元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「大脱出」

2014-02-02 06:44:16 | 映画の感想(た行)

 (原題:ESCAPE PLAN )意外に楽しめた。シルヴェスター・スタローンとアーノルド・シュワルツェネッガーという“フィジカル優先、ロジックは二の次”(笑)という面子を揃えていながら、筋書きはけっこう凝っていてディテールも練られている。さらにはタイムリーな時事ネタも織り込んでいるあたりもポイントが高い。

 主人公プレスリンは世界的なセキュリティ会社のコンサルタントで、脱獄のプロだ。彼の役割は各地の“脱出不可能と言われる刑務所”にわざと収監され、見事にそこから脱獄することにより、警備の甘さを指摘することである。

 この会社に当局側から新しい依頼が持ち込まれる。早速ブレスリンは仕事に取りかかるのだが、予定通り収監される前に何者かの手によって拉致され、見たこともないような監獄に入れられてしまう。彼は囚人たちのボスで謎めいた男ロットマイヤーと協力して何とか脱出を試みるが、例によってそこに冷酷な所長が立ちはだかる。

 意外にも、前半まで主人公達は肉弾戦よりも頭脳戦を主に展開する。冒頭、スタローン御大扮するブレスリンが警備厳重であるはずの刑務所から脱獄するシークエンスは、けっこう理詰めだ。また、この謎の監獄のアウトラインを知ろうとする主人公の振る舞いも、さらに理詰めだ。そして看守一人一人のクセを見抜いて、それによって綿密な脱出シミュレーションを構築させようとする、そのプロセスはまさに理詰めである。何とスタローン御大、やれば出来るじゃないか(爆)。

 対するロットマイヤーを演じるシュワ氏は“受け”のスタンスかと思いきや、油断のならない男として上手く立ち回り、時には母国語のドイツ語を駆使しての陽動作戦を買って出るあたりはなかなか見上げたものである。

 で、後半はもちろんアクションの釣瓶打ちだ。特にシュワ氏がヘリコプターの銃座から機関銃を外して撃ちまくる様子は、過去における彼の活劇場面を彷彿とさせ、千両役者の感がある。刑務所の造型はなかなか面白いし、主人公2人を陥れようとした黒幕の正体も、まあ途中で予想出来る向きもあるとは思うが(笑)、凡百の活劇物よりは気が利いていると思う。またその背景にあるのは、国際金融に関する巧妙な陰謀だったりして、リアリティは確保されている。

 ミカエル・ハフストロームの演出はソツがなく、ジム・カヴィーゼルやカーティス・ジャクソン(50セント)、ヴィンセント・ドノフリオ、エイミー・ライアンといった脇のキャストも悪くない。
コメント
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