少しでも正確な情報を手に入れる

  アメリカ在住の姉より、アメリカ国内で福島第一原子力発電所事故がどのように報道されているか、詳しいメールが来た。

  海外各国が日本在住の自国民を日本国外に退避させたり、東京より西に退避するよう勧告したのは、日本政府と東京電力が発表する情報が信頼性に欠けるため、とりあえず最悪の事態を想定して安全策をとったからである。

  国際原子力機関(IAEA、International Atomic Energy Agency)会長の天野之弥事務局長をはじめとするIAEAのスタッフたちは、IAEA自身で正確なデータを調査把握し、同時に正確な情報をありのままに開示するよう日本政府と東京電力に圧力をかけるために日本に赴いた。

  自衛隊、東京消防庁、警視庁による福島第一原子力発電所3号機(Fukushima Daiichi nuclear power plant Unit 3)への放水作業は一定の効果をあげており、3号機の状態は「深刻ではあるが、安定している("very serious, but stable")」。現在、3号機の冷却プールの気温は85℃前後だが、適温である25℃に下がるまでは数週間から数ヶ月かかり、適温になるまでの間に放射性物質を放出するかもしれない。

  IAEAは独自に日本国内の47の都市で18日から放射性物質量の調査を行なっている。調査の解析結果は順次発表していくが、まず東京ではヨウ素131(Iodine-131)やセシウム137(Caesium-137)といった、核分裂後に発生する放射性物質は検出されていない。引き続き結果を解析している(詳しくは IAEA の公式サイト で)。

  同じくIAEAによると、原発から周囲30キロメートル周辺の放射線レベルは、95~130ミリシーベル。この結果を見れば、30キロメートル以内の避難は適切である。福島県のその他の地域の放射線レベルは5ミリシーベルト以下。東京都の放射線レベルは健康にはまったく差し支えない。

  ちなみに、具合が悪くなる数値は500ミリシーベルト、病気になる数値は1000ミリシーベルト、亡くなる数値は5000ミリシーベルトで、広島の原爆の被害者は7000ミリシーベルト、東海村JCO臨界事故(1999年)で亡くなった2人の作業員は25000ミリシーベルト以上の放射能を浴びた。

  各号機の炉心融解(メルト・ダウン)の可能性について、専門家は「1週間も持ちこたえていることから、メルト・ダウンはしていない」という見方をしている。

  17日(アメリカ東部現地時間)、成田からアメリカに到着した旅客機の機体、乗客、貨物から放射性物質が検出されて、アメリカ国内は騒然となった。しかし、18日(同)に到着した、成田発の旅客機から放射性物質は検出されていない。

  総合すると、最初は悲観的な報道だったのが、徐々に肯定的な、希望の持てる報道に変化してきている、とのこと。

  もはや日本政府と東京電力の発表は信頼できない。国際社会の圧力と情報だけが頼り。
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