元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「第13回九州ハイエンドオーディオフェア」リポート(その2)

2016-05-08 06:25:56 | プア・オーディオへの招待
 前回のアーティクルではこのイベントに対する苦言に終始してしまったが、あまりネガティヴなことばかり書くのも何なので、印象に残った製品について述べてみたい。

 英国KEF社が昨年(2015年)リリースしたスピーカーBlade Twoは、同社の旗艦モデルBladeをダウンサイズしたモデルで、今回初めて聴くことが出来た。同じ部屋では英国B&W社の800シリーズが別の時間帯に横綱相撲みたいな立派な音を聴かせていたが、Blade Twoはそれらとは全く違うアプローチながらリスナーに対する高い訴求力を獲得している。



 とにかく、音場の展開(特に横方向)には目を見張らされる。まあ、側面にもユニットが付いているので当然といえば当然なのだが、正面を向いている中高域ユニットとの連携が上手くいっており、これ見よがしの広がり感を強調するのではなく自然なタッチを実現しているのが素晴らしい。

 もちろん、同機の真価を発揮させるには広いリスニングルームが必要で、270万円という価格も考えると、一般ピープルが手を出せるシロモノではない。だが、特異なスタイリングも含めて、かなりの存在感を示すスピーカーだと思う。

 英国Q Acoustics社のスピーカーConcept 40 Jの価格はペア約28万円で、一般の認識からすれば安いとは言えないのだが、数百万円の機器がゴロゴロしている会場内でこういう価格帯の製品を見つけるとホッとする。なお、私は同社の製品を聴くのは初めてだ。



 出てくる音は、実に“普通”である。びっくりするような特徴は無い。しかし、聴いていて安心できるサウンドだ。帯域バランスや解像度、音色の明るさは十分に確保されており、鳴らすジャンルも選ばない。通常の音楽ファンならばこういうモデルが“最終回答”にはふさわしく、末永く使えるのではないかと思う。トールボーイ型だが、重量が小さくて移動が楽である点も見逃せない。

 前回のフェアでも注目された、DS Audioの光カートリッジの新モデルも展示されていた。他社の同クラスのカートリッジとの比較試聴が出来ないため、この製品がどの程度の音質的優位性を兼ね備えているのか分からないが、その革新的な技術は評価されよう。

 なお、最近のトレンド(?)を反映してか、今回もレコードプレーヤーの展示が目立った。とはいえ百万円超の製品が中心で、購入対象にする者はごくわずかだろう。ただし、申し訳程度に比較的安価な(とは言っても10万円台)のレコードプレーヤーも何台か並べられてはいたが、いずれも作りが安っぽいのにはガッカリ。昔は10万円も出せば音も見た目も立派なプレーヤーが手に入ったものだが、需要が限られている現在は仕方が無いのかもしれない。普段は中古品は奨めない私だが、レコードプレーヤーに限れば、状態の良い中古品も有力な選択肢になり得ると思う。

(この項おわり)
コメント
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