▼国の借金が１０００兆円を遥かに超え、年予算が３年連続１００兆円を超えるという。さらに借金返済額が、年２４兆６千億円だという。「１０００・１００・２４」数字は単純だが、後に兆がつく。国民の経済感覚を麻痺させる「アベノマジック」という幻影政策なのだろう。若者は、自分たちの感覚から外れていることを「超キモイ」という言葉で表現するが、今年からは「兆キモイ」と呼んでほしい。防衛費５兆１６８５億円と政府が発表したら「兆キモイ」とみんなで叫んでほしい。そうなれば来年の流行語大賞は「兆キモイ」で決定だからだ。アベ総理の積極的平和主義など「兆キモイ」の代表例なのだ。
▼来年度予算の数字を見ているだけで、気分がすぐれなくなるので、オシャレでハツラツとしている東京都の小池知事に、今日は視点を向けてみる。上述した数字を見ると、財政健全化などという言葉を、アベ政権は放棄したのではないか。アフリカ支援に大判振る舞いをしてきたと思いきや、今度は北方領土の交渉前に、先にロシアに貢物をするという。ドーピング問題で指摘されているにもかかわらず、ＩＯＣの批判を繰り広げるプーチン大統領は、世界の常識など完全無視だ。プーチン大統領の厚顔無恥は、もはやギネス級だ。アベ総理の貢物の見返りは「今年中に日本に遊びに行ってやる」という程度の対応のようだ。
▼国のお金の使い方は、説明されればされるほど理解不能になる仕組みのようだ。
武器関係の購入などは、特殊で秘密性を有するので、競争入札は馴染まない。一社となれば、言いなりの予算で購入ということになり、そこに癒着がはびこる。さて、東京都の大型公共事業だが、随意契約が多いという。ゼネコンが仕切っているので、お互いに利益を分配しているようだ。随分前から言われているが、入札率がほぼ１００％に近いというから呆れる。そうなれば、謝礼などの見返りは当然生まれてくる。
▼今回の築地の豊洲への移転は、２０１１年の建設開始から建設費が４年で３倍にも膨れたという。２０１１年といえば東日本大震災だ。東北の復興に資材や人材が集中したため、日本全体で建築費が高騰したと言われている。そんな時期に重なった函館市のアリーナ建設も、そのような理由で費用が増加している。実際、どれくらいの不足が真実なのだろうか。あれほどの災害の復旧ではやむを得ないと思っているのは国民で、復興の大本はゼネコンだ。資材や人材が足りないといえばそれが当たり前でしかたないと、国民は思わせられてしまっているのではないだろうか。
▼豊洲は４年間で建築費が３倍となった。個人がマイホームを建てるのに、２０００万が６０００万になったら支払えないはずだ。豊洲は税金で払うので、都民も安全・安心な市場といえば納得してしまうのだろう。オリンピックまでは築地の場所に道路を建設し、渋滞を防ぐという。逆算すると、今年１１月の移転は避けられないというが、すでに出来ている迂回路で十分ではないかとも言われている。国民が期待しているオリンピックに照準を追わせた一大公共事業による、政・財・官の癒着による、政治資金の確保が、そこに潜んでいるのではないか。
▼豊洲移転を小池知事は延期を表明した。豊洲構想は石原元知事から始まった。自民党を知り尽くした石原さんだ。オリンピックを経済再生と利権の確保と捉えたのだろうか。小池知事の圧勝での責任をとって、すかさず幹事長を辞職した自民党都議連の内田幹事長の顔がちらつく豊洲移転問題だ。１月まで延期すると豊洲の維持費は１日７００万円で、３ヶ月で６億円と言われている。これとて根拠がはっきりしていない。話は沖縄に飛ぶが、今月１２日から沖縄のオスプレイが、グアムで訓練する費用を日本が持つという。その費用は１ケ月７億円で、さらに北朝鮮のミサイル対策費用は、数千億円というから防衛予算は底なし沼だ。底なし沼には、いざ鎌倉のための資金も蓄えられているのだろうか。
▼他に、大災害の復旧や原発の廃炉費用など、数え上げればきりのない「どんぶり勘定」の国家財政としか、言いようが無い我が国だ。このどんぶりからの余分なお金が、アベ長期政権維持のための資金源になるのではないかとふと考えてしまう。この頃ふと思うのだが、角栄さんや金丸さんの手法が、いまだ自民党の中には生き続けているのだろうか。憶測が憶測を生むアベ総理の、自信満々のこの頃の、したり顔だ。
▼豊洲移転も、もう出来上がっているのだからという声に、小池知事は耳をふさいで欲しい。豊洲移転に隠されているものこそ、日本の政治を歪めている真の病巣があるような気がする。全部暴くのは無理だろうが、その一部でもいいから、病巣の全体像が見えるような暴き方をしてほしいものだ。首都東京が見本を示すことで、我が国の財政が少しでも健全化に向かうことを期待したいものである。
ガンバレ百合子さん。