▼昨日(14日)、日暮れに空を見上げると曇っていたので、午後10頃、布団に入る前にもう一度外に出てみた。頭上にスーパームーンが輝いていた。次に出現するのが2034年というから、私の年齢では、この世でお目にかかることはない。あの世からだと、近くで見ることだ出来るのではないかと思ったが、浄土世界は遥かに遠いらしいので、見納めということになる。前回出現したのは1948年だというから、私が生まれた時だ。私の宗派、浄土宗の開祖は法然上人だ。「月影のいたらぬ里はなかれども、眺むる人の心にぞすむ」。法然さんの言葉を心の中で繰り返した、68年ぶりの大満月だ。
▼さて、昨日のスーパームーンより日本の地上で円が大きく感じたのは、北海道泊原発の避難訓練での、半径30キロの範囲だ。官邸から、アベ総理が「原子力緊急事態宣言」を発令し、冬場の避難訓練が行われ、原発関係者や地域住民、1万4千人が参加したという。甲状腺がん防止のためのヨウ素材配布や、バスでの避難などの訓練が実施されたという。さらに地域を訪れていた外国人観光客に対しても、避難訓練の説明をおこなったという。そこまで心配な地域なら、外国人は観光に訪れない気がすると思うが、外国人の反応は報道されていない。
▼泊原発は、現在3基全部が稼働中止している。総理まで参加しての避難訓練は、まもなく稼働させるということだろう。避難訓練とは事故が起きるという想定で行われる。福島第一原発事故でわかったように、原発は事故があったら地元には二度と再び戻れないと理解すべきだ。避難訓練など拒否し、原発廃止に動いてはどうかと、テレビを観て考えさせられる。
▼総理が官邸から指示しただけで、地域住民が納得がいかないまま行動させられるという状態が、何とも違和感を覚える。今の北海道に必要なのは「原子力緊急事態宣言」ではないはずだ。一次産業王国北海道には、「TPP緊急事態宣言」ではないかと思う。冬空に避難を強制させられる道民を目にして、明治以来、国の主導で開発される北海道の悲しさをみせつけられるようで、寂しさを感じる避難訓練だ。
▼避難訓練には、住民の安全のために、率先して町会長たちが協力させられたに違いない。普段から、安全・安心なまちづくりの中で、原発を問題視していれば、国の手先として働かされることもなかったかも知れない。単町会では無力かも知れないが、連合町会ともなれば、住民の組織では最大組織だ。その組織が、影響を及ぼさないということはない。連合町会は、まちづくりに影響を及ぼす存在にならなければならないのだ。
▼明日17日、福島県福島町連合町内会一行が、函館市町会連合会との研修会にやってくる。福島も原発建設当初は反対していたが、やがて多額な補助金が、真実を見る目を曇らせたようだ。しかし、原発を推進する中で、当時の佐藤知事は、原発が経済効果を生まないばかりか、危険であると宣言した。その時、福島の町会連合会はどのような対応をしたのか聞いてみようと思う。