(原題:THE GOOD NURSE)2022年10月よりNetflixより配信。物足りない出来のサスペンス編だと思ったが、後半で実際に起こった事件を元にしていることが分かり、何とも言えない気分で鑑賞を終えた。要するにこれは私が苦手とする“実話なんだから、細かいところはどうでもいいだろ”(謎)というタイプのシャシンであり、評価できる余地はあまり無い。
ニュージャージー州の総合病院に勤務するシングルマザーの看護師エイミー・ロークレンは、心臓病を患いつつも生活のため激務に耐えていたが、そろそろ心身ともに限界値に達してきた。ある日、同じ病棟にチャーリー・カレンという青年が配属される。彼は優しくて面倒見が良く、すぐにエイミーとも仲良くなる。彼の助けによりエイミーの担当業務はかなり楽になり、おまけにチャーリーは時折彼女の幼い娘2人の相手までしてくれる。しかし、その頃から病院でインスリンの大量投与による患者の突然死が相次ぎ、エイミーはチャーリーがこの一件に関与しているのではないかと疑うようになる。
2003年に明るみになった、入院患者の相次ぐ不審死を扱ったチャールズ・グレーバーによるノンフィクションの映画化だが、肝心なことは何も描けていない。まず、犯人の動機がハッキリしない。明示することはおろか、暗示さえもしていない。かといって正体不明のモンスターのような扱いもされていない。とにかく中途半端なのだ。
そして、チャーリーが“訳あり”の人物であることは明らかなのに、一つの職場を辞しても次々と別の病院にポストが用意されているという点もおかしい。病院側の一連の事件に対する及び腰な態度は釈然とせず、本来追及すべき警察や検察は今まで何をやっていたのか全く不明。トビアス・リンホルムの演出は事の真相に迫ろうというスタンスが感じられず、もっぱら“映像派”を気取ったようなエクステリアの造形に終始している。なるほど、まるで北欧映画のような暗く沈んだ画面構成は個性的だとは言えるが、圧迫感ばかりが強調されて観ていて愉快になれない。
このような有様なので、主役にジェシカ・チャステインとエディ・レッドメインという実力派を配していながら、ドラマとして一向に盛り上がらないのだ。それにしても、先進国で唯一、日本のように全国民をカバーする公的医療保険制度が無いアメリカの状況は(いろいろな意見はあるが)理不尽だと思う。エイミーが苦しんでいたのも、そのためだ。とはいえ、劇中でそれを追求する気配が無いのも本作の不満な点である。
ニュージャージー州の総合病院に勤務するシングルマザーの看護師エイミー・ロークレンは、心臓病を患いつつも生活のため激務に耐えていたが、そろそろ心身ともに限界値に達してきた。ある日、同じ病棟にチャーリー・カレンという青年が配属される。彼は優しくて面倒見が良く、すぐにエイミーとも仲良くなる。彼の助けによりエイミーの担当業務はかなり楽になり、おまけにチャーリーは時折彼女の幼い娘2人の相手までしてくれる。しかし、その頃から病院でインスリンの大量投与による患者の突然死が相次ぎ、エイミーはチャーリーがこの一件に関与しているのではないかと疑うようになる。
2003年に明るみになった、入院患者の相次ぐ不審死を扱ったチャールズ・グレーバーによるノンフィクションの映画化だが、肝心なことは何も描けていない。まず、犯人の動機がハッキリしない。明示することはおろか、暗示さえもしていない。かといって正体不明のモンスターのような扱いもされていない。とにかく中途半端なのだ。
そして、チャーリーが“訳あり”の人物であることは明らかなのに、一つの職場を辞しても次々と別の病院にポストが用意されているという点もおかしい。病院側の一連の事件に対する及び腰な態度は釈然とせず、本来追及すべき警察や検察は今まで何をやっていたのか全く不明。トビアス・リンホルムの演出は事の真相に迫ろうというスタンスが感じられず、もっぱら“映像派”を気取ったようなエクステリアの造形に終始している。なるほど、まるで北欧映画のような暗く沈んだ画面構成は個性的だとは言えるが、圧迫感ばかりが強調されて観ていて愉快になれない。
このような有様なので、主役にジェシカ・チャステインとエディ・レッドメインという実力派を配していながら、ドラマとして一向に盛り上がらないのだ。それにしても、先進国で唯一、日本のように全国民をカバーする公的医療保険制度が無いアメリカの状況は(いろいろな意見はあるが)理不尽だと思う。エイミーが苦しんでいたのも、そのためだ。とはいえ、劇中でそれを追求する気配が無いのも本作の不満な点である。