元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「オオカミ少女と黒王子」

2020-05-10 06:51:21 | 映画の感想(あ行)

 2016年作品。普段ならば完全に私の守備範囲外のシャシンなのだが(笑)、キャスティングが興味深いので、テレビ画面での鑑賞ながら今回チェックしてみた。結果、この手の壁ドン映画にありがちであろうグダグダの展開にならず、意外にも最後まで観ていられたことに我ながら驚いた。中身がベタでも出ている面子が良好ならば、そこそこの出来にはなるのだと思った次第である。

 高校に入ったばかりの篠原エリカは華々しく“高校デビュー”しようとするが、実は恋愛経験ゼロ。それでも級友たちの前では見栄を張るべく、学校一のモテ男である佐田恭也に“彼氏のフリをしてくれ”と頼み込む。快く引き受けてくれた恭也だが、実は彼は端正なルックスに似合わぬ腹黒でサディスティックな野郎だった。その日からエリカは、交換条件として恭也に絶対服従するハメになる。八田鮎子による同名コミックの映画化だ。

 筋書きはよくある学園ラブストーリーらしい予定調和で、特筆すべきものは無い。前述の通り本作のメインは配役である。エリカを演じているのは、二階堂ふみだ。どう考えてもラブコメとは縁遠い存在でミスキャストだと思ったが、さすがの演技力で役柄を自分のものにしている。特に終盤の独白場面では観ているこちらも引き込まれるものがあった。外見も完全にアイドル仕様でまとめており、こんなにも可愛い女優だったのかと感心する。

 エリカの親友の亜由美に扮しているのが門脇麦というのもポイントが高く、二階堂との会話シーンは演技派同士で安心して観ていられる。また、横浜流星や吉沢亮が脇に控えており、クラスメート役で池田エライザや玉城ティナ、武田玲奈が顔を揃えるというのだから、現時点で考えれば若手俳優のオールスターキャストだ。

 ところが、そんな中にあって恭也を演じる山崎賢人だけが完全に浮いている(大笑)。若手有名男優の中では屈指のアレである彼は、本作でもその“持ち味”を存分に発揮。セリフの抑揚の無さと、何をやっても変わらない表情は相変わらずだ。特に二階堂とは演技スキルが天と地ほども違うので、アバンチュールの場面はほとんどギャグになっている。このあたりはツッコミを入れながら観るのが正しいかもしれない。

 廣木隆一の演出は可も無く不可もナシだが、今回はロングショットと長めのカットの多用が印象的だ。もっとも、俳優の顔をじっくりと拝みたいという若年層の観客にとってどうなのか、ここでは判断しずらい。世武裕子による音楽、たびたび挿入される既成曲の扱いは悪くない。後半の舞台になる、神戸の街の風景は良かった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「麻薬王」 | トップ | 「6アンダーグラウンド」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画の感想(あ行)」カテゴリの最新記事