアの民族音楽っぽい感じなのですが、なぜかコルプは背中に茶色の翼のついた丈の長い上着に、赤いベスト、茶色のストライプのシャツ、茶色のズボン、キャメルの靴、という衣装で、黒い椅子を小道具に面白い振付の踊りを踊っていました。
  たぶんモダンかコンテンポラリーに分類される作品なのでしょうが、振付にはクラシックの技が巧みに取り入れていて、コルプはシャープでキレの良い動きで軽快に踊っていました。コミカルな振りもあって、コルプは途中で上着を脱ぐと、厚い黒縁のメガネをかけ、ウェイターのような仕草をしたりします。
  カーテン・コールでは、コルプはメガネを両手でちょっと持ち上げて、たったそれだけの仕草で観客の笑いを誘っていました。ほんとに個性的で面白い兄ちゃんですな。

  「白鳥の湖」より黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ、アリョーナ・ヴィジェニナ、アルチョム・プハチョフ(レニングラード国立バレエ)。

  ヴィジェニナの踊りにはまだおぼつかないところがあり、たとえば動きがもたもたしているとか、次のステップを踏む前に「間」が開いてしまう(音が取れない?)とかいった場面が往々にして見受けられました。
  でも彼女の演技はすばらしくて、オデットを思い出した王子に近づいていくところでは、最初は羽ばたきながらオデットのようなはかなげな表情をしていたのが、身を伏せて顔を上げた一瞬の間に、妖艶で邪悪なオディールの顔に変貌していたのは見事でした。
  プハチョフはヴィジェニナを上手にリードしてフォローしていたし、あとはなんといってもソロがすばらしかったです。ジャンプは高くゆったりとしており、ポーズはきれいで、立ち姿にも気品がありました。
  聞いたところによると、シヴァコフは日本で人気があるとのことですが、プロポーション、姿勢の美しさ、踊りの実力では、プハチョフのほうがすばらしいと思います(ただ前髪の量でシヴァコフに負けるだけで・・・)。

  「牧神の午後」(「ニジンスキーの肖像」より)、ユリア・マハリナ、ファルフ・ルジマトフ。

  この公演での(私個人が思うところの)白眉でした。牧神(ルジマトフ)は黒のスーツ、ニンフ(マハリナ)は黒のシースルーのロングドレスという現代的な衣装で登場します。でも踊りはギクシャクとした古代絵画的な「牧神の午後」の振付で、そのギャップがなぜか非常に魅力的なのです。
  改訂振付と演出はルジマトフ本人ということで、このすばらしい発想には思わず唸りました。

  第2部。「道」(D.メドヴェージェフ振付)、ユリア・マハリナ。

  これもモダンかコンテンポラリーに分類される作品だと思います。音楽はよく耳にする「アルビノーニのアダージョ」(Adagio In G Minor For Strings And Organ)ですが、それを電子楽器でアレンジして、さらに女声ソプラノの歌が付けられていたものでした。
  マハリナのために振り付けられた作品だということですが、振付は古くさくて野暮ったく、日本でいえば昭和の高度成長期ごろの現代舞踊といった感じでしょうか。マハリナは暗いオレンジのロングドレスを着て、舞台をドタドタと駆け回って、床に倒れ伏して悩み苦しみ、時おり唐突にクラシックの振りで踊る、という感じです。
  ロシアのダンサーは、西ヨーロッパのモダンやコンテンポラリー作品をよく知らないのではないでしょうか。そういうダンサーが「モダン」や「コンテンポラリー」の新作を踊る場合は慎重を期すべきで、音楽と振付家はよくよく吟味して選ばなくてはならないのではないか、と思いました。

  「海賊」よりパ・ド・ドゥ、イリーナ・ペレン(レニングラード国立バレエ)、イーゴリ・コルプ。

  この公演での白眉その二。クラシック作品の真打ち登場、といった感がありました。水色のチュチュを着たペレンは美しく、余裕をもって優雅にメドーラを踊りました。アリを踊ったイーゴリ・コルプは凄かったです。技術がとにかくすばらしいレベルですし、また、役によってこれほど印象や踊りをコロコロ変えることのできるダンサーも珍しいと思います。
  コールプは上半身裸にえんじ色のハーレム・パンツ姿で登場し、半爪先立ちで片脚を後ろに腰より上にまで上げたポーズがとても美しく、コーダで回転ジャンプをしながら舞台を一周するところでは、上に高く跳んで更に回転する、という技を織り込んでいました。

  「阿修羅」(岩田守弘振付)、ファルフ・ルジマトフ。

  音楽は能のかけ声や笛、太鼓の音みたいなものでした(藤舎名生「玄武」)。もちろん録音テープです。でも、ルジマトフは実に見事に音に合わせていて、また音がない静寂の間も踊り続けて、次の動きをやると同時にバッチリのタイミングで音が再び始まるので、いったいどれほど踊り込んだのだろうとびっくりしました。
  ルジマトフは上半身は裸、有名な阿修羅像をもとにデザインしたのでしょうが、仏像のような白い腰衣状のハーレム・パンツを穿き、額にはビンディーを付け、髷まで結っていました。
  振付は、マハリナの踊った「道」よりはよほど洗練されていました。動きに統一感があって、いきなりクラシック・バレエの技が出てきたりしません。阿修羅像の三面六臂のように、ルジマトフは無表情のまま両腕をせわしなく動かし続け、そして腕を硬直させて静止します。これまた阿修羅像のような威厳と静謐さが漂っています。
  ただ、この作品は日本では上演しないほうがよかったと思います。観ていて(聴いていて)どうしても気恥ずかしさを覚えてしまうのです。特に舞台の奥に現れた、書道家の筆になるという「阿修羅」と書かれた幕には困りました。    

  第3部。「ブレリア」、ロサリオ・カストロ・ロメロ、リカルド・カストロ・ロメロ、男性ダンサー1人(氏名未記載)。

  フラメンコだと思うのですが、私はフラメンコにはまったくの門外漢で、何をどう楽しめばいいのか分かりませんでした。でも、(おそらく)リカルド・カストロ・ロメロの長時間にわたる細かいタップ(というのか?)と、すごくよく響く指パッチンの音には感心しました。

  「ボレロ」、ファルフ・ルジマトフ、ロサリオ・カストロ・ロメロ、リカルド・カストロ・ロメロ、他4名(女性2人、男性2人)。

  音楽はラヴェルの「ボレロ」でした。これも何をどう楽しめばいいのか分かりませんでした。ルジマトフの魅力の中で、これはルジマトフだけが持つ稀世の能力だ、と私が思い、またそれに惹かれてならないものは、この作品でのルジマトフの踊りにはありませんでした。私には、この「ボレロ」にルジマトフが出る必要性がどうしても分かりません。でも観客の反応は上々でしたから、つまり私はルジマトフの全面的なファンなのではなく、ルジマトフの「一部の要素に対するファン」なのでしょう。

  チケットの価格がお手ごろだった割には、参加メンバーの顔ぶれは充実していたし、パフォ-マンスのレベルも高かったので、とても満足しました。・・・「簡単に」といいつつ、長くなっちゃいました。それほど良い公演だったということです。    
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新国立劇場バレエ団「ドン・キホーテ」

  観てきました。センスの良いデザインと色彩の衣装、整然とした美しいコール・ド、日本人バレエ・ダンサー(特に女性)のプロポーションと身体能力と技術のすばらしさを堪能しました。

  キトリはスヴェトラーナ・ザハロワ(ボリショイ・バレエ団)でした。やはりザハロワの踊りは他のダンサーたちとは一線を画するようです。信じられないほどの身体の柔らかさや、極めてなめらかで美しい手足の動き、魅力的でかわいい演技など、うっとりと見とれてしまいました。

  バジルはアンドレイ・ウヴァーロフ(ボリショイ・バレエ団)でした。背が非常に高くて、190センチ近くも(以上も?)あるのではないでしょうか。これまたすばらしい技術を持ったダンサーでした。

  ただ、演技力や場を盛り上げる力では、デニス・マトヴィエンコ(29日、7月1日のバジル役)のほうが見ごたえがあると思います。マトヴィエンコ演ずるバジルの狂言自殺シーンはちょう爆笑モノですし、踊りにも華があって、観ている側が興奮してしまいます。その点、今日のウヴァーロフはザハロワの陰に隠れちゃったかな?という感じでした。

  エスパーダは市川透が踊りました。今日は少し硬くなってたようです。明後日(30日)はもっと自信をもって踊ってくれるといいですね。第三幕で「ボレロ」を踊ったマイレン・トレウバエフは堂々としていてカッコよかったです。29日と7月1日にはエスパーダを踊るそうですが、さぞ似合うだろうと思います。

  第二幕「ギターの踊り」では大森結城がソロを踊りました。長いドレスの裾を、脚を高く上げて美しく翻し、個人的には、メルセデスを踊った湯川麻美子よりもすばらしかったと思いました。

  あとは、キューピッドを踊ったさいとう美帆がよかったです。複雑で細かい足さばきで踊りとおしました。また、ヅラがピンクというのはロック魂を感じさせました。

  第三幕のグラン・パ・ド・ドゥで、第1ヴァリエーションを踊った寺島まゆみは、ジャンプだらけの踊りを最後までパワーを落とさずに踊っていました。今回じっくり見てみて、「ドン・キホーテ」という作品が、ダンサーにとってどんなにタフな作品であるのかを実感しました。ソロを踊るダンサーたちは、踊りの最後にはどうしても力が落ちてしまうのが分かりました。ザハロワでさえも時おり辛そうでした。

  新国立劇場バレエ団が上演する「ドン・キホーテ」の改訂振付はアレクセイ・ファジェーチェフだというので、ボリショイ・バレエ団が上演していたのと同じかと思いましたが違いました。プログラムによると、ファジェーチェフが「新国立版」として改訂振付したものだそうです。主な違いは、やはりボリショイ版にはある踊りがいくつか削除されていたことです。

  ですから、印象としては「すっきりした簡潔な『ドン・キホーテ』」といったところでしょうか。

  ただ、私は今日の公演を観て、新国立劇場バレエ団なら、ヌレエフ版「ドン・キホーテ」も踊れるのではないかと思いました。少なくとも、ミラノ・スカラ座バレエ団よりはきちんと踊れると思います。

  ヌレエフ版「ドン・キホーテ」はよくできている改訂版だと思いましたので、欲を言えば、新国立劇場バレエ団にもいつか上演してほしいです。

  あと、演奏は東京フィルハーモニー交響楽団でしたが、今日の演奏は「それで東京フィルハーモニー交響楽団といえますか」という感じでした。もっとも、これは指揮者に問題があったのかもしれません。 
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“Imagine This”

  クーパー君の公式サイトが少しだけ更新されてました。クーパー君は現在、プリマスのシアター・ロイヤルで来月から上演される“Imagine This”のリハーサルに没頭しているそうです。

  “Imagine This”はプレビューが7月6日(金)から、本公演が7月9日(月)から始まります。久しぶりに“Imagine This”の関連サイトに行ってみました。公式サイトでは劇中曲が5曲試聴できます(Myspace Musicのサイトより1曲多い)。

  タイトル・ナンバーの“Imagine This”や“Salome's Lament”などは、なかなか良い曲だと思います。全曲を収録したCDも販売されています(←仕事早っ!)が、買うかどうか。どうせ買うのなら、後で何度でも聴きたくなると確信できるものがいいので、まだ躊躇しています。もう何回か試聴してみて、それから決めよっと。

  よく分からないのは、今回のシアター・ロイヤル・プリマスでの上演が“Imagine This”の世界初演なのか、それともリバイバルなのか、ということです。公式サイトの紹介文によると、どうも今回が世界初演のようなのです。でもそれにしては、CDはすでに存在するし(なぜかアメリカ人ミュージカル歌手による録音のよう)、公演に先駆けて“Imagine This”のコンサートがイスラエルで開かれたらしいし、なんか今ひとつよく分かりません。

  “Imagine This”公式サイトに掲載されていたあらすじを読んでみたら、物語的には興味深いと思いました。単なるマサダ要塞の物語だったらさほど面白くはないですけど、第二次世界大戦中のワルシャワのゲットーに押し込められたユダヤ人たちと、古代ローマ時代にマサダ要塞に立てこもったユダヤ人たちの姿と物語が交錯していく、というところが。

  ラストは「希望のうちに終わる」そうですが、悲劇の中にも一筋の希望の光を漂わせる、的な結末なんじゃないでしょうか(根拠なし)。

  プリマスでの公演で、しかも公演期間が短いですから、レヴューを探すのはかなり難しそうです。でも公演が始まったら、時間を見つけてググってみましょう。

  それにしても、クーパー君、この“Imagine This”の仕事が終わったら、公式サイトの日記を更新して、それから一刻も早く舞台の上に戻ってきて下さい。 
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宴のあと

  “Side by Side by Sondheim”は先週の土曜日、6月23日をもって楽日を迎えたはずですが、クーパー君の公式サイトにはまだ更新がありませんな~。楽日の公演はどうでした、とか、アダムの様子はこうでした(←いたかどうかは分かりませんが)、とか、少しでもいいから何か消息が知りたいものですね。

  この週末にようやく、ミラノ・スカラ座バレエ団の公演を観に行ったときにもらったチラシ類を整理しました。その中に来月に日本公演を行なうオーストラリア・バレエ団のマーフィー版「白鳥の湖」のチラシがありました。

  裏面に佐藤友紀さんの紹介文(雑誌『SPUR』2007年2月号から転載したものとのこと)があって、こう書いてありました。

  「50年近く日本のショービズ界に関わってきたある評論家が『来日公演舞台の中ではベスト!』と称賛したマシュー・ボーン振付、アダム・クーパー主演の『白鳥の湖』の初日。観客が総スタンディング・オベーションしたあの夜、これ以上夢中になれる『白鳥の湖』にはもう出会えないかも、とひそかに覚悟したものだったが、人間の想像力&想像力って素晴らしい。」

  つまりはそれがマーフィー版「白鳥の湖」だ、というわけなのですが、この文章を読んで、あの夜、初めてアダム・クーパーのザ・スワンを生で見たときの感動や、カーテン・コールでの会場の熱狂的な雰囲気を思い出し、つい涙がちょちょ切れそうになりました。

  「50年近く日本のショービズ界に関わってきたある評論家が『来日公演舞台の中ではベスト!』と称賛した」んですってよ。クーパー君、あなたにはそれほどの大きな力があるんですよ。

  自分の好きな服を着るのも結構、自分の好きな振付をやるのも結構、でもそろそろ、自分に似合う服を着てみたらどうでしょう?自分に似合うことをやってみたらどうでしょう?あなたはね、舞台の上で踊っているのがいちばん似合っているんです。

  どうか、自分にしかできないことを、もっと大事にして下さい、とクーパー君に言いたいです。

  ところで、佐藤友紀さんの上の紹介文には、「『アダム・クーパーに似てる!』と評判の王子役ダミアン・ウェルチ」と書いてあります。プロフィルの写真を見ると、う~ん、似てるかなあ?確かに顔の輪郭と眉毛と目元と鼻は似てるかも。でも、クーパー君の男前度には、まだまだ100億光年は及ばないわね!
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気をつけよう

  まず、ミラノ・スカラ座バレエ団「ドン・キホーテ」(ヌレエフ版)の感想が終わったので、よかったら読んでね

  さて本題です。私の実家は秋田なのですが、先日、実家にいる母親に1本の電話がかかってきたそうです。それは男性の声で、「東京の社会保険庁の本庁」から電話しており、年金のことについて現在調査をしているので、それに協力してほしい、みたいなことを言ったそうです。

  母親は「東京の社会保険庁の本庁」という言葉が引っかかり、なぜ東京にある社会保険庁の本庁の職員が、わざわざ秋田の自分のところに電話をかけてくるのか、と妙に思い、「調査なら地元の社会保険事務所にお尋ねになって下さい」と言って、すぐに電話を切りました。

  その後すぐに、地元の社会保険事務所に電話して、こういう変な電話があった、ということを話したところ、最近はそういう怪しい電話が多いらしくて、他にもたくさんの問い合わせを受けている、社会保険庁はもちろん、社会保険事務所であっても、電話によって照会や調査を行なうことは絶対にないので気をつけてほしい、という答えが返ってきたそうです。

  この話を聞いて、私が「それは今はやりのナントカ詐欺で、お金を騙し取るつもりだったんじゃない?」と言うと、母親は「そうだと思う。でも、その男の人はすごく丁寧な口調でねえ」と言いました。私「『丁寧な口調』って、役人が一般市民に対して丁寧な口調で話すワケないじゃない。そもそもそれが怪しいのよ!」 母親「そういえばそうねえ!」 で、ふたりで大笑いしたわけです。

  でも、みなさんも気をつけて下さい。「社会保険庁」や「社会保険事務所」を名乗る電話にはくれぐれも注意して下さいね。そういった電話を受けたら、質問には何も答えずにすぐに電話を切って、タウンページやNTTの番号案内などで、「社会保険庁」や「社会保険事務所」の電話番号を調べて、自分からかけ直して問い合わせたほうがいいです。

  電話をかけてきた相手の言った電話番号にかけ直しては絶対にいけません。絶対に自分で本物の「社会保険庁」や「社会保険事務所」の番号を調べてかけましょう。

  ついで。私の麻疹の抗体検査の結果が出ました。「陽性」でした。つまり麻疹の抗体がちゃんとありました。お医者さんによれば、麻疹にかかることはまずないだろう、ということです。私は子どものころにちゃんと2回予防接種を受けていたらしいですね。とても安心しました。
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ザ・レイクス・プログレス

  小林紀子バレエ・シアターからようやく公演のチラシが送られてきました。小林紀子バレエ・シアター第87回公演では、“The Rake's Progress”(ニネット・ド・ヴァロワ振付)、“Elite Syncopations”、“Concerto”(ケネス・マクミラン振付)が上演されます。

  “The Rake's Progress”はやっぱり今回が日本での初演となるそうです。“Elite Syncopations”は、一部はスターダンサーズ・バレエ団によって2002年に上演されましたが、全編もかつて日本で上演されたことがあるのでしょうか?ロイヤル・バレエとかが日本公演で初演したのかな。

  チラシにはロイヤル・バレエによる“The Rake's Progress”公演写真が掲載されています。写っているのは、今度の公演にゲスト出演するヨハン・コボーです。同封の「The 公演ガイド」によると、“The Rake's Progress”は、イギリスの画家、ウィリアム・ホガース(William Hogarth)の連作“A Rake's Progress”にヒントを得て作られたようです。

  ストーリーは、「トム・レイクウェルが若くして相続した莫大な遺産を、ロンドン社交界にデビューするために使い果たし、没落していく生涯を描いたもの」だそうです。コボーの写真には、巻き毛のかつらをかぶったロココ調の格好をしたものと、たぶん主人公が「没落」した後でしょうが、上半身裸でボロボロの半ズボンだけを穿いていて、頭は山海塾みたいなスキンヘッドという姿のものとがあります。

  島添亮子さんも“The Rake's Progress”に出演するそうです。ニネット・ド・ヴァロワの「チェックメイト」は大して面白くなかったけど、「ザ・レイクス・プログレス」は面白い作品だといいですね。

  “Elite Syncopations”の公演写真は、これはどこのバレエ団なのかな。すっごい昔のロイヤル・バレエのように見えるんだけど・・・。それともバーミンガム・ロイヤル・バレエだろうか?(“The Rake's Progress”と“Elite Syncopations”の装置と衣装は、ロイヤル・バレエとバーミンガム・ロイヤル・バレエからのレンタルだそうです。)やっぱりみなすごい宇宙人衣装です。

  この作品にはストーリーはないと思っていましたが、「The 公演ガイド」には、「20世紀初頭に起きた“世界大恐慌”のなか、競い合ってダンスを踊り、賞金を稼ぐダンサーたち」と書いてあります。そーいう話だったのか(驚)。

  第88回公演の演目は、デレク・ディーン版「ジゼル」と、なぜか「ソワレ・ミュージカル」(ケネス・マクミラン振付)です。公演日時は2007年11月17日(土、18:30開演)、18日(日、15:00開演)で、会場はゆうぽうとです。チケットはS席10,000円、A席8,000円、B席6,000円で、一般発売は6月26日からです。小林紀子バレエ・シアター(03-3987-3648)、チケットぴあ(0570-02-9999)、イープラス、東京文化会館チケットサービス(03-5815-5452)で受け付けるそうです。

  あ、「ジゼル」では、島添亮子さんがジゼルを、ロバート・テューズリーがアルブレヒトを両日とも踊るようです。
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キエフ・バレエ

  バレエ公演といえばグランディーバ・バレエ団しか来ない我が故郷、秋田県に朗報が。11月にキエフ・バレエが秋田市で「くるみ割り人形」を上演するそうです。6月にグランディーバ・バレエ団の公演を観に行く予定の母親から電話があり、「キエフ・バレエってどういうバレエ団?観に行ったほうがいいのかしら?でも12,000円もするのよ(←暗に娘の私に奢れと要求している)」と質問されました。

  キエフ・バレエは私も観たことがないので何とも答えることができず、「(ホンモノの女性ダンサーが踊るという意味で)普通のバレエ団だから、良い機会だし観に行けば?観に行くのなら、誕生日のプレゼント代わりにチケット代は私が出すよ(←我ながらなんて親孝行)」と言っておきました。

  チケットの発売日は今月末なので、それまでに観に行くかどうか決めておくわ、と母親は言って電話を切りました。う~ん、「くるみ割り人形」ねえ・・・。私はあんまり好きじゃないんですな(ピーター・ライト版を除く)。

  キエフ・バレエ東京公演のチラシによると、彼らが上演するのは「V.コフトゥン改訂振付」版らしいです。もちろん私は観たことありません。大体、V.コフトゥンって誰?よって、良い作品だから観に行け、ではなく、本物のバレエ団が上演する生オケつきの全幕物で、これは秋田ではめったにない機会だから観に行け、という、バレエ欠乏地帯秋田ならではの情けない理由による提案になってしまいました。

  さて、マニュエル・ルグリ、ドロテ・ジルベール主演「白鳥の湖」(with 東京バレエ団)は、第一希望のS席はハズレで、第二希望のA席が当たりました。端っこの席で見づらそうですが、一般発売でまた何時間も電話するのは面倒なので、当たったチケットを買うことにしました。

  ボリショイ・バレエとマリインスキー・バレエの「世紀の合同公演」(←ぶっ)ですが、いっそのこと、この公演に母親を連れていこうかな、と考えています。若手中心のガラ公演だけど、全幕物の場合、ウチの母親はストーリーが分からず上演中に話しかけてくる危険性があります。ガラ公演ならおとなしく観てくれるでしょう。

  最後にクーパー君の話題です。彼の公式サイトによれば、“Side by Side by Sondheim”は6月23日をもって閉幕するそうです。当初の予定では確か7月14日までだったはずですから、閉幕が3週間早まったわけです。

  理由はズバリ「不入り」でしょう。結局、8週間という短い上演期間で閉幕することになりました。レヴューでの評価が高かっただけに残念ではありますが、クーパー君が出演しているわけではないから、あ、そーですか、という感じです。

  だけど。公式サイトによると、クーパー君は現在、別のミュージカル“Imagine This”のリハーサルで忙しい、とのことです。正直言って、私はこの記述に少し引っかかるものを感じました。

  クーパー君は自分が振り付けた作品(“Side by Side by Sondheim”)が、当初の予定よりも3週間も早く打ち切りになることについて、どう思っているのでしょう。それとも、彼はそんなことなどまったく気にかけずに、次の作品の振付に没頭しているのでしょうか。

  自分の振付作品に未練や愛着を持たない人に、「振付家」を標榜する資格はない、と私は思いますし、クーパー君には、後に残らない振付の仕事を次から次へと引き受ける、「使い捨て振付家」や「便利屋的振付家」にはなってほしくありません。

  いくら忙しいとはいえ、ぜひともクーパー君自身に、近況や最近の一連の出来事についての感想なり心境なりを、日記などで語ってもらいたいものです。   
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楽しかったけど理解できない

  今日はミラノ・スカラ座バレエ団のヌレエフ版「ドン・キホーテ」、昼と夜の2公演を観てきました。

  昼公演はミラノ・スカラ座バレエ団のプリンシパルが、夜公演はゲスト・ダンサーが、主役のキトリとバジルを踊りました。

  今回のミラノ・スカラ座バレエ団日本公演は、演目がヌレエフ版「ドン・キホーテ」の1作品しかないこと、またほとんどの公演でゲスト・ダンサーが主役を踊り、ミラノ・スカラ座バレエ団のダンサーが主役を踊るのは1公演のみ(しかも昼公演)、という点が不思議でした。

  私は当初、今回の日本公演に参加するミラノ・スカラ座バレエ団のダンサーに、日本での知名度が高い人がいないので、それで話題作りにゲスト・ダンサーを呼んだのだ、客を呼ぶためとはいえ、ミラノ・スカラ座バレエ団のダンサーたちは、昼公演1つだけを割り当てられて、さぞプライドを傷つけられただろうし、苦々しい思いでいることだろう、と想像していました。でも、そうではなかったようです。

  ゲスト・ダンサーと彼らが踊る公演日が異常に多い理由は、ずばり、現在の、少なくとも今回の日本公演に参加したミラノ・スカラ座バレエ団のダンサーの中には、キトリとバジルを満足に踊れるダンサーがいないからだと思われます。もちろん客寄せのためもあったでしょうが、それ以上に、はるかに実際的な需要があって、ゲスト・ダンサーを招聘せざるを得なかったのでしょう。

  昼公演では、キトリをマルタ・ロマーニャ、バジルをミック・ゼーニ(ともにプリンシパル)が踊りました。ミック・ゼーニはそこそこ踊れていましたが、あの程度の男性ダンサーなら、日本にも大勢いるだろうと思われます。ゼーニはソロで踊るところはまだ普通なのですが、キトリと組んで踊るところでは、タイミングは合っていないし、サポートもリフトもお世辞にもすばらしいとはいえませんでした(←控えめな表現)。

  第一幕で、バジルがキトリを頭上高く持ち上げて静止する見せ場があります。ゼーニはキトリ役のマルタ・ロマーニャを持ち上げて両手で支えながら、よろよろと足元がふらついて、前に歩いてしまいました。2度とも同じでした。夜公演でバジルを踊ったゲストのホセ・カレーニョ(アメリカン・バレエ・シアター プリンシパル)は、片手でキトリを支えて静止してビシッと決めました。

  また、ゼーニが回転するロマーニャの腰を両手で支えると、ロマーニャの体が段々と斜めに傾いていくのです。手つきもわたわた、と慌ただしく、ロマーニャの体は不規則な速度で、ぎこちなく回転していました。

  キトリを踊ったこのマルタ・ロマーニャは、第一幕のキトリ登場のソロを観た時点で、このダンサーには無理だ、とすぐに分かりました。非常にガタついた危なっかしい踊りで、振付がこなせていないのはもちろん、音楽もことごとく外してしまいます。指揮者が彼女のペースに合わせて演奏していたのにも関わらずです。

  ロマーニャにはヌレエフ版「ドン・キホーテ」の、というよりは、「ドン・キホーテ」のキトリを踊れるほどのテクニックとパワーとスタミナがありません。長身でほっそりしてスタイルのとても良いダンサーなのですが。

  夜公演のキトリ役だったタマラ・ロホ(ロイヤル・バレエ プリンシパル)の踊りで確かめましたが、ロマーニャは振付を省略したり改変したりしていました。第三幕最後のグラン・パ・ド・ドゥのコーダでも、32回転ができずに途中でやめてしまいました。もっとも、フェッテを始めたとたんに足元がグラついて大きくよろめいたので、最後までちゃんと回れるかなあ、と心配したのです。

  このマルタ・ロマーニャとミック・ゼーニは、踊りの途中で、また踊り終わって見得を切る音楽のタイミングもみな外していました。主役2人が揃ってこのようにふがいなかったためか、昼公演のカーテン・コールで最も大きな拍手が送られたのは、ドン・キホーテ役のフランチスコ・セデーニョでした。

  タマラ・ロホとホセ・カレーニョが主演した夜公演は大いに盛り上がりました。ロホもカレーニョも、踊り、演技、ふたりで踊るときのタイミング、すべて申し分ありませんでした。はっきり言って、昼公演のロマーニャとゼーニとは比べるまでもありません。歴然とした能力差がありました。

  ミラノ・スカラ座バレエ団のダンサーたちは、ほとんどがイタリア人のようです。群舞を見て、ああ、これがイタリア人ダンサーの一般的な体型か、と思いました。背はさほど高くはなく、胴体や手足の輪郭に起伏があまりなく、どこか寸詰まりな感じがします。面白い発見でした。

  ミラノ・スカラ座バレエ団の群舞ですが、あそこまで徹底して揃っていないのも、それがお国柄、といわれればそうなのかもしれません。だからまあいいです。
  
  本題に戻りますが、バレエ団内にその役を満足に踊れるダンサーがおらず、外からゲストを呼ばなければ上演できないような作品を、海外公演の演目にするのがそもそもおかしい、と私は思うのです。

  ゲストを呼ばなくても、ミラノ・スカラ座バレエ団のダンサーだけで上演できる作品を演目にすべきだったと思うし、ミラノ・スカラ座バレエ団独自のレパートリーもあるようなのに、なぜこんないびつな形で日本公演を行なったのか、私には理解できません。

  今日はミラノ・スカラ座バレエ団の公演を楽しんだというよりは、タマラ・ロホとホセ・カレーニョの踊りを楽しんだという感が強く、これでは「ミラノ・スカラ座バレエ団日本公演」の意味がありません。舞台の主導権を握るべきミラノ・スカラ座バレエ団が、タマラ・ロホとホセ・カレーニョのバック・ダンサーズになってしまったからです。          
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英国式リフレクソロジー

  いつのだか分からないですが、“Side by Side by Sondheim”のレヴュー。musicOMH.comというサイトのです。

  このmusicOMH.comとは、「ロンドン、イギリス、海外の音楽、映画、演劇についての、様々な、そして完全に独立した批評や特集を提供する媒体」だそうで、まあ公的なサイトに分類されると考えていいでしょう。

  「完全に自立的な(“completely independent”)」てことは、新聞やエンタテイメント関係の大手サイトに掲載されるレヴューの多くは、何らかの思惑が働いていて、程度の差はあれ、手心が加えられている可能性が高い、ということなのかな。

  残念ながら、このmusicOMH.comの“Side by Side by Sondheim”のレヴューでは、クーパー君の振付については述べられておりません。でも評価は四つ星で、なかなか高い評価となっています。

  ソンドハイムといえば、ロイヤル・オペラ・ハウスのリンバリー・スタジオでも、ソンドハイムの“In to the Woods”が6月14日から上演されます。振付・監督はウィル・タケット、美術はレズ・ブラザーストンです。キャストが発表されましたが、これまた残念ながらアダム・クーパーの名前はなし。

  せめて年内には舞台に立って下さい、クーパー君!

  本題ですが、昨日の帰りに「英国式リフレクソロジー」に行ってきました。早い話がマッサージです。着替え不要で気軽に受けられる割には(料金はほとんど素人同然の人たちがやっているマッサージ屋よりも500~2,000円ほど割高ですが)、スタッフはみなプロ・ライセンスを持っている人たちだそうで、いわれてみればなかなか本格的でした。

  最初にフット・バスに浸かっている間、肩、首、背中を揉んでもらいましたが、私の凝りは「重症」だそうです。次がふくらはぎと足のオイル・マッサージで、これがイタ気持ちいいのなんの。眠っちゃいそうで、実際に寝ている客もいました。

  マッサージが終わったらはいおしまい、で帰されるのではなく、体の状態を説明されました。足のどこがどう凝っているかで、体のどこが疲れているか、もしくは弱っているか分かるんだそうです。

  私の結果は、頭が疲れている、強いストレスと寝不足による疲れがたまっている、胃腸が弱っている、と言われました。全部ビンゴで驚きました。施術前も施術中も、私は自分のことをなーんにも話していなかったのですよ。

  先週まで仕事が激忙しくて、うまくいくかどうかという、不安と緊張のストレスがビンビン、忙しかったからもちろん睡眠不足、おまけに酒で吐いたことのない(学生時代は除く)私が、お酒を飲んで今週すでに2回も吐いている。言われたことにみんな当てはまっているではありませんか!

  特にお酒を飲んで吐いたのは、自分でも「!?」と首を傾げていたので、胃腸が弱っていると聞いて納得しました。気持ち悪さや痛みはないのですが、しばらくお酒は控えて、ご飯は消化のいいものを食べることにしました。

  英国式リフレクソロジーはあなどれませんな。これから月に一度くらいは行ってみようかと思っています。
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