▼米国大統領の選挙戦を通じて、こんな人物は大統領として不適格ではないかと、世界中で思われたのはトランプ氏だろう。だが、米国のメディアは、最後の最後までトランプ氏の敗北を疑わなかった。私たちは、テレビ・新聞で情報を得る社会に住んでいる。だが公平・公正である報道といえど、資本主義社会の一企業だ。偏ることもあるが、それは情報を受ける側も、より正確な情報を選択する篩(ふるい=選り分ける道具)を持たなければならない。自己責任というものだが、今回の米国のメディアの大統領選における情報収集は、敗北以外にない。と同時に、情報化社会に生きている私たちの、こうであってほしいという心の迷いによる、敗北でもあるような気がしている。
▼選挙中のトランプ氏の、人種差別の発言を聞いて、暴言だと誰しもが思う。そして、彼が大統領なら世界は大きく豹変するのではないかと危惧する声が起きている。だが、選挙公約なんて票を獲得するだけの嘘だらけであるのは、有権者がよく知っている。君子豹変と言う言葉があるが「君子は過ちだと知れば、すぐに改め、善に移る」と、信じている人たちも多くいる。たぶん世界をリードする米大統領が、無謀なことをするわけがないというのが、一般的な憶測だ。だが、次期大統領と対談したオバマ大統領は、TPPの承認は諦めたと宣言した。現大統領の政策をストップさせたトランプ氏。もはや君子豹変は望めないのではないかという気がしてくる。
▼それにも関わらず、アベ総理が訪米し、TPPの加入承認を訴えるらしい。タフなビジネスマンでジョークが得意だと言われるトランプ氏。TPPに加盟したら、米軍の駐留費をぜんぶ持ってほしいと言われたら、アベ総理はなんて答えるだろうかと私は心配する。と考えていたら、昨夜、夢を見てしまった。
▼「日本の防衛のために、米軍の血を流すのはナンセンスだ。かといって、ぜんぶ引き上げると、たちまち日本は危機状態になるだろう。我が占領国を危機に貶めることは米国にとっての損失だ。沖縄の軍隊を半減するので、その補充は日本軍でして欲しい。もちろん沖縄基地から米軍が半減すれば、君の政権は国民に支持を得て、盤石になるだろう。だから、米軍の駐留費を全部負担して欲しい」と。
▼対してアベ総理。「それは素晴らしい提案だ。大統領の英断に賛意を示したい。だが、我が国にも大統領からクリスマスプレゼントをいただきたい。プーチン大統領に電話し、日本がロシアに対しなお一層の経済協力を約束するので、4島返還を要望してほしい。もし2島でも返ってきたなら、私はトランプ氏にもお年玉を差し上げたい。豊洲市場だ。ここをプレゼントするので、あなたの会社で、カジノを作って欲しい。もちろん営業開始は、2020年の東京オリンピックに合わせてだ。
▼「シンゾウは、私とまるで兄弟だ。考えと同じでジョークも上等だ。これからの日米同盟は『ブラーザー同盟』と呼び、信頼関係を築いていこう。TPPも少し待ってくれ。私も勉強不足だから、君のところの甘利氏を、私のアドバイサーに置いて、考えていきたい。その代わりに、メディアのコントロールの仕方を君に伝授しよう。最後の最後まで、ヒラリーが勝つとメディアを翻弄した私の手腕を。君が望んでいる憲法改正にも、おおいに役立つからだ」。
▼二人は立ち上がりハグを交わそうとしたので、私も布団から飛び起きたのだ。今朝は波も立ち、11月10日から始まったウニ漁は、今日も中止だ。