元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「生録・盗聴ビデオ」

2006-04-29 16:29:13 | 映画の感想(な行)
 82年にっかつ作品で、当時量産された“ロマンポルノ”のラインナップのひとつである。浮気の現場をこっそりとビデオに撮られてしまった人妻がたどる地獄のような日々を執ように描いているこの作品は、同じようなテーマをよく扱うテレビの「なんとかサスペンス劇場」など足元にも及ばないヴォルテージの高さと緊張感で観る者を圧倒する。監督は当時この作品や「密猟妻・奥のうずき」などでそのエキセントリックな演出が評判になり、今は何やってるのか全然わからない菅野隆。

 主演の風間舞子(この人も今何やってるのかわからない)がすごい。ちっとも軽いところがない年齢的にも重量級の女優で、逆境にもかかわらずひとつも泣き言をいわない。「だって私の撒いた種なんだから黙って引き受けるしかないでしょ」とトコトン堕ちていくだけでなく、自分をおとしいれた悪い連中まで道連れにしていくそのしたたかさ。骨太の官能性が画面を跳梁バッコする、まさに歩くセックス・マシーン(爆)。

 映像のキレが抜群だ。ヒロインの家に突然ビデオカメラと照明を持った男女が乱入する、観ていて気絶しそうな仰天シーンや、彼らに襲われる場面でクッションからこぼれ落ちて部屋中を乱舞する鳥の羽根、といったシュールな映像は一度見たら忘れられない。

 事件の首謀者で妻の座を狙う女やその手下の男ども、といった三流テレビドラマによく出てくる脇のキャラクターも、徹底的にリアリズムで描いているため軽薄にならずめちゃくちゃいやらしい。とにかくすべての登場人物を甘やかせずギリギリまで追いつめているところがすごい。

 非常にパワフルでえげつなくてトコトン迫力があって、しかも十分スケベなこの快作は、たぶん今ではビデオも出ていないだろう(間違っていたらゴメン)。残念なことです。もっともこの時期の成人映画の多くがそうなんだけど。

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