前半が良くて後半がダメな映画である。さそうあきらによる同名漫画の映画化で、二ノ宮知子原作による「のだめカンタービレ」のテレビドラマ化と同じく、クラシック音楽をネタにした面白おかしな若者群像が描かれる。
実家の八百屋の二階で下手なピアノを練習して、近隣の顰蹙を買っている音大を目指す浪人生が、突然天才的なピアノの才能を持つ女子中学生に押しかけられ、受験の“特訓”を受けることになる。
下町の濃密な人間関係の中で育った彼と、その才能により周囲から腫れ物を触るように扱われてきた少女との互いの境遇のギャップ、だからこそ当人にないものを求めるように二人が打ち解けてゆく過程は納得できる。その関係が徹底してプラトニックだというのも微笑ましいし(まあ、手を出したら捕まってしまうのだが ^^;)、何より年下の可愛い子にお尻を引っぱたかれながら叱咤激励されるという嬉し恥ずかしいシチュエーションは、男として面映ゆい共感を抱いてしまう(激爆)。
すったもんだの末に彼が音大に合格するまでが前半の展開で、テンポの良い演出でイッキに見せる。序盤にあれだけピアノがヘタだった彼がそう簡単に上達するとは思えないが、まあそこは“愛嬌”ってもんだ(笑)。しかし、後半になると彼女の父親の話とか彼のガールフレンドを巡る顛末とか、さらには彼女自身が抱える“問題”とか、複数のまだるっこしいネタが頻出してきて映画のリズムが完全に鈍化。萩生田宏治の演出も息切れ気味。
海外の有名ピアニストが出てくるパートなんて、完全に御都合主義。クライマックスの演奏シーンも勿体ぶった割にはあまり盛り上がらない。ラスト近くなんて完全に失速。もうちょっと気の利いた結末を考えるべきだった。
原作の構成がどうなのか知らないが、前半だけを膨らませて一編にした方が良かったのではないか。それならば長すぎの上映時間(2時間)も20分以上は削れると思う。
主人公に扮する松山ケンイチはナイーヴさを前面に出した好演で、今回も懐の深さを見せつける。ヒロイン役の成海璃子は評判通りの逸材で、年齢に似合わない大人びた存在感は将来性を感じる。最近の邦画界は少女俳優に多くの才能が揃い、嬉しい限りだ。
コンサートの場面を除いた音楽の扱い方は万全で、出演者達の演奏シーンもサマになっている(貫地谷しほりの口パクはまあ、アレだったけど ^^;)。ただし、ハトリ・ミホによるオリジナル楽曲はつまらない。クラシックの既成曲に完全に負けている。全編クラシックで攻めた方がよっぽど良かった。
私も汚いですが松山 ケンイチくんのサイトを作ってしまいました
もしよろしければ遊びに来てみてくださいね
いずれはオダギリジョーのポジションをパクるのでは・・・・なんて考えてます(爆)。
それでは、今後とも宜しくお願いします。
松山ケンイチというのは、二枚目なのか、三枚目なのか、わかんないところがありますが、独自のポジションを築いてきていますね。
作品によって“顔”がコロコロ変わる芸達者ぶりは今後も期待できると思います。
それでは、今後とも宜しくお願いします。