キエフ・バレエ『バヤデルカ』(1月6日)‐1


  新年あけましておめでとうございます~、と言えることに感謝して、キエフ・バレエ2017年日本公演『バヤデルカ』。


 キエフ・バレエ『バヤデルカ』(1月6日於東京文化会館大ホール)


   ニキヤ:エレーナ・フィリピエワ
   ソロル:デニス・ニェダク

   ガムザッティ:イリーナ・ペレン

   大僧正:セルギイ・リトヴィネンコ
   藩主:ウラジスラーフ・イワシェンコ
   トロラグヴァ(ソロルの友人の戦士):セルギイ・イファーノフ

   マグダヴェーヤ:ヴィタリー・ネトルネンコ

   奴隷:ドミトロ・チェボタル
   ジャンペー:マリア・ラブロネンコ、マルガリータ・アリアナフ

   黄金の偶像:ミキタ・スホルコフ
   太鼓の踊り:エリザベータ・ゴギィゼ、ヴィタリー・ネトルネンコ、ドミトロ・チェボタル
   壺の踊り:カテリーナ・チュピナ

   パ・ダクシオン:アンナ・ムロムツェワ、オリガ・スクリプチェンコ、マリア・ラブロネンコ、マルガリータ・アリアナフ

   第1ヴァリエーション:マリーナ・ステパンチェンコ
   第2ヴァリエーション:アンナ・ムロムツェワ
   第3ヴァリエーション:オリガ・スクリプチェンコ


   指揮:ミコラ・ジャジューラ
   演奏:ウクライナ国立歌劇場管弦楽団


  ニキヤがフィリピエワ、ソロルがニェダク、ガムザッティがペレンというドリーム・キャスト。これは観ないわけにはいきますまい。

  マグダヴェーヤ役のヴィタリー・ネトルネンコは、まずナイスバディw 腰を隠しただけの体つきが非常に美しい人でした。動きはしなやかで、ジャンプは軽くて高い。力むことなくふわっと跳び上がって、空中で脚をふわっと180度開く。着地音もまったくなし。さりげなくこういう凄技をやります。何気に良いダンサーです。

  キャスト表を見ていて今気づきましたが、ネトルネンコは第二幕の太鼓の踊りも踊ったんですね。太鼓の踊りが終わったあとに、またマグダヴェーヤの格好をして出てきたんですな。お疲れさまです。

  ミハイロフスキー劇場バレエからゲスト出演したイリーナ・ペレンは、以前にガムザッティを踊ったのを私は見たことがあったかな?たぶんないと思います。だから「ペレンがガムザッティ?うわー、見てえー!」と思ったんでしょう。

  ペレンは美貌、美しい肢体と高度な技術を持ち、(たぶんあまり物事を深く考えないので)肝が太くて物怖じせず、ミスというものをまったくしない頼もしいバレリーナです。しかしその一方で、演技、表現、情感という面では、観ている側が歯がゆくなるほど無頓着というか無関心らしく、どんな役でも無表情で機械的に正確に踊ります。

  しかし、そんなペレンはガムザッティにぴったりです。都会っ子(サンクトペテルブルクの生まれ育ち)でドライな性格っぽいペレンは、素でやればそのままガムザッティになるからです。

  で、案の定、ペレンのガムザッティは最高でした。美しく、権高な態度と高慢な表情、冷たい目つき。身分の低いニキヤを嘲笑い、王女である自分に絶対的な誇りと自信を持っている。強い目つきでニキヤをじっと見据えながら、どんどんニキヤを追いつめていくペレンちゃんは最高に美しかったです。が、ソロルがニキヤに愛を誓ったと知るや、とたんに「どうしよう?どうしたらいいの?」という動揺した表情と仕草になり、自分がかけていた首飾りにふと手が当たって、反射的に首飾りを引きちぎってニキヤに差し出します。このへんのペレンちゃんの演技はすごく良かったです。

  どーでもいいことですが、第二幕のガムザッティの衣装はペレンちゃんの自前だったようです(もしくはミハイロフスキー劇場から借りた?)。純白のチュチュ。

  打ちのめされたニキヤが踊っている間、ニキヤが毒蛇に咬まれて苦しんでいる間も、ガムザッティは冷たい表情を保ったままニキヤを見つめています。バレリーナによっては、わざとソロルとイチャイチャしてみせてニキヤに見せつける演技をしたり、驚く演技をしたりしますが、ペレンちゃんのガムザッティは、もはやニキヤなんぞ歯牙にもかけていないようで、一貫して無関心、無表情でした。このほうが逆にリアリティがあったりします。 

  第二幕のコーダでのペレンは、イタリアン・フェッテが凄かったです。あの長~い脚をぐわっと上げて長~くキープ、回転してまた長~くキープ。

  ガムザッティはペレンの当たり役になってしかるべきだよなあ、と思いました。なんでペレンのガムザッティを今まで観たことがなかったんだろう?と不思議なくらいです。

  その2に続きます。

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