ジオラマの街-1


  上海っていうと、こういうイメージだと思います。

 1.租界時代の西洋建築物

  (外灘と黄浦江。)

 2.近未来的な高層ビル

  (浦東新区の高層ビル群。左が東方明珠塔。)

 3.鮮やかなネオン

  (南京東路。)

 4.昔ながらの下町

 
 (南京東路の北側。右奥に赤茶色の屋根が連なる低層住宅の一帯が見える。その奥には高層ビル群。)

  これに明代だか清代だかに築かれた、中国の伝統的庭園である豫園を加えれば完璧でしょう。

  古い西洋建築が立ち並ぶ外灘、斬新なデザインの高層ビルが聳え立つ浦東新区、上海第一の繁華街で夜は色とりどりの明るいネオンが輝く南京東路、下町っぽい古い低層住宅街、中国古代庭園の豫園。

  上海を代表するこれらの観光名所は、すべて徒歩30分圏内の一区域、つまり黄浦区の東端と浦東新区の西端に集中しています。ちなみに上海博物館もこの区域内にあります(人民広場の南)。

  観光客はこの徒歩30分圏内の区域を見て回るだけで、充分に上海を堪能できます。実際に私もいくつかの郊区に出かけた以外は、観光名所が凝縮されたこの徒歩30分圏内の中のみで過ごしました。とても楽しかったです。

  同時に違和感も覚えました。そのきっかけは、南京東路から北に入るとすぐにある、古い低層住宅街の存在でした。これらの建物は2~3階建てだったと思います。イケイケドンドンで超高層ビル大絶賛建設中の上海で、しかも東京でいえば銀座みたいな南京東路のすぐ奥に、なぜこんな古い低層住宅が残っていられるのか?

  南京東路の外灘寄りにも、南京東路に沿って古い低層住宅が残っていました。こちらは4~5階建てでした。中国と西洋の折衷ぽいデザインの建物です。実際に人が住んでいるようで、窓の外に洗濯物がずらりと干してありました。

  おいおい、南京東路だぞ、なんで窓の外に洗濯物なんだよ、と思いました。上海万博(2010年)が開催された頃、この「窓の外に洗濯物を干す」は、「パジャマ姿で外に出る」と並んで、日本のメディアが上海の「文明度の低さ」を揶揄するときの鉄板ネタでした。

  上海は市当局による都市管理が非常に厳しいという印象があります。中国といえば、今は大気汚染問題が深刻化しています。特に北京周辺は本当にひどいようです。敏感な人(花粉アレルギー、喘息、呼吸器が弱いなど)は、甚だしい場合は飛行機を降りたとたんに具合が悪くなってしまうそうです。

  中国の大気汚染は複数の要因が重なって起きているもので、一つの要因を処理すれば解決できる問題ではないようです。面子をあれほど重んずる中国政府が、大気汚染の解決には少なくとも数年を要する、と認めざるを得ないほどです。

  ところが、上海の大気汚染はさほど深刻ではないように私個人は感じました。私は花粉アレルギー持ちで、また母方の遺伝で呼吸器も弱いのですが、気分が悪くなったり咳きこんだりといったことが一切ありませんでした。

  今回はタクシーで長時間移動することが多かったので、運転手さんたちとかなり話をしました。北京と同様、上海のタクシーの運転手も、最初こそむっつりして黙っているのですが、こちらから話しかけると怒涛のごとくおしゃべりを始めます。(彼らが言うには、客のほうから話しかけてこない限り、運転手のほうから話はしないそうです。)

  上海の大気汚染はそうひどくないんじゃないか、と私は複数の運転手に話してみました。運転手たちは大方同意しました。原因を尋ねると、みなまず地形の問題を挙げました。北京が内陸部にあって空気がこもりがちなのと違い、上海は海に面しているために常に風が入ってきて、空気が攪拌されるせいだと言っていました。皮肉なことに、台風がやって来る都度、汚染された空気を台風が持ち去っていく、とも。

  こうした自然の地理的・気候的条件に加え、上海市は空気汚染対策として、排煙を出す工場を市内と郊区からすべて強制的に撤収させたそうです。

  上海市のタクシーに対する管理も厳格なことこの上なく、まずタクシーの運転手は上海の都市戸籍を持つ者でないといけません。日本と違い、中国では戸籍の変更はできないので、上海のタクシー運転手はみな生粋の上海人です。たとえばタクシーがぼったくりなどの行為をして、乗客が市の担当部門にクレームを入れたとします。すると、運転手のみならず、運転手が所属するタクシー会社も罰をくらうので、タクシー会社の運転手に対する管理もかなり厳しいのだと言ってました。

  繁華街である南京東路のすぐ北に古い住宅街があるのが不思議だという話と、南京東路に面した古い団地の住人が、窓の外に洗濯物を干していた話もしてみました。やや年配の運転手が、笑いながらその答えを教えてくれました。

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上海マスターズを観に行く-5


  さてここからは試合の話。3回戦の日、私の隣にはやはり学生とおぼしき男の子が座っていました。彼は他のガキどもとは違い、たった一人で観戦に来たようです。筋金入りのテニス・ファンらしくて、高そうなデカいカメラを持ち、試合を観ながら叫んだりつぶやいたりしていました。私は彼に話しかけていろいろ聞くことができました。

  テニスの試合を生で観ると、テレビやネットで観るよりも、ボールは速く長く伸びて飛んでいる、フォールトやアウトは意外と目視で分かる、選手によっては相手に対して心理攻撃を行なっている、最初の1ゲームでもう両者のレベルの差が見て取れる、といったことに気づく経験をしました。

  あと、私はテレビやネットで試合を観てるとき、フェデラーの対戦相手に常に怨念波を送ってる(「ダブル・フォールトしろ」、「アウトになれ」等)のですが、生で観てると対戦相手のモンフィスを自分でも意外なほど素直に応援できました。おまけに、フェデラーが負けてもさほど残念でなかったです。

  フェデラー対モンフィスの試合は主にラリー戦でした。両者が打つボールの爆速さにまず驚愕。なんであんな速いボールを打ち返せるの?しかも途中までは直線的に飛んでいきますが、線の直前でいきなりぐにんと曲がって、線の内側に落ちます。アウトになるかと思ったボールがインになるんですね。フェデラーもモンフィスも凄かったです。

  この日、フェデラーの最速サーブは時速195キロほどでした(200数キロ台のもあったけどアウトだった)。フェデラーのサーブはそう速くないそうですが、時速195キロ台でも、私は目で追えませんでした。だとすると、いわゆる「ビッグ・サーバー」と呼ばれる選手たちの時速220~230キロ台のサーブなんか、私にはまったく見えないでしょうね。

  試合は終始ガエル・モンフィスが押し気味でした。フェデラーはモンフィスのペースに巻き込まれちゃってた印象です。モンフィスは非常に個性的な選手で、最も凄いと思ったのは、予測力がこの上なく高いらしいことでした。

  フェデラーがどこにサーブを、リターンを打ってくるかモンフィスは読んでいて、その場所に自然に移動して待っているんです。翌日の準々決勝でも、モンフィスはジョコヴィッチのサーブやリターンをこの調子で返しまくり、ジョコヴィッチがついにブチ切れてラケットをコートに叩きつける場面が見られました。

  これはモンフィスがわざとやっていたのかどうか分からないのですが、結果的に相手に心理的な揺さぶりをかけることになった行為も印象的でした。フェデラーが盛り返してきた第2セットの途中、リターンを返したモンフィスがつまづきました。

  モンフィスはしばらく動きを止め、痛みをこらえているかのようなそぶりを見せました。それからです。モンフィスは各ポイントの前に上半身をがっくり折って、苦しげな表情で少しの間じっとしているのです。ゲームとゲームとの間の休憩時間にも、モンフィスはなぜか線審が立つ台の上に、ぐったりと疲れ切った雰囲気で座り込みます。

  私が「モンフィスは怪我をしたのではないか」と隣に座っていた兄ちゃんに言うと、兄ちゃんも「捻ったのかもしれない。モンフィスは以前、膝を怪我して休養していたことがあった」と言いました。

  しかし、いざゲームが始まると、オマエ、どこが痛いんじゃい!とツッコミたくなるほどの好プレーを連発。私見。フェデラーに対しては、意外にこの「痛いよお、僕、ケガしてるんだよお」アピール作戦は効果絶大です。フェデラーは結局優しい人なので、相手が痛がってると攻撃の手が緩んでしまう癖があるように思います。

  翌日のジョコヴィッチ対モンフィス戦で気づいたんですが、モンフィスがポイントの前にいちいち上半身を折ってじっとしてたのは、痛がってたんじゃなくて、その都度シューズの紐を締め直していたんですな。それに気づいたとき、まぎらわしい真似すんなー!と心の中で大爆笑。

  再度言いますが、モンフィスが対戦相手に誤解させるよう、対戦相手に精神的な動揺を与えるように意図して、わざとこういうことをしてたのかどうかは分かりません。ただ結果的に、観客はモンフィスは怪我したんじゃないかと思っていた、ということです。

  翌日の準々決勝でも、モンフィスはジョコヴィッチ相手に同じことをしました。でもさすがはジョコヴィッチ、こんな作戦(?)には全然動じず。そこでモンフィスは更なる面白い心理攻撃作戦(←これも「?」だが)を実行。そのときのジョコヴィッチの反応がもっと面白くて、ジョコヴィッチのあの表情、今思い出しても笑えます。

  本当のところは、モンフィスはああやって時間稼ぎをしていたんだと思います。少しでも休むために。かなり疲れて苦しかったんでしょう。

  モンフィスのあれもいいね。相手のサーブを待つ間、最初に脱力した感じで上半身を折って、両腕をだら~んと下げて、顔だけをもたげて相手をじっと見つめるの。両眼だけがぎらぎら光って、かなり不気味な印象を与えます。これも効果絶大だと思うわ。特にフェデラーみたいな繊細な人には。

  フェデラーはこの3回戦、途中で踏ん張るけれども、最後には根負けしてあきらめるという、今年に入って何度もあった負け方をしました。貪欲に立ち向かってくるモンフィスに押し切られた感じです。私の隣に座っていた兄ちゃん曰く「フェデラーはミスが多すぎた!」

  上海マスターズの盛り上げ係という自分の役割を生真面目に果たすのは、いかにも責任感の強いフェデラーらしくて好感持てるけど、もっと自分のことを優先してわがままになってもいいんじゃないかと思います。イベントだの、果てにいきなり中国の選手と組んでダブルス出場だの、自分の試合に集中できない環境を受け入れすぎ。

  話は変わりますが、スイス・インドアーズの準決勝を観ました。カナダのバセク・ポスピシルが相手でした。相手があまりにしつこく粘るので途中であきらめるという負けパターンを断ち切れたこと、相手の怪我や疲弊に動揺せず、逆に容赦なく攻撃して勝ったことは、上々の成果といえるのではないでしょうか。

  最終セットの最後の数ゲーム、ポスピシルは汗だくで、ウェアが汗でべっとりと体に貼りついていました。肩を上下させ、口を開けて息してて、本当に苦しそう。途中で転倒することも数回。そのポスピシルを更に振り回すフェデラー。そうそう、試合では容赦は不要です。叩きのめしなさい。

  何に驚いたかって、あれほどの接戦だったのに、23歳のポスピシルが汗まみれでゼイゼイ息してるのに、32歳のフェデラーはほとんど汗かいてなくて、息切れ一つしてなかったことです。

  (続き)スイス・インドアーズの決勝を観ました。まさか、今のフェデラーが今のデルポトロ相手にあそこまで戦えるとは思わなかった!きっと6-2、6-1とかのストレートで負けるだろうと思ってたの(笑)。フェデラー、エースが14本だって!?最近のサーブの不調は何だったのか。

  惜しくも負けはしたけど、ここ半年くらいの間で最も良いフェデラーのプレーを観られた気がします。あんなプレーを観ちゃったら、フェデラーはもう終了、とか迂闊に言えないわ。

  表彰式、観客のフェデラーに対する拍手がいつまでもいつまでも鳴り止まない。なんて暖かい、優しい雰囲気なの。いつまでも鳴り止まない拍手に、フェデラーの目が潤んでいる。フェデラーの目のきれいなこと。私もついもらい泣きしてしまったよ。

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上海マスターズを観に行く-4


  観客のほとんどは、なんと10代の子どもばかりだったんです。中高、大学生あたりね。20代半ば~30代初めの観客もいましたが全然少ない。年配の観客に至ってはごくたま~にいるくらい。

  これらの10代の子どもたちがさ、選手の国の旗や応援プラカードを持って、「ロージャ!ロージャ!」、「レッツゴーロージーレッツゴー!」(←フェデラーへの応援)とか、「ゴー!ラファー!」(←ナダルへの応援)とか、「ノーレ!ノーレ!」(←ジョコヴィッチへの応援)とか声揃えてやってるわけ。

  テレビに客席が映っただろうけど、それぞれの選手の国旗振って応援してた観客は、ほぼ全員が中国の青少年たちですよ。

  3回戦のフェデラー対ガエル・モンフィス戦では、中国の子どもたちによる「フェデラー応援隊」がほぼ1ブロックの席を占めていて、声を揃えて賑やかに応援しておりました。100人近くはいたんじゃないかな。ひとかたまりに固まって座り、スイスの旗や応援プラカードを振ってフェデラーを応援してた。

  フェデラーはこの3回戦で敗退しました。翌日の準々決勝にはジョー・ウィルフライ・ツォンガ、ファン・マルティン・デル・ポトロ、ジョコヴィッチ、ナダル、スタニスラス・ワウリンカという錚々たる面子が登場しましたが、この「フェデラー応援隊」ほど大規模な応援隊はいませんでした。フェデラーが最も人気があるってのは、こういうとこからも察せられるわけです。

  ちなみに、この「フェデラー応援隊」の3分の1ほどは、準々決勝で「ワウリンカ応援隊」に変貌して再登場しました。こうなるとフェデラーを応援してるのか、スイスを応援してるのか、基準がよく分かりません。

  ナダルの応援隊もいたけど少数。10~20人くらいのかたまり。あとはバラけてあちこちに座り、個々で、または2、3人単位で、スペイン国旗振ってナダルに声援を送っていました。ジョコヴィッチの応援隊もいました。10人くらい。3回戦ではセルビアの旗を持ってかたまりで応援してましたが、不思議なことに、準々決勝では彼らの姿が見えませんでした。3回戦での試合でちょっと騒々しすぎたんで、準々決勝では騒がないよう公安に注意されたのかもしれません。

  面白かったのが、なにせ子どもでしょ?ファン同士で敵視しあってるの。フェデラー対モンフィス戦では、私の近くに高校生か大学生くらいのきれいな女の子がいました。この子はモンフィスのファンらしくて、「アレ!ガエール!」とひっきりなしに声援してましたが、この子、「フェデラー応援隊」がフェデラーに声援を送るたびに、フェデラー応援隊が座っている方向をガチでキッと睨みつけるんですよ。

  フェデラー対モンフィス戦はフルセットの試合になり、第2セットあたりからフェデラーがどんどん調子を上げてきました。試合が白熱し始めると同時に、気分が盛り上がった観客のほとんどがフェデラーの応援に回り、会場は「ロージャ!ロージャ!」の大合唱(←私も便乗した)。モンフィスのファンの少女はもう周囲を睨みつけるので大忙し、更に負けじと「アレ!ガエール!」と絶叫しまくり。

  前に書いたように、上海マスターズのチケット代は非常に高いのです。でも学生割引のチケットが売り出されていましたから、というより、学生向けの安価なチケットのほうが、一般向けの高価なチケットより多く売り出されていたのだと思います。彼らは学生向けのチケットで観に来たものでしょう。

  観客の大部分が子どもであることに気づいて、去年の「フェデラー暗殺予告騒動」も理解できました。あの騒動を起こした「藍猫」というネットユーザーも10代の学生で、フェデラー嫌い、且つ熱烈なナダル・ファンだそうです。

  しかし、「藍猫」君があんなことをした動機は、ナダルがジョコヴィッチに連敗してた時期があって(←2011年のことらしい)、それが面白くなかったから、という理解不能なもの。その怒りがジョコヴィッチにではなくフェデラーに向けられたのは甚だ不可解ですが、子どもは時おり理屈の通らないバカをしでかすものです。

  「藍猫」君の「フェデラー暗殺予告」を、大会側とフェデラー側に言いつけたフェデラーのファンたちも、やはり「藍猫」君と同じような年齢の子どもたちでしょう。だから後先考えず軽率に事を大きくし、マスコミに事の次第をペラペラしゃべりまくり、当のフェデラー本人と家族に無意味な恐怖心を与え、大きな迷惑をかけてしまったのです。

  中国のテニス・ファンのほとんどが10代の子どもなのは、テニスはほんの10数年くらい前にやっと中国に入ってきた、比較的新しいスポーツだというのが最も大きな理由だと思います。テニスは金持ちのスポーツですから、90年代後半あたりから始まる中国の急速な経済発展と同時に普及してきて、そのせいで主に「90後」(90年代生まれ)と呼ばれる青少年の間での人気が特に高いのでしょう。

  「フェデラー暗殺予告」事件は本来ネット上での口論に過ぎず、それが現実世界での騒動に発展したのは例外中の例外です。上海マスターズの観客の大部分が、上海に居住する学生たちであることは、治安維持の面からいって非常に好都合です。学生たちは素直で従順で頭がいい知識分子ですから、客席でファン同士のほほえましい応援合戦や睨み合いはやっても、暴動を起こすことはまずありえません。これは中国当局が反日・反米デモを学生にやらせることと同じ理屈です。

  要は、反日デモで日本の国旗や日本の首相の写真を燃やしてはしゃいでいた連中が、同じノリで上海マスターズではスイス、スペイン、セルビアなどの国旗と選手の名前を書いたプラカードを振ってはしゃいでいると思われるわけです。

  観客ウォッチングをしながらこんなことを考えていましたが、スポーツは元来、選手やチームを応援することを通じて、群れなしてはしゃいで楽しむことも面白さと醍醐味の一つだと思うので、まあいいんじゃないすか。それに、中国の観客がみな「良い子」だったおかげで、私も安心して観戦を楽しむことができましたし。

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上海マスターズを観に行く-3


  A+席エリアの入り口で公安の兄ちゃんにチケットを見せて入り、自分の席を探しました。ここの会場さー、席番が分かりにくいのなんの。が、なんとか見つけました。私の席はA+5列目で、これはA+席の最後列でした。

  しかし、私が460元もはたいて購入した席は、なんとすでに別の観客によって実効支配されていたのである!これは許しがたい行為であり、その席は当方が正当な領有権を所有していることを強く主張するものである!(←洪磊の口調で)

  というのはもちろん冗談で、日本人にとって、これは軽いパニックに陥りやすい状況です。自分が買った席に他人がちゃっかり座っているという事態には、日本ではあまり遭遇しませんから。ああ、次のゲームが始まっちゃう、早く座らなきゃ、と私は焦りまくり、公安の兄ちゃんに詰め寄って「私の席に誰か座ってる~!!!」と必死に訴えました。

  公安の兄ちゃんは私の席がある列を見渡すと、たちまち困ったような顔になりました。後で分かったのですが、自分の席に他人が座ってる、と訴えた私のほうがある意味間違っていたのです。「ターイム!」と主審のコールが聞こえました。公安の兄ちゃんはA+席エリアの前列を指さし、「前のほうが空いているから座れ」と急いで言いました。

  ワケが分からないままに、私は空いていた最前列の席にあわてて座りました。目の前をさえぎるものはなく、眼下に青いコートが広がり、フェデラーとモンフィスが次のゲームを始めています。それが目に入ったとたん、私の奥ゆかしい、慎み深い、遠慮がちな日本人モードが自動的に終了、最後列だったのが最前列にアップグレードか、超ラッキー♪と得した気分(実際に得したんだけど)になりました。

  つまり、こういうことらしいです。いちおう席番は決まっているけれども、A+席のエリア内であれば、空いている席に好きに座ってよいのです。もちろん、その席の本来の持ち主が来たら他に移らなくてはなりませんが。A、B、C席に至っては、エリアをさえぎる柵もないし、チケットをチェックする公安もいないので、たとえばB席やC席のチケットでも、空いていればA席に座ることができます。大陸的寛容さが感じられる良い慣習ですね。

  ただ、これはせいぜい3回戦くらいまで許されることのようです。翌日の準々決勝からは観客が多くなるしチケット代も高額になるためか、ほとんどの観客が自分の席番どおりに座っていました。

  そして、生フェデラー。淡いグレーのシャツに赤いズボンというウェアでした。この日は晴天で日中の最高温度が27~8度、湿度も80%近くと蒸し暑い日で、フェデラーは2、3回もシャツを着替えていました。いつもはせいぜい1回着替えるだけなのにめずらしいな、と思いました。

 

  これが、私が初めて撮ったフェデラー様生写真。着替え中、しかも顔が写ってないってどうよ(笑)。まったくアホな話で、せっかく試合を生で観られるっていうのに、いいカメラを持ってこうという発想が全然なかったんですね。私が持ってた撮影アイテムは、ガラケーと10年前に買った古いデジカメのみ。

  周囲の中国人観客たちは、スマホ、タブレット、プロのカメラマンが持つようなでっかいカメラでバンバン撮ってました。ほー、スマホって、私が持ってる10年前のデジカメよりはるかにアップで、しかも鮮明に撮れるのね、タブレットって動画もこんなきれいに撮影できるのか、と感心。

  一方、私が持ってた古いデジカメではこれ↓が精一杯。

 

  失敗したなあ。次はちゃんとしたカメラを持ってこよう。それにしてもモンフィス、アフロヘアーがデカいなあ。

  中国の観客の観戦マナーは非常に良いんじゃないでしょうか?比較する対象がないからよく分かんないけど。ゲームの最中はみな静かに観ているし、選手に声援を送るタイミングも自然です。

  たまに試合の進行に差しつかえるほど騒ぐ人がいると、あるいは選手のプレーを妨害するような声を故意に立てる人がいると、周囲から自然と「シーッ」という声が沸き起こり、騒ぐ人々に静かにするよう注意していました。3回戦と準々決勝の両日を通して、カメラのフラッシュの光も1回しか見ませんでした。

  あと、客席の雰囲気も明るいっちゅ~かお気楽っちゅ~か、とても楽しい気分で観戦できました。中国の観客は陽気でタチが良いと思いますよ。それに公平。

  大部分の観客はフェデラーかモンフィスかのどちらか一方を応援しているというわけではなく、どちらの選手でも良いプレーをすれば拍手して称賛の声を送っていました。また、選手がダブル・フォールトやミスをしても、「ああ~」とため息はつくものの、「わあ、残念だったね、でもしょうがないよ、はい、次!次!」的な感じで、なんか明るいんです。

  中国ではフェデラーが最も人気があるとは聞いていましたが、本当にフェデラー人気は絶大ですよ。観客の大部分は、特にフェデラーのファンではないかもしれないけれど、フェデラー目当てで観に来たのは確かです。

  最初、私はなんでこんなに観客がいないんだろうと思ったんですが、あれでも観客の入りは良かったのです。フェデラーの試合が終わると、潮が引くように観客の多くがぞろぞろと帰ってしまいました。次はノヴァク・ジョコヴィッチ対ファビオ・フォニーニの試合だったというのに(その後にはラファエル・ナダルの試合もあったはず)。

  この試合でのフェデラーはミスがめちゃめちゃ多くて、返したボールがとんでもない方向にぶっ飛んで行く、線から大きくはみ出る、ネットに引っかかる、おまけにファースト・サーブもなかなか入らない、と不調だったんですが、観客はフェデラーがいくらミスしようが、決して苛立ったり怒ったりしません。

  それどころか、最後にはゲラゲラ笑いだす始末。といってもバカにした笑いじゃないですよ。「も~、ロジャーったら、しょうがねえなあ、あはは」とひたすら陽気。深刻な雰囲気は全然ナッシング。

  中国の観客って、すぐ興奮して激しやすくて怖いんじゃないか、と思っていたのですが、マナーが良く(席番もいざとなるとちゃんと守る)、公平で、さっぱり、からりとしていて、概して質の良い人々でした。ただこれ、中国のテニスのファン層が独特だという背景によるところが大きいと思います。

  観戦してはじめて、中国のテニス・ファンの特徴について気づいた点が多々ありました。

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上海マスターズを観に行く-2


  今回の旅は3日前に思い立ったもので、上海マスターズのチケットは購入していませんでした。出発前、一応はネットで買おうとしたのですが、もうネットでの販売は終了していました。だから、当日券で観るしかありません。

  タクシーから降りると、ダフ屋のみなさんがわっと寄ってきました。みな見るからにうさんくさい、いかにもダフ屋ー!という雰囲気の方々です。ダフ屋のおっさんが「チケットは買ったのか?」と声をかけてきました。

  まだ買ってないと答える(←バカ)と、今日のA+席のチケット(正規価格460元、約7,400円)を400元(約6,400円)でどうだ、と言いました。それからおっさん、日本語で「ヤスイ、ヤスイ」と言ってニッと笑いました。日本人ぼったくりのベタコントかよ!てか、よく一目で日本人だと見破ったな。こういう連中の眼力は侮れないもんだ。

  いや、アタシは初めてこの大会を観に来たんで、チケットをまだ見たこともなくて、あんたが売ってるチケットが本物かどうか区別できないから、と言って断りました。チケット売り場に行くと、とりあえず10日(←この日)の3回戦と11日の準々決勝のチケットはまだ余りがあると表示されていました。12日の準決勝と13日の決勝は完売だということでした。

  それでこの日の3回戦のA+席チケットと、翌11日準々決勝のA席チケット(480元、約7,700円)を購入しました。センター・コートのチケットで、これを買うと他のコートでの試合も観ることができるそうです。

  センター・コートのチケットは、

   1回戦~3回戦まで A+:460元(約7,400円)、A:260元(約4,200円)、B:160元(約2,600円)
   準々決勝 A+:680元(約10,900円)、A:480元(約7,700円)、B:380元(約6,100円)、C:280元(約4,500円)
   準決勝と決勝 A+:1,580元(約25,300円)、A:1,080元(約17,300円)、B:780元(約12,500円)、C:480元(約7,700円)

で、他に全日程観戦チケットがあり、それはA+:4,500元(約72,100円)、A:2,800元(約40,500円)、B:2,000元(約32,000円)だそうです。こっちのほうがお得だな。大会期間の全8日間を毎日、昼から夜まで観戦するのであれば。

  そして、コートの前後サイドと左右サイドの席は"VIP SEAT"で、全日程有効だそうだけど、値段がとにかくすげーぞ。恐るべし中国バブル。

   プレミアム(コート前後サイド):45,000元(約72万1,100円)
   ゴールド(コート左右サイド前方):40,700元(約65万2,200円)
   シルバー(コート左右サイド後方):35,000元(約56万900円)

  この中で、ゴールド席の1日限り有効チケットを1日限定100席で売り出したそうだけど、それもなんと8,000元(約12万8,200円)。誰が出せるかそんなカネ。

  コートサイドの席がガラスカ状態だったので、おかしいなとは思ったのだけど、たかがテニスなんぞにこんなバカ高い金を払う中国人は、金持ちといえどさすがに少なかったらしい。

  またボックス席もあった。A+の真下。ただし、このボックス席は一般には発売されなかったのだと思う。団体向けだから、旅行社とかチケット・エージェンシーとかスポンサー関連の会社とかが、あらかじめ押さえてたんじゃないかな。このボックス席も入りが良くなかった。基本ガラガラ。

  でも、一般に販売されたA+、A、B、C席も、決してお客で満杯というわけではなく、奇妙に思えるほど空いていた。それなのに、チケットは完売だという。

  客席はガラガラなのにチケットは完売、この不思議な現象が起こる原因については、会場の附近に住んでいて、テニスに多少は興味があるという人が面白いことを教えてくれた。後述。

  で、正規のチケットはこんなん。

 

  たぶん以前に偽造チケットが横行したのか、チケットは2枚の紙をとじ合わせて作られており、光に透かすと左下あたりに正方形の紙が挟み込まれているのが見える。

  センター・コートのゲートに入る際に、会場スタッフ(←たぶんアルバイト学生。もはや愛想がないのを通り越して無礼。ムカつく)がチケットをセンサーにかざす。すると「いらっしゃいませー!」という電子音が鳴る。中に挟まれている紙がセンサーに反応してるんだと思う。それで正規チケットかどうかを確認していた。

  でもこれ、中身を取り出して同じものを作れば、チケットを偽造することは簡単なんじゃないか。結局毎年いたちごっこなんだろう。

  会場に入ると、今日の試合スケジュールが表示されているボードがある…のだが、これがまた ショボい アットホームな手作り感が満載。

 

  うーん、まるで暴走族の落書きかDQNネームみたい。

  セキュリティはかなり厳重です。手荷物を検査機に通して中身をチェックされ、更に観客自身も金属探知機のゲートを通らなくてはなりません。チケットの提示も3箇所くらいはあったような?A+席の場合は、A+席エリアの入り口でまたチケットの提示を求められます。ま、チケットのしつこい提示要求は、セキュリティというよりセコさの問題な気もしますが。

  ようやくセンター・コートに入ったら、もうロジャー・フェデラーとガエル・モンフィスの試合が始まってしまっていました。デルポトロの試合はあっさり終わったんだな。すでに第1セットも終了。しかもフェデラー、第1セット落としてるし。ちょうど第2セット第1ゲームの途中だったと思います。ゲームが終わるまで、客席入り口で待たなくてはなりません。

  入り口で警備してる公安局の兄ちゃんの横に立って試合を観てたら、フェデラーがすばらしいプレーでポイントを取りました。ひゃあ、ボールってあんなに長く伸びるものなんだ。それにあんなに速いんだね。初めて観る生フェデラーに、すでに大興奮。

  しかし、ゲームが終わってから自分の席に行こうとしたら、そこでも不測の事態が待ち受けていたのであった。

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上海マスターズを観に行く-1


  上海に到着したのは10日正午ごろ、空港は浦東空港でした。浦東空港は、上海に元来あった虹橋空港だけでは離発着する飛行機をさばききれなくなったため、新たに建設された空港です。虹橋空港が市中心から近くて便利なのに対して、浦東空港は浦東区のド外れ、東っ端にあります。

  浦東空港から市中心に出るには、地下鉄、リムジンバス、タクシーがあります。リニアモーターカーもありますが、これは浦東区の途中までしか開通しておらず、結局また別の交通手段に乗り換えないといけません。

  浦東空港を使うのは初めてだったので、無難に地下鉄で市中心まで出ることにしました。ところが、これが大間違い。まず空港のターミナルから地下鉄の駅までがやたらと遠く、ターミナルから15~20分ほども歩かなくてはなりません。トランクを引きずっている人間にとっては大変です。それから地下鉄に乗りましたが、人民広場駅まで1時間10分くらいかかりました。

  帰国時はホテルからタクシーで浦東空港に行きました。これが最も疲れません。タクシーを使う場合、ラッシュ時を避ければ、市中心から1時間弱でターミナル入口まで行けます。料金は170元~180元(およそ2,800~2,900円)くらいです。

  今回は人民広場と南京東路に近いホテルに泊まりました。部屋に行って、ネットで上海マスターズの試合スケジュールをチェックしたら、なんとロジャー・フェデラーとガエル・モンフィスの試合が午後3時(確か)から開始予定と書いてあるではありませんか!

  このときすでに3時です。うーん、これはもう間に合わないから、今日は試合を観に行くのはやめようか、と思いました。が、ライブスコアを見たら、フェデラーとモンフィスの試合の前に行われる予定のデルポトロの試合が、たった今始まったばかりでした。

  あ、時間がかなり押してるな、これだったらフェデラーの試合になんとか間に合うかもしれない、と思い、すぐにホテルを出ました。デルポトロと対戦相手の選手さん、なんとかフルセットの試合にして、フェデラーとモンフィスの試合をもっと遅らせて下さい、と祈念しながら。

  タクシーを拾って、試合会場、閔行区にある「上海旗忠森林体育城網球中心」に行ってくれと運転手に言うと、「閔行?そんな遠いとこに何しに行くんだ?」と思いっきり不審がられました。その運転手は「上海旗忠森林体育城網球中心」は知らないそうですが、「上海旗忠森林体育城網球中心」の住所「元江路5500」で、どこにあるか大体の見当がついたようです。すぐに車を走らせてくれました。

  運転手は「今はもう夕方のラッシュ・アワーに入っているから、1時間ぐらいかかっちゃうよ」と言いました。後で別の運転手にも確認してみたところ、上海の朝夕のラッシュ・アワーは、朝が7時半~9時半、夕方が3時半~6時半とのことです。上海でどの交通手段を利用するかは、ラッシュ・アワーかそうでないかに合わせて、タクシー、バス、地下鉄を選んだほうがいいようです。

  地下鉄で上海マスターズの会場である「上海旗忠森林体育城網球中心」に行くには、5号線に乗って莘庄駅か顓橋駅で下り、そこから路線バスに乗り換えるそうです。この5号線の莘庄駅と顓橋駅ってのは、上海の地下鉄路線図を見ると、ともに5号線の端っこにあります。地下鉄+路線バスで行けばどのくらい時間がかかるのか、今回は地下鉄を利用しなかったので分かりませんが、たぶんかなり時間がかかると思います。

  「上海旗忠森林体育城網球中心」があるのは閔行区莘庄鎮という地域です。地名で最後に「庄」や「鎮」がついているのは大体が田舎です。タクシーの運転手も、あのあたりは昔は農村で何もなかった、と言っていました。

  上海は郊外へ郊外へと開発が進められています。閔行区も開発中のいわゆる「郊区」の一つらしく、新築の高層マンション群が聳え立ち、会社のビルなんかも多く建っていました。上海のような大都市には珍しく、一軒家も並んでいました。みなとても大きく、コンクリート造りの立派な構えの邸宅でした。富裕層の別荘だということです。

  会場に近づくにつれて、道路の街灯の柱にずらりと据え付けられた、上海マスターズの看板や幟が目に入るようになりました。なんだか気分が高まります。同時に、「収回賽票」と書いた段ボールの看板を持った人々の姿がちらほら見えました。運転手にあれは何だと聞くと、彼らはダフ屋で、あれはいらないチケットを買い取ります、という意味なのだそうです。

  そしてついに会場の上海旗忠森林体育城網球中心に着きました。

 

 (上海旗忠森林体育城網球中心2号門。観客はここから出入りする。後ろに見えるのはセンター・コート。)

  
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上海にいます


  長いこと更新なしですみませんでした。ミラノ・スカラ座バレエ団『ロミオとジュリエット』の感想もまだ書き終えていないですね。

  先月末から多忙な日々が続いて、今週の月曜日の朝起きたとき、ふと心の中で何かがプチっと切れちゃいました。それでいきなり旅行に行くことにしました。10年くらい前にも、同じような「もうやだ、どっか行きたい病」を発症したことがあります。

  そんなわけで、木曜日から上海に来ています。せっかくなのでテニスの上海マスターズを観戦しました。3回戦と準々決勝です。ロジャー・フェデラーの試合も観られました。対戦相手はガエル・モンフィスで、非常に個性的な選手でした。クセが強いので、好き嫌いが分かれる選手だと思います。私はすごく好みです。

  他にもノヴァク・ジョコヴィッチ、ラファエル・ナダル、ファン・マルティン・デル・ポトロ、ジョー・ウィルフライ・ツォンガ、スタニスラス・ワウリンカ、ニコラス・アルマグロ、ファビオ・フォニーニ、フロリアン・マイヤーを観られました。テニスの試合も、テレビやパソコンのモニタを通して観るのと、生で観るのとではずいぶんと違うものだと思いました。

  フェデラーがまた格下の相手に敗れた、とか騒ぎになっているかもしれませんが、モンフィスはすばらしい選手で、モンフィスが勝ったのは当然だと思います。モンフィスは昨日の準々決勝の対ジョコヴィッチ戦でも物凄いプレーをしていました。

  また、昨日の準々決勝、特に後半2試合のジョコヴィッチ対モンフィス戦、ナダル対ワウリンカ戦を観て、これでは、今のフェデラーに付け入る隙はとてもないなあ、と正直思いました。

  モンフィスの対フェデラー作戦はシンプルでとても明瞭でした。自分のサービス・ゲームはしっかり守る、そのためにファースト・サーブは確実に入れる、速いテンポでラリー戦に持ち込む、フェデラーのバックハンド側を狙い、フェデラーにミスをさせる、です。

  モンフィスが非常に攻撃的だったのに対して、フェデラーは終始一貫して受け身でした。自分から積極的にモンフィスを攻めに行く姿勢が感じられませんでした。ネットにもほとんど出なかったように覚えています。フェデラーの対モンフィス作戦は何なのかが分かりませんでした。それでもフルセットにもつれこむところが、フェデラーのすごいところなんですが。

  モンフィスの作戦は特に珍しいものではないと思います。他の選手もフェデラーに対してやっていることです。それなのに、フェデラーはなぜ同じパターンで負け続けるんだろう?

  素人の印象ですが、フェデラーは疲れて心に余裕がなくなってしまっている状態で、自分のことも周囲のことも、今はよく見えなくなっているんだと思います。なのに、勝つことで自信を取り戻せるから、と言って無理に試合に出て、格下の選手に負ける、また自信を取り戻すために無理に試合に出て、また格下の選手に負ける、という悪循環に陥っているような感じです。

  試合に出続けることは大事でしょうが、まとまった休みを取って心の余裕を取り戻すことも大事だと思います。いっそのこと、もう今年は休養してしまってもいいと思います。あの状態では、残りの大会でも好成績を残せるとは思えません。ギリギリでツアー・ファイナルズに出られたとしても、準決勝に上がることは非常に難しいと思います。ひょっとしたら3戦全敗もあり得るのでは?

  それよりは、きちんと休んで、自分や周囲を客観的に見られる安定した精神状態になって、自分のテニスを取り戻して、そして来年から本格的に再始動する、という道を選んでもいい気がします。なにも「連続*回出場」記録だのにこだわる必要はないと思いますよ。


  追記:黄浦江クルーズに行って、蘭州ラーメン屋で刀削面食べて、食品市場でほかほかの肉月餅買い食いして、スタンドでタピオカミルクティー飲んで、ホテルに帰ってきてテレビつけたら、あら!?第1セット、デル・ポトロが4‐1でリードしてるー!!!!!やばい、きっとナダルが勝つって思って、次の記事の下書きを書いちゃったのに~。

  第2セット、ナダルがダブル・フォールトばっかりやらかしてる。他にも返したボールがネットに引っかかって越えない、ボールが線から大きく外れてアウトになる、デル・ポトロのリターンに追いつけない。どうしたナダル?

  デル・ポトロは崩れないねえ。昨日のワウリンカは第2セットに入った時点で、ナダルに完全に根負けしちゃって一気に崩れたのに。デル・ポトロ、ついにナダルのサービス・ゲームをブレークしちゃった。次のナダルのサービス・ゲームでも、デル・ポトロは攻める攻める。その一方で自分のサービス・ゲームは着実にキープし、結局デル・ポトロがストレートでナダルを破りました。

  いーかげんな予想しちゃってごめんなさい。私が悪うございました。

 

 (前もってお詫び写真。サーブの練習をするポトさん。11日の準々決勝当日、於上海旗忠森林体育城網球中心。サーブの練習をかなり熱心にしてました。)

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