▼20日、函館市議会に港湾空港部からの説明があり、若松埠頭(元連絡船の発 着場)に12万トン級の大型クルーズ船の着岸可能な施設を、国に優先して求める考えを明らかにした。26日の函館港地方港湾審議会で説明した後、港湾計画に盛り込むとしている。最近大型客船が次々来函し、観光面での経済効果が出ているのは実証済みだ。観光振興の視点から見たら、両手を上げての賛成というところだろう。
▼メリットばかりが宣伝されるが、その反対に懸念される問題もある。1997年9月に日米感で合意された新ガイドライン(正式名は日米防衛のための指針)だ。我が国の平和及び安全に影響を及ぼす「周辺事態」の際し、自衛隊が海外で米軍を支援するための軍事行動を具体的の規定している。その中に函館港の活用も明記されている。日本政府の解説だ。「日米安全保障条約その関連取決めに基づき、日本は、必要に応じ、新たな施設区域の提供を適時かつ適切に行うと共に、米軍による自衛隊施設及び民間空港・港湾の一部使用を確保する」というものだ。
▼1994年6月12日付「ロサンゼルス・タイムズ」には、北朝鮮の「核疑惑」問題が高まっていることを指摘し「戦争勃発から数日以内に、ワシントンは日本政府に対し、アメリカからの数百機の輸送機や数千トンの死活的に重要な補給物資を着陸させるため、札幌、新潟、成田のような民間空港の定期便の発着を停止させるよう、日本に要請しなければならない」と解説している。もうひとつは1997年8月29日付「朝日新聞」報道だ。有事の時の使用可能性がある港湾は北海道は『苫小牧・函館』空港は『千歳』を挙げている。
▼軍事秘密は秘密保護法の適用を受けるので、開示は無理だろうが、新聞大手が記事にするにはそれなりの確証があってのことだろう。函館港の大型クルーズ船の接岸は、観光客誘致のみ喧伝されているが、国連で北朝鮮制裁問題を日本がリーダーシップを取ると豪語しているアベ総理なら、函館港が米軍に使用しやすい軍事提供港湾としての、整備を急いでいるのかも知れない。そんなふうに推測するのは、ただの私の老婆心だろうか。
▼だが、その老婆心を20日の市議会での採決が、さらに私を不安にさせてる。前回の市議会で、安保関連法に反対する議員の請求を、15対14で否決した。さらに今議会では、南スーダンに派兵する自衛隊のPKOについて『駆けつけ警護」を容認する議決を賛成多数で、可決したという。函館市は『海外での武力行使を認める都市として、全国に宣言したことになる。函館市は1961年『安全宣言』をし、1984年には『核兵器廃絶平和宣言』をしている。
▼市議会は、先人たちが二度と戦争せず、安全・安心なまちづくりを宣言したのを忘れていやしないだろうか。1945年の原爆投下地域に、函館も入っていたと聞いている。広島・長崎・函館などということは、夢でも見たくないことだ。でも、函館市議会は、そんな恐ろしい夢を私に見せそうである。『駆けつけ警護容認の決議」その経過を、市民報告会を開いてもらいたいものだ。『情報共有』こそ、安全・安心のまちづくりの第一歩だと思うからだ。
▼26日に開催される、函館港地方港湾審議会、観光一辺倒では問題の本質を見失うことになりかねない。最近の豊洲移転問題でも、各委員会や審議会の在り方が問題になっている。『御用市民』言われぬように、市民として自分の意見をはっきり主張してもらいたいものだ。それが民主主義の大原則『主権在民』ではないかと、私はかねがね思っているからだ。ちなみに戦艦大和は6万4000トンで、空母ロナルドレーガンは、10万1429トンだという。