元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

民主主義を破壊しているのは、野党である。

2019-05-31 06:28:50 | 時事ネタ
 昨年(2018年)いわゆる“モリカケ問題”が勃発し、安倍政権は批判を受けた。そして今年には厚生労働省の統計不正があった。また閣僚の失言や強行採決も相次いでいる。普通に考えれば現政権の支持率は下降してもおかしくない状況だが、実際にはそうならない。それどころか、安倍総裁4選に向けて盤石の体制が整いつつある。その理由は何かといえば、早い話が野党がだらしがないからだ。

 現政権の前は民主党が政権を担っていたのだが、これがまた評判が悪かった。もちろん、東日本大震災やリーマンショックが起きたことは不運だったが、それにもまして民主党政権が世間から見放された大きな要因は、勝手に消費税率アップを決めてしまったことだろう。

 リーマンショックなどで経済マクロが低迷している中で、あえて増税を決定したというのは、正気の沙汰とは思えない。しかも、当時の菅直人首相は党内で十分吟味することも無く、独裁的に断行してしまった。続く野田首相はまるで財務省のスポークスマンのような言動に終始した挙句、無謀な衆議院解散に打って出て“自爆”する始末。

 斯様に前政権が低レベルであれば、いくら今の政権がゴーマンに振る舞おうとも、国民の間では“それでも、民主党政権よりはマシだ”という認識が定着してしまったのは当然のことだ。

 加えて、安倍政権はアベノミクスなる経済政策を打ち出している。その内容は(特に数値の面からは)まるで物足りないシロモノではあるのだが、とにかく“経済政策を実施してきた”という体裁は整えている。何の経済政策も実行せず、それどころか経済政策の重要性さえ理解していなかったような民主党政権とは、その点でも違う。

 要するに、現政権の高支持率は、ひとえに“低劣だった民主党政権との比較”によって成り立っているようなものだ。もしも野党に政権交代するようなことがあれば、あるいは安倍首相と意見を異にする自民党内の別の者が政権の座に就けば、現状より悪くなるのではないかという懸念が横溢しているのであろう。

 ただし、このまま安倍政権が続けば経済状態は(ゆるやかに下降することはあっても)急激に悪化することは無いのかもしれないが、良くなることは決してない。したがって、少子化問題も所得格差も貧困問題もブラック企業の跳梁跋扈も解決しない。座して死を待つばかりである。

 残念ながら、現政権によるこうした“薄甘い低迷トレンド”を阻止する勢力は存在しない。あれから民主党は分裂したが、いずれの政党も旧民主党と似たような経済政策を踏襲している。つまり、財政の健全化という空疎なスローガンの連呼だ。だから“当面、消費税率は8%に据え置くべきだ”とは言うのかもしれないが、どのようにして経済を立て直してゆくのか、そのヴィジョンを提示出来ない。

 もしも安倍政権が“消費税率アップの延期”を公約に掲げて衆参ダブル選挙に打って出たら、野党に勝ち目は無い。それに対抗するには“増税延期など生ぬるい! 景気が完全に回復するまで消費税は廃止する!”ぐらいのことを言うべきだが、経済オンチばかりの無能な野党にはそんな度胸も無い。

 時として政権与党が暴走するのは、まあよくあることだ。しかしそれを牽制するはずの野党が、国民生活を無視した空理空論ばかりに終始していては、事態は好転しない。民主政治というものは国民の利益を最優先させるシステムであるはずだ。そのことを自覚しないまま“ただ政権与党を批判していれば良い”と言わんばかりの野党の態度は、まさに民主主義を貶めるものだ。

 昨今MMT(現代貨幣理論)と呼ばれる米国生まれの新しいセオリーが話題になっているが、概要を見る限りでは真っ当な考え方だと思える。野党の連中はMMTの文献を熟読して自らのスタンスを顧みて欲しいものだが、まるで55年体制の再現みたいな構図で満足しているような者達には、無理な注文だろう。
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