▼首位を狙う日本ハムの試合より、白鵬のいない大相撲より、興味があるのが豊洲移転問題だ。単に東京都の問題ではなく、日本の「政・官・産」の三つ巴体質の暗部に迫る問題だからだ。まずは、建設工事からだ。当初予定価格は628億円だったが、2013年の入札で、予定額と大幅なずれを生じたため、入札不調となった。その後、都が入札に参加した大手ゼネコンから、実勢価格などのヒアリングをおこなったという。この行為、相手の手の内を聞き出し、それに沿った予定価格を算出するというもので、業者側に有利になるのではないかと思うのだが、仕事を円滑に進めるためには、不調となった場合、業者からに聞き取りは通常のことだという。
▼もし、入札に参加する業者が結託し、価格を釣り上げ調整したら、その意向に沿った入札が行われるだろう。聞き取りをおこなった時点で、入札の主役が業者に変ってしまったというのが、実態ではないか。ヒヤリング後には6割増しとなる、1035億円で、大手ゼネコンの3社のJVが、予定価格の99・7~99・9%で落札している。開いた口が塞がらないという感じだが、役所的には正常な入札ということになるのだろう。随分前から東京都の大型事業の落札額は、100%に近いと言われていたが、それをチェックする議会が、業者との関係が親密化していて、担当職員に睨みを効かせていたのかもしれない。議員の圧倒的多数を誇る自民党、そのどンと言われた内田元幹事長の、八方睨みが都庁内の隅々に、眼力を発揮していたような気がする。
▼6割増しの理由は、東日本大震災の復興需要の増加や、次期五輪やパラリンピック開催の決定後で、資材費や労務単価が高騰していたというのが理由だ。業者が言ったことに対し、そのまま鵜呑みにしているのは、東京都が地方交付税不交付団体で、懐具合が豊かだということだろう。大企業が集まり人口も多く、常に都市開発がおこなわれている。それがさらに経済を活性化させ、財政を潤すことにつながる。我が国で一番輝いているのは東京都だ。輝かせているのは、未来都市を創造しプレゼンする大手ゼネコンの力によるものだ。そんな暗黙の了解が「政・官・産」の、三つ巴体質になってしまったに違いない。計画当初に設置された、有識者による「専門家会議」も、8年ぶりに再設置され、誰が設計の改竄を指示したか、その他に都が設置した「市場問題プロジェクト」の座長も同席し、総事業費が5884億円に膨らんだ経緯も調査するという。
▼昨年完成した函館市のアリーナ建設も、東日本大震災の復興で、資材の高騰や労働力不足などで、建設費を途中で増額した。金額は忘れてしまったが、大手ゼネコンのマネ?をしたのかも知れない。とにもかくにも、東京都が変われば、日本が変わるような気がする。「ドクターK=小池知事」が、リオから早く帰って、伏魔殿に鋭いメスを入れてほしいと思うのは、私だけではないようだ。