▼北海道新聞朝刊(17日)一面トップは、南スーダンのPKOに参加する自衛隊に、「駆け付け警護」と「宿営地の共同防衛」の新任務を、閣議決定したという記事だ。今年強行採決した「安保関連法」に基づき「正義のために戦う自衛隊」をアピ−ルするための手段だろう。NGO関係者が襲われたための警護だというが、「安保関連法」をより実効性にあるものにするため、強い自衛隊を世界に披露するための、デモンストレーションではないか。
▼戦う自衛隊、つまり国防軍に昇格させるために、自衛隊員の犠牲者が出ることを望む閣議決定だ。昔の関東軍なら、危険な場所に自らの兵隊を出動させ、先に発砲させる。戦闘で自国の兵士に犠牲者が出たのを機に、戦いの大義名分を作り出すという手法だろう。それがアベ総理が目指す「積極的平和主義」の、スタートなのではないだろうか。
▼今回の駆け付け警護は「人身御供作戦」だ。人身御供=生贄として人間を神に供えること。また、供えられる人。「組織の人身御供にされる」という使い方だ。広辞苑。つまり、アベ政権が目指す国家像のために、人身御供にされるのが、陸自第9師団第5普通科連隊(青森)だ。それも、網タイツの稲田朋美防衛相が、命令を下すという。青森の隊は「天に代わってお仕置きを」という、命令内容に聞こえはしないだろうか。今回が初めての戦闘だ。私が兵士なら、防衛相自が先頭に立っていただければ、心強さはこの上ない。
▼今朝の朝刊で「駆け付け警護」と同じく、私が注目するのはユネスコ世界遺産登録を目指す「北海道・北東北の縄文遺産群」の記事だ。この遺跡群の中心的存在になる国宝の「中空土偶」は、私が生まれたところから、すぐ近く(20キロ程)だからだ。だが、2013年から4年連続で国内推薦すら受けていない。だが今年から、縄文遺産登録推進本部は、現衆議院議長の大島氏(青森県)が顧問となり、会長には元環境相の鈴木俊一氏(岩手県)がなり、事務局長には前田一男衆議(函館市)が就いた。函館からは「中空土偶」が出土している。鈴木会長は「文化遺産は政治力で決まるものではない」というが、この人事は、関係者の期待を大きくふくらませる。
▼縄文時代が一万年以上続いたのは戦争がなかったからだと言われる。だが、戦後71年しか戦争をしないで平和を保ってきた我が国はだが、青森部隊の「駆け付け警護」で、その平和に終止符を打つ可能性が出てきた。私は縄文遺跡が世界遺産にならないのは、縄文の「平和維持」という精神性を、地元や関係者がよく理解していないからだと思っている。憲法第9条の精神は、縄文時代に端を発しているという思いを強くすれば、世界平和遺産に登録される可能性は、大いにあるのではないかと思うからだ。
▼「北海道、北東北部隊」は武器を持たず、「中空土偶」の旗を掲げ、支援活動すれば、世界遺産の登録も間近のように思えるのだ。昨夜も少し小さくなったが、スーパームーンに会話を試みた。月も、戦争のない平和な日本を続けてほしいと、私に語っていたような気がした。