G&Dキャスト変更

  「ガイズ・アンド・ドールズ」のオフィシャル・サイトに久しぶりに行ってみたら、大きなキャストの変更があった。

  まず、アデレイド役はClaire SweeneyからLynsey Brittonという人に代わった。また、これは大きなショックだ。ナイスリー役がMartyn Ellisじゃなくなってる!今はSteve Eliasという人がナイスリーを担当しているようだ。

  そして、10月16日からは、Samantha Janusという人がアデレイド役として、Amy Nuttallという人がサラ・ブラウン役として出演するそう。でもこれは予定どおりだろう。

  「ガイズ・アンド・ドールズ」のサイトには、アダム・クーパーの出演期間については何も触れられていないが、クーパー君の公式サイトによれば、彼は10月14日までの出演である。What's on Stageに掲載されたニュースによると、10月16日からのスカイ役は、Norman Bowmanという人が担当するらしい。

  更に、主役のネイサン・デトロイトを演じるパトリック・スウェイジの出演期間が、11月25日まで延長されたそうだ。スウェイジの当初の出演期間の予定は、確か2ヶ月だけだったと聞いている。アデレイド役のClaire Sweeneyと同じ期間だったんじゃなかったっけ?(上の写真)

  これもWhat's on Stageによると、スウェイジの出演開始が遅れたこと、また彼が1週間の休暇を取る予定であること、また彼が出演期間の更なる延長に同意したために、スウェイジの出演期間がここまで長くなった、ということである。

  でもたぶん、スウェイジは今も数日の間隔を置きながら出演しているのだろう(What's on Stageの掲示板によると、やっぱりスウェイジはいまだに不定期出演らしい)。出演期間延長の本当の理由は、彼が契約した出演回数をまだやり終えていない、といったところではないだろうか。
  
  それにしても、ナイスリー役がMartyn Ellisじゃなくなったのか・・・・・・。クーパー君がついにスカイ役を次の人に譲る時が来たことよりも、あのMartyn Ellisがいなくなったことのほうが残念、というのが正直な気持ちだ。

  クーパー君にはそろそろ新しいことにチャレンジしてほしいから、彼のスカイにはあまり未練はないけど、Martyn Ellisのナイスリー役はまさに「当たり役」だったと思うから。
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G&D

  「雑記」に、8月に観た「ガイズ・アンド・ドールズ」の感想を載せたのですが、クーパー君が出てくる前までしか書けてません。ごめんなさい。続きはまた近いうちに(鋭意)載せますね。
  あらすじは抜きにして感想だけ書いているので、何を言っているのか分かりにくいと思います。「名作劇場」にある「ガイズ・アンド・ドールズ」のストーリーを読んで頂ければ、少しは助けになるかもしれません。

  そういえば、カレンダーの件で気づいていませんでしたが、クーパー君の「ガイズ・アンド・ドールズ」への出演はまた伸びたんですね。当初の予定より、結局2ヶ月も出演期間が延長されたことになります。合計で7~8ヶ月の出演となりました。本当に頑丈な人です。
  体が資本、とはよく言いますが、クーパー君はケガや病気をしにくい身体を持っているという点で、非常に恵まれていると思います。あと3週間弱、無事に乗り切ってほしいものです。(どうせ乗り切るでしょうが。)

  彼はとても誠実な姿勢でこの仕事に取り組んでいると思います。舞台人として、大きな信頼を勝ち取ったのではないでしょうか。雇用する側からも、また観客の側からも。なんか、いいヤツだなあ、とあらためて思います。
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パキータ

  私がボーン版「白鳥の湖」のDVDを買ったのは、2001年の11月か12月だったと思います。私は毎年この時季になると鬱々として楽しまなくなるので、気晴らしに観るものを求めて、仕事の帰りに山野楽器に寄ったのでした。

  そこでボーンの「白鳥の湖」を買ったのですが、そのときはどういう作品なのか、どういうダンサーが出ているのか、まったく知らずに買ったのです。舞台を現代に移し替えたヴァージョンだろう、くらいにしか思っていませんでした。そんなに興味を引かれたわけでもありません。それなのになぜ買ったのか、自分でもいまだに謎です(特別価格で値段が安かったから、というのはあった)。

  ボーンの「白鳥の湖」を買ったのはまったくの「ついで」でした。私が「お、これは面白そうだぞ」という積極的な動機で買ったのは、トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団のビデオ2巻だったのです(今はDVD化されていますね)。

  トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団のビデオはすぐに観ましたが、ボーンの「白鳥の湖」は、その年が明けて2002年の1月くらいになるまで、包装ビニールさえ破らずに放置したままでした。

  私は当時、バレエのことはまったく知りませんでした。ほとんど観たことさえなかったといってもいいほどです。ですから、トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団のビデオも、「オカマ・ショー」のように見なして大笑いしていたわけです。
  ただそういうつもりでしか観ていないと、結局1回も観れば飽きてしまうのです。笑えるシーンがもう分かってしまうんですから。それで、文字どおり1回だけ観て、それから最近までの5年間(!)、トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団のビデオは戸棚の隅に置きっぱなしで、再び観ることはありませんでした。

  一方、ボーンの「白鳥の湖」のほうは、徐々に病みつきになって毎日といっていいほど観るようになりました。特にアダム・クーパーというダンサーに夢中になってしまい、折しも彼がゲストとして出演する公演が東京で行なわれて、以来、「アダム・クーパー道」をまっしぐらに爆走しているわけです。

  今月に小林紀子バレエ・シアターのトリプル・ビルを観に行きました(感想は「雑記」に載せてあります)。演目の中には「レ・シルフィード」と「パキータ」のグラン・パがありました。

  最近、久しぶりにふとトロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団のビデオを手にとってみると、なんと「レ・シルフィード」と「パキータ」が入っているではありませんか(←収録作品まですっかり忘れていた)。それで5年ぶりに鑑賞してみたのです。

  そしたら、お笑いシーンで目立たないものの、トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団のダンサーたちが、実はすごいテクニックの持ち主ばかりだということに気がついたのです。「レ・シルフィード」も「パキータ」も、はっきりいえば、小林紀子バレエ・シアターのダンサーたちよりすばらしかった。

  特に「パキータ」には驚愕しました。小林紀子バレエ・シアターのダンサーたちの頼りない踊りとは違い、トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団のダンサーたちの踊りは、腕の動きもポーズもステップもテクニックも、みな精緻で安定していました。
  あらためて2巻のビデオをぜんぶ観てみると、「レ・シルフィード」や「パキータ」ばかりでなく、随処で思わず「おお!」と唸るような、すばらしい踊りを彼らは繰り広げていたのです。

  こうして、彼らは単なる「オカマ・ショー」を行なう集団ではなく、一流のバレエ・カンパニーだということを、5年という歳月を経て、私はようやく悟ったのでした。

  日本に毎年やって来て、長期にわたって全国をツアーして回っているにも関わらず、トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団は、日本のバレエ界においては存在しないことになっているようです。なぜなのかはよく分かりません。

  トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団がイギリスに進出したのは、ここ1、2年のうちの話だと思います。でも短期間で人気が沸騰したようで、しょっちゅうサドラーズ・ウェルズ劇場で公演を行なっています。

  彼らは最近もロンドンで公演を行なったようです。その批評が今どんどん出ていますが、執筆者たちの陣容がものすごい。普段はロイヤル・バレエの公演の批評を書いているような高名な批評家たちが、トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団の公演の批評を、「タイムズ」とか「フィナンシャル・タイムズ」とかに載せているのです。

  毀誉褒貶は別にして、どんなカンパニーであれ、ちゃんと公演を観に行ってちゃんと批評を書く、というイギリスの批評家たちの姿勢は大したものです。

  トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団の今年の日本ツアーは終わってしまいましたが、来年こそは絶対に観に行こう、と思います。
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介護エトワール

  話題としては、「アダム・クーパー2007カレンダー」をとりあげるべきでしょうね(公式サイトで発売開始されたみたいですよ)。でも、ぜ~んぶ「危険な関係」の舞台(ドレス・リハーサル)写真ですか・・・・・・。
  写真大きくして見てみたけど、日本公演のときに販売された写真集のほうが、ずっと写真のクオリティが高い気がするなあ。去年は速攻で買ったけど、今年はちょっと考えるかな~。

  ちなみに、なんで来年のカレンダーの写真がすべて「危険な関係」なのか、これは深読みすれば、来年のクーパー君のスケジュールと関係があるのかもしれませんね。断言はできませんが。

  さて本題です。月曜日の敬老の日の夜10時、NHKで「介護エトワール」というすごい題名のドラマが放送されました。ご覧になった方もいらっしゃるでしょう。

  主人公は「岬バレエ団」のエトワール(←ぶっ)でバレエ団の花形プリマ。公演で主役を務め、また28歳という年齢になったのを機に、海外の有名バレエ団、N.Y.C.N.B(←何の略だと思います?)のオーディションに応募して、さらなるキャリア・アップを目ざそうとしている。彼女には結婚を約束した理解ある優しい恋人もいて、まさにすべてが順風満帆。

  そんな中で、郷里にいる父親が認知症の症状を呈し始め、更に脳梗塞で倒れて寝たきりの状態になり、介護の必要な身となってしまう。

  誰が父親の介護をするのか、家族会議が開かれるが、主人公の母親(夏木マリ←さすがの怪演!)は、浮気と暴力でさんざん苦しめられてきた夫の介護をすることを断固として拒否する。男兄弟たちも仕事を理由に介護をしたがらない。ただ一人、長男の嫁だけが舅の介護を買って出る。

  主人公も頻繁に郷里に帰っては父親の介護に協力する。だが、主人公も、不満を言わずに介護に専念していた長男の嫁も、介護の重荷とストレスに、精神的に徐々に追いつめられてくる。

  主人公は親友でもあるバレエ団のレッスン・ピアニストから、その介護体験と苦い経験とを聞き、自分は「後悔しない介護」をすることを決意する。主人公はめったに会えなくなってしまった恋人と別れ、また海外のバレエ団のオーディションを受けることもあきらめる。更に、バレエ団の花形プリマの座を若手の団員に取られてしまう破目になる。

  介護とバレエという二足のわらじを履き続けて2年が経ったころ、30歳になった主人公は、バレエ団の公演「ジゼル」の主役に抜擢される。「ジゼル」は大成功するが、カーテン・コールのさなか、主人公は再び倒れて入院していた父親が息を引き取ったことを知らされる。

  父親の葬式には元恋人も参列する。彼をバス・ターミナルまで見送りに行った主人公は、彼から再び結婚を申し込まれる。彼女は元恋人に唐突に尋ねる。「あなたは、私のお母さんのオムツを替えられる?」

  元恋人は狼狽して沈黙したままバスに乗り込む。だが彼は、走り出したバスの窓を開け、主人公に向かって叫ぶ。「愛はオムツなのか!?」 主人公は何度も大声で繰り返す。「そうよ、愛はオムツなのよ!」

  ラスト、主人公は再びチャンスを求めて、単身ニューヨークへと旅立つ。

  「んなアホな」という底の浅い展開もあったけど、華やかで夢のような世界にみえるバレエと、深刻で暗い現実味いっぱいの介護問題という、遠くかけ離れた二つの世界を絡めた面白いドラマでした。

  ただ、「家族いちばん!」、「家族万歳!」のNHKらしく、非常に封建的で保守的なメッセージも込められており、それがちょっと鼻につきました。つまり:

  ・どんなロクデナシの親であろうとも、子どもが介護しなくてはならない(これぞ人倫の基礎)
  ・介護は息子の嫁か、実の娘が行なうべきである(配偶者は老老介護になるので除外。息子も仕事が大事なので除外)
  ・介護は在宅介護でなければならない(施設、老人ホームなどもってのほか)
  ・デイケア、ショートステイ、介護ヘルパーなど外部の介護サービスの利用は避ける(すべての世話を家族が行なうべきである)
  ・介護者は介護を最優先し、自分のキャリアや恋愛は後回しにすること(介護が終わったら再開すればいいじゃん)

  このドラマは夜の10時から放送されましたから、視聴者として「介護するべき側」である30~40代の人々を想定していると思います。でも、介護をめぐって悲惨な事件が多く起きているのは、上のような「条項」を忠実に守り続けたことが原因だと思うんですけどね。

  介護者は自分の人生のかなりの部分を犠牲にして介護に専念すべき、という点について、このドラマのラストはあまりに無責任で現実離れしすぎています。まあ、介護のために主人公が自分の人生を棒に振る、という結末はさすがに避けたかったのでしょうが、それにしても無理がありすぎます。

  主人公は30歳にして、有名バレエ団のオーディションに再度チャレンジすべく、ニューヨークへと旅立つわけです。
  でも現実的に考えれば、プリマといっても日本の一バレエ団のダンサーに過ぎず、また30歳という年齢の主人公が、今さらキャリア・アップを求めて外国に行ったところで、どんな明るい未来が待っているというのでしょう。

  このドラマの苦しいハッピーエンドは、介護問題の答えの出ない難しさを逆に象徴しているように思えます。

  ところで、ドラマに出演協力したバレエ団は東京シティ・バレエ団だそうです。冒頭のシーン、「パキータ」で踊っていた男性ダンサーは黄凱という人です。ちょっとしか踊りませんでしたが、動きが柔らかくしなやかで、とても優雅な踊りをするすてきなダンサーでした。  
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ボーンの「白鳥の湖」

  ボーン版「白鳥の湖」が、今年の12月中旬から来年の1月下旬にかけて、サドラーズ・ウェルズ劇場で上演されるそうだ。

  スワン/ストレンジャー役は、アラン・ヴィンセントとロイヤル・バレエのソリストであるトーマス・ホワイトヘッドが担当するという。あと、王子役としてマシュー・ハートが出演する。

  ボーンの「白鳥の湖」は今や世界中で上演されている。それは全然かまわない。でもロンドンで上演されるとなると話は別だ。
  10年前、この作品が初演されたとき、アダム・クーパーはスキャンダルを巻き起こすかもしれないリスクを背負って、同じサドラーズ・ウェルズ劇場でスワンとストレンジャーを踊った。

  でも、もうスワンとストレンジャーを踊る彼の姿を目にすることはできない。あの役を最高の形で踊り演じてみせられるのは、アダム・クーパーしかいないのに。

  私はとても悲しい思いになる。
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また連チャン観劇

  「新宮さま」って、「しんぐうさま」じゃなくって、「しんみやさま」って読むんですね。そりゃそうか。埼玉の田んぼの中で保護されたという子どものオットセイ、傷を負っている上に衰弱していて、上野動物園の動物病院が治療しているそうですが、早く元気になってくれるといいな。

  さて、私は土曜日と日曜日と、小林紀子バレエ・シアターの公演を観に行ってきました。両日でキャストが違ったし、また観る前は期待薄だった演目が意外に面白かったので、大いに楽しめました。

  土曜日よりも日曜日の公演のほうが、舞台全体の出来が良かったように思いました。

  「レ・シルフィード」といえば太田胃散ですが(笑)、主役のシルフィード役を踊った大和雅美と、準主役のシルフィードを踊った大森結城がよかったです。大和雅美は腕が柔らかに波打って動きにも優雅さがあり、大森結城は小刻みで丁寧なパドブレでずーっと踊り続けました(太田胃散の曲・・・もとい、ショパンの「プレリュード」)。
  ゲストのデヴィッド・ホールバーグ(アメリカン・バレエ・シアター、プリンシパル)が詩人役を踊りました。土曜日は動きが全体的に硬かったですが、日曜日は土曜日よりも余裕を持って伸び伸びと踊っていました。

  彼は今年の5月にプリンシパルになったばかりとあって、まだまだこれからのダンサーのように思います。
  女性ダンサーとの息があまり合っていなかったのは仕方がないとして、ジャンプしたときの空中での姿勢が美しくなく、また片足で着地したときにバランスを崩す場面が多く見受けられました。ジャンプの着地音が異常に大きいのも気になりました。

  でも、飛び上がって両足を交差させる動きは素早く、また両足を重ねた状態で、ゆっくりと両脚を曲げて着地するのは美しかったです。長身で脚が長く、デコが広すぎる(ちょっと危ないかも)のが気になるものの、金髪でまあまあ美形なダンサーですから、これでしなやかさや安定感が出てくれば、もっとすてきになると思います。
  
  「ソリテイル」は、土曜日に観たときには、なぜこれが「ひとり遊び」なのか分からなかったのですが、日曜日に観てようやく分かりました。主役の少女の空想を描いた作品だったんですね。
  ひとり心の中で次々と楽しい、また甘い空想を繰り広げるものの、現実の少女は孤独です。でも暗い作品というわけではなく、なんだかこういう経験って、誰にでもあるよなあ、という一種の懐かしさを感じさせる作品でした。

  マクミランの初期の作品ですが、早くも後年のマクミラン独特のステップやリフトが出てきていました。

  最後の「パキータ」はグラン・パが上演されました。まず、セットと衣装の美しさに見とれてしまいました。天井からはくすんだ金色の厚い幕が弧を描いて、幾重にも垂れ下がっています。女性ダンサーは、群舞はサーモン・ピンクのチュチュ、主役はオフホワイトのチュチュで、首からチュチュの胸元につながっている金銀のアクセサリーも美しかったです。

  ダンサーについては、日曜日の主役を踊った島添亮子が断然すばらしかったです。それから、第2ヴァリエーションを踊った、これまた大森結城がよかったです。あんなゆっくりした難しい振付を丁寧に踊っていました。島添亮子とデヴィッド・ホールバーグの息も合っていました。踊りにガタつきやたるみがありません。

  ヴァリエーションを踊ったダンサーたち、また群舞は、機械人形みたいにせわしなくて複雑なプティパのステップをよく頑張ってこなしていましたし、特に群舞は「レ・シルフィード」よりも動きや位置が揃っていて美しかったです。

  でも、正直なところ、カンパニー全体にとってレベル的に難しすぎる作品を選んでしまったのではないか、と思いました。観ていて「大丈夫かいな」とハラハラするんです。

  ヴァリエーションを踊ったダンサーの中には、ぎこちない踊りになってしまった人もいました。土曜日の主役を踊った斉藤美絵子は、あの役を踊ること自体にまだ無理があったと思います。もっとも、アダージョについていえば、これは土曜日のホールバーグがガチガチだったせいもありますが。

  フィナーレでの32回転なんて、ちゃんと最後まで回れるんだろうか、と心配しながら観ていました。島添亮子は辛うじて回りきりましたが、それでも決めのポーズで足元がグラついていました。土曜日の斉藤美絵子は、途中からスタミナが切れてしまったのか、動き自体がのろくなってしまいました。決めのポーズも、たぶんあれはなにか失敗したのだろうと思います(あるいは最後まで回りきれなかった?)。見ていて不自然でしたから。

  それからやっぱりデヴィッド・ホールバーグです。足元がグラつく程度ならかまいません。でも終わりが早すぎて音楽が余ってしまい、それをごまかし笑いを浮かべながら慌ててポーズを取り直すなど言語道断です。それにあの超低空飛行のへっぽこマネージュ、あれがプリンシパルの技量ですか。
  ゲストとして招かれた以上、限りなく完璧に近い踊りを披露してもらいたいものです。

  いろいろ不満もありますけれど、最近の小林紀子バレエ・シアターの公演はアシュトンとマクミラン一色でしたから、今回の公演で観る側もなんかリフレッシュできた感じです。
  プティパ、フォーキン、マクミランと、三者三様の振付が見られた点でも、とても興味深かったです。
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ボリショイ・バレエ

  よ~やく全部の感想を載せることができました。忘れやすいほうから先にさっさと片づけてしまおうと思ったけど、やっぱり1公演分の感想を書き終えるのに、どうしても1週間はかかってしまいます。

  更に今回は自分の記憶にかなり自信がありません。疲れている状態で、しかも1回しか観ていないので、間違いがたくさんあることでしょう。特に「ドン・キホーテ」!メルセデスと“Street Dancer”の区別がつかなかったことが心残りです。

  よく考えれば、どんなシューズを履いているかだけを見れば、すぐに分かったはずですよね。でも観劇しているときは、踊っているのがメルセデスだろうが“Street Dancer”だろうがどーでもよかったんで、特に気をつけていなかったのです。

  来年、新国立劇場バレエがこのボリショイ版と同じ「ドン・キホーテ」を上演するそうです。そのときにリベンジ(?)ですね。

  また、ボリショイ・バレエの「ドン・キホーテ」、新国立劇場バレエの「ドン・キホーテ」をご覧になったことのあるみなさま、私の間違いにお気づきでしたら、どうかどうかご指摘下さいませ。「メルセデスと“Street Dancer”問題」のせいで、どーにも落ち着かないんです(私は粘着質)。

  「スペードの女王」で、ニコライ・ツィスカリーゼというダンサーを知ることができたのは大きな収穫でした。

  今年の春のボリショイ・バレエ日本公演で「ファラオの娘」を観たとき、彼がすぐ近くの席に座っていたんですよ。もちろんオフのスタイルでしたから、そのときには「ああ、人気があるっていうダンサーだな。でも素はやっぱり普通の兄ちゃんだよね」くらいにしか思わなかったのです。

  それが舞台では、あんなにも変容するんですからね。ぐっと目が惹きつけられて、鋭く白く光るナイフを見ているようでした。

  ツィスカリーゼがクランコの「オネーギン」のタイトル・ロールを踊ったら、まさにプーシキンの原作の世界が見事に再現されるのではないかな、などと妄想しています。ボリショイ・バレエだったら、民族舞踊の群舞のシーンも、さぞ見ごたえがあるでしょう。100%実現はしないでしょうが、想像するだけで楽しいです。

  伯爵夫人を踊ったイルゼ・リエパも、ぜひとも一度は観たかったダンサーなので満足しました。彼女の父親はマリス・リエパという、やはりボリショイ・バレエのスター・ダンサーだった人です。
  「スパルタクス」映像版でしか観たことがないんですが、マリス・リエパはとても強烈な個性を持っており、また演技力と音楽性にも恵まれていた人だったんだな、と思っていました。

  イルゼ・リエパについては、お兄さんのアンドリス・リエパと一緒に「火の鳥」を踊っている映像を観たことがあって、父親の個性と演技力と音楽性を見事に受け継いでいる、と感じました。
  今回の「スペードの女王」を観て、イルゼ・リエパの独特の身体の動きと演技に、あらためてその思いを強くしました。

  「白鳥の湖」は面白かったですが、あのラストには納得がいきません。でも悲劇にしたほうが物語のつじつまは合うわけです。ただ観ているほうはスッキリしません。ハッピー・エンドにすれば観客は喜ぶでしょうが、物語の構築という面では弱くなります。
  だから悲劇のほうが正しいのだろうと思います。でも私はなんか不完全燃焼です。

  「ドン・キホーテ」で、私はそれまでの己の狭量さを深く反省しました。本当に楽しくて愉快なバレエ作品でした。踊りの見どころもたくさんあって、テンポ良く話が進んでいって飽きませんでした。
  いちばんの見どころは、なんといってもガマーシュ登場とバジルの狂言自殺ですね。

  「ガイズ・アンド・ドールズ」についても、せっかくだから3月に観たときと比べてどうだったか、ちょっとしたメモでも書こうかと思っています。それにしても、パトリック・スウェイジは、体調が無事に回復したのかなあ。今はちゃんと出演してるのかしら?  
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近況と宣伝

  早くも9月ですね。時が経つのは速いものです。日中はまだ暑いとはいえ、風が爽やかで涼しく、夜には秋の虫の声が聞こえるようになりました。

  しつこく書いたのでご心配をおかけしましたが、肩こりと首の痛みはほとんど治りました。でもなんかまだすっきりしません。時間のあるときに、去年の冬、ぎっくり腰でお世話になった医者に行って診察してもらうつもりです。

  話は変わりまして、マイ・フェバレイト・カンパニーの一つである(割には悪口書いてごめんね)スターダンサーズ・バレエ団が、この12月にトリプル・ビル公演を行ないます。演目は“Approximate Sonata”(ウィリアム・フォーサイス振付)、「リラの園」(アントニー・チューダー振付)、「スコッチ・シンフォニー」(ジョージ・バランシン振付)です。

  公演日時は12月2日(土)17:00開演、3日(日)14:00開演です。公演会場はゆうぽうと簡易保険ホール。
  チケットの料金はSS席10,000円、S席8,000円、A席6,000円、B席4,000円で、チケットぴあ、イープラス、スターダンサーズ・バレエ団(電話:03-3401-2293、Eメール:ticket@sdballet.com)で受け付けています。

  フォーサイスの“Approximate Sonata”は、今回の上演が日本初演となるそうです。チューダーの「リラの園」も、バランシンの「スコッチ・シンフォニー」も、私は観たことがないのですが、3人の振付家の知名度からいえば、まず「金返せ」な公演にはならないと思います。
  特にアントニー・チューダーの作品には、基本的に「ハズレ」はないのではないでしょうか。(←私の個人的な好みに合う、というのだけが根拠ですが・・・)

  このトリプル・ビルは、スターダンサーズ・バレエ団が取り組んでいる、「20世紀のマスター・ワークス」シリーズに属するものだと思います。これらの小品は、日本ではあまり上演される機会がないでしょうから、観るのが今から楽しみです。
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