本日のアダム・クーパー


  踊りが超キレキレだった。初日と動きがまったく違う。ここまで戻すのに、初日から2週間かかったか。やはり舞台に立つことは大事なのだなあ。よかったよかった。

  歌は本当に上手くなったが、声量があり、伸びもよく、しかも声が非常に長く続くので驚いた。

  第二幕のブロードウェイ・メロディ・バレエの途中、現れたキャシーに駆け寄ろうとした瞬間に足を滑らせ、片膝をついた姿勢で転倒した。彼にしては珍しい。でも表情は一切変えずにすぐさま立ち上がり、何事もなかったかのようにキャシーと踊り始めた。リフトはいつもどおりこなしていたし、その後の踊り、タップやバレエもちゃんと踊っていたので、怪我などはしなかったと思う。

  アドリブも快調。コズモ役のステファン・アネッリ、キャシー役のエイミー・エレン・リチャードソンとの息もぴったり合っていた。これも初日とは大きく異なる。互いに信頼関係ができあがった上でのパフォーマンスは全然すごい。

  ステファン・アネッリは"Make'em Laugh"でのアクション中、着けていたマイクが頭から剥がれてしまった。どうするのかと思っていたら、アダム・クーパーが、アネッリが自分に近づいた瞬間にアネッリの顔を手でなでるフリをし、アネッリのマイクを元の位置に戻そうとした。それでもマイクは再び剥がれてしまう。アネッリはマイクが垂れ下がっていた間は地声で歌った。ほんの短い時間だったけど、凄い声量だった。

  "Make'em Laugh"の終盤、コズモが壁を破って舞台の奥に下がる。アネッリはその隙にマイクを元に戻したようだった。コズモが壁の中から再び出てきたときには、マイクはいつもの位置に付いていた。アネッリもクーパーもアクシデント対応が見事で、さすがはプロ、と感心した。

  復活したキャシー役のエイミー・エレン・リチャードソンは、歌、踊り、演技がみなすばらしく、さすがは第一キャストだと思った。透きとおった美しい歌声を持ち、踊りは動きがなめらかで、非常に緻密で細やかな演技をし、表情が豊か。キャシー役のアンダースタデイ、ローレン・ホールもわるくないと思ったけれど、リチャードソンとはやはり差がある。比べてみて違いがはっきりした。

  他のキャストたちもこなれている。でもマンネリに陥っていない。各自がアドリブを適切に入れて変化をつけている。これはクーパーやアネッリ、リナ役のオリヴィア・ファインズも同じだった。特に、ファインズのリナは演技とセリフ回しが毎回違うので面白い。"What's Wrong with Me?"の歌い方も公演ごとにやっぱり異なる。リナ最高!

  監督デクスター役のポール・グルナートの演技も、いつも微妙に違っている。このおっさんは超笑える。トーキーで映画撮影するシーン、デクスターとリナとのやり取りでは毎回大爆笑。

  「舞台」として全体的に熟してきたなあという印象が強く残った。

  カーテン・コールで、指揮のロバート・スコットは両手にミッキーみたいな超巨大手袋をはめ、観客に向かって手を振っていた。おちゃめ。


  会場は今日も大盛況でした。今回の『雨に唄えば』日本公演のチケット売り上げは、すでに東急シアター・オーブ開館以来の最高記録を出したそうです。
  こちらもおめでとう。

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